2017年10月30日月曜日

わたしは目撃者



ダリオ・アルジェント わたしは目撃者 HDリマスター版 DVD

1970年作品
監督ダリオ・アルジェント

ジェームズ・フランシスカス、カール・マルデン、チンジア・デ・カロリス、ティノ・カラーロ、カトリーヌ・スパーク、ラーダ・ラシモフ


あらすじ:


元記者の盲目の男の家の近所で事件が発生する。
パズルを解くように事件解決を楽しみ出すが、やがて犯人に気づかれてしまい……。


窃盗未遂事件


元記者だが、事故で盲目になっているクッキーこと、フランク・アルノ。
まだ幼い姪のローリーとは2人きりの家族で、父と娘以上の関係だった。
ローリーはクッキーの目でもあった。

ある夜、2人で帰宅途中に家の近所の車中から不穏な会話が聞こえてくる。
「仕方ないだろ。脅迫じゃない。情報は隠せない」

気になったクッキーはローリーに車内の人間を確認させる。
1人は茶髪の男で、もう1人は見えないといった。


帰宅後、物音がしたのでローリーを確認するとすでに寝ていた。
先ほどの会話を思い出し、窓の外を確認するがクッキーには何も見えない。

その時、すぐ目の前にあるテルジ研究所の夜警が何者かに襲われて倒れていた。

犯人は病院に侵入し、「遺伝子」とラベルが貼られた引き出しを開けていた。

研究所を出ようとした職員が、落ちている警備員の帽子に気付き、警察を呼ぼうとすると建物から出て行く人影を見た。


翌朝、研究所は騒ぎになっていた。
通りかかったクッキーは偶然記者のジョルダーニとぶつかり、名前を教えてもらう。

テルジ研究所では、遺伝子を主に研究していたが何も盗まれたものはなかった。
犯人は何の為に夜警を殴って侵入したのか。


カラブレジ博士


ローリーが茶髪の男だといったカラブレジ博士は、犯人が侵入した部屋の「遺伝子」の引き出しを確認して何かを確信した。
そして、テルジ所長とその助手4人が警察と集まっている部屋に内線を掛けた。
相手は誰だかわからないが、「5時に会う約束」をしていた。

その直後、婚約者のビアンカが訪ねてくる。
カラブレジはビアンカには、「昨夜の犯人を知っているが、大きなチャンスだからまだ警察に言うきはない」と言って待ち合わせに出かけていった。


カラブレジ博士は駅のホームで待ち合わせをしていた。
ちょうど列車がホームに来たタイミングで待ち合わせの相手を見つけたようで、手を差し出しながら近づく。
しかし、カラブレジ博士はその相手にホームから突き落とされ、列車に巻き込まれてしまった。

たまたまホームで新人モデルを待っていたカメラマン集団がその瞬間を撮影していた。


元記者の血


翌日、新聞の一面を見たローリーが、車の中にいた茶髪が列車にはねられて死んだ事をクッキーに伝えた。
テルジ研究所のカラブレジ博士だというと、クッキーは興味を持った。
落下の瞬間の写真に記者の名前がジョルダーニだと聞いて、さっそくジョルダーニに会いに行った。


