2017年7月13日木曜日

ツーリスト



ツーリスト 〔DVD〕

2010年

アンジェリーナ・ジョリー、ジョニー・デップ、ポール・ベタニー、ティモシー・ダルトン、スティーヴン・バーコフ、ルーファス・シーウェル、クリスチャン・デ・シーカ

指名手配の金融犯罪者を追う為に、恋人を監視し続けていたが……。




エリース


レジナルド・ショーというギャングから大金を盗み、逃亡を続けているアレクサンダー・ピアースを追い続けていた、ロンドン警視庁のアチソン(ポール・ベタニー)。
その為に莫大な費用を掛けていたが、進展がないままの状況に上司ジョーンズからは嫌味を言われていた。

ピアースにはエリース(アンジェリーナ・ジョリー)という恋人がいたので、恋人を監視していればいつか接触があるだろうと、アチソンは見張らせていた。
そんな中、パリのカフェでエリースに自転車便で手紙が届く。
ピアースからのものだろうと、燃やしたカスを鑑識に回し、手紙の内容を解読する。

すると、リヨン駅から8時22分の列車に乗る事がわかった。
手紙には、他に「僕と体格の似た男を僕だと思わせるんだ」という事と、しばらく姿を消している事への詫びと許しを乞う事が書いてあったが、すぐには解読できなかった。
それでも、行く先にピアースが現れるはず、とインターポールを向かわせるアチソン。
その他に、1人の男がエリースを尾行していた……。


フランク


エリースが指定された列車に乗ると、手紙の指示通りピアースに似た体形の男を探した。
白羽の矢が立ったのは、フランク(ジョニー・デップ)だった。
体型は近いのだろうが、職業は泥棒に対して数学教師という正反対な男だった。
エリースは美貌を利用して、フランクを食事に誘いいいように利用し始める。

尾行していたインターポールがフランクの写真を隠し撮り、すぐにアチソンに送っていた。
アチソンは、同時にベネチアで待つインターポールにフランクの逮捕を命令した。

だが、到着直前にフランクの身元がしっかりと判明して、逮捕を取り止める。
アチソンは、ピアースならすでに整形して逃げているだろうと、エリースに接触する男は全員ピアースくらいに思っていたのだが、フランクは違うと判断した。
ただのツーリストで、利用されているのだろうと。

ところが、アチソンの部下のモニターに映るフランクの写真を、また1人チェックしていた。
その男は、ショーの手下でショーにピアースがベネチアに女と現れた、と連絡を入れていた。


ベネチア


フランクをピアースだと周囲に勘違いさせる為にエリースは半ば騙すように、フランクを高級ホテルに連れ込んだ。
フランクの数学教師の稼ぎではとても手が届きそうにないスイートに、エリースが喜ぶ宝飾品に高級なドレスなども用意されていた。
決して、ホテル側が用意したものではないとフランクにもすぐにわかった。

そのホテルに、パリから追う男もチェックインしていた。
ショーも、女連れなら高級ホテルに泊まるだろうと、すぐにホテルを突き止める。


ディナーでフランクとエリースは、このホテルを用意したであろうエリースの恋人について話をした。
会いたいけど会いたくない気持ちもある、と複雑な心境を話した。
2年間音沙汰がなく、こうして呼びつけられるのも嫌だと言った。
でも他にはいない人だ。

部屋に戻ると、ピアースからのカードつきの花が置かれていた。
明後日の舞踏会への招待状だった。

ホテルの外にはインターポールが張っていた。
エリースを褒めるフランクに、エリースは窓際でキスをした。
思惑通り、インターポールは写真に撮る。
そして、ショーの手下もホテルを突き止めていた。

フランクは、少し期待しつつも「ソファで寝て」と言われ、エリースを夢に見た。


追手


翌朝、ルームサービスの物音でフランクは目覚めた。
エリースが朝食を手配をし、すでに出かけたと言う。

そこにショーの手下が、フランクをピアースだと勘違いして乗り込んで来た。
金を取り戻すまでは命は狙われないのだが、何もしらないフランクはびっくりして窓からパジャマのまま逃げた。
フロントに助けを求めても、ボンジョルノをボンジョビと言ってしまう位、言葉が通じなかった。

屋根伝いにパジャマで走る男に、すぐに外がざわめいた。
その騒ぎにエリースも気づく。
張っていたインターポールは一般人が巻き込まれていると、アチソンに介入の許可を得るが、ちょうどベネチアに到着したアチソンは、無関係だと冷たく言い放った。
アチソンの狙いはあくまでもピアースで、攪乱の為に選ばれたフランクはどうでもいいのだった。
それよりもエリースから目を離すな、と言った。

