2018年2月18日日曜日

ヘルレイザー



ヘル・レイザー/アシュレイ・ローレンス[DVD]

1987年 イギリス作品

監督、脚本、原作クライヴ・バーカー


アシュレイ・ローレンス、アンドリュー・ロビンソン、クレア・ヒギンズ、ショーン・チャップマン、ロバート・ハインズ、ダグ・ブラッドレイ、グレース・カービー、ニコラス・ヴィンス、サイモン・バムフォード


あらすじ:


快楽を約束してくれるという謎のパズル・ボックスを偶然手にし、何も知らずに解いてしまった少女を待っていたのは、快楽どころか死んだ後も永遠に続く地獄への扉だった――。




パズルボックス



どこかの地でパズルボックスを大金で手に入れたフランク・コットン。

そのパズルを解くと快楽が待っている……と言われていたのだが、実際に呼び出したのは快楽とは言い難い痛み(拷問)の末の死だった。

それを管理するのは、それぞれが自らも痛みを味わい続けるような肉体に試練を与える格好をしているセノバイト(魔道士)達だった。
飛び散った肉片からコットンである事を確かめ、パズルボックスを元に戻して回収する。
するとその部屋には何事もなかったかのように静寂が訪れた。


フランクの弟とその妻


10年ぶりにラリーは妻のジュリアと一緒にずっと空き家になっていた実家に引越しをする事に。
しばらく兄のフランクが隠れ家にしていたが、今では姿はなく悪趣味なインテリアが残されたままだった。
きっと刑務所にいるんだろう、と思っていた。

ラリーは亡き前妻との娘のカースティを呼んで、3人で暮らしたいと思っていたがジュリアとあまり上手くいっていないカースティは、独り暮らしを選んだ。


ジュリアとフランク


実は、ジュリアはラリーの兄フランクとも関係を持っていた。
フランクは危険な男で、ラリーとは正反対だったがそんな悪い所に惹かれていたのだった。
フランクの残した荷物にあった一緒に写った昔の写真をこっそりと回収した。


引越し


引越し当日。
カースティも顔を出すが、ジュリアとの関係はぎくしゃくしていた。

ジュリアは空き部屋で、フランクとの出会いを思い出していた。
そこへ、ベッドを移動している最中に壁から出た釘で手を怪我したラリーがやってきた。
血をぽたぽたと垂らしながら、ジュリアに手当を頼むと急いで病院へ向かった。

その時、床下に染み込んだ血が、残っていたフランクの肉片に染み渡っていた。
人間の血には肉片を復活させる力があるようで、たちまちフランクは細胞を蘇らせ骨と粘膜だけの状態ではあるが、人知れずその姿を再生させていた。


再会


夜、友人らを呼んで引越し祝いの食事会が開かれた。
退屈なジュリアは、中座してまた空き部屋に行く。
すると突然、骨と粘膜だけの怪物が這って来て驚く。
しかもその怪物は「ジュリア」と名を呼ぶのだ。
そしてフランクだと名乗り、助けを求めた。

ジュリアは怯えながらも、愛するフランクの頼みとあって完全再生の為の「血」を集める事にする。

翌日から、ジュリアは街でナンパをしては、男を空き部屋まで連れ込んで殺し、フランクに引き渡した。

みるみる再生を進めるフランクは、ジュリアにあと1人、2人で完全に元に戻る、そうしたらセノバイト達に見つかる前に逃げようと話しをした。
フランクの再生は、彼らの世界から逃げ出しすという事でもあったのだ。


次の日、もう1人犠牲者を出すとフランクは、ジュリアにパズルボックスを見せて詳しい事情を説明した。
「危険な扉に通じる箱だ。天国の快楽、あるいは地獄の快楽への入り口。
扉を開けたと思った瞬間、セノバイト達は俺に試練を与えた。
快楽は痛みと表裏一体だった」

セノバイトの1人チャタラーは、顔の皮がなく剥かれたままだった。
フィメールは頬に刺したワイヤーで喉元を開いたままにしている。
もう1人はブタのように膨れた顔に、開かぬように縫った目をサングラス隠しているバターボール。
リーダー格のピンヘッドは顔を含める頭全体にピンを刺していた。

恐ろしい話しにジュリアは怯える。
だが、逃げるというフランクに何も考えず手を貸すと言った。


発覚


フランクの存在のせいで、様子がおかしいジュリアを心配したラリーはカースティに様子を見るよう頼む。

翌日、カースティが家を訪ねるとちょうどジュリアが男を連れ込む所を見てしまう。
そして家の中に入って行くと、逃げ出そうとする男を追うフランクを出くわす。
まだ再生しきらず化け物状態の男は、カースティを見て
「フランクおじさんだよ。カム・トゥー・ダディ」
と口癖を言った。

