2016年4月19日火曜日

美しすぎる母



映画 (Movie) / 美しすぎる母 〔DVD〕

2007年作品

実話ベース

ジュリアン・ムーア、エディ・レッドメイン、スティーヴン・ディレイン

あらすじ:70年代。出身は決して裕福ではなかったが、その美貌と社交性で富豪ブルックスと結婚をし、優雅な暮らしをしていたバーバラ(ムーア)。
独り息子も授かるが、成長とともに、夫との距離はどんどん離れていき、ある日母と息子の二人きりになってしまう・・・。




実話とは知らずに見ていましたが、ラストの演出(よくある文字だけでその後の様子を伝えるやつ)で「え、これ実話なの?」と気づきびっくりしました。

【おはなし】

玉の輿にのった事で、もともと美人だった事もあって勘違いをし、社交界でぶいぶい言わせていると思っていたバーバラ。
だが、実際は教養などの面で劣っており、本人が思うほどはまってはいなかった。
加えて夫の言うことを利かずに自由奔放に振る舞う妻に、夫ブルックスはどんどん冷めていく。

独り息子アントニーが生まれてからも、幼少の頃のゲイ疑惑などで、父親は母と子に距離を感じていく。

ある時、親子3人でまだ家庭という体裁を保っていた旅先で、息子が少女と出会う。
家族の集いに同席させるが、そのままその少女は息子ではなく、父親ブルックスとつきあう事に。

もちろん、最初は隠していたが、バーバラに気づかれるとそれが離婚のきっかけとなる。

そして、母と息子、二人きりの生活が始まるが、それはいびつなものだった。

最初は、社交界でのご意見番的ゲイ(バイ)のサムと三人での生活をする。
バーバラの面倒を見るサムは、アントニーの面倒を見る人が誰もいない、と心配をし、近づき、そして寝てしまう。

それを知ったバーバラはさすがに息子に手を出すなんて、と怒り狂うが、その後、サムと普通に寝る。

そこへ、外出していた息子が帰ってくるが、裸で寝る2人を見てそのまま自分も裸になり、ベッドにもぐり込む。

その後、目を覚ました母親とサムは息子の存在に気づくが、驚くのではなく、大笑いをする。
息子も笑い、そこで三人の関係が出来てしまう。

サムが潮時だ、と三人の家を出ると、二人きりの生活となり「せいせいした」というバーバラ。

父親に捨てられたとはいえ、富豪との離婚ということで生活そのものは苦労している様子はなく、各地を転々とする。

だが、父親は息子が近くに居た時でさえも、会おうとはしなかった。

それは、単に息子の連れてきた少女とできてしまったから、というだけではないような感じだった。

もちろん、息子本人も「父に嫌われている」と気づくくらいに。


それは父親ならではの勘だったのか、それともそんな対応をされたせいなのか、息子はある夜、母親を刺す。

ずっと大事にしていた愛犬の形見の首輪が、引越しのドタバタで亡くなった事を気にしていた息子。
母親が隠したのではないか、とヒステリーを起こしていたが、結局キッチンで見つかった。
それでほっとして解決ではなく、気が付くと母親を刺していた。

母親が息子に依存するのと同じくらい、息子も母親に依存していたと思えたが、そうではなかったのかもしれない。

すぐに、救急車を呼ぶが、同時にお腹が空いたからとデリバリーを頼んで、倒れる母の横で、食事をしながら警察を待つ。

その後、刑務所から出ると、引き受け人は、母親側のおばあちゃん(子供の頃から面倒見てくれていた)だが、そのおばあちゃんとも口論の末、刺してしまい、再び刑務所へ入ったのだという。


【かんそう】

映画的には、母親を刺して警官が来るあたりまで、です。
その後の「おばあちゃんまで刺した」等は、テロップでの説明です。

これで、「実話なの?」と、なりますよねw

これも、サスペンス、ミステリー? 的なふれこみだったので見たのですが、どっちかというと「お耽美」ドラマでした。

好きな人は好きだと思いますけど、何せ実話なので、近親相姦はきついですね。

アントニーが美青年? で、ゲイに近親相姦、会話も一般人とは違い、ハイソ? な感じで、出てくる名前もデュシャンとか。

社交界の御意見番的ゲイがバーバラが離婚しても社交界でやっていけるようにアドバイスする、とか。しかもそのゲイはゲイなんだけど、女性の相手もしているとか。

毎日通勤してます、というようなタイプの登場人物がいないので、まさか実話とは思わず、昼ドラっぽいなーと思ってみてました。

事実は小説より~、なんですね~。

とはいえ、あくまでも映画として、の感想になりますが、

まず、父親は観客としては最初っからバーバラを持て余している感じなので、ずーっと「なんで結婚したん?」という疑問しかありませんでした。

そしてその割に、結構我慢して夫婦でいたんだなー、と。

と考えると、父親の性格? にも問題を感じますね。

バーバラのような派手なものに惹かれる部分もありつつ、でも芸術を語りつつも、保守的。(息子のゲイは認めたくない?)

挙句、つきあうのは息子が連れてきた女の子って事は相当歳の差。

そもそも、バーバラのような自由奔放なタイプは好きじゃないってことですよね。

その少女は父親の横に立っていると、すごく老けて見えました。というのも、服装が、もう「マダム」なんですよね。
良い服を着ているんでしょうけど、年齢に合っていない。

その様子を見ていると支配したいタイプなのかなー、と思えますから。

バーバラが美しく、大人しく横にいるタイプなら何も問題はなかったんでしょうね。

そして、そんなバーバラが自由に育てた息子アントニー。

ゲイかも知れない、という時もドン引きする父親に対して、特に何も感想がないバーバラ。
かといって無関心というわけではなく、息子の成長をただただ楽しく見ているという感じ。

男といちゃついていようが、女の子をナンパしようが、「あー大人になっていくのねー」という感じ。

これは、何らかの道を示したいと思う父親とはまったく違ったのでしょうけど、父親はそこで、強く息子を自分に引き寄せるのではなく、放棄した感じ。

恋愛と同じなんですね。

言うなりにならないバーバラを放棄し、より自分の理想になりえる相手を見つけて入れ替えただけ。

息子の歩み寄りにすら、手を差し出さないのは、息子にとって狂気へ近づかせた以外の何ものでもないような気がします。

そして小さい頃からどこか距離を感じる父親よりは、もちろん母親になつくわけですが、二人きりになった環境などから、肉体関係を持つという異常な状態に。

だけどそれもまた息子にとって狂気を深める事にしかならなかったようで。

この辺は実話ならではのシビアさがありますね。

基本的には、「バーバラのよい息子」を演じていた訳ですが、ずーっとその役割にもうんざりしていたんでしょう。

犬の首輪での口論からの刺殺になりますが、あくまできっかけ、だったと思います。

首輪そのものは見つかってますしね。

息子から見たら、愛されている事は理解しつつも、唯一の父親と距離を作った原因もまた、バーバラで、愛すると同時にバーバラを憎むしかなかったんでしょうね。

そうそう、途中バーバラは自殺をします。

未遂に終わりますが、その後バーバラの手首の傷の手当を息子がしたりするのですが、そのシーンは、何か息子が反撃しそうだなーという雰囲気がありました。


ところで、ジュリアン・ムーアは本当にいろんなヤバイ役をやっていますね。
バスルームにいる時に、すごくシミがあるんですけど、過去シーンでドレスを着ている時は真っ白な肌で、どっちが本当なのかな、と気になりました。

外人さんは結構シミが普通ですから、シミをわざわざ作ってリアリティ出す事もあるのかなーと、どうでもいい事を想ったりしましたw


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