2017年12月10日日曜日

わたしの可愛い人 シェリ


わたしの可愛い人-シェリ(DVD)

2009年作品

原作「シェリ」コレット

ミシェル・ファイファー、ルパート・フレンド、フェリシティ・ジョーンズ、キャシー・ベイツ


あらすじ:


ココット(娼婦)のかつての同業者の息子シェリと約20歳の年の差で関係を続けていたレア。
永遠の関係とはならず、まだ若いシェリに婚姻の話しが浮上し……。




レアとシェリ



ベル・エポック時代のパリで、人気ココット(娼婦)だったレア(ミシェル・ファイファー)は美貌は保っていたが、すでに40代という年齢を自覚し引退していた。
それでも客と恋愛に落ちるという失敗もなく、優雅な暮らしだった。

上流社会からは締め出されたが、元同業者のシャルロット・プルー(キャシー・ベイツ)とつるむように。
シャルロットには、フレッド通称シェリ(ルパート・フレンド)という19歳の放蕩息子がいた。
父親を知らないココットの息子は、そんな生活に潮時を感じていた。

ある日、シャルロットの家で2人は久しぶりに顔を合わせた。
シャルロットは、自分の言う事を聞かない反抗的なシェリがレアの言う事ならば聞くかも、とレアに面倒を託した。

シェリは6歳の時から「ヌヌーン」と呼んで慕っていたレアを、女性として扱う。
最初は制止したレアだったが、シェリのキスを拒む事は出来ずそのまま旅行へ連れていった。


――そして、そのまま6年。
数週間で飽きて追い出すかと思ったレアだったが、シェリへの想いは色褪せる事はなかった。


結婚


ある日、シャルロットが孫の顔が見たいと思い立った事からシェリは結婚する事になる。
シェリは、自分では言えず、家で待ち合わせをしてレアに花嫁を見せた。

シャルロットもシェリを取り上げるようで、恨まれるかと思っていたがレアは「私が育てた自慢のシェリを送り出す」と平然としていたので安心した。

しかし、内心は穏やかではなかった。

シェリは別れの感傷を隠す事はせず、レアにとって最後の男になりたいと無理を言った。
さらに考えは甘く、結婚してもいつでもレアはこれまで通り側に居るものだと思っていた。
強がりもあったのだろう、レアは「お役御免だ」と断った。

レアは1人になると大声で泣いた。

シェリを失った悲しみを埋める為か、大きなエメラルドの指輪を自分に買った。



2週間後


2週間が経っても、レアはまだ泣いていた。

さすがに気分を変えようと、旅に出て癒してくれる若者をゲットした。

留守のままのレアに若い新恋人が出来た噂はシェリの耳にも入ったが、詳しい事は誰も知らなかった。
気になるシェリは、こっそりレアの家に居場所を聞きに行くが、情報は得られなかった。

思い通りに行かない事でシェリは、夫婦喧嘩をしてしまいそれまで大人しくしていた自分を解放させ夜遊びを始める。
そのまま家には帰らずホテルに泊まり、レアの戻りを待つ日々を送る。


3週間


長い間家を空けたままのシェリに、シャルロットはしびれを切らして家に帰るよう言うが聞く様子はなかった。

シャルロットはレアに手紙を出して、シェリの家出を伝えた。
レアは歓び、やっぱり自分が求められているのではないかと思ったのか、自宅に戻る事にした。

自宅に戻るレアの姿をやっとその目で確認できたシェリは、レアの元に真っ直ぐに戻るのではなく、安心して自宅に戻っていった。
そして妻と抱き合って喜んだ。


まだそうとは知らないレアは、シェリが自宅の前にうろついている事に気づき、恐らく戻ってくるのだろうと期待してはしゃいでいた。
でも口では「二度目は受け入れない」と強がりを言っていた。

そこへ訪ねて来たのはシェリではなく母親のシャルロットだった。
シェリが妻の元に戻ってきたという報告の為だった。

レアは自分が選ばれなかった事を知り、がっかりした。


結末


しかし、その夜シェリはレアの家に押し入って来た。

レアが無造作に置いていたエメラルドの指輪を見つけると、あからさまな嫉妬を見せた。「誰に貰ったんだ!」
レアは自分で買ったとは言わずに話しを合わせた。

シェリは子供のように、怒った後はヌヌーンとシェリの愛称を呟いて泣き出した。
「せっかく、レアの元に戻ってきたのに」と泣き事を言われると、レアは抱きしめ許す事しか出来なかった。
レアは自らも素直になり、シェリをずっと愛していたと言い、これからはずっと2人きりだと言った。
何もシェリが心配する事はない、すべて私に任せなさい……。