空き部屋に追い込まれるが、逃げる際にパズル・ボックスを見つけて投げつけようと掴む。
すると慌て出すフランクの様子にこれが弱味なんだと気づき、外に投げた隙に家の外に逃げ出した。
落ちていたパズル・ボックスを拾って行った。


病院


目覚めるとカースティは病院だった。
いつの間にか歩いているうちに倒れて運ばれていたらしい。

パズル・ボックスを握っていたと言われ、1人になりそれを手に取った。
触っているとボックスが反応をし出す。

何も知らないカースティは面白くなって、いろいろと触り始める。
すると、ボックスを解いてしまう。

たちまち病室の壁が動き異空間が現れる。
ボックスの本性を知らないカースティは、驚きつつもその1本道を進んでしまう。
すると奥から牙を剥く異形のモンスターが現れカースティを襲う。

慌てて病室を目指して逃げる。
あと少しの所で何とか逃げ切り、振り向くと既に壁は何事もなかったかのように元に戻っていたが、壁の奥からはモンスターの叫び声が聞こえ続けた。

そして再び、パズル・ボックスを手に取ると部屋に異変が起きる。
今度はセノバイト達がやってきたのだった。

「箱を開けたな。
呼ばれてきたぞ」

ピンヘッドは、快楽の領域を広げる案内人だと自らを説明した。
「ある者には悪魔。
ある者には天使」

カースティは何も知らなかったと弁解をするが、そんな言い訳は通用しなかった。
「我々と共に来て究極の快楽を味わえ」
カースティは泣き出す。
「泣くな。せっかくの苦しみが無駄になる」

するとカースティは、フランクが逃げた事をちくる。
居場所に案内するから代わりに連れて行って、と。
1人のセノバイトは「お前がいい」と言うが、ピンヘッドは
「本人の告白が聞きたい。
お前との取り引きはそれからだ」
と猶予を与えた。
「我々を騙したら……」
「お前の魂をバラバラに引き裂いてやる」


窮地


カースティにすべてバレたと、ジュリアは落ち着かないがフランクは落ち着いていた。
娘は必ず父親を助けに来る、と。

逃げるにしても、まだ完全体ではないフランクにジュリアは最後の手段を取る。
これまでは守り続けたラリーを犠牲者として差し出す事に。


そして、フランクの予告通りカースティは病院を抜け出して父親の様子を見に来た。
ジュリアは余裕で扉を開け、ラリーと会わせる。

ラリーの無事に抱き着くカースティ。
フランクの事を報告すると、もうカタはついたから心配するなと言われる。
フランクは死んだと。

ほっとしながらも、カースティは遺体が見たいと言った。
空き部屋に行くと、そこには皮膚が剥かれた遺体があり、フランクだと思った。

その時、セノバイト達がやってくる。
これをやった奴を差し出せ、と言われるとカースティは父親を差し出す事は出来ないとそんな約束はしてない、と部屋を飛び出た。

するとジュリアに止められ、揉みあいながら逃げる。
どうした? という父親に逃げてと言うが父親には上手く伝えられなかった。

しかも、父親だと思った男はフランクの口癖「カム・トゥ・ダディー」と言って近寄ってくる。
カースティは顔を引っ掻いて剥がれる皮膚に、それが父親ではなくフランクである事に気づいた。

ジュリアはカースティを羽交い締めにするが、ナイフを突き刺す瞬間逃げられてしまう。
だが、そのままフランクはジュリアを刺し殺し、最後の足りない分の血を抜き取った。
「悪く思うなよ」


家の中を逃げるが、結局父親の遺体のある空き部屋に追い詰められる。
するとそこへセノバイト達がやってきた。

ラリーの皮を被っているので、顔はフランクではないがそれがフランクである事は彼らにはお見通しだった。
拷問の準備が整う。
「お前は見なくていい」
ピンヘッドがカースティに言うと、フランクは自分がハメられた事に気づいた。

カースティを襲う為に振り上げた手は、チェーンが飛んで来て釣り上げられた。
両手を釣られ、体中にも釣り針が飛んで刺さり、チェーンで引っ張られる。
痛みで苦しいはずのフランクは、叫ぶのを止めると舌なめずりをして言った。
「キリストは泣き、俺は復活する」
そして元に戻るように爆発して粉々に散った。


