2017年6月15日木曜日

フェイク・クライム



【3枚で2850円+税】対象商品 フェイク・クライム キアヌ・リーブス DVD

2010年作品

キアヌ・リーブス、ヴェラ・ファーミガ、ジェームズ・カーン、ダニー・ホック、フィッシャー・スティーヴンス、ビル・デューク

あらすじ:


覇気のない主人公がやっと見つけた夢は、銀行強盗――。




ヘンリー



ニューヨーク州バッファローのイーデンの料金所で働いていたヘンリー(キアヌ・リーヴス)は、どちらかというとパっとしない生活を送っていた。
本人もあまり欲がないのか、覇気もない。

夜勤を終え、家に帰ると妻はそろそろ子供が欲しいと、おそらく倦怠期への不満を仄めかす。その妻も特別強く言う訳ではないが、ヘンリーの言われるがままに「いいよ」と返す様子には明らかに大喜びも出来なかった。
とにかくヘンリーは悪い奴ではなさそうだが、やる気や自主性が感じられない。

そんな会話を割り込んで家に訪ねて来たのは高校の同級生エディだった。

エディは揃いの野球ユニフォームを来たジョーの具合が悪いから、ヘンリーの家で休ませて欲しいといきなり無遠慮に押しかけた。

嫌とはいえないヘンリー。
更に、1人メンバーが足りないからヘンリーに今から代役を頼むと言われ、気づくとユニフォームを来て車を運転させられていた。

そんなヘンリーの様子に妻も呆れている。


初めての銀行強盗


そしてヘンリーは、銀行の前に車を停めて待っているように言われていた。
野球とは、銀行強盗の事でエディは何も知らずにその一味にされていたのだった。
そして銀行の防犯ベルが響くと、中からマスクをした仲間が出てくるが顔丸出しのヘンリーはどうしたらいいのかわからない。
そこへたまたま向かいのカフェに居た銀行の警備員フランクがヘンリーに気づき銃を向ける。

ヘンリーはまんまと1人だけ逮捕されてしまった。

ヘンリーが主犯ではない事は明らかだったが、同時にヘンリーは警察に売るほど仲間の事も知らなかった。何せついさっき声を掛けられただけなのだから。

それでも、たまたま運転させられたと主張すればよいものの、そこで何も言わないのがヘンリーだった。

ほとんど何もしていないのに、第1級武装強盗罪で懲役3年となる。
裁判所の妻も、驚きや悲しみではなく、ほぼ諦めの表情をしていた。


刑務所暮らし


刑務所で同室になったのは、口が上手く面倒見の良いマックス(ジェームズ・カーン)だった。

6か月後、妻が面会で好きな人が出来たと告げると、「いいんだ」とだけ言って済ませた。
一見、妻の事を想っての決断のようにも思えるが、自主性のないヘンリーは結婚生活においても何も考えていないように思える。
そもそもどうしてこの妻と結婚したのか不思議な位だった。

そんなヘンリーの変わりっぷりは、マックスにもすぐに分かった。
刑務所は最悪だというヘンリーに、なぜ真実を話さなかったと言うとそれがいいと思ったと。
後悔はしていない。

呆れるヘンリー。
ヘンリーはムショに入った所で、何も変わっていないのだった。

そして、ヘンリーの出所の日が来た。
二度と会いたくない、とマックスは笑顔で送りだした。


出所後


家に戻ると、ヘンリーを明るく出迎えたのは、あの日具合が悪くて休ませたジョーだった。
妻の恋人はジョーだったのだ。
「名前を言わないでくれてありがとう」とジョーはすぐに礼を言うが、ヘンリーは一瞬すれ違っただけのジョーの事など、名前はもちろん顔も覚えてはいなかった。

今のジョーは、ネズミ講式のビジネスで一応堅気をしているようで、お腹を大きくした妻は幸せそうだった。
ヘンリーにもビジネスに誘うが、この時だけはヘンリーの勘は鋭く「ネズミ講だろ」と相手にしなかった。

小さな箱1つだけの自分の荷物を引き取って、別れた。

最後まで妻への執着心などは一切見せなかった。


銀行へ


次にヘンリーが向かったのは、あの逮捕された銀行だった。
ぼーっと道の真ん中に立っていると、ヘンリーは車に当てられ事故にあってしまう。

運転していたのは女性で、ぼーっと立っているせいだと逆切れしていた。
その騒ぎに駆けつけたのは、ヘンリー逮捕のきっかけとなった警備員フランクで、ヘンリーの顔を見て思い出していた。

ヘンリーに大した怪我はないようで、ひとまずカフェに移動すると、女性に見覚えがある事に気づく。
CMに出ている女優ジュリーだった。

ジュリーと別れ、カフェのトイレに行くとそこで古い新聞記事が飾られているのを見る。
禁酒時代に、銀行と隣同士の劇場には隠し通路があって、銀行に酒を隠していたという記事だった。