翌朝、一足先に目覚めたレアは、しばらく2人で身を隠す為のチケットを手配していた。
シェリはドアの隙間から、その様子を眺めていた。
朝日にさらされる素顔やその肌は、少しの間とはいえ一緒に居た頃よりも老けていたのかもしれない。
まして、若い妻と過ごした事で、シェリには急に老けたように感じられても仕方なかった。


そして、態度も母親のように構うレアに、ついそういった気持ちの変化が現れてしまう。
「レアといるからいつまでも12歳の子供なんだ」

レアは今までずっと、と過去形を言われてまるで追悼のようだと言った。
シェリは戻ったのではなく、愛人にしたいだけだと気づく。

シェリへの愛を認め、自分の物扱いをし出すレアにシェリは、理想のレアを崩すなと怒り出した。
ただガミガミ言うだけの母親にそっくりなレアは求めていなかったのだ。
「妻の事まで思いやる優しいレアじゃない。
そういうレアを僕は愛してた」

一晩で態度が変わった事にレアは戸惑った。
「何故戻ったの?」

シェリは、認める。
確かに、レアと離れて女の為に苦しむという事を知った。
レアが何処かへ行ってしまったと聞くだけで、不安になり戻った事でどれほど安堵したか。
これから、自分の思い通りになると思ったのに。

「昨夜ここに戻ると……。
年老いた女がいたのね」

駆け引きなど出来ないシェリは、否定も出来ずに泣き出した。

レアは、シェリが今までいい人だと思って愛してくれていたんだ、と知り喜んだ。

「でもそれが本当なら、私はあなたを独り占めしなかった。
30年間甘やかされて、あなたが軟弱な人間になったのは確かに私の責任。
同じ日に死にたいと思うほど愛してきた」

レアは、自分に言い聞かせるようにシェリを妻の元に返す決心をした。

今度こそ、決定的な破局と思えた。

窓辺に立ち、屋敷に背中を向けて歩くシェリを見るレアはそれでも、いつか戻ってくると信じていた。

でもこれからの時間がレアと比べると長いシェリは、別れの悲しみと同時に解放感を得ても居たのだった。
その気持ちの切り替わりに、母親のようにシェリを知り尽くしていたレアも気づいてしまう。


そして鏡を見て自分の老いを確かめると、自らの手で銃を使い、それを止めた。


おしまい


かんそう:


女優として好きなミシェル・ファイファーとキャシー・ベイツの共演に、HOMELANDで人気の高いルパート・フレンドと言う事で、時代物と言う所に少し敷居の高さを感じたのですがトライしてみました。

ストーリーそのものはラブストーリーなので、時代背景等の知識がなくても難なく楽しめました。

まあとにかく、ルパート・フレンドの若いイケメン役は板についていましたし、そんなイケメンのお尻丸出し大サービス? が笑ってしまう程凄かったです。

ただ個人的には、この映画の印象といえばそんなお尻よりも「鬱END」でした。
ミシェル・ファイファーに感情移入して見ていたせいか、最後自殺して終わってしまった事が結構衝撃でした。


しかも流れとして、結局20歳以上の歳の差に限界を感じ、レアはこの先、生きていてもこれ以上の幸せがないと判断してしまった……というやるせなさ。
片や、まだそれでも20代後半でまだまだ若いシェリはまさにレアを踏み台にして、生きて行くという……。

とにかく、一度シェリがレアの元に戻ってきた時、あまりの感情移入に私は号泣していたんですよ。良かった~って。

レアの孤独さは、ただの別れであっても切ないだろうに、やっぱり歳の差というハンディを背負っていましたから、ある時までの強味が突然その時の威力以上に弱味になる事を分かっていたと思います。

そのフラグをいつ、誰が立てるのか。
それはレアにとっては、自分でするべきだと思っていたに違いない、と私は思いたい。
だから気丈に送り出し、決して悲しさを人前で見せる事はしていなかった。
シェリを愛しているからこそ、弱味をさらけ出す事はしていなかった。
その時は、それと同じくらい自分を愛する事も出来ていたんでしょうね。

でも、実際シェリが戻ってくると、突っぱねる事は出来ず「愛している。同じ日に死にたい」と本音を漏らしていました。
もはや、年下の若者にすがる名もなき女に成り下がっていました。

そしてそれが、シェリにも「もう自分が愛したレアはいないんだ」と分からせてしまったんでしょうね。

どうなっても、レアにはあの時間を取り戻す事はできなかった。
だったら歳を重ねて見た目は変化したとしても、思い出とシェリとの関係は変わらぬまま……というのが理想だったんですけどね~。

まさか、自殺なんて!!
一番、レアにはして欲しくない行為でした。

そしてシェリのダメさよ。
レアの甘やかしが原因ではあるかもしれないけど、本当に軟弱で自分勝手で大きな12歳のまま……。
それでも、レアの自殺に何も思わない訳はないだろうから、本当に誰も幸せではない終わり方で、鬱でした。

0 件のコメント:

コメントを投稿

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...