2018年8月26日日曜日

バンデットQ



バンデットQ 製作30周年記念 スペシャル・エディション 【DVD】

1981年、イギリス

監督テリー・ギリアム

クレイグ・ワーノック、ショーン・コネリー、イアン・ホルム、ラルフ・リチャードソン、ジョン・クリーズ、デビッド・ワーナー

あらすじ:




旅の始まり


夜、11歳のケヴィンが自室で寝ているとタンスから物音がした。
気になって見ていると、突然扉を壊して馬に乗った戦士が飛び出してきた。
ベッドを飛び越え壁を突き破って森の奥へと走って行った。

次の瞬間、タンスは何事もなかったように元戻っていた。
壊れたはずの壁も、ケヴィンが貼った切り抜きも無事だった。

だが自分でコラージュした1枚に気づく。
今見た騎士と森にそっくりだった。

夢にしてはリアルだった。


ケヴィンは翌日、ポラロイドカメラを持ってタンスの前で待機した。
夢とは思えなかった。

しかし、眠気には勝てずいつのまにか寝ていた。

するとタンスが開き、中から小人達がぞろぞろと出てきた。

ケヴィンのつけた懐中電灯に小人達は慌てた。
ケヴィンをボスだと勘違いしていたようだったが、違うと分かると襲いかかった。
子供だとわかると脱出口を教えろ、と壁に押し付けて命令した。

すると壁が後ろに動き出した。
小人達はそれが脱出口だと思い、全員で押し始める。
どんどん奥に進んで行くと、背後から光が差し、恐ろしい顔が現れた。

「余の地図を盗みおったな。
早く返さぬとお前らに災いが降りかかる」
彼らのボスだった。

慌てて壁を押し逃げ出す小人に、ケヴィンも混ざった。

そして壁の向こう、どこかの農場に落下した。

小人達のボスは、創造主だと言った。


ナポレオン


ケヴィンは小人達から逃げ出し、助けを求めた。
すると騎兵隊に囲まれ、剣を突きつけられる。
だが、戦争中のようでケヴィンに構っていられないと言う感じで去って行った。

その後、怪我人の行列がやってきたのでケヴィンは質問をした。
そこでどこにいるのか分かった。
1976年のナポレオンが侵攻中のカステリオーニだった。

そこで小人達に見つかった。


小人達と共に街に入る事にした。
小人達は国際的盗賊団だったのだ。
ナポレオンを襲えばきっと良い物を持っているだろう。

ナポレオンは低身長のコンプレックスの塊だった。

小人達の登場はナポレオンを喜ばせた。
歌を歌い、踊るとナポレオンは絶賛し、小人達を側近にした。

ナポレオンが眠ると、近くにあるはずのタイムホールを探した。
12時に消える前に、お宝を大量に盗んでタイムホールから逃げた。


ロビン・フッド


小人達とケヴィンは、森を走る馬車の中に降り立った。
ナポレオンからの盗みに成功して大喜びをした。
ケヴィンはそこが中世だとすぐに分かった。

国際的窃盗団と言っていたが実は、初体験だった。
小人達は、自分達より背が大きくて未来を知るケヴィンを仲間にした。

ボスである創造主に不満があり、タイムホールが載っている地図を盗んだのだった。

ケヴィンは持っていたポラロイドで小人と地図の記念撮影をした。


馬車に乗っていたカップルは、他の盗賊に襲われていた。
小人達は同業者がいると、後を追った。

罠にかかりつつも、同業者だと分かるとボスに紹介してもらう。
だが、ボスは相当恐ろしい男らしく、盗賊達はびびっていた。

そしてアジトで紹介されたのは、ロビン・フッドだった。

ロビン・フッドは小人達がナポレオンから盗んだものを、優しい物腰で横取りした。
「君達の善意に貧者は大喜びだろう。
彼らは無能だが善良だ。
だから貧しい」
そういって配り出した。

小人達は文句を言いつつ、次のタイムホールを捜した。

魔王


その頃、そんな小人達の様子を魔王が監視していた。
魔王ですら神が創造したもの、と言われても魔王は認めなくなかった。
自分は自分で創った。
そうは言っても、現実は幽閉された暗黒城から脱出も出来ていなかった。
それも「神を油断させるため」と強がりを言っていた。

