ヘルレイザー2/アシュレイ・ローレンス[DVD]
1988年作品
アシュレイ・ローレンス、クレア・ヒギンズ、ショーン・チャップマン、ダグ・ブラッドレイ、バービー・ワイルド、ニコラス・ヴィンス、サイモン・バムフォード、ケネス・クランハム、イモゲン・ボアマン、ウィリアム・ホープ
あらすじ:
前作「ヘルレイザー」からの完全な続き。
なんとか魔道士達の管理する地獄から逃れたカースティーは、精神病院に入院させられていたが……。
チャーナード研究所
カースティーが目覚めると、そこはチャーナード研究所という精神科専門の病院だった。
殺人課の刑事ロンソンに、父親の家で起きた出来事について根掘り葉掘り聞かれる。
数々の遺体に、殺人の証拠となる血まみれのマットレスなどが発見されていた。
カースティーは連続殺人事件の目撃者であり、父親を失った被害者でもあった。
警察の手には余ると、チャーナード研究所に預けられていたのだった。
院長であるチャーナードと若手の助手カイルが担当となった。
刑事と入れ替わる際に、カースティーは証拠品として報告された「マットレス」の処分を強く伝える。
「死んだジュリアが生き返ったら大変よ」
そして憑りつかれたように「マットレスを処分しなきゃ」と繰り返すが、刑事はカースティーの言う事など信用してはいなかった。
だが、チャーナードはそうではないようだった。
ティファニー
夜、カースティーは物音に気付いたきっかけで1人の少女ティファニーと出会う。
入院して半年になるが、孤独で謎の多い無口な少女だった。
本名が分からず、名前は看護婦がつけていた。
黙々とパズルを解き続けているのだという。
メッセージ
部屋に戻ったカースティーは、皮膚のない血まみれの男が「地獄にいる。助けてくれ」というメッセージを伝える幻覚を見た。
カースティーはそれを、死んだ父親からの助けを求める声だと受け取った。
マットレス
カースティーの話しを聞くように、カイルがチャーナードを呼びに行くと、チャーナードはオフィスで警察に電話をしていた。
カースティーが処分するように言っていたマットレスを、自宅に届けるように指示をしていたのだった。
それをこっそり聞いてしまったカイルは、チャーナードを怪しむようになる。
カースティーはチャーナードとカイルに、これまでの出来事を話した。
パズルボックスで地獄が開き、セノバイト達がやって来る。
フランクはそこから何故か生き返り、カースティーの父親を殺すとまたセノバイト達に連れて行かれた。
義理の母であるジュリアは、フランクと浮気をしていたがフランク再生の為に利用され、その後ジュリア自身もまたパズルボックスで扉を開けて地獄へ消えて行った。
すべて本当の話しだが、誰にも信じてもらえると思っていないカースティーは、期待はしていなかった。
しかしチャーナードは肯定もしなければ否定もせず、冷静に検査をするといい「忙しくなるぞ」と呟いた。
夜、カイルはチャーナードの自宅に忍び込んだ。
そこには電話の通り、血まみれのマットレスが運び込まれていた。
部屋の中を良く観察すると、怪しい資料でいっぱいだった。
パズルボックスの絵に、実際のパズルボックスが3個も並んでいた。
スクラップには、「思考の迷路」「波動を引き寄せる子供達。思春期と心霊現象」「死は四次元の世界か?」等の記事が集められていた。
長年の研究らしい。
そこへチャーナードが帰宅したので、カイルは慌てて部屋のカーテンの影に隠れた。
すると、病院から隔離している重病患者を連れて来ていた。
自分の身体に虫が湧いていると幻覚を見て暴れる患者だった。
その患者をマットレスの上に座らせると、拘束着を脱がして剃刀を渡した。
患者は、幻覚の虫を殺そうと自らの身体に剃刀を突き立てる。
その様子をチャーナードは期待を込めて離れて見ていた。
チャーナードの目的は、カースティーが最も恐れていた事、そのマットレスから何かを復活させる事だった。
そして見事、目的は達成された。
患者は、突然マットレスの下から突き抜けてきた腕と脚に羽交い締めにされた。
血を得て、ジュリアが復活したのだった。
突然化け物に襲われた患者は、カイルの隠れるカーテンに手を伸ばして逃げた。
カイルは隠れているのがバレてしまうと焦ったが、あと少しの所で男は死んだ。
