2018年9月29日土曜日

私の愛情の対象


1998年作品

ジェニファー・アニストン、ポール・ラッド


あらすじ:


出会い


小学校教師をしているジョージ・ハンソン(ポール・ラッド)は、学校で上演した芝居の評判が良く、サリー・ミラーという生徒の両親に食事に誘われた。

恋人のジョリーは、芝居には遅刻していたがサリーの父親が世界有数の出版エージェントのシドニー・ミラーだと知ると、コネ作りのために興味を持った。

結局ジョージは、ジョリーと出席をしたが、ジョリーは売り込みに熱心でジョージを放りっぱなしにしていた。
挙句、サリーの母親、コンスタンスの妹だというニーナ(ジェニファー・アニストン)から、ジョリーが別れたと言ってたと聞かされてしまう。
出会ってすぐの事だった。

ニーナは、市民センターでティーンのカウンセラーをしていて、ハイソな客層に馴染めずにいた。
ジョージはそんなニーナとすぐに気が合っていた。
ニーナも、ジョリーと別れたのなら空き部屋を貸す、とジョージを気に入った。
ジョージはジョリーが勝手にそんな事を言っている事が許せなかった。

別れ


パーティーの帰り道、ジョージはジョリーに話しを切り出した。
すると、ジョリーは教え子に手をだしてつきあうようになっていると打ち明けられた。
2人はそのまま別れる事になり、ジョージはニーナの家に居候する事になった。

新生活


ニーナにはヴィンスという弁護士の恋人がいた。

表向きは歓迎していたが、ヴィンスは内心でジョージに嫉妬をしていた。
恋人である自分とは同居してくれないのに、ゲイの男と同居を始めたから。
ニーナは一時的な同居だ、と聞き流した。

2人は、市民センターのダンス教室に通う事にした。
ニーナが、失恋を引きずるジョージを励ます為に誘っていた。
2人はお年寄りに混ざって、楽しくダンスを習っていた。

そしてダンスが上達する事には、すっかり気の合う家族のような存在になっていた。

転機


ある夜、ニーナはおしゃべりからジョージが高校時代にルーシーという異性と初体験を済ませていた事を知った。
ジョージはその後大学に入ってからゲイだと自覚していたのだった。

それから数日後、ニーナの妊娠が発覚した。
父親はヴィンスだったが、ニーナは一番最初にジョージに相談をした。

ニーナはヴィンスに言わないまま、子供を産む事に決めた。
ジョージに、一緒に子供を育てて欲しいと頼んだ。
「ヴィンスは?」
「父親だから子供には必要な存在だけど、安らぎを感じないの。
感じるのはあなただけ」
ジョージはヴィンスに悪い、と気が引けた。

ニーナの提案は、常識に縛られない2人だけのルールを作る事だった。
結婚して欲しい訳じゃない。
ヴィンスとも結婚はしたくない。

ジョージは、突然の申し出に戸惑い、返事を先延ばしにした。

発覚


帰宅すると、突然姉夫婦が来るという連絡が入った。
あっという間にベルが鳴ったので、もう来たのかと思うとヴィンスが食料品を抱えてやってきた。

妊娠を隠している為様子が怪しいニーナから、話を聞き出すつもりだった。

姉夫婦も合流して大騒ぎになった。

暑いと文句を言われ扇風機を運ぼうとすると、ジョージはついニーナに重いものを持つなと注意をした。
そのやりとりを聞いて、ヴィンスはまた嫉妬をした。
「寝たのか?」
ジョージは嫌味っぽくゲイだ、と言った。
初耳だったサリーは、先生のゲイ発言に驚いた。
姉のコンスタンスは気づいた。
「妊娠?」

ヴィンスはそれが自分の子だと知ると大喜びをした。

決意


結局、ニーナはヴィンスの家に引っ越す事になった。
1人になったジョージは、友情は口先だけだったと寂しがった。
「こだわらずに子育てを引き受ければ良かった」
いずれニーナのアパートも出ていかなければならない、と覚悟した。


学校の発表会で、久しぶりにジョージとニーナは再会した。
ニーナはつわりがひどくなっていた。
ダンス教室もしばらく休んでいる。

野心の塊のヴィンスは、ジョージの同僚メリッサと意気投合していたが、考え方の違うニーナは2人の話にイライラして抜け出した。
そもそも妊娠同居でヴィンスにべったり、つきっきりにされてうんざりしていた所だった。

