2018年7月1日日曜日

チョコレートドーナツ


チョコレートドーナツ [DVD]

2012年作品

アラン・カミング、グアレット・ディラハント、アイザック・レイヴァ、ドン・フランクリン、ジェイミー・アン・オールマン、フランシス・フィッシャー

あらすじ:

ゲイの男性が、育児放棄された障害時を育てたという実話がベースになっている。




出会い


カリフォルニア州、ウエスト・ハリウッド、1979年。

ルディ・ドナテロ(アラン・カミング)は、ショーパブで女装をして口パクをしているゲイだった。

そこへカミングアウトしていないゲイのポール・フラガーがやってきて、ルディを見染めた。

ルディもステージの上から、ポールを見つけゴージャスな男がいた、と仲間と話していた所だった。


店が終わると2人は車で話しをした。
ポールは地方検事でバツイチ。
ルディは高校からのゲイだった。

ポールは名刺を渡したが、ルディは本気ではないと思っていた。


マルコ


ルディのアパートの隣には、薬中の母親とそのダウン症の息子、マルコが住んでいた。
マルコはいつも女の子の着せ替え人形を抱えていた。

ある日、母親はマルコを置いたまま帰らなくなっていた。

心配したルディは、ポールを頼って名刺の電話番号に電話を掛けた。
だが取り次いでは貰えなかった。


再会


ルディはマルコを連れてポールの職場に怒鳴り込んだ。
検察官なのだから何か助ける術を知っているだろう、と。

職場で騒がれて迷惑なポールは、家庭局に連絡しろ、と冷たかった。
ルディはマルコを施設に入れたくないから、頼っているというのに。


家に戻ると、家庭局がマルコを捜しにきていた。
母親は薬物所持で逮捕されていたのだった。


謝罪


夜になるとポールはルディのショーに顔を出した。
仲間達の見守る前で、ルディに謝罪をした。

ポールはルディに身の上話しをした。
結婚をして何もかも完璧に思えたのに、保険のセールスは死ぬほど退屈。
そしてドラァグクイーンに憧れ続けた。

離婚をした後、世界を変えたくて法律を学んでハリウッドに出てきた。
燃えていた。

ポールは自分だけではなく、ルディが話す番だという。
ルディは話す代わりに、歌で伝えた。
生まれはクイーンズ。
10代で家を出た。

ポールはルディの歌を褒めた。
でも家賃を払うのにギリギリで、生きる事に余裕のないルディにはデモテープなんか作れなかった。


家出


ルディがポールの車で帰宅していると、マルコが歩いているのを見つけた。
マルコは施設を抜け出していたのだった。

ルディは、マルコを連れて帰る。

朝になると、ポールは慌てて仕事に出て行ったが、今度こそ電話に出ると約束した。


ルディはお腹の空いたマルコの朝食を用意した。
マルコの好物はチョコレートドーナツだった。
でも、ルディの家にはそんなものはなかった。

チーズとクラッカーだけだったけど、2人は笑っていた。

その時、家賃を取りに来た大家にマルコを見られてしまった。


偽装


ポールは職場で、ルディの事を聞かれ「いとこ」だと誤魔化した。


3人は、ポールの家で食事をした。
ポールの家にはドーナツがあった。

夜になると、ルディはマルコにせがまれてハッピーエンドの物語を枕元で聞かせた。
魔法使いマルコの物語。

ルディはマルコを引き取ろうと考える。
ポールは合法的に引き取る為、マルコの母親に暫定的緊急監督権を認めるサインをもらうようアドバイスをした。

これで母親が服役中であれば、正式にマルコの面倒を見られるようになった。

ポールは2人を自分の部屋に住ませた。
法的要因を満たす為でもあったが、ポールが望んだ事だった。


新しい家族


ルディとポールは表向きはいとこ、としていたが、3人での生活が始まった。
マルコはうれしさで泣いた。

清潔な生活環境はもちろん、病院や学校にも行く事が出来た。

2人は仕事の合間に食事を与え、勉強も教えた。

そんな中、ポールはルディへのケアも忘れなかった。
デモテープを作る為のレコーダーをサプライズでプレゼントした。

3人の家族としての思い出がどんどん蓄積されていく。
ハロウィン、クリスマス、誕生日、海辺など。


2人のパパ


ある日マルコは学校で、「2人のパパ」という絵を描いた。
ルディは慌てて否定したが、担任は気にしなかった。
だが世間は違う。
もしも誤った相手の耳に入れば、窮地になる。
担任は2人に好意を持って忠告をした。


