2018年7月8日日曜日

アンブレイカブル



M・ナイト・シャマラン アンブレイカブル Blu-ray Disc

2000年作品

監督M・ナイト・シャマラン


ブルース・ウィリス、サミュエル・L・ジャクソン、ロビン・ライト・ペン、イーモン・ウォーカー

あらすじ:




イライジャ


1961年フィラデルフィア、デパートで生まれたのがイライジャ(サミュエル・L・ジャクソン)だった。

あまりにも泣くのでマシソン医師が看てみると、緊急事態だと言われる。
「このようなケースは初めてです。
胎内にいた時からすでに骨折していたようです。両腕両脚共に」


生まれつき、怪我をしやすい身体に生まれてしまったイライジャは、ミスター・ガラスとあだ名をつけられ、引きこもっていた。

骨形成不全症という先天的疾患で、ある種のたんぱく質が作れず、骨密度が非常に低く折れやすい。
過去に54回も骨折したが、症例としては最も軽く、第1種だった。

心配した母親は外に出て欲しくて、自宅の前の公園にプレゼントを置いて取りに行かせた。
その中身はヒーローが主人公のコミックブックだった。
母親は外に出る度に1冊渡す、とイライジャのモチベーションにコミックを利用した。


イライジャは、その最初に手にしたコミックの作者、フリッツ・カンピオンの原画を取り扱う、画廊主になっていた。
今ではヴィンテージとされる貴重な一枚だった。

4歳の息子にプレゼントだと言って買い求める客を、子供には価値が分からないと追い払った。
そのこだわりの画廊の名前は「リミテッド・エディション」だった。




デヴィッド・ダン


デヴィッド・ダン(ブルース・ウィリス)はフィラデルフィアに向かう列車イースト・レイル177号に乗っていた。

隣に若い女性が座ると、結婚指輪を外して声を掛けた。
スポーツ・エージェントだという女性に話しを合わせてナンパをするが、女性は既婚だと言ってデヴィッドを避けて席を移った。
デヴィッドは再び指輪をした。

そのうち列車に異変を感じた。

気が付くと、デヴィッドの乗っていた列車は脱線事故を起こしていた。

目覚めると、緊急救命室だった。
デヴィッドを含めて生存者は2人だけ。
でもすぐに唯一の生存者になるだろう、と言われる。
何故ならデヴィッドだけが無傷だったから。

デヴィッドは迎えに来た妻と息子と一緒に帰宅した。


ニューヨークの転職の話しは上手くいかなかったが、デヴィッドはいつかは、ニューヨークに移る事を決めていた。
どうやら夫婦仲は冷えているようだった。

メッセージ


列車事故の犠牲者の追悼ミサに出席した帰りに、デヴィッドの車に1通の封筒が置かれていた。
リミテッド・エディションと描かれたカードには、メッセージがあった。
「あなたは今までの人生で何日病気になりましたか?」


気になったデヴィッドは警備員をする職場で病欠の日数を確認した。
すると5年で病欠はゼロだと分かった。

妻にも病気の記憶を訪ねたが、付き合う限り記憶はないと言われる。
デヴィッド自身も改めて考えると、カゼ、発熱、のどの痛みという記憶が一切ない事に気づき、疑問を感じた。

リミテッド・エディション


デヴィッドと息子のジョセフは、リミテッド・エディションを訪ねた。
そこで初めてイライジャと会う。
杖を突き、風変りな服を着た横柄な男に警戒心を持つ。

車に残されたカードの事を尋ねると、イライジャは改めてデヴィッドの病歴を確認した。
するとジョセフが怪我をした事があると口を挟んだ。

学生の時、交通事故がきっかけでフットボールを止めていた。

イライジャの求めるものは、「奇跡の生存者」だったがデヴィッドが完璧ではない事に、はっきりと落胆を示した。

「ある時気づいた。
自分のような人間がある一方の端だとすると、その対極の人間もいるはずだ。
決して病気やケガをしない人間が。
自分の力に気づいていないが、歴史が伝えてきた英雄のような人間。
我々を守る為に、遣わされた者。守護者」

