2017年6月26日月曜日

セクレタリー



スティーブン・シャインバーグ セクレタリー Blu-ray Disc

2002年

ジェームズ・スペイダー、マギー・ギレンホール、ジェレミー・デイヴィス、スティーヴン・マクハティ、レスリー・アン・ウォーレン

あらすじ:


自傷癖のある主人公と、自身のSM趣味を受け入れられない男が出会い……。


秘書募集



家庭環境の影響か、幼い頃から自傷癖があり精神病院に入院していたリー(マギー・ギレンホール)。
ある日、姉の結婚式に出る為に本人が気乗りしないまま退院をする。

結婚パーティ中にも、その後も、アル中の父親によるストレスで自傷を止められない。

家の刃物には鍵を掛けられ、自分でも自傷セットを捨てようとゴミ箱に行くが、やはり拾い戻してしまう。
その時に、捨てられていた新聞を一緒に拾う。
「秘書募集」の求人広告に惹かれたからだった。


リーは、E.E.グレイ弁護士事務所に面接に行った。
何か問題があるのか、散乱した事務所から今秘書が出て行く所だった。
リーが声を掛けても無視をされた。

奥の部屋へ通されると、グレイ(ジェームズ・スペイダー)が諦めさせるように、退屈な仕事だと念を押されても、それがいいんです、とリーは受け入れる姿勢を崩さない。
そんなリーを内向的で変わってるといいつつも、グレイは採用した。

リーも母親も社会復帰が現実になっていく事に素直に喜んだ。


目覚め


最初は仕事を褒められて素直に喜んでいたリー。
だがある日を境にグレイは、リーに対してイジメのような厳しさを見せるようになる。

ある書類を間違えて捨てたから、ゴミ箱から探させ、見つけるともういらない、と言ったり。
しかし、どんな扱いを受けてもリーが反抗的になったり、過剰に落ち込んだりする事はなかった。
命令を受ける事そのものが喜びのように、文句を言わずこなして行くのだった。
どちらかというとグレイはそんなリーの反応を確かめるように、わざとイジメ紛いの態度をとっているようでもあった。

そんな中、グレイは偶然リーのスカートの下に隠されていた自傷の痕を見てしまう。

ある日、会社に父親から声が聞きたかったと電話が掛かってくる。
しかし、それがトリガーとなり、リーはついデスクで自傷行為をしてしまい、それをグレイに見られる。

結婚式で再会したピーターとデートをしていると、偶然グレイが目撃する。
酒の勢いか、大きな声で下ネタを話しキスをしているリーの姿が、職場でのリーとは違っている事にグレイは驚いた。
そして、車のボンネットから愛用の赤ペンを取り出し、何かを決意した。
その赤ペンは大量に持っていたが、リーが面接をした日にデスクにあったものはすべて捨てていたのに。


赤ペン


翌日から、グレイはリーのタイプに赤ペン添削をし、厳しくミスを指摘し出す。
更には、リーの服装から仕草にまで注文を付ける。
傷つきながらも、素直に謝り受け入れようとするリー。


ある日、グレイはリーを呼び出すと、仕事の話からプライベートな話題を持ち出した。
リーに自傷を止めるよう、言う。
驚きながらも、これまで通り素直に「はい」と受け入れる。
また、大人なのだから毎日ママのお迎えはいらない、とも言われる。
初めて1人で歩いて帰るリーは、解放感と成長を味わい、そんな風に導いてくれたグレイを特別な存在だとはっきりと認識する。


グレイの赤ペン添削は、リーがタイプ・ミスをする限り続く。
そしてとうとうグレイは、ミスをしたリーを部屋に呼びスパンキングをする。
リーは、それを不快に思うのではなく、何か新しい扉を開けてしまう。

リーは、自傷セットを自ら川に投げ捨て、母親にももう大丈夫だと伝えた。

グレイのおしおきが欲しくて、ミスを見つけても直さずに提出するリー。
だが、ある日突然グレイの赤ペンが使われなくなり、戸惑いを感じる。

そんな中、リーの父親が入院すると、そのショックで夜グレイを訪ねてしまう。
しかし言いたい事が言えずに「書類の確認を」、と事務的な事を言って誤魔化す。

リーはグレイともっと深くなりたいのに、グレイが閉ざし始めたのだった。
その証拠にグレイは赤ペンをまたすべて捨てた。

なんとかグレイを挑発しようと、ミミズを手紙に入れて送るリー。
その様子をこっそり見て驚くグレイ。

そしてミミズが届けられる。
グレイは、何かの衝動を発散させるかのように、懸垂を始める。

ミミズをレポート用紙の上に置くと、残していた赤ペンで丸く縁取り、リーを呼びつける。
やっとお説教だ、と喜んで向かうリー。
しかしリーの期待したお仕置きはなかった。