ポールは、上司からパーティーに誘われた。
その際に妻が会いたがっているからと、ルディとマルコも連れて来いと言われる。

パーティーで、ルディはいとこだと言い続けられる事で、差別を受けていると感じた。
ポールはカミングアウトをして、今の仕事を失いたくはなかった。
2人は痴話喧嘩をしてしまう。

その上、上司は2人の関係を見抜いていた。

通報によってマルコは保護され、ルディは留置所に入れられた。
ポールはクビになった。

ルディはそれを、偽りの人生を捨てて本当の自分になるチャンスだと言った。


本当の自分


2人はマルコを取り戻す為に動き出した。

ルディは監護権を得る為に不利にならないよう、ショーの仕事を辞めた。

2人に良い証言も得られた。
マルコの担任、福祉局の担当者。

だが問題はゲイ批判にすり替えられる。
ポールもいざとなると声を荒げて主張した。

好意的な見方もされたが、最終的には認められなかった。

同性愛を隠さない生き方を子供が普通だと考え、混乱を起こす恐れがある……として。

そしてマルコに与えられたのは施設での生活だった。


ルディは送ったデモテープからシンガーとしての仕事を得た。


2人は、控訴の代わりに新しい弁護士に相談をしていた。
黒人で、腕のいい切れ者。
そしてゲイに偏見を持たないであろう人。

だが、難しいにも程があると言われてしまう。
ゲイが生きにくい時代だった。


ルディがマルコの声を聴きたいと里親の元に電話をすると、今は施設にいると言われてしまう。
だが、面会すら簡単には許されず弁護士の手腕で30分の許可を得た。

元気のないマルコは、お話しをせがんだ。
「ハッピーエンドで」

2人は面会の後、抱き合って寂しがった。


審理が始まると、いきなり棄却と言う言葉が出てきた。
ルディ達には寝耳に水だった。

そこには出所した母親がやってきて、監護権回復の申し立てを始めたのだ。
さらに、2人にマルコへの接近禁止命令も出された。
母親は、地方検事局の仲立ちによって早期仮釈放していたのだった。
監護権の回復を求めるのを条件に。
母親を相手に勝ち目はない。

ポールは呟いた。
「正義などないんだな」


マルコは施設から母親の家に移動するも、「うちじゃない」と言い続けた。
マルコは元の悲惨な生活に戻っただけだった。
母親はマルコの面倒などろくに見るはずがなかった。

恋人との時間の為、マルコを部屋の外に追い出した。マルコはそのまま歩き出した。

ほんとうのうちを目指して。


ポールは関係者に手紙を出した。
マルコが3日間家を捜し歩いた末、橋の下で独り死んでいたという、新聞記事を同封して。
生前のマルコがどんなに心が優しく、賢く楽しい子供だったか、と綴って。


ルディはマルコに向けて、ポールに向けてステージの上で愛を歌っていた。



おしまい。


かんそう:


アラン・カミングのファンな私には大満足でした。
まるまる1本、アランのプロモとも言える見応えでした。

ストーリー自体は、実話ベースと言う事ですがシンプルでわかりやすい、家族ドラマでした。

今よりはゲイのカップルが生きにくい時代、育児放棄された障害児をひきとって育てたかったのに、出来なかった。

最後にはマルコが2人を捜し求めて死んでしまうというショックな終わり方でした。

まさに、母を訪ねて三千里?!

でも2人の人生はまだ続く、と言う感じでルディは歌を歌い続け、ポールはそれを見守っている。

悲しい中にも、希望が見える気がしました。

負け惜しみにも聞こえるかもしれませんが、「幸せ」って本人がそう感じられるかどうかで、他人や世間の物差しは関係ない、と思います。

裕福だとか、ルックスに恵まれているとか、必ずしもそれが幸せの条件とは限らない。

このドラマを見るとそんな普遍的な事に気づかされます。

ルディの幸せはマルコがいて、3人揃ってだったと思いますが、マルコを失ってもまだポールがいる。

それだけで十分、幸せなんじゃないかな、と思いました。


とにかくアランの演技がたっぷり堪能できて、大満足でした。


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