ラビリンス 魔王の迷宮 コレクターズ・エディション
1986年作品
ジェニファー・コネリー、デヴィッド・ボウイ
あらすじ:
人間の出演者は、主に主人公サラと魔王ジャレスだけでそれ以外はほとんどマペットとというファンタジー。
少女は自分のせいでさらわれてしまった弟を取り戻す為に、地下迷宮のラビリンスへと向かう――。
消えた弟
多感な年ごろのサラ(ジェニファー・コネリー)は父親の再婚相手を認められなかった。
今では、その義母が産んだまだ赤ん坊の弟トビーもいたが、ある雨の夜、一緒に留守番をさせられるとイラついた。
なかなか泣き止まないトビーに、愛読書の「ラビリンス」の一節を唱える。
それは、ゴブリンの王がある娘に恋をして、娘を困らせるわがままな赤ん坊をゴブリン・シティにさらい、娘を自由にしてあげるという物語だった。
今のサラと状況が似ているのも、のめり込む理由だったのだろうが、サラは台詞すべてを暗記しきれてはいかなった。
ゴブリンの王を呼び出す台詞を唱えようとするが、何度か間違える。
しかし、サラの本心のつぶやきが偶然台詞を完成させていた。
「お願いこの子を連れ去って、今すぐ!」
雷が鳴り響き、突然赤ん坊の泣き声が止んだ。
不思議に思い、ベビーベッドを覗くとトビーの姿は消えていた。
白いフクロウ
窓の外には白いフクロウが来ていた。
そのフクロウは部屋の中に入ってくると、人間の姿に変身しゴブリンの王ジャレス(デヴィッド・ボウイ)となった。
サラはすぐにトビーを返して、と頼む。
しかしもう言葉は取り消せない。
ヘビで脅されても屈しないサラに、その気があるなら迷宮を抜けてゴブリンシティを超えて城まで来い、と言った。
ただし、13時間以内に来なければ弟はゴブリンになる。永遠に。
ラビリンス
家の窓から見える景色は、いつもと違いすぐ外にはゴブリンシティへ続くラビリンスが広がっていた。
足を踏み入れるとすぐにホグルというゴブリンと出会い、城への抜け方を訪ねた。
すると入口ならそこだ、と教えてもらう。
サラはためらいもなく、中に入って行った。
だが見えるのは壁ばかり。
左右のどちらへ行っても永遠に続いていた。
疲れたサラが座り込むと、と小さなケムシが話しかけてきた。
抜け道は目の前にある。
しかし、サラの目には壁しか映っていない。
「見かけと違う事はある。想い込んじゃダメ」
そう言われて壁を進むと、左右に別れる空間があった。
すぐに曲がろうとすると、そっちはダメと言われる。
危険なのかと思い礼を言って反対側に行くが、実は最初に向かった道が城への近道だった。
タイル
それにしても、迷路が続くのでサラは持っていた口紅で分かれ道の地面のタイルに矢印を書き残した。
自分が歩いて来た方向がわかるように。
しかし、そのタイルの下には小さな魔物がいて落書きされた、とタイルを反対に回転させて印を消したり、方向を変えたりしていたのだった。
やっとサラはそれに気づき新たな道を見つけた。
門番
上下に顔を持つ、青と赤の門番が並ぶ入口はそれぞれ言い分があった。
彼は嘘つき、彼の言葉は本物。
サラは、赤にイエスかノーで答えさせる。
「こっちがお城への扉だと彼はいう?」
「イエス」
すると、サラは赤がウソをついていて正しい入口は青だと判断した。
どうして? と聞かれ説明するが、赤も青もチンプンカンプンだった。
自信のあるサラは、迷わず青い扉に入って行く。
しかし、そのまま落下してヘルピング・ハンド(手ばかりの魔物)の手の中に居た。
どっちへ行きたい? と聞かれ、落下してるから下、と選ぶとそこはウブリエットといい、確実に城に近づいていた。
サラが選んだ扉は正解だったようだ。
再会
水晶を通じて、サラがウブリエットまで到着した事を知ったジャレスは、やる気をなくす為に、サラを振り出しに戻してやる、と言っていた。