ジュリアは、フランクがそうだったようにまだ皮膚は出来ず、血まみれのガイコツのような不完全な状態だった。
チャーナードはすぐにジュリアの復活の為に、協力をした。
カイル
ジュリアの復活を盗み見たカイルは、カースティーの言う事を信じる味方となった。
すぐに病院から抜け出す手助けをする。
カースティーは、何故ジュリアだけが生き返れるのか不公平だ、と呟く。
パズルボックスがあれば……というカースティーに、カイルはチャーナードが所有している事を伝えた。
2人がチャーナードの家に向かう頃、すでにジュリアは大勢の犠牲者のお陰でほぼ再生していた。
そうとは知らないカイルは、家を探索中にジュリアと出会うと何も疑わず、ジュリアの餌食にされてしまった。
これでジュリアは完全体を手に入れた。
カースティーは、チャーナードの資料の中に見覚えのある写真を見つけ、そっと盗んだ。
そしてカイルを捜しに行くと、カイルの死体の前で復活したジュリアと再会をする。
ジュリアは自分を「悪の女王」になったと言った。
そしてカースティーを叩き倒した。
そこにチャーナードが今度はティファニーを連れて戻ってきた。
ティファニーにパズルボックスを解かせようというのだった。
パズルボックス
チャーナードとジュリアは、マジックミラー越しに隣の部屋からティファニーの様子を見ていた。
自分達の手を汚さずに、パズルボックスを解いた結果だけを見ようとしていた。
それは、チャーナードの長年の夢だった。
パズルが得意なティファニーは淡々とボックスを解いて行く。
扉が開くのが近づいていくと、どんどん家の中は荒れていく。
やがて壁が異世界である地獄と通じ、その奥からセノバイト達が現れた。
しかし、ピンヘッドは気づく。
「待て。違う、我々を呼んだのはその娘の手ではない。
欲望が呼んだのだ」
そして、マジックミラーになっていた鏡の奥を注視した。
地獄
チャーナードとジュリアは、早速地獄を探索していた。
取り残されたティファニーも地獄に入って行く。
その頃、意識を取り戻したカースティーも、家の様子にパズルボックスが解かれた事を察知して、残されたパズルボックスを手に入れ地獄に父親を捜しに入って行った。
地獄の中は、エッシャーの騙し絵のような通路とその人間の内面を表しているような、仕掛けが見られた。
ティファニーは、自分の事を心配する母親を見た。
カースティーは、父や母と過ごした実家の空間にホッとしたのもつかの間、そこはすぐに血まみれになり、母の写真はジュリアになりゴキブリが大量に沸き出し、叫び声を上げた。
すると、セノバイト達に囲まれていた。
前回同様、一生懸命パズルボックスを解除して消そうとするがそれは無駄だった。
「それでは追い返せん。
我々はもうここにいる」
パズルボックスは変形し、ひし形になっていた。
カースティーは自分が開けたのではない、と説明するが信用されなかった。
父を救いに来たというと、セノバイト達は笑った。
「父親は自分の地獄にいる。手は届かんぞ。
父親には父親の。お前にはお前の地獄がある。
我々は何も変わらない。ずっとここにいる」
余裕を見せるセノバイト達は、カースティーを解放して泳がせる。
「さあ、心ゆくまで地獄を探検するがいい」
そしてカースティはティファニーと合流した。
ボックスを開けたのはティファニーだと気づき、閉じるように言う。
しかしティファニーは、言葉を発しなかった。
リバイアサン
その頃、ジュリアはチャーナードにこの地獄の中心、神を見せていた。
「これは私の神」
それは、カースティーが変形させたひし形のパズルボックスが、そのまま巨大になって浮かんでいた。
中心から、黒い煙を左右に噴出しながら回転している。
「私を蘇らせ、私がこの世とあの世で仕える神。
肉体と飢えと欲望をつかさどる創造主。
我が神リバイアサン。
迷宮の支配者」
その時、チャーナードは幼少の自分をフラッシュバックしていた。
パズルボックスに憑りつかれた人生を。
「あなたが望んだのよ。その目で見て、知りたいと」
そしてジュリアは、神にチャーナードを捧げた。
その為に生き返ったのだ、と言って。
チャーナードはパズルボックスを開けた者のように、拷問を受ける。
そしてジュリアは去って行った。
父親捜し