フランクは果物市場に辿り着くと、地元の警察に見つかりフランクが騒ぎを起こしていると勘違いされる。
行き止まりになりそのまま屋台の屋根に飛び降りると勢いで、警官を海に突き飛ばしてしまう。
警察に捕まると「ピアースという男と勘違いされて命を狙われた」と説明するが、追手が姿を消していた事から、フランクの妄想で騒ぎを起こしただけ、と思われ牢屋に入れられる。

夜になると、釈放するから静かに、と刑事が現れ連れ出されるが、なかなか手錠を外してくれない。
ボートで案内された先には、ショーの手下が待っており、ショーの懸賞金目当てだと分かった。
ボートに手錠でつながったままでいると、エリースの運転するボートが近づき、フランクを助ける。


別れ


ピアースの手紙の指示でフランクを利用していたエリースだが、さすがにショーに狙われる役をさせるとは思っていなかったようで、フランクに謝った。
そして、フランクを空港まで見送ると荷物と現金を渡してすぐにアメリカに帰るように言った。

その後、エリースは1人でボートである場所に向かった。
厳重な警備の入り口で名前とIDを言うと、確認の上通される。

エリースは、ロンドン警視庁の金融犯罪課、資金洗浄特別捜査班で第1級諜報員だったのだ。
向かった先はアチソンの部屋だった。
「ここに戻ったら正体がバレるだろう」
「ピアースを渡すわ」

エリースは、もともとピアースに送られたスパイだった。
だが、ピアースと過ごすうちにスパイである事を忘れてしまっていたのだろう。
連絡を断っている状態だった。

アチソンは、フランクとの出会いで心変わりをしたのかと嫌味を言った。

今度の舞踏会で、エリースは通信機をつけてピアースを引き渡す事にした。


舞踏会


1人で参加するエリース。
会場にはアチソンも待機している。

そこへ、「来ないかと心配したよ」と迎える男がいた。
ピアースかとアチソンが前のめりになるが、すぐに身元が判明。
女に手の早いだけの男だった。

そこにパリから追って来ている男が現れ、エリースのいるテーブルに手紙を置いて去って行った。
彼こそピアースだとエリースが追うが、呼び掛けにも無視して会場の外に向かって行った。

その時、エリースの行く手を阻むようにフランクが登場した。
間の悪さに、見張っていたアチソンが「バカか」と呟く。
エリースも困った顔で「今はごめんなさい」と振り切ろうとするが、音楽が鳴り始めダンスが始まってしまった。
1曲くらいいいだろ、と手を出され仕方なく踊る事に。
エリースははっきりと帰って、という。
あなたも計画の一部で、一目惚れでもされたと思った? と冷たく言って。

そしてエリースはフランクから離れるが、その隙にフランクはインターポールに捕まった。

1人になったエリースはやっとピアースからの手紙を見て、すぐにボートを呼び出す。
運転手に行き先を告げると、アチソンも追う。
もちろん、見張っていたショー一味も。


隠れ家


エリースは、ピアースの隠れ家に向かっていた。
インターポールのボートには、また勝手な事をされて作戦を邪魔されたくないから、とフランクも手錠をされ、乗せられていた。

アチソンは、フランクをいっちょからかってやるか、とわざとピアースとして扱い、「金の在り処を吐け」と凄んだ。
フランクが怯えていると、「なんて。わかってる君はピアースじゃない」と笑った。

エリースが家に入ると、すぐに後を着けていたショー達も続いた。
数々の美術品に、ショーはアレクサンダーの趣味を褒めた。
そして息子のように気に入っていたと語る。

だが、裏切られた今となっては、関わるものは全員殺すとエリースを脅した。

しかしピアースが来る気配はない。
ショーはもう来ないのだろう、エリースが金を運ぶんだと決めつけ、エリースに金の在り処を言うよう脅した。


ピアース


包囲するインターポールはアチソンに射撃の許可を得るが、絶対にピアースは来ると思い込んでいるアチソンはそれを無視する。

モニターを見るフランクも思わず、声を上げるがエリースの正体を知るアチソンは余裕だった。
「彼女はスペシャリストだから自分でなんとかする」

そこへロシア語の通訳が到着。
ショー達の会話を翻訳する。
ピアースが来なければ、女を殺して逃げよう。
そう通訳するが、アチソンは殺されない、ピアースは来ると自信満々で断言した。