デヴィッドは、話しを聞いてもイライジャの様子をおかしいと思い、相手にせずに帰った。


夜デヴィッドは、昔の新聞の切り抜きで事故の確認をした。
「フットボールのスター、自動車事故で重傷」


妻はもう一度やり直したいとデヴィッドに告げる。
列車事故がきっかけになって考え直していた。


再会


デヴィッドの仕事場に、イライジャが訪ねてきた。
デヴィッドの仕事が大学のスタジアムの警備員と聞いて、改めて興味を持ったのだった。
人を守る事を仕事に選んでいる。

実はデヴィッドは、怪しい人物に対して過敏な所があり、イライジャの前でも迷彩服を着た1人の不審者の行動を当てて見せた。
イメージが浮かぶのだという。
「ベルトに挿した黒い握りの銀の銃が見えたんだ。テレビの映像みたいに」
イライジャは「罪を犯した奴を見抜く力」だと言った。
その才能を伸ばそうと思った事はないのか? と突っ込まれるとデヴィッドは話しを切り上げようとした。
イライジャは、最後にもう1つ確認した。
「交通事故を起こした時、誰か一緒だったか?」
「妻のオードリーが乗っていた」


イライジャは、迷彩の男を見つけて追いかけた。
デヴィッドの見たイメージの答え合わせをしたかったのだろう。
だが、地下鉄への階段を下りる途中で足を滑らせ、階段から転げ落ちてしまった。
普通の人間でも怪我をして当たり前の状況だが、ミスター・グラスにとっては最悪だった。

しかし、倒れたイライジャは気絶する前に、迷彩の男が改札を飛び越えた瞬間、腰に挿したデヴィッドが言う通りの銃を確認していた。


イライジャは、14か所を骨折した。
2か月は車椅子。
その後1年以上松葉杖が必要と診断された。


トレーニング


イライジャとの出会いはデヴィッドにも影響を与えていた。
デヴィッドは自宅でトレーニングを始めた。
いきなり113キロのバーベルを持ち上げた。

ジョセフは、嘘をついて122キロに増やしていた。
それでもデヴィッドには問題なかった。
家にある重りを全部つけても、持ち上げられた。

最終的には160キロになった。


真相


イライジャの理学療法センターの担当は、デヴィッドの妻オードリーだった。

イライジャは交通事故の話しを聞き出した。
確かに一緒に事故にあって怪我をしたと言うが、その先の話しもあった。
そもそもオードリーはフットボール選手と暮らしたくなかったと言ったのだ。
暴力的すぎる。私は暴力は嫌い。

思わず「デヴィッドはどこに怪我をしたのか?」と名指しで聞いて、オードリーに驚かれる。
何故夫の名前を知っているのか。


能力


デヴィッドがいつものようにスタジアムの警備をしていると、1人の男(M・ナイト・シャマラン)がぶつかって通り過ぎて行った。
その瞬間、イメージが沸いた。

男がトイレのごみ箱から何かを取りだしている。
声をかけてボディ・チェックをするが今来たばかりだといい、怪しい物は持っていなかった。


過去


デヴィッドはジョセフの学校から怪我で呼び出しを受けた。
ジョセフが父親を希望したという。
保険医は、「あなたが入院した時とは違います」と言うがデヴィッドには覚えがなかった。
今でもゴースト話として語り継がれているという、「プールで溺れた子」それがデヴィッドだと言われる。

