2017年7月18日火曜日

ハッピー・ボイス・キラー



【おトク値!】 ハッピーボイス・キラー(DVD)

2014年作品

ライアン・レイノルズ、ジェマ・アータートン、アナ・ケンドリック、ジャッキー・ウィーヴァー、エラ・スミス

あらすじ:


職場の女子に恋をする主人公だが、実は精神を病んでいて「声」に惑わされていて……。




家族は犬と猫だけというジェリー(ライアン・レイノルズ)は、母親の遺伝もあり精神を病んでいた。
主な症状は、ペットの猫と犬が話しかけてきたりして、本人にしか聞こえない「声」がある事。

猫は、悪魔のようにジェリーを悪事に誘い、犬は天使のようにそれを止めていたのだが、ある日職場で片思いをするフィオナを、もっていたナイフで誤って刺してしまう。

苦しむフィオナを放っておけず、良かれと思って止めを刺して、森に放置する。

帰宅すると、2匹のペットそれぞれに「よくやった」「今ならまだ間に合うから自首しろ」等と好きに言われるが、ジェリーは結局死体を回収して自宅でバラバラにし、首だけを冷蔵庫に入れて保管する事にした。

すると今度は、生首になったフィオナがジェリーに話しかけるのだった。

フィオナは死体の割には、綺麗。
ジェリーの家も1人暮らしの割には、清潔でおしゃれだった。

だが、それは担当医のウォーレン博士から出されている薬を飲んでいない、ジェリーだけに見える幻想だったのだ。

本当は、フィオナは腐敗しているし、家はペットの糞がそのままだし、死体を片づけた時の血などの染みもあるし、何より死体の入ったパックが山積みで異臭を放っている。

薬を飲むと症状が収まり、声が聞こえなくなったジェリーにもその現実が見えてしまう。
それが嫌でジェリーはますます薬を拒絶するのだった。

そしてフィオナがジェリーをそそのかす。
1人で寂しいから友達を殺して連れてこいと。
それは、同じ職場のリサだった。

もともとジェリーに気があったリサは、すぐにジェリーの誘いに乗った。
だが、そんなリサの好意がジェリーには心地よくて、ジェリーも好きになってしまった。
リサは殺すわけにはいかない、とジェリーは決めたようだった。

ところが、リサはジェリーの家に突然押しかけてしまう。
付き合い始めのカップルなら許されると想ったのだろうが、ジェリーの部屋は見られては困る部屋だ。
慌てたジェリーは、オートロックがかかったと誤魔化し、自分は天窓から入るから今日は帰ってとリサに言う。
だが、リサはピッキングした事があると、ジェリーに良かれと思って帰らずに、ピッキングしてドアを開けてジェリーより先に室内に入ってしまう。

するとそこは、異臭と汚物だらけで、血の跡もあるどう考えても何かやらかしている部屋だった。
しかもテーブルの上には、フィオナの生首が置いてあり、それに慌てて服をかぶせていたが、相当な異臭を放っているだろう。
リサは、おそるおそる近づいてしまい、すべてを知る。

そして天窓から見ていたジェリーは、君を殺したくないというが、怯えるリサはうっかり後頭部を打ってしまう。
すると苦しむ様子に、苦しみから解放する事に。
結局、フィオナの思惑通り、リサの生首が隣に並んだ。

もともと、フィオナが失踪しているだけでも怪しいのに、リサも連絡が取れなくなると、ジェリーが怪しまれるのは簡単だった。

フィオナとリサの仲良しの同僚も様子を見にジェリーの家に行くと、すぐに3人目の仲間となった。

ジェリーは、さすがに混乱し、ウォーレン博士に助けを求める。
人を殺したと聞いたウォーレン博士はこっそり通報しようとするが、それをジェリーに気づかれ、拉致される。

その間の留守中に、ジェリーの同僚がジェリーの部屋を見て警察を呼んでいた。

ジェリーはもともとネットで検索すれば記事が出てくる人物で、それを知る同僚からは変人ジェリーと敬遠されていたのだった。
ジェリーと同じ精神病を患っていた母は、同じように声を聞いていた。
でもその為、病院に入れられるのが嫌で、ジェリーに自分を殺すよう頼んで、死んでいたのだった。
まだジェリーが幼い頃に。

そしてジェリーは、ウォーレン博士を連れて自宅に戻る。
すると、パトカーの音にこっそり部屋から抜け出すが、その際にガス管に足をひかっけてガス漏れさせてしまっていた。

警察は、ウォーレン博士を無事救出するが、ジェリーはガス爆発で死んでしまった。

おしまい


かんそう:



精神を病んだシリアルキラーが、自分だけに聞こえる声に突き動かされる、というのはシリアルキラー・ネタとしてはよくある設定で、それだけだと何も新しさや特徴はありません。

でも、本作はそれを「明るくハッピー」に描いている事で、オリジナリティを出そうとしています。

序盤の、病んでいる為ちょっとボケたジェリーが、一生懸命会社のパーティに参加して、人並みの生活を謳歌している様はサイコキラーだとは思えない、ポップなコメディが始まったようで、すごく楽しかったです。

パーティーでフィオナがこだわった、廊下でのコンガ。
その後もフィオナをデートに誘った、不人気のチャイニーズ・レストランのチャイニーズ・エルビスのショー。

ジェリーにとっては世界で一番のショーなんですが、喜んで見てる客はジェリーだけ。
そもそもジェリー以外は1卓しか客いないし。

この辺の今までのサイコキラーを扱った作品とは、全く違うアプローチは、とても楽しくワクワクしました。

ジェリーの病状が発症している時は、ジェリーの目を通して見える世界はファンタジーでポップというのが、大きな特徴なんですが、面白いです。

森に放置していたフィオナの死体を、翌朝回収するときなんて、眠れる森の美女か、白雪姫を発見した時のようでした。
血痕も腐敗もなく、白い服を着て横たわるフィオナはお姫様のようでした。

でも、現実はそんなことあり得ない。

ジェリーは殺したくて殺している訳ではないので、猫と犬でその葛藤を現しているのも面白いな、と思いました。

ただ、ちょっと物足りなかったのは終始そのトーンで進んでいたら良かったのに、いざとなると普通演出に戻るんですね。
すると、たちまちどこにでもある殺人ドラマになっていて、面白味が減ってしまったなーと。

シリアスな殺人ドラマだったらもっとストーリーに凝っていたりと、それはそれでの工夫をしている所に、そこの部分は割とわかりやすくなっているので、途端に無個性に感じられるので。

エンディングは、ジェリーの被害者とポップなファッションで天国? でダンスするのですが、全編そんなノリで良かったように思いました。

とにかく、職場であろうとも、新しい出会いがあればネットで検索した方がいい、という事がわかる映画でした。






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