サラはウブリエットで、ホグルと再会する。
ホグルは迷路から出る近道なら教えるというが、サラは引き返す気などなかった。
サラはホグルが腕のプラスティックのアクセサリーを気にしている事に気づき、それを餌に道案内をするよう頼んだ。
ホグルはプラスティックに釣られ、行けるところまでなら、と承諾した。
すぐに壁にたくさんの大きな顔がついていて、引き戻せと言い続ける道を案内される。
正しい道だからこそ、引き戻すよう言っているのだが道案内つきの2人には効果はなかった。
その壁を抜けると、ジャレスが2人を待ち構えていた。
どうやら、ホグルはサラを振り出しに戻るようジャレスに命じられていたようだった。
なのに今では道案内をしていたので、「今戻る途中です」と誤魔化した。
ジャレスは、裏切ったら悪臭の沼で逆さづりだ、とホグルを脅し、サラには更に残りの時間を短くして意地悪をした。
去り際には、掃除をすると迷路の清掃マシーン、巨大な掃除機を作動した。
それに当たったら命はない。
慌てて2人は逃げてなんとか壁を押して逃げ道を作った。
そこでホグルはハシゴを見つけ、逃げ道だと誘導する。
だが、一度裏切りを感じたサラはすぐには信用できなかった。
しかし、立場をわかってくれと言われ後をついて行った。
ハシゴを上り切ると、大きなツボの口だった。
そこに出た所で、ホグルはここからは1人で行けと言った。
サラはホグルのお宝を横取りして、無理やり同行させる。
そこで頭に喋る鶏を被っている老人と出会う。
老人に城への道を聞くと、「前にある道は時として後ろへ戻る道だ」と教えてもらう。
「どこにも到達していないと思えても実はしてる」
新たな仲間
再び迷路に入り込むと、ホグルは離脱していった。
仕方なくサラは1人で進むと、大きな身体のモンスターが吊るされて、いじめられているのを見つける。
サラは転がってきた石を投げてモンスターを助けた。
モンスターはルードといい、サラの友達になった。
ルードも城への道は知らないというが、すぐにしゃべるドアノッカーのある2つの扉を見つける。
1つはリングが耳にささっていて、よくしゃべるがもう1つはリングを口に咥えているのでもごもごしていた。
サラは口に咥えている方をノックして扉を開けた。
罠
その後、サラはルードとはぐれ、炎の側で踊る炎のような魔物と出会い、バラバラにされそうになって逃げると、ホグルに助けられた。
そして悪臭の沼に到達していた。
そこでルードにも再会するがとにかく臭いので早く通り過ぎる事に。
だが、途中の橋でサラ達の行く手を阻む者がいた。
小型犬のような、サー・ディデュモスでルードに勝手にまとわりついた末、いい戦いだったと兄弟宣言を始めた。
またしても仲間を増やし、先に進むが途中橋が崩れてしまう。
しかし、ルードは岩を動かせると言う能力があるらしく道を作って事なきを得た。
沼を抜けたところでお腹が空いたというサラに、ホグルは今だと桃を差し出した。
それは実は、サラと別れていた時にジャレスに渡されていたもので、ホグルにはその効果までは知らなかった。
食べたサラの様子が変になった事で、ホグルもびっくりした。
サラは舞踏会でジャレスと踊る幻覚を見る。
だがサラは自分自身で幻覚から脱出して、瓦礫の山に落ちていた。
瓦礫の山
瓦礫の山で目覚めると、主のような老婆が次々にサラの思い出の品を見せた。
外には何もない、とこの場に留めるように。
しかしサラは次第に全部ガラクタだと気づき、トビー捜しを再開する。
そこには、ルードとサー・ディデュモスも来ていて、ゴブリン・シティへの門が目の前だった。
仲直り
門をあけるとすぐに巨大なからくり兵が襲ってきた。
3人が苦戦していると、ホグルが助けに入りからくり兵を操作した。