いよいよエリースが危ないとなった時、エリースは金庫の在り処を叫んだ。
しかし、金庫のキーは知らないから開けられない、という。

それでも開けてみろ、と脅されていると、そこにフランクが割り込む。
手錠を外してボートから脱出していたのだった。

何も知らないショー達は、フランクをピアースだと信じている。
エリースは、もちろんそうではない事を知っているから「ただのツーリストよ」と言う。
混乱したショーは、とにかくだったら金庫を開けろ、そうすれば女を助けると言った。

でも、フランクには金庫が開けられない事を知っているエリース。

この緊急事態にどんなに部下がイラついても、未だにアチソンは許可を出さない。
そこに、上司のジョーンズが飛んできて許可を出す。

一斉に、スナイパーが狙い、あっという間にショー一味は倒れた。

駆け込んで来たアチソンを、エリースは睨みつけながら通信機を投げ捨てた。

ジョーンズはエリースをその場で、停職解除し、任務を解いて解雇と言った。
エリースは嬉しそうに礼を言った。

そこに、無線でアレクサンダー逮捕と通信が入る。
エリースとフランクを置いてアチソン達は駆けつけて行った。


エリースに愛を確かめると同時に、フランクはピアースの事は? と聞いた。
どちらも愛してるというエリース。
するとフランクはいい解決方法があるといい、金庫のキーを迷わずに解除した。
そして一緒にいてくれる? と言った。

フランクは本当にピアースだったのだ。


インターポールが捕まえたピアースは、パリからエリースを追っていた男だったが、当然別人だった。
ピアースが似た体形の男に金を送って指示通りに動いてもらっていただけだった。

その後、インターポールは再びピアースの金庫に戻り、爆破して扉を開けた。
すると、1枚の小切手が。
それはピアースが払うべき、税金分の高額な額面だった。

ジョーンズはこれで一件落着だと言ったが、当然アチソンはピアースを逮捕していないのだから気が済まない。
だが、ピアースはしっかり税金を払い、ギャングは死んだ。もう悪い事はしていない、と追われる事はなくなった。


おしまい


かんそう:


アンジェリーナ・ジョリーとジョニー・デップの初共演作という事で、良くも悪くもその2大スターの共演が、全面に出ていると思いました。

リメイク作品という事でストーリーは、実は結構面白いと思ったんですが、何せアンジーとジョニー・デップという事で、もう出落ちになっていますから。
2大スターの初共演のストーリーとしては、ちょっと合っていなかったようにも思います。

ピアースという泥棒に、任務を超えて惚れこんでしまった女スパイ。
ピアースは大きな仕事をした後、逃亡の為恋人にも告げず、顔を変えていた……という訳ですが、そこで偶然出会うのがジョニー・デップってもう、偶然じゃないでしょ感満載ですからね。

しかも、それを冴えない数学教師だと信じているのに、数日で惚れてしまう女スパイって……。

あといかにもエリースを優秀っぽい扱いにしてますけど、任務忘れてターゲットと恋愛し、ちらっと現れた男にも惚れて、今度はターゲット差し出すって。
超恋愛脳のお騒がせ女にしか思えませんでした。

エリースがスパイだったとか、フランクがピアースだった、とかストーリー的には面白要素はあるのにスターを引き立たせる事でそれらが霞んでいるような印象でした。


2大スターと言えば、同等のアンジーとブラピの出会いでもある「ミスター&ミセススミス」の方がしっかり作品になっていた印象です。



本作は、どちらかというとアンジーのプロモ感とベネチアの観光感が強く感じました。
イベント作品って感じ?

そういう意味では、ジョニー・デップは、役的にもちょっと損ではありました。
何せ、真の主役っぽい存在がずっとチラつきながらの影武者的存在ですからね。どうしても扱いが雑になるw

それにしても、ピアースの整形前が気になります。
歯並び悪くヤニだらけって、ショーさんが言ってましたけど、それだけしか情報ないとイメージ悪い……。

最後に「何でその顔にしたのー、我慢するわー」みたいな事をエリースが言ってましたが。
セレブ・ジョークって感じでしょうかね。

アンジーは綺麗でしたけど、とにかく細すぎてそれも気になってしまいました。

でも、女性的目線で見たら、それなりに夢を見られる作品ではあったと思います。
もてもてな女スパイ、エリースになりたい~、みたいな。

お金に困る事もなさそうだし、仕事をする必要もなさそうだし。

でもやっぱり気になるのは、ピアースを好きなのに、目先のフランクにも引き寄せられちゃうエリースの軽さ、ですね。
結果、同一人物だから良しって感じなんでしょうけど、そうじゃなかったら? と思うと……。

それも、イマイチ共感できない理由なんでしょうね。


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