カースティーは部屋から出ると、まだ帰さないとセノバイト達に行く手を阻まれた。

別の部屋では、血を吸われても生きていたジュリアがパズル・ボックスを手に、マットレスの上でセノバイト達によって殺されていた。

慌ててボックスを手に逃げようとするが、いよいよピンヘッドが登場し「お前が見るべきものを見せてやろう」と言われてしまう。

すると機転を利かせたカースティは、ボックスを元に戻し出す。
「地獄へ落ちろ!」

すると1人1人セノバイト達が消滅していく。

助けに来たスティーブの背後からバターボールが襲いかかるが、家の崩壊によって助けられた。

家を出ようとすると、パズルボックスが勝手に動き出してしまう。
ドアが開き、何事もなく逃げられるかと思ったらそこままだ異次元で、カースティを追っていたモンスターが飛び出して来た。
思わず落としてしまったボックスの取り合いになるが、なんとか取り戻しボックスを元に戻してモンスターごと異次元を消滅させた。

家の火事に、ボックスを投げ込み燃やした。
ところが、そこにずっとカースティの周辺をうろついていた怪しい浮浪者がやってきて、炎の中に手を突っ込みボックスを取り出した。

炎に包まれるとその男は、異形のモンスターとなり空に飛んで行った。


その後――。

再びボックスは何処かの誰かに買われていた。


おしまい。


かんそう:



一番好きと言っても過言ではないのがこの「ヘルレイザー」です。

とはいえ、初めて見た当時は1よりも2の方が面白いと差を感じていたのですが、今見直すと1には1の良さが感じられ、どちらも同等に素晴らしいと思いました。

ヘルレイザーの魅力は、数々の設定、キャラ、世界観が大きいのですがそれはある意味「出落ち」でもあります。

パズルボックスという小道具、パズルを解いて異世界と繋がり、そこからインパクトのある格好をしたセノバイト達が現れ、主にチェーンによる皮膚ひっぱりの拷問の末死に、永遠の地獄に閉じ込められる。

1度その一通りのシステムを知れば、後はその繰り返しでもあります。

また誰かがパズル・ボックスを解くだけ。

なので、この世界観に様式美を感じられるかどうか、で面白さは大きく変わります。

私はこの様式美に初めから引き込まれてしまい、そして今見直してもやっぱり魅力的でした。

それには、一連の様式美に加え「セノバイトと一般の少女」との関係性の萌え要素もあります。

主人公のカースティ―は、いわゆる少女マンガの主人公だとすると、かなり気が強いタイプです。
いきなりこの世のものとは思えないモンスターに襲われても、そこから父親を助けようと1人で飛び込んで行く根性があります。
決して、「自分だけ逃げる」という行為を取ることがありません。

そもそもうっかり異次元の扉開けちゃった、まではさておき、そこに1人で入って行くという勇気。
カースティ―にはスティーブというボーイフレンドがいるのですが、彼に助けられるというシーンはほとんどなく、むしろボーイフレンドの存在は空気な位。
誰かに助けを求める事もなく、何でも1人で立ち向かっているんです。

だからこそ、セノバイト達にも怯む事なくなんとか渡り合おうとがんばります。
そしてそんなカースティ―をセノバイト達も特別視しているような、不思議な関係。
これに萌えるんですよね~。

まあ、発想は厨ですけどね。
漫画の世界に憧れ、そこでは私は選ばれた人物――。
そんな子供っぽい妄想が形になったような作品なんです。

だから私は、スプラッターが好きとかではなくて、「萌え」をつく要素が詰まった作品としてヘルレイザーが大好きなんです。

そもそもスプラッターという奇抜な見た目を重視した作品にありがちな、ストーリーの薄さはなく、ストーリーそのものが面白いですし、ここから何作も(いろいろ問題は感じつつもw)シリーズが生まれて行くだけの愛される理由がよくわかる名作です。

そして今年、2018年いよいよシリーズ10作目の新作「ヘルレイザー:ジャッジメント」の予告が公開されています!


HELLRAISER: JUDGMENT Official Trailer (2018) Horror Movie HD

シリーズ途中から見られたサスペンス仕立てのムードを感じる予告で、ピンヘッドも役者交代でシリーズ1作目と比べると大分、「様式美感」は薄れてはいますが……。

それでもキャラクターや世界が約30年経っても、愛され続けているというのはある意味スプラッター会の「ドラクエ」って感じで凄い事ですよね!(30年って所がw)

新作も見れる日を楽しみにしつつ、改めてすべての源である1作目の良さを再確認しました。






0 件のコメント:

コメントを投稿

Related Posts Plugin for WordPress, Blogger...