クッキーはジョルダーニに、落下の瞬間の写真に接触者が写っているかもしれない、と調べるよう伝えた。

ジョルダーニは気のいい記者のようで、すぐにクッキーの言う通りにカメラマンに連絡を入れた。

すると、写真はトリミングしていたと言ってネガを調べてもらうと確かに、カラブレジを押したと思える手が写っていた。

すぐに現像を頼んで、3人はカメラマンの家に向かった。

しかし犯人も同じ頃、カメラマンの家に侵入しカメラマンを細い紐で銃殺し、ネガと写真を回収していた。


共同捜査


クッキーの家からジョルダーニが研究所から出てくる職員をチェックしている。
同時に目の見えないクッキーにも、情報を伝える。

テルジ所長は50歳くらい。
娘のアンナはすごい美人。

ブラウンはドイツ人でエレガント。
運転手つき。

エッソンは45歳くらいで急ぎ足。

40歳くらいのモンベリと25歳くらいのカゾーニが話している。


ジョルダーニは、警部から聞いていたカラブレジの婚約者ビアンカに会いに行くと伝えると、クッキーに別の提案をされる。

妻と死別しているテルジは娘のアンナに何か話している可能性があるから、アンナを優先して会いに行け。
その代り、クッキーとローリーでビアンカを訪ねる事に。


テルジ研究所の研究


テルジの家を訪ねて、アンナと話しをすると意気投合して2人で出かける事に。
屋上にあるバーで、アンナから主な2つの研究の話しを聞く。

1つは革新的な新薬の開発。
もう1つは政府用で、XYYという染色体の秘密の研究だという。
犯罪性向を高める染色体異常らしい。
ジョルダーニも話には聞いていた事があった。

他、助手たちについても情報を仕入れる。

エッソンはイギリス人で分野では有名人。
ヒゲ眼鏡のモンベリは優秀だが無欲。
カゾーニは天才肌の若手で世界的に評価が高い。
ブラウンはゲイ。


ブラウン


ジョルダーニはブラウンがいるという店を訪ねた。
そこでブラウンの恋人マニュエルに嫉妬されながら、ブラウンから話を聞く。

ブラウンは、自分は科学者であって探偵ではないから事件には興味がないといった。
その上で、産業スパイだとしたら非常に危険だ、ヤケドするぞ、とジョルダーニに警告をした。


ビアンカ


ビアンカを訪ねていたクッキーとローリーは、特に情報はないと言われていた。
帰り際、鎖をいじる音からビアンカが、カラブレジの写真をペンダントにしていると知る。

2人が帰った後、ビアンカは誰かにクッキーの訪問を厄介な事が起きたと電話をしていた。

その後家の中を何かを探して漁っていた。
ビアンカは机の写真立てに飾ってある車の前で2人で撮った写真を見て気づく。
「車だわ」

最後に出かけた時のことを思い出し、スペアキーを持って駅にカラブレジの車をタクシーで探しに行く。
事件の時から停まりっぱなしのようで駐車違反のチケットが溜まっていた。

車に乗り込むと、目の前に「午後5時駅で会う」というメモが貼ってあるのを見つける。
そのメモを小さく折って、テープで止めてロケットの隠しスペースに入れた。

車から降りると待たせていたタクシーで帰宅したが、その様子を犯人に見られていた。


手掛かり整理


クッキーとジョルダーニは、クッキーの家で手掛かりの整理をしていた。

今ある手掛かりは9個。
5人の科学者とアンナ。
カラブレジの婚約者ビアンカ・メルジ。
消えたカラブレジの落下写真。
研究所の窃盗未遂。

すべてが関連しているはずだ。

そこへビアンカから犯人がわかったとクッキーに電話が掛かってくる。
名前を言う前に、家で物音がして電話を中断した。

ビアンカはバスルームの窓を閉めて電話に戻るが、すでに犯人はカーテンの下に隠れていた。
自分は関わりたくないからあなたから警察へとクッキーに頼んだ。
詳しくは会って説明すると言って結局犯人の名前は言わずに電話を切った。

しかし、ビアンカが家を出る事はなかった。
カメラマン同様、細い紐で銃殺されてしまった。

犯人はビアンカのしていたロケットを確認したが、何も見つけられずそのまま置いて行った。


脅し


ビアンカの死を知って、ジョルダーニは悔しがった。

しかし、クッキーは少し違った。
実は今朝、脅しの手紙が届いていたのだった。

「殺人事件に挑む、パズル好きと記者。
いずれ彼らも事件の一部になる」

犯人に気づかれている事がわかり、クッキーはローリーを古い友人の家に預けていた。
もはや事件解決よりは護身だと言った。


ジョルダーニは新たな助手情報を伝えた。
カゾーニが前の職場を解雇された理由が不明である事。
そしてブラウンの派手な生活の資金源が気になっている事。

ジョルダーニは1人で助手達の取材をする。


カゾーニ


カゾーニは、極秘の話しだから記事にしないで、と前置きしてXXY染色体の研究の話しをした。
その後で、事件についても分かることはあるが、立場があるから言う気はないといった。