ティファニーと歩くカースティは、父親が暮らした家の扉を見つけ、ティファニーを待たせて中に入った。
中は家とは違い、不思議な空間になっていた。
遺体を焼却しているように見せて、突き出してくる複数のベッドには何者かが白い布の下で苦しみもがいていた。
その1枚の布を剥いでみると、そこには何もなかった。
奥には鏡台があり、化粧品の中にはフランクの写真があった。
そして、鏡にまた血で「助けてくれ」とメッセージが浮かぶ。
カースティーは父が側に居ると感じた。
ところが気配を感じて振り向くと、奥から出てきたのは叔父のフランクだった。
父親からだと思っていたメッセージは、フランクからのものだった。
フランクはナイフを手にしてカースティーを襲った。
目の前に女性がいても快楽を与えられない、というのがフランクの地獄だった。
だからカースティーを呼び出したのだという。
カースティーはフランクに従う振りをして、油断をさせると布に引火させてフランクを炎で包んだ。
またしてもせっかく手に入れた皮膚を失っていく。
復讐
そこへ、ジュリアがティファニー連れで現れた。
フランクはジュリアとの再会に、助けが来たと喜ぶ。
だが近づいたジュリアはフランクの心臓を手づかみで抜き取った。
「悪く思わないでね」
カースティーとティファニーは、隙を見て逃げ出した。
転んだ際に、カースティーはパズルボックスを落としたのに気付かなかった。
突然通路に強風が吹き荒れる。
なんとか壁にしがみつくが、今にも吹き飛ばされそうだった。
そこへボックスを拾ったジュリアが追い付く。
ジュリアも吹き飛ばされないように、少しずつティファニーに近寄って行く。
ティファニーは、手にしたパズルボックスが気になるのか、ジュリアに手を伸ばした。
カースティーは信用しちゃダメと叫んだが、その時ジュリアの身にまとっていた皮膚がボディスーツのように背中から避けて、皮膚だけを残して本体は遥か彼方に吹き飛ばされてしまった。
ヘビの抜け殻のようなジュリアの皮膚とパズルボックスを残したまま、2人は慌てて逃げ無事、病室に戻る事が出来た。
ほっとした2人は、ひとまず病院から逃げる事にするが、病院の中にはパズルボックスが溢れていた。
ほとんどの患者の手にパズルボックスが持たされ、身体に小さなチェーンを突き刺しながらボックスを解いていた。
セノバイト
そこへ、新たなセノバイトとして目覚め、仲間入りをしていたチャーナードが登場した。
「回診の時間だ」
自分が今まで患者にしてきたように、頭に異形のドリルを突き刺されそのまま釣られ、宙に浮きながら移動して来た。
そして手のひらから3本のヘビのようなアームを出し、その口先からはそれぞれメス等を自在に出して患者を襲った。
カースティーとティファニーは逃げ出すが、その先でピンヘッド達に囲まれてしまう。
今度こそカースティーを手に入れようとすると、カースティーは情報がある、と駆け引きをした。
そして、チャーナードの部屋から盗んだ1枚の写真をピンヘッドに渡した。
それは過去に、トビリシでパズルボックスを解いていた男の写真だった。
見てもピンと来ないピンヘッドにカースティーは言う。
「それはあなたよ」
「バカな、私は……」
カースティは、セノバイト達は元々は人間だったと言うのだった。
するとピンヘッドの記憶がうっすらと蘇る。
他のセノバイト達にも思い当たる節があるのか、大人しくなっていく。
その時、チャーナードが乱入してきた。
3本のアームから、花と指を出してティファニーを呼びつけた。
「私は主治医だ。君を救いたい」
人間だったという事を思い出したピンヘッド達は、2人を襲うチャーナードとの対決を引き受ける。
ピンヘッドは自在に操るチェーンでチャーナードを羽交い締めにするが、アームによってそのチェーンはあっさりと切られてしまった。
そして人間の感情を取り戻した事が仇となったのか、次々に一発で倒されて人間に戻った姿となっていく。
最後にピンヘッド1人が残るが、チャーナードのパワーにだんだんとセノバイトから素の人間に戻されていく。
すっかり人間になった時、ピンヘッドはカースティーを見て何かが通じたかのように、微笑んだ。
その直後、喉をメスで裂かれて倒れた。
パズルボックス
ティファニーは、人間の感情を取り戻したセノバイト達を見て、記憶で彼らが癒されたと気づいた。