ホグルは、桃はジャレスの命令だったと打ち明けた。
友達だと言われてうれしかったのに、酷い事をしたのでもう友達じゃなくてもいい、と言うがサラは、正直なホグルを許した。
再び仲間が揃って打倒ジャレスを目指して先に進んだ。
奥に進んでも、攻撃を受けいつの間にかそれぞれがゴブリンの兵士に包囲されていた。
すると追い詰められたルードがまた岩を呼ぶ能力を使い、ゴブリン達を倒して行った。
そしてとうとう城の前に到着する。
決着
ここからは自分の問題だから1人で行くというサラを、助けが必要な時はいつでも行く、と約束して3人は見送った。
城の中はエッシャーの絵のような迷路空間になっていた。
トビーの姿は見えているのに、いる場所にはなかなか辿りつけない。
ジャレスはその空間を自由に移動している。
やっとサラとジャレスは対峙した。
弟を返してというサラに、これまで寛容だったと主張するジャレス。
すべてはサラが望む通りだろう、と。
サラは、ラビリンスの一節を唱えようとするが、それはなかなか覚えられない台詞だった。
「私の王国も偉大である……」
いつもここから先を忘れてしまう。
言葉に詰まっていると、ジャレスが都合よく話しを進めてしまう。
サラは何度も唱えて思い出そうとした。
そして。
「あなたに支配力はない!」
とうとう、ジャレスを封じる言葉を思い出した。
その瞬間、ジャレスの持っていた水晶は壊れ、ジャレスは白いフクロウにになり飛んで行った。
気付けばサラの家の中に戻っていた。
すぐにトビーを確認すると、ベビーベッドで寝ていた。
サラは、夢を見ていたのだろうか?
しかし部屋に戻り、鏡越しにサー・ディデュモスに別れの言葉を言われて気づく。
夢ではなかったのだ。
「忘れるなかれ助けが要る時は」
ホグルもいた。
「わしらの助けが要る時はどんなことでもいいから……」
サラはあなたが必要よ! と返事をする。
「だったら早くそう言えよ!」
その言葉を合図に部屋がゴブリンだらけになっていた。
その言葉を合図に部屋がゴブリンだらけになっていた。
皆で楽しくダンスした。
部屋の外には白いフクロウが飛んでいた。
おしまい
かんそう:
80年代のマペットの世界が堪能できるファンタジーでした。
今の時代なら、同じような世界をCGで作るのかな、と思います。
どちらがより労力がかかるのか、素人にはわかりませんが、出来栄えの味わいは圧倒的にこちらのほうが感じられたような気がします。
一体どうやって動かしているんだろうと不思議に思う動きもあれば、これはヘルピングハンドはその名の通り、そのまま手を使っているんだろうな、とか。
マペットの仕組みを想像するのも、面白かったです。
人の手のぬくもりを感じるからか、人形なのにそれぞれに命が感じられました。
ホグルはさすがに人が入っているのかな~と思ったのですが、確かに女優さんはいたようですがそれだけではなく、同時に操作するスタッフが複数いたようです。
すごい手間を掛けている事がわかりますし、見ているだけではそうとは気づかないのが凄いです。
メインはマペットだと思うので、ストーリーはシンプル。
RPG的な冒険要素もありますが、基本的には順調に進んでいきます。
子供向きなんじゃないか、と思いつつマペットの世界は日本人の感覚では結構ダークな印象なので怖い、と思うお子さんもいそうな気がします。
確実に言えるのは、ボウイ・ファンには貴重な作品ではないかと。
80年代のキラキラした、ポップなボウイが歌う姿が数曲見られます。
そしてジェニファー・コネリーの可愛さ。
1人で困難に立ち向かっていく勇敢なサラというキャラクターにぴったりでした。
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