爆発したニーナに、ジョージはずっと抱えていた想いを伝える。
「親子3人の組み合わせはミスマッチだ。
君の提案を考えた」

昨日、帰り道でキャッチボールをする親子を見てジョージは決意をしていた。
「僕も、父親のように他人の子供達に教えてやりたい」
ただ学校で会って別れるだけではなく、子供にお休みを言える男になりたい。

それは、ニーナの提案を受け入れるという答えだった。

ニ-ナはすぐにヴィンスに、ブルックリンの家に戻ると伝えた。
ヴィンスの家にはもう戻らない。

ヴィンスはすぐにジョージの影響だと、ジョージを邪魔者扱いした。
だがニーナはヴィンスこそ邪魔者だと伝えた。
「子供はジョージと2人で育てるわ」

ヴィンスは、ゲイは厚かましいと本性を現してジョージを罵倒した。
そしてニーナにも悪態をついて去っていった。
「子供に聞かれたら、パパはママに会ってくれないと言え」

2人だけの生活


またニーナとジョージ、2人だけの生活が戻った。
ジョージは子供の父親のように病院にも付き添った。

ある日、ベビー用品店を覗くと店員がジョージの知り合いスティーブだった。
ニーナの事は「友達」だと紹介した。

2人の親しげな様子を見てニーナは気になった。
「もし彼をここに呼びたいなら、構わないわよ。
私たちは未婚だし、生活を犠牲にしないで」

そういったものの、ベッドで抱き合っているとニーナは「ルーシー」の話題を出した。
どこかでいつか自分も「ルーシー」になれるかもしれない、と想っていたのだろうか。
そのままニーナはジョージの服を脱がせようとし始めた。
ジョージも抵抗はしなかった。

いい雰囲気になりキスもした。
だが途中で電話が掛かってきて、ジョージは我に返った。
相手はジョリーだった。

軌道修正


ジョージはジョリーからよりを戻したいと言われた。

少しニーナから離れるのに良いと思ったのか、ジョージの母校で開かれる、評論家会議に同伴する事になった。

朝電話すると約束をして旅立った。

2人は、評論家会議に主席する、ロドニー・フレイザーと知り合った。
フレイザーはポールといういかにも愛人のような年の離れた男を同伴していた。

シンポジウムの間、ポールとジョージは暇を持て余し2人で会場を抜け出した。

ポールはゲイではあったが、フレイザーの愛人ではなかった。
フレイザーの生徒で、授業料を支払う為に居候をさせてもらっている家族のような存在だと言った。
2人はすぐに意気投合した。

それはニーナに約束していた電話を忘れる程だった。

その間、ニーナは姉夫婦の別荘に滞在した。
ジョージからの電話が楽しみで、どこにも出かけず待っていた。

やっと電話が掛かってきた時、何も知らないニーナはすぐに帰ってきてとわがままを言った。
にぎやかな別荘で1人でみじめな気分を感じていた。
「大学にいる必要はないはずよ」
ジョージにはポールとの出会いがすぐに説明する事が出来なかった。


ニーナは、迎えに来てくはくれないと分かったが、1人でバスで帰宅する事にした。
すると乗り込んだバスでヴィンスとメリッサに偶然会ってしまう。
2人はつきあっているようだった。

帰宅


バスを降りたニーナは、カバンを盗まれてしまう。
妊婦で追いかける事もできず、警官に助けを求めた。

警官はニーナに気があるようで、親切にニーナを自宅まで送り届けた。
だが家の前で待つジョージに嬉しそうに飛びつく様子を見て、出番はないと大人しく帰っていった。

変化


だがニーナの気づかぬ間に、ジョージの生活は変化していた。
ポールと付き合いだしていたのだった。

その付き合いは、ロドニーにも知られた。
ロドニーは、ニーナも含めて食事に行こうとジョージを歓迎したが、内心は傷ついているようだった。


ニーナは、ヴィンスと会っていた。
バスでの出会いがきっかけになったのか、ニーナが電話をしていた。

ヴィンスは子育てには口を出さないから、協力させて欲しいと態度を改めた。

そこへ偶然、ニーナを助けた警官とすれ違った。
非番らしく甥と姪を連れていた。

ヴィンスの事は、子供の父親だと紹介した。
「この前の彼は……」
「同居人よ」
「いいね、自然体だ」


ジョージはポールとの付き合いを言えないまま、ポールの芝居を見に行く事になってしまった。
ロドニーとニーナも初対面した。

別れ際にニーナは、ポールとロドニーを感謝祭の食事に誘った。
ニーナは2人が付き合っていると勘違いしていたのだった。
「いいカップル」
だが、ジョージは何も言わなかった。