もう一度地獄に戻って、カースティーが落としたままのパズルを拾い、リバイアサンの前に行く。
そこでパズルを元に戻し始める。
するとチャーナードも追いつき、今度こそティファニーの命を狙う。
だがあと少しと言う所で、ジュリアがやってきてチャーナードの気を逸らした。
ティファニーは、ジュリアとキスをするチャーナードの隙を見て再びパズルを手にし、元に戻し始めた。
そしてチャーナードの気が済んだ時、ティファニーはパズルボックスを元に戻していた。
ティファニーを襲う為のメスは地面に突き刺さり、それを抜こうとしても抜けずにチャーナードの頭だけを裂いていった。
その様子に驚いたティファニーは後ずさった際に奈落に落ちそうになる。
そこに手を差し出したのはジュリアだった。
「私を信じて」
手を伸ばすと、ジュリアの皮膚は強風で飛ばされた時と同様にまた避け目が出来て抜け落ちてしまう。
それでもなんとかティファニーを、引っ張り上げるとその皮膚の下から出てきたのは、機転を利かせてジュリアの皮を被っていたカースティーだった。
しかし、ほっとしたのもつかの間、リバイアサンは変形と共に地獄の破壊を始める。
2人は慌てて病室へ逃げ戻った。
その後、死んだ患者は弔われ、病院は閉鎖になったようでティファニーは病院の外へ出た。
チャーナードの自宅も片づけが行われていた。
血まみれのマットレスを業者が見つけた時、1人の若者が餌食となった。
マットレスからは、数々のセノバイト達などが地獄が封じられた柱が現れ復活の時を待っていた。
おしまい
かんそう:
シリーズ物としては珍しく、1作目を超えた期待を裏切らないシリーズ作だと思っていました。
改めて見返すと、1には1の良さがあり「超えた」というのは少し違うようにも感じました。
どちらも良作で、完成度が高くそれぞれの良さがあると気づきました。
元々、スプラッター・ホラーに位置づけされる映像作品としては、原作有りかつ原作者が監督・脚本をしたという1作目が、しっかりしたストーリーである意味いい意味で期待を裏切って高評価につながっていました。
本作はその続きを正当に描いていると言えるので、同じようにストーリーとしての満足度は期待を裏切りませんでした。
本作はその続きを正当に描いていると言えるので、同じようにストーリーとしての満足度は期待を裏切りませんでした。
その上、映像的な更なるパワーアップに、シリーズ物にしては珍しく前作を超えたとも思わされるのです。
前回からお馴染みのパズルボックス、カースティ―、ジュリア、セノバイト達等。
その土台があるからこそ、しっかりと積み上がっている様式美とも言える世界観を今度は「地獄」にフォーカスして、更に詳しく見せてくれています。
シリーズファンにしてみれば、より深く世界観を味わえるので嬉しい以外の何物でもありません。
そして、本作より先のシリーズを知るとより1、2の価値に気づく事になります。
この先もシリーズは想像以上に続きますが、ストーリーとしてもこの2を最後に、パズルボックスとセノバイトいう存在だけを残してほぼ別物になっていってしまうので。
(かろうじて同じ世界ではあるのですが、別と思ったほうががっかりしません)
気の強い主人公カースティーに、悪の女王ジュリアという基本的に女性が強く描かれているのも、同じ女性として惹かれる要素になっていると思います。
今回登場したティファニーも、無口ながらもパズルを解くという得意分野においては頼れる存在にもなっていて、ただ弱いだけの存在ではありません。
そもそもパズルを解いた後で、地獄の扉が空いたからってふらっと地獄に入り込むってのが、尋常じゃないw
そこへ、今回マッドサイコなチャーナードというこれまたキャラ立ち以外の何者でもないドクターも加わって、登場人物にも無駄がないんですよね。
チャ―ナードは、パズルボックスに憑りつかれたあまり、セノバイトになってしまってもむしろ本望のように生き生きと人間狩りしてましたし。
そしてストーリーの面白味ならではの、セノバイトVSセノバイトというドラマ。
チャ―ナードのように、セノバイトの誰もが過去には普通の人間だったというセノバイトの裏側が暴かれました。
結局、地獄も何もかも人間が自分達で作り出している……、といった感じで。