魔王も小人達の持つ地図を狙った。
世界改造の為に。

魔王は1人の小人に乗り移って小人達をおびき出した。
「ある所に宝がある。
万人が望み、夢見る宝が。
世界一珍しい宝」

そこへボスも追いついた。小人達は慌てて逃げ出すが目の前にホールは2つあった。
ケヴィンは1人、間違ったホールに入ってしまった。


アガメムノン王


ケヴィンが落ちたのは、戦闘中の男の上だった。
そのおかげで1人の男が形勢逆転して勝利を得た。

ケヴィンは男から兜をもらい、一緒について行く事にした。

その男はアガメムノン王(ショーン・コネリー)だった。

ケヴィンは王に懐き、元の時代に戻りたくなくなっていた。
もう両親と住めなくてもいい。

翌日アガメムノン王はケヴィンを正式な息子にした。
祝宴の最中、小人達がやってきてケヴィンを連れ戻した。

嫌がりつつもケヴィンは、タイムホールに入れられた。



次に移動したのは、客船の上だった。
ケヴィンはずっと不機嫌なままだった。


世界一の宝


ケヴィンの機嫌を直そうと、小人は世界一の宝の話しをした。
魔王の罠だとは知らずに、信用し始めていた。

伝説時代にあるというが、ケヴィンはそんな時代はないと言った。
だが地図には載っている。
伝説時代の暗黒城に、世界一の宝がある、と。


すると船が沈没を始めた。
その船はタイタニック号だった。

大西洋に浮かびながら、魔王によって伝説時代に連れ込まれた。


伝説時代


海から海に出ると、幽霊船のような船を見つけた。

小人達はその船の網に引っ掛かった。

角をはやした鬼と見た目は人間のその妻は、「おいしそう」と喜んだ。
だが鬼は大分歳を取り、身体にガタがきていた。
ケヴィンはなんとか気を逸らそうと、背中の痛みを取る方法を知ってるよ、と言った。

妻が鍋の支度をしている間に、小人達は鬼を大の字に寝かせて手足を引っ張った。
鬼は効くと言って喜んだ。
そして隙を見て、そのまま船から海に投げ落とした。

様子を見に出てきた妻も後ろから海に突き落とした。

妻は怒っていたが、鬼は痛みが取れた喜びで気にしていなかった。
「咳だって思いっきりできる」
と全力の咳をすると船の帆が開き、進み始めた。

するとその船は、大男の頭の帽子だった。
大男は海から騎士へ上がり、何処かへ向かっていく。

ケヴィンは戸棚にあった眠り薬を大男の頭に挿して、なんとか動きを止めた。

大男が寝ている隙に小人達は船から逃げた。


暗黒城


目指すは暗黒城。

すると突然透明な壁に突き当たった。
それが暗黒城の境界線だった。

だが目の前には何もない。
頭がおかしくなったのか、と仲間割れを始める小人達。
側におちていた頭蓋骨を持って押し問答していると、怒って頭蓋骨を投げた。
その頭蓋骨が透明の壁をぶち割ると、中から暗黒城が登場した。

魔王が小人達を待ち構えているとは知らずに小人達は中に入った。

中は迷路になっていた。
するとケヴィンの両親が登場したので、ケヴィンは罠だと気づいた。
小人達は止めるのを聞かず、飛びついて行った。
そして、まんまと魔王に地図を奪われ、捕まってしまった。

ケヴィンは、檻の中でポラロイドの思い出を見ていた。
すると、最初に撮った1枚に地図が写っているのを見つける。
この真下に宇宙最大のタイムホールがある事が分かった。
やる気を出して、檻のドアを開け、檻がぶら下がっているロープをほどき隣の檻を伝って全員脱出した。