感謝祭の食事で再び4人が集まると、ジョージとポールは散歩に出かけた。
ポールはなぜニーナに付き合っていると言わないのか、とジョージに尋ねていた。

その頃家に残ったロドニーはニーナに、「3人の生活は上手くいってるが、独り寝はつらい」とこぼしていた。
ニーナはそれで初めて、ポールと付き合っているのがジョージだと知ってしまう。

ロドニーは紅一点のニーナに改めて言った。
「3人のゲイが他の男を見つけて去ったら? 誰が残る?
楽に生きろ。
人生の中で1人取り残されるぞ」


食事は何もなかったように済んだ。
ロドニーが帰ろうとポールに声を掛けると、ポールは決心したように残る、と言った。

ロドニーは1人で先に帰った。
ポールは当たり前のようにジョージの部屋に入っていった。

夜遅く、眠れずにいたニーナとアイスを取りに来たジョージは口論をしてしまう。

やはり分かっていてもニーナには、ポールの存在が我慢できなかった。
「人生の伴侶は1人にして。
私を差しおいて男とファックするなんて!」

本音


ジョージの弟の結婚式が行われた。

ジョージはニーナをダンスに誘った。
2人は教室に通っていただけあって、見事に踊って見せた。

ニーナは、結婚式を見て改めて自分の本心に気づいた。
「私たちは本物の関係じゃない」
「僕らは例外だ」
「でも私は普通の女よ。
一緒に居て欲しいの。私と結婚して。
私が愛するように愛して。
あなたをゲイだと思いたくないの」
「でも思ってる」
「本心を言って。何が望みなの?」
「ポールだ」
ニーナは泣きじゃくった。
「あなたを見つめていたいのに、傷つけるのね」
「ごめんよ。
君だけは傷つけたくなかった」

ニーナはもう元には戻れない、と言った。

出産


ニーナが女の子、モリーを出産した。
病室には、ジョージとヴィンスが揃った。

喜ぶジョージに、ニーナは自分が家に戻る前に引っ越して、と頼んだ。
「私と娘は大丈夫よ。
親子2人でやっていくわ」

数年後


モリーは大きくなり、ジョージは校長になっていた。
そのジョージの学校でモリーは音楽会の舞台に立っていた。

ニーナはあの時の警官、ルイスとつきあっていた。

ニーナの姉家族、ヴィンス、ポール、ロドニー、そしてジョージ。
モリーが私のファンが一番多かったと言うほど、集まっていた。

でも最後にはニーナとジョージとモリーの3人だけで、お茶をして帰る事にした。


おしまい


かんそう:


ジェニファー・アニストンが演じている事でかなり誤魔化されていますが、ジョージ(ゲイ)視点で考えるとかなり恐ろしいドラマでした。

恋愛対象ではないニーナから、恋愛対象として見られ一方的に嫉妬される……。

そもそもゲイだとはっきり明言しているのに、何故「私を見て!」と都合よく解釈できるのか。

ニーナは、繰り返しますけどジェニファー・アニストンが演じてるから誤魔化されてしまうんですけど、かなりヤバイ女です。
これ、女優が違ったら相当嫌われるはず。てか嫌い!

あとジョージそのものが、基本的にはニーナの存在を嫌がっていないのも、功を奏していました。
少しでも日頃から迷惑に感じるようなシーンがあれば、あっさりホラーになっていたはず。


同性のカップルの環境は、日々変化しているのでこの作品制作当時はまだ養子が困難だったのかもしれません。

そもそもジョージがニーナを受け入れる大きな理由として、「父親になりたい」という想いがありました。

今の感覚で考えると、ポールと結婚しても父親になる事はできる、と考えてしまうので、自分に好意を持つニーナに近づくのはかなりリスクがあるから避けたいはず。

ジョージはいい人だから、いたずらに気の合う友人のニーナを傷つけたいわけでもないでしょうから。

最終的には、ニーナにもルイスという恋人が出来て、いびつな関係が正常化して、元の親友状態になりめでたし、めでたし、でした。

引いた目で見ると、一体誰が得をするのか分からないストーリーでした。
おこげのファンタジー? ゲイのファンタジー?

女性同士でも子持ちの友人と子なしの友人って、どこかでつきあいが途切れてしまいがちだと思うんですけど、そういった意味では誰にでも思い当たるファンタジーなのかもしれません。


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