危機一髪


取り立てて収穫がないままジョルダーニが帰宅すると、家の前に牛乳が配達されていた。
その牛乳にはすでに犯人が薬物を注入していたのだが、気づくはずもなく家に持ち込む。

すると突然アンナが訪ねて来て、2人は関係を持つ。
喉が渇いたからと、ジョルダーニは牛乳をコップに注ぐが、注射の穴から不自然に牛乳がこぼれているのには気づかなかった。

アンナにコップを渡すと、鳴り出した電話に出る。
それはクッキーで、クッキーはガス暖房のスイッチが壊されていて命を狙われたと言った。
窓を開けていたから助かったが、ジョルダーニにも注意するよう伝えてきたのだった。

その時ジョルダーニは、やっと牛乳が漏れている事に気づく。
飲もうとしてたアンナを寸前で止めて、被害はなく済んだ。

アンナにも街を離れるように勧めると、父に週末は別荘に行こうと言われていたという。
戻りは日曜日の夜だと確認した。


テルジの秘密


アンナが別荘に行って留守の間に、ジョルダーニは古い友人のジジを連れて、アンナの家に侵入した。
ジジはピッキングの名人だった。

テルジの引き出しにある金庫が気になってピッキングさせる。
中から、アンナとの養子縁組の書類が出てきた。
そして鍵つきの日記もピッキングさせると、女性との関係に悩む内容が書いてあった。
テレジはアンナを女性として愛していたのだった。


産業スパイ


ジョルダーニは警部と会って、新たな情報を仕入れた。

ビアンカがカラブレジを利用した産業スパイだったという事。
そしてそれにはブラウンも絡んでいたという事。
金回りが良い理由が分かった。

ジョルダーニはすぐに、新聞にブラウンに嫌疑という記事を書いて載せた。

すると、ブラウンの情報を持っているという男がジョルダーニを訪ねてきた。
匿名で居場所を教えると、住所を告げた。
出国の準備もしているから急いでくれ、と言った。

実は、マニュエルの元カレでブラウンに盗られた恨みを持っているのだった。


すぐに住所の家に行くが、家の中は暗く返事はなかった。
ジョルダーニが奥に入って行くと、突然後ろから何者かに襲われた。
揉み合い、ライトをつけて顔を確認するとそれはブラウンの恋人のマニュエルだった。
ブラウンはすでにナイフで心臓を刺されて犯人に殺されていたのだった。


メモ探し


振り出しに戻った、と言うクッキーだったがある事に気づく。

「ビアンカの持っているメモ」がロケットに隠されたままなのではないか、と。
2人は、ビアンカの墓荒らしをする事に。

無事、ロケットに隠されたメモを見つけるが、現場を元に戻して帰ろうとした際に墓の前で見張っていたクッキーが犯人に襲われ、ジョルダーニは墓に閉じ込められてしまった。

しばらくすると、墓の扉が開いてよれよれになったクッキーが入って来る。

犯人はローリーを人質に取り、クッキーの持つメモを奪って行ったという。
テープで止められた中身を見る前に渡すしかなかった。

しかし、杖の中に隠されていた剣に犯人の血がついていた。
犯人の手掛かりになる。

2人はローリーを捜す事に。


ローリー捜し


預けた友人は、クッキーからだと偽の手紙を受け取り信用してローリーを引き渡してしまっていた。

ローリーはクッキーが待っているという嘘を信じて、犯人に着いて行っていた。

すぐにタクシーの捜索手配をして、血のついたタクシーを見つけるが、クッキーの元に犯人から脅しの電話が掛かってくる。
「通報したら殺す。
子供は数日預かる。仕事が終わるまで余計なマネはするな。
何かしたら子供のノドを切る」