だがそのまま逃げる訳にはいかなかった。
魔王から地図を取り返す必要もある。

魔王は部下を犬に変えて、地図の番をさせていた。
いなくなった隙に地図は捕り返したが、魔王に気づかれ仲間のオグの頭が豚にされてしまった。

そして追手も放たれる。

ケヴィンは、自分が残ってオトリになると志願した。
オグと2人でオトリになり、魔王と対峙する。

するとケヴィンは、地図を燃やすと脅した。
怒った魔王は側近を消し始めた。
オグは完全なブタにされた。

その隙に地図も奪われていた。

いよいよケヴィンも危ないとなった時、いろんな時代から小人達は助っ人を呼んで戻ってきた。
しかし魔王は強かった。
最後は小人達だけが残って攻撃をした。
するとフィジットが倒れた石柱の下敷きになってしまい、死んでしまった。

全員が魔王にやられる、その寸前に魔王は黒焦げになって爆破した。
そこに現れたのはボスだった。


ボス


ボスは、恐ろしい顔からスーツを着た人間に姿を変えた。
「大げさな現れ方は恥ずかしい。
だがこれも神の証だ」
そしてオグを元の姿に戻した。
フィジットも簡単に生き返らせた。

地図を盗んだ事を謝ると盗ませたのは私だ、と言った。
「わが業を試そうとな。
これは手際よくいった」
と魔王の残骸を見た。

地図は取り上げられ、その場の掃除を命じられた。
「悪の破片はこの中に残らず入れろ」
小さな破片でも悪の塊、残すと世にはびこる。
ゴミ箱を用意した。

ケヴィンは神にクレームをつけた。
「あなたの試みで大勢が死んだ」
「そうだ。不満かな」
「必要だったの?」
「悪の存在と同様にな」
悪は自由意志の為に必要だと言う。

小人達は、林下植物課に格下げになった。
給料2割カットもつけて。

でも人間のケヴィンは一緒に帰れなかった。
「彼は残り、戦いを続ける」

そして誰も気づかなかったが、悪の破片が1つ残っていた……。

帰宅


ケヴィンは目覚めると自室のベッドの上に居た。
だが煙に囲まれており、家が火事になっていた。

消防士に助け出されると、それはアガメムノン王と同じ顔をしていた。
ケヴィンのバッグにはこれまで撮影したポラロイド写真が残っていた。

火元はトースターのようだった。
両親が中を確かめると、黒い破片が入っていた。
それは魔王の破片だった。
ケヴィンは触るな、と叫ぶが遅かった。
触れた両親は一瞬で爆発して消えてしまった。

アガメムノン王そっくりの消防士は去り際にケヴィンにウインクした。
両親は消えたままだった。


おしまい


かんそう:


80年代の大好きな作品です。
本作に加え、「ホーリー・グレイル」「未来世紀ブラジル」と面白かったのでテリー・ギリアム監督の作品は大分追いかけましたが、私は基本的にこの3作が好きです。

中でも本作は、ホーリー・グレイルの笑いに、ブラジルのシニカルさ、どちらもエンタテインメントとして楽しめて、いろんな時代を飛び回る映像も豪華だと思います。

特に有名で印象的なのは、船が大男の帽子で海からザザーっと上がってくるシーン。
わくわくします。

そしてショーン・コネリーがちょい役なのですけど、ショーン・コネリーの存在感が生きてて、効いています!

冒険好きで勇気のあるケヴィンは、両親とは全く似て無くて、時代の中で会ったアガメムノン王にあっという間に懐いてしまうのですが、それだけの魅力に説得力がありました。

でも小人達に連れ戻されて、王の時代で暮らす事は叶いませんでしたが、旅が終わってみると両親は魔王の欠片で消えてしまい、そこに登場した消防士が!! アガメムノン王の生まれ変わり? それとも時代を超えてケヴィンを捜しに来た?

と、夢のある(ダークな)終わり方でした。

このちょっとひねりのあるテイストが、テリー・ギリアムの魅力なんだろうな~と思っています。

一見、ファンタジー要素満載で子供向けに思えますけど、毒っ気たっぷり。

そうそう、いつも小人達のタイムホールからの落下で邪魔されるカップルもお気に入りでしたw

忘れた頃に見ると、新鮮で楽しい。
特撮も、今見てもバリバリのCGではない風合いが楽しめます。


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