決意


リーをランチに行かせると、グレイは何かを決意したようで、しまっていたリーの写真を燃やした。
そしてリーへの謝罪の手紙をタイプするが、リーの戻りに気づくとシュレッダーに掛けてなかった物とした。
その手紙には、「すまない、こんな自分に吐き気がする」と打っていた。

グレイは再び面接と同じ質問をリーにする。
リーの答えは変わらないが、グレイはリーを解雇する。
君の行いが悪い、と。

リーは、最後のあがきで「あなたを知りたい」、と本音を言うがグレイの決心は揺るがなかった。
ひどい過ちを犯したと、新たな推薦状と小切手を渡した。


新しい秘書の存在に、諦めたリーは、開き直ってSMのパートナー募集で相手を探すようになった。
だが、グレイのような理想の相手が見つからないまま、ピーターにプロポーズをされて、何も考えずに受ける。

ウエディングドレスの試着をしていると、リーはこのままではいけない、と思い改める。
ドレスのままグレイの事務所に向かったのだった。

そしてグレイに愛してると言う。
それでもあんな事は続かない、と信じないグレイ。
引こうとしないリーに机の上に手をついて、戻るまで動くなと命令をする。

それからリーは3日間、その場を離れずに、ストライキをする秘書という事でニュースにもなった。

そんなリーの姿を窓から覗き見て、グレイもリーが好きだとはっきりと認識する。

やっとグレイが戻ってくる。
リーを受け入れる覚悟をしたのだった。

2人は結婚した。
一見普通の幸せなカップル。

だけどリーは今日もグレイにお仕置きをされたくて、わざと綺麗にメイクしたベッドに虫を仕込む。

おしまい


かんそう:


ジェームズ・スペイダーが、ジェームズ・スペイダーらしい変な作品に出ていました。
極端に言うと、結構笑ってしまいました。
でも、作品の狙いではない事は確かです。

これ残念な事に主人公はジェームズ・スペイダーではないんです。
主人公は女性のリー。
自傷癖を抱えながら、それに置き換わる「お仕置き」を覚え社会的に自立? して行くというお話しでした。

それはそれでありつつも、ファンの欲目もありつつジェームズ・スペイダー演じるグレイを主人公にした方が複雑で面白そう、と感じてしまいました。

だって、サド指向を持ちつつもそんな自分を恥じていて、何度もこのままではいけない、と愛用の赤ペンを捨てたり買ったり繰り返してる。
そしてそんな衝動を発散させるかのように、突然オフィスで腹筋したり懸垂したり。
なかなか様子がオカシイんです。
こちらも入院した方が良さそうな……。

好きな人が出来てもまともに恋愛出来ない、と悩んでいる。
でも、ある日現れたのは破れ鍋に綴蓋なリーだった。
それなのに、それすらも拒んでしまう、という難儀な性格。

そして腹筋をする日々……。
いや腹筋はしてもいいんですけどね。でもグレイさんの場合理由がおありでしょうから。

物語のほとんどがグレイの事務所で起きている事もありますが、とにかく何でもリーのする事をこっそり物陰から見ちゃうグレイさん。
家政婦は見た、を見た事はないんですけど、きっとこんな感じで見てたのかなーと想像できましたw
この時の、ジェームズ・スペイダーが目をまんまるくして何度も驚いているシーンに笑いながらも、同時に若き頃のジェームズ・スペイダーに萌えつつ。
あとなんといっても赤ペンの存在感!
最初にゴミ箱に捨てるシーンでは、ピンと来なかったのですが意味がわかると、赤ペンを見るだけで笑いがw
オンタイムだったらぜひあの赤ペンを探して使いたいと思いましたw


ジェームズ・スペイダーは今も昔もずーっと素敵なのが、凄いですね。
笑ったり、萌えたり、突っ込んだり。精神が落ち着かなくて若干疲れる、とも言えます。

ストーリー的には、最後の最後には、2人が幸せになって良かったです。
最初に想像していたのは、グレイが完全にリードして、戸惑うリーを調教するっていう王道だったので、結構変化球で新鮮でした。
まさか、グレイの方が悩める乙女だとは。

でもつくづく、サドのSはサービスのSなんだな、と思いました。
どう考えてもリーの方が、尽くされているように感じですから。






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