しかし、公表しない事を約束して警察にも協力してもらう。


テレジ家


まず、テレジの家を捜索する。
すると、2階で物音がした後、手に傷を負ったアンナが降りてきた。
それを見たジョルダーニは、アンナが犯人だと考えた。

テレジの実の娘ではない時点で、疑いを持っていたのだった。
牛乳事件もアンナが来た時だった。
ギリギリまで飲まなかったのは、毒入りだと知っていたからではないか、とアンナを責めた。

しかし、アンナに短絡的すぎると否定され、割れた花瓶を持ったテレジが話しを止めた。


テレジ研究所


次は研究所を調べた。
広い建物と言う事もあり、クッキーは廊下で待つと立ち止まった。

1つ1つ部屋をくまなく捜すが、見つからず諦めて出ようとした時、ジョルダーニは自分のシャツの襟に血痕がついている事に気づいた。

それまではなかったはずなので、最後に立ち寄った部屋に戻る。
すると、天井のガラス窓から血が滴って溜まっているのを見つけた。

慌てて窓から壁を伝って屋根に出ると、遠くに逃げる人影を見つけて追いかけた。
しかし、待ち伏せされて殴り倒されてしまう。
何度か殴り倒されて相手の顔を見ると、それは助手の1人のカゾーニだった。

カゾーニはジョルダーニを屋根から突き落して、ローリーの居る部屋に向かった。

ローリーを始末しようとメスを持って近寄ると、途中で引っかかって助かっていたジョルダーニが止めに入った。
その騒ぎに警部達も気づき、遠くから声を掛ける。
カゾーニは見つからないよう、影に身を隠しながら屋根の上を逃げて行く。

しかしその先には杖のナイフを突きつけたクッキーが立ち塞がった。
身体を調べ傷に痛む声に、墓場で襲ってきた犯人だと確信した。

カゾーニは観念したのか、言い訳をする。

「殺すしかなかった。
カラブレジは僕がXYYの持ち主だと知った。
何年もの努力が台無しだ。
あの夜研究所に忍び込み、検査結果をすり替えた。
それがカレブレジにバレたから殺した。
他の者も」

ローリーも殺して手遅れだというと、ショックを受けたクッキーと揉み合いになる。
その勢いでカゾーニは天窓を突き破り、エレベーターシャフトに落下して死んだ。

ローリーがクッキーを呼ぶ声が響いていた。


おしまい


かんそう:


ダリオ・アルジェント監督の2作目ですが、1作目のほうが完成度が高いような気がしました。

こちらは、じっくりと見せる殺人シーンや音楽、設定などには「らしさ」はあるものの、粗さが目立つような気がしました。


盲目のクッキーと可愛らしい少女ローリーの組み合わせは、面白いと思いました。
それと、2人に親切な気の良い記者のジョルダーニも好感の持てるキャラでした。

この3人のお陰で殺人事件物なのに、どこかほのぼの感もあるという、不思議な味わいはあります。

盲目のクッキーがローリーを目として、警察よりも順調に事件をひも解いていくというのは、気持ち良いです。が、全体的に結構粗いという。

特に気になったのは、編集のせいなのか、「ビアンカのメモ」をいつクッキー達が知ったんだろう? という事でした。

視聴者は、全部見てるので知ってますけど、ビアンカからの電話でもメモと言う言葉は言っていませんでした。(証拠はある、とだけ)

というか、メモの事はビアンカと犯人しかしらないはずなような……。
(っていうか犯人も遠見でそこまでよくわかったな、と思いますがw)
なので、電話で言ったんだろうな~と、自分で補間しました。


謎解きにつきものの、伏線はたっぷりありましたが、全体的な雑感のせいかあんまりドッキリさせられるような事がありませんでした。

ブラウンが、スパイ行為がバレて逃亡する前に、テルジに「大事な話がある」と言うシーンがあるのですが、あそこもいらなかったような。

スパイ行為をテルジに打ち明けて辞職した……のかな?
それかミスリードさせたかったのかもしれませんが、すぐ死にますし、それを受けたテルジのシーンというのもなかったので、余計に感じてしまいました。


と、重箱の隅をつつくような事をしていますが、それでも全体的な味わいは、ダリオ・ルジェント監督ならではの独特な世界になっているので、ファンであれば一見の価値はあると思います。



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