「プールの底に5分間も沈んで、引っ張り上げた時は死んでたんだ」

デヴィッドは、水が怖かったという事を思い出した。


ヒーロー


帰宅すると、オードリーはイライジャの事をデヴィッド達に話した。
オードリーは話し半分に気の毒な人と称した。

ジョセフはイライジャの言う事を信じていた。
パパはヒーロー。
それを証明する為に、デヴィッドが隠し持っていた銃を持ち出していた。
わざわざ弾を込めて。

デヴィッドはプールで溺れた話しをしてジョセフを説得した。
オードリーも交通事故の話しを持ち出した。
止めなければ、今すぐニューヨークへ行くぞ、とも脅した。

ジョセフは引き金を引けず、銃を置いた。


イライジャはデヴィッドに、迷彩服の男の話しをした。
デヴィッドの見たイメージは本当だった、と。
交通事故での怪我もウソなんだろ、と疑った。
波風立てず、フットボールを辞めるチャンスだったから。
妻の為に。

デヴィッドはジョセフの発砲騒ぎをイライジャのせいにして、これ以上人生をかき回すな、と注意した。
子供の頃の肺炎とプールでおぼれた事を伝え、普通の人間だとイライジャを遠ざけた。
「家族に近づくな」


留守電


イライジャからの留守電が入っていた。
「センチュリー・コミックス117。
悪の軍団がヒーローの弱点をつかもうとする話。
ヒーローにも弱点がある。
君もだ。

君の骨は折れないが、私のは折れる。
君と私の細胞では反応が違う。
君は病気にならないが私はなる。
だが君も私も水に対して同じ反応をする。
2人とも飲み込んだ水が肺に入って溺れる。
信じられないだろうが、我々はつながっている。
同じ1本の曲線の両端にいるのだ。

知らなかった事がやっとわかった。
君の弱点は水だと言う事が」


列車


デヴィッドは、雨の中、脱線事故を起こした列車の残骸を見に行った。

そこで交通事故の事を思い出す。
車は横転して炎を出していた。
オードリーは車の中で気を失っていた。

デヴィッドが力づくで車のドアを外して、オードリーを助け出していた。
実は、デヴィッドは事故で怪我などしていなかった。

デヴィッドはイライジャに電話を掛けていた。
「僕は何をすれば?」


ヒーロー誕生


「人がいる所へ行け。そして救うのだ」
イライジャに言われてデヴィッドは、ターミナル駅に向かった。

触れるとその人の悪事が見えるという能力をフル活用した。

その中で最も悪質な家の乗っ取り犯を見つけた。
駅の清掃員だった。

雨の中、男を尾行した。
男の帰る家は乗っ取った他人の家だった。
住民は、殺された者もいれば家の中に拘束されてている者もいた。
子供部屋の奥に2人の子供が拘束されていた。
すぐに拘束を解いて助けた。


別の部屋にはおそらく母親が拘束されていた。
カーテンの向こうのバルコニーを確認すると、カーテンの影から犯人が襲ってきた。
デヴィッドはバルコニーから庭のプールの上に突き落とされてしまった。

プールにはカバーか掛けられていたので、すぐに溺れる事はなかったがデヴィッドの体重でじわじわとシートが沈んでいく。
気付けばシートごと水中に潜っていた。

そこに棒が差しこまれ、慌てて掴んだ。
子供達が助けてくれたのだった。

再びデヴィッドは、母親の部屋に行き犯人を襲った。
格闘の末、母親を助け出す事に成功した。


デヴィッドはジョセフに一家救出の新聞記事をそっと見せた。
「正体不明のヒーロー。子供達2人を救う」
デヴィッドの顔はレインコートのフードで見えなかった。


悪者


デヴィッドはリミテッド・エディションのパーティーに参加した。

そこで偶然イライジャの母親と会話を交わす。
「悪者には2種類あるそうよ。
ヒーローと力で戦う戦士としての悪者。
本当に恐ろしいのはヒーローと頭で戦う悪魔のように知的な悪者」

母親は、試練を耐え抜いてきたイライジャを誇らしく思っていた。
デヴィッドはイライジャを奇跡だ、と自然に発言していた。

画廊の奥のプライベートな空間で、デヴィッドとイライジャは2人きりになった。
「ついに始まったな」
新聞記事を持ってイライジャは嬉しそうだった。

もうデヴィッドに迷いはないと確認したイライジャは、握手の時が来たと言い出す。
それが意味するものは――。

デヴィッドがイライジャと握手をした瞬間、様々なイメージが流れ込んで来た。

飛行機墜落時の騒ぎの中、イライジャは空港にいた。
ホテルの関係者が、イライジャにホテルの秘密を打ち明けている。
「もし1階か3階のどこかで火事が起きたら、ホテルの全員が火あぶりになる」
脱線事故の前の177号車の運転席から出てくるイライジャの姿も。