本来なら恐れるだけの存在のセノバイト、ピンヘッドとカースティーの不思議な絆も大きな魅力なんですが、今回はカースティーによってピンヘッド達の記憶が蘇らされ、人間同士として完全に心を通わせていました。
ここは少し複雑な面もあって、人間からみたら到底敵わない力を持った恐れるだけの存在のセノバイトに、恐れを超えて取り引きを持ち掛けるカースティの強さや不思議な関係に魅力があったので、人に戻っちゃったらなんか魅力半減……みたいな。
しかも、セノバイト束になっても人間を捨てきったチャ―ナードに敵わなかったという、弱さも見せちゃってますし。
あのシーンは好き好き別れそうだな、と思います。
でもそんな、価値観の揺らぎも本作の魅力であるのも間違いはないんでしょうが。
この先のシリーズが別物、という事には結果としては本作までの様式美といえる趣のある世界観が継承されていない、という意味がメインで、大雑把にいえばネガティブな感情が強いのですが、その反面ストーリーとしてはここでカースティの物語はしっかり終わっているから、新たなストーリーを始めるしかないと言う事は理解できるようにはなっています。
ただその新たなストーリーが個人的にちょっとね……っていうだけで、このままカースティーやジュリアを出し続けてくれ、という訳でもないんだな、と言う事は改めて見返す事でしっかり整理がつきました。
そして、本作より先のシリーズを知るとより1、2の価値に気づく事になります。
この先もシリーズは想像以上に続きますが、ストーリーとしてもこの2を最後に、パズルボックスとセノバイトいう存在だけを残してほぼ別物になっていってしまうので。
(かろうじて同じ世界ではあるのですが、別と思ったほうががっかりしません)
気の強い主人公カースティーに、悪の女王ジュリアという基本的に女性が強く描かれているのも、同じ女性として惹かれる要素になっていると思います。
今回登場したティファニーも、無口ながらもパズルを解くという得意分野においては頼れる存在にもなっていて、ただ弱いだけの存在ではありません。
そもそもパズルを解いた後で、地獄の扉が空いたからってふらっと地獄に入り込むってのが、尋常じゃないw
そこへ、今回マッドサイコなチャーナードというこれまたキャラ立ち以外の何者でもないドクターも加わって、登場人物にも無駄がないんですよね。
チャ―ナードは、パズルボックスに憑りつかれたあまり、セノバイトになってしまってもむしろ本望のように生き生きと人間狩りしてましたし。
そしてストーリーの面白味ならではの、セノバイトVSセノバイトというドラマ。
チャ―ナードのように、セノバイトの誰もが過去には普通の人間だったというセノバイトの裏側が暴かれました。
結局、地獄も何もかも人間が自分達で作り出している……、といった感じで。
本来なら恐れるだけの存在のセノバイト、ピンヘッドとカースティーの不思議な絆も大きな魅力なんですが、今回はカースティーによってピンヘッド達の記憶が蘇らされ、人間同士として完全に心を通わせていました。
ここは少し複雑な面もあって、人間からみたら到底敵わない力を持った恐れるだけの存在のセノバイトに、恐れを超えて取り引きを持ち掛けるカースティの強さや不思議な関係に魅力があったので、人に戻っちゃったらなんか魅力半減……みたいな。
しかも、セノバイト束になっても人間を捨てきったチャ―ナードに敵わなかったという、弱さも見せちゃってますし。
あのシーンは好き好き別れそうだな、と思います。
でもそんな、価値観の揺らぎも本作の魅力であるのも間違いはないんでしょうが。
この先のシリーズが別物、という事には結果としては本作までの様式美といえる趣のある世界観が継承されていない、という意味がメインで、大雑把にいえばネガティブな感情が強いのですが、その反面ストーリーとしてはここでカースティの物語はしっかり終わっているから、新たなストーリーを始めるしかないと言う事は理解できるようにはなっています。
ただその新たなストーリーが個人的にちょっとね……っていうだけで、このままカースティーやジュリアを出し続けてくれ、という訳でもないんだな、と言う事は改めて見返す事でしっかり整理がつきました。
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