2016年2月18日木曜日

コックと泥棒、その妻と愛人


ピーター・グリーナウェイ コックと泥棒、その妻と愛人 DVD

1989年作品
監督ピーター・グリーナウェイ
リシャール・ボーランジェ、マイケル・ガンボン、ヘレン・ミレン、アラン・ハワード、ティム・ロス

あらすじ:ある高級レストランに通うが、決して望まれる客とはいえない、泥棒一味。
だが、その一味の中で浮いているボスの妻は、コックも認める舌の持ち主。
いつしか、同じレストランの常連、泥棒一味とは対極にいるような男とボスの妻ができてしまう。
何故か、その逢瀬をフォローするコック。
そして、二人の関係がばれてしまい・・・。




グリーナウェイの作品の中では一番有名であり、その名前を世に知らしめた作品ですが、その割に内容が万人受けするものではないので、謎といえば謎です。

まさか、ゴルチェの名前が効いている・・・とか?
大先生に向かって失礼ではありますが、個人的にそんなにゴルチェのファッションってストライクではないのですけど、まあ一般的には宣伝効果は凄かったと思います。

ギリギリ80年代の作品のようですが、イメージは90年代でした。

これも劇場で見た記憶がしっかり残っているのですが、期待が大きすぎたのか、それ程好きな作品にはなりませんでした。

まあ、今思えば監督としてはいつもと同じで、やりたい事をやりたい放題しているだけなので、マイペースなのでしょうから、それに毎度ついていけるかどうかっていうのは、出来なくて当然なんですよね。

もともとが、多くの人を取り入れよう、というタイプではなくて、わかる人だけがわかればいい、というような人だと思うので、わからない事の方が多い。
理解力と言うセンス以前に、監督と同じ情報量がある、という知識量を試されているわけだし。

ただ、話題の衣装はもちろん、映像やストーリーなどは、ここぞと言わんばかりのメジャーな感じで、ある意味すごくわかりやすいと思います。
映像の衝撃度という意味でも、人を撥ねつける役目もあれば、「怖いものほど見たい」という裏腹な欲求を試している役目もしていますし。

まさに、アンビバレンツ炸裂ともいえるし、レストランが舞台ということで、「食べる」という人間の欲求であり、生きる上で欠かせない原始的行為を中心にドラマを動かしているところは、いつもの「メビウス」ちっくなテーマでもありますから、いつもどおり・・・ではあるんですよね。


ただ、個人的にあんまり好きじゃない、と思える理由は、ちょっとやりすぎ感のある演出。
そこが話題でもあるんでしょうけど、妻の衣装の色が部屋を移動する度に変わるところとか、特に「おー」となるよりは「えー」となってしまいました。
なんか、スーパー歌舞伎的な過剰な演出のようで。
今までも、あり得ないドラマをみせているのに、どこかリアリティが感じられたのは、絵画的なカット割りをしていても、そこには人間のいる空間としての説得力があったのですが、今回は本当に舞台っぽくて。

それが狙いで、それを良しとするものなのでしょうけど、私はそこが残念でした。

もちろん、全部が全部ではないのですけどね。

なんか、一番の売り(だと思う)がいまいちだったので、そのイメージが強いですね。

あと、当時はまだこの結末やバイオレンスに対して「ふーん」くらいでしたが、今となってはやっぱりちょっとシゲキが強すぎますw

そう、なんとなくなんですけど、グリーナウェイならでは、でありそうでいて、実は別にグリーナウェイじゃなくても・・・、というストーリーな気がしちゃうんですよね。

なんか、マフィア映画とかにあるようなお話しっていっちゃえるような。

ただ、最後の妻の復讐だけが、すごくグリーナウェイならでは、だったんでしょうけど、それがなんか悪趣味の領域に入ってしまって、ちょっとお安く感じられる。。。というのも、残念感があります。
(死体を料理するのに、そのまんま丸焼きだからどっちかというと笑う所になっている)

そして、じわじわと「映画は映画館に見に行ってはいけないのかも」と思い始めたのもこの頃かもしれません。

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