これまでの大災害の影にはすべてイライジャが絡んでいたのだった。

それから改めて部屋の中を見ると、他にもイライジャが関係したと思われる災害記事が貼られていた。
「メキシコで土石流」など隙間なくあちこちに。

あっけにとられるデヴィッドにイライジャが問う。
「最大の恐怖は何だと思う?
自分の居場所や存在理由が分からない事。
それは、耐え難く恐ろしい」

デヴィッドを見つける為に、あまりに多くの人間を犠牲にしたというイライジャ。
「お前を見つけるために」

デヴィットの真の姿が分かったと同時に、自分が何者なのかも分かった。
生まれつき障害を持つ身体にも意味がある。

「コミックではどんな奴が最大の悪になる?」

デヴィッドはイライジャに背を向けて、画廊を去ろうとしていた。
その背中に叫ぶ。

「ヒーローとは正反対の人間だよ!
元々は友達だ、お前と私のように。
もっと前に気づくべきだった。
悪者にはあだ名がある」

デヴィッド・ダンの通報により、3大テロの物的証拠を発見。

「私はミスター・ガラスと呼ばれた」

イライジャは重度精神障害施設にいる――。


おしまい


かんそう:


正直、「シックスセンス」の衝撃の後に期待をして見た初見では、がっかりしました。
不死身のヒーローを捜す? なんじゃそれ? みたいな。

イライジャが悪というのも、最初からぷんぷんしていて意外性も感じられなかったですし。

そこから次の「サイン」もいまいちで、「ヴィレッジ」で少し持ち直したものの、2017年の「スプリット」まで、もうシャマラン監督は「シックスセンス」が奇跡の一発屋だったんだ、と自分の中で決めつけていました。

でもシックスセンスのインパクトが強いおかげで、気になってみてしまう。
そんな惰性で「スプリット」を見て、考えを改めさせられました。
今「アンブレイカブル」を見たらもっと楽しめるかも、と。
(スプリットはアンブレイカブルと同じ世界で後日談)

そして見直してみたところ、案の定印象はガラリと変わって「面白い!」と思いました。

「スプリット」によって監督の伝えようとするメッセージを、やっと理解する事が出来たみたいです。

それは「この世にヒーローと言われるような力を持つ人が存在する」「ヒーローがいるのなら悪役もいる」という、いわゆる漫画的なストーリーで、そんなの散々アメコミがあるんだから今更じゃん! と思いがちで、だから「アンブレイカブル」だけを見た時にはいまいち面白いと思えなかった。

でも、「スプリット」を見ると、そういった世界観をあくまで「アメコミ」の枠には収めていない。
「アメコミ」は「アメコミ」として存在していて、でもそれは漫画の世界だけではないんだ、と立証しようとしているのが面白い、と感じられました。
漫画みたいな出来事がいかに日常に溶け込んで存在しているのか、を見せていたと思います。


そして「アンブレイカブル」をより理解できるような気がしました。

「アンブレイカブル」では、そのメッセージがふんわりとしている感じで、主題は2人の主人公の目覚め、になっていると思いました。
(だから、そもそものテーマを理解する力がなかったので、「なんじゃそれ」になっていた。)

そりゃ、主人公2人が目覚める、ある意味壮大なストーリーの序盤だけを丁寧に見ただけなのだから、これだけでは「面白い!」と感じるのは難しいかもしれません。



この世界には、3作目が用意されています。



3作目「グラス」の現地公開予定は2019年1月との事。

この3作目でまたそれぞれの印象が変わるのだろうと思いますが、きっと面白くなる。
またしても期待をしてしまいます。


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