その記事に何故か強く引かれるヘンリーは、マックスに面会までして「銀行強盗したいから協力してくれ」と初めて自主的なやる気を見せる。
「夢が出来た」と。
だが、マックスは刑務所でそんな事頼むか、と呆れ「ここが好きだから(出所はしない)」と断った。


ところが結局マックスは気になったのか、出所する。
だが、迎えに来たヘンリーは車を持っていなくて、すぐに不安を感じ刑務所に戻りたくなる。

ヘンリーにドヤ顔で見せられたのはトイレの古い新聞記事で、これまた呆れる。
これを信じるのか、と。

マックスは、手っ取り早く銃を使おうというと、怪我人が出るからダメだ、と優しいヘンリー。

仕方なく、銀行を下見する事に。
そこでフランクに目視される2人。


銀行員との雑談で金庫は昔からずっと同じだと言う事はわかった。

その足で劇場へ行くと、楽屋口からジュリーが出てくる。ジュリーはこの劇場で、「桜の園」の上演を控えていたのだった。

咄嗟に元役者だとウソをついてマックスが見学の許可を得て、隠し通路があったという楽屋を見せてもらう。

ヘンリーは、ジュリーとディナーの約束をする。

マックスの中で可能性が見えてきた。

デートの終わりに、ヘンリーは銀行強盗をしようとしているとジュリーに言う。
ジュリーはそれを、面白いと笑い、あなたって楽しいと受け入れた。

盛り上がったジュリーは、ホテルの部屋にヘンリーを誘い、本読みの相手をさせる。
意外とヘンリーはド下手ではなかった。

あなたを轢いて良かった、と抱きつき2人は関係を持つ。


翌朝、ヘンリーはジュリーを連れてマックスと住む部屋に戻る。
強盗の話もした、というとマックスは普通にヘンリーを注意する。
「犯罪は普通秘密にするもんだ」
でも、ヘンリーにはまったく響いておらず、上機嫌でベーコンの焼き具合を確認するだけだった。


作戦


ジュリーの劇場への出勤に2人は着いて行き、リハーサルの見学をしていた。
するとマックスが閃く。
銀行への隠し通路がある楽屋は「ロパーヒン役」の部屋だった。
ヘンリーはまあまあ演技のセンスがあるらしい。
だったら、ヘンリーがロパーヒンをやればいい、と。
そうすれば楽屋に出入り自由だし、今すぐ穴が掘れる、と。

そしてすでに決まっている役者を降板させてから、ジュリーに監督に推薦するよう頼んだ。
何も知らなかったジュリーは当然マックスにキレたが、仕方なく協力した。


ヘンリーは見事オーディションに合格。
なんと、銀行強盗の為に、役者になったのだ。

マックスはさっそく壁をぶち抜くと、大量に穴を掘る必要があるとわかったのでもう1人必要だと言い出した。


ジョー


もともと知り合いがいなそうなヘンリーは、酒場で酔っぱらってクダを撒いている男をヘンリーに紹介した。
ジョーだった。

案の定ネズミ講で騙されていたようで、子供にもお金がかかると愚痴っている位だから、ジョーに断る選択肢はない。

3人は順調に穴掘りを進めて行く。


フランク


ある夜、一仕事終えて3人で歩いていると、フランクに声を掛けられる。
「魂胆は分かっているぞ」

ところが、車に乗り込んで話を聞くとフランクは協力をしてくれるというのだった。

30年も勤続していた銀行だが、ある日妻が病気になると何も助けてくれなかった。
結果、老後の資金は治療費で消え、妻も失った。

そしてちょうど後2週間で退職が決まっている。
今なら出来る、と。

月に1度、米ドル回収車が一時的に金庫に集めた金を入れるスケジュールがあるのだという。
そしてフランクならその時に警報を何とかする事も出来る。
「食卓を整えれば、暑い食事を届けよう」


初日



こうして、犯行の日が決まった。
それは舞台初日と重なってしまった。

しかも直前に、エディがジョーから話を聞きつけたのか、突然割り込んで来て仲間に入り込んでいた。

ヘンリーは、彼女を置いていけないと先延ばしにしようとするが、もはやこれはヘンリーだけの夢ではなく、マックスの夢にもなっていた。
「なんとしてでも実現させる。これまでの口先だけの人生を変える。
金を奪ったら逃げるんだ」

ジュリーに初日に決行する事を伝えると、イコール消える事だとすぐに悟り、怒り出した。


裏切り


そして順調に、舞台が開幕する裏で銀行強盗が行われた。
だが、金を楽屋に移した所で、エディが裏切り銃をつきつけ1人締めしようとした。

ちょうど幕間で楽屋に戻っていたヘンリーがエディの腕に噛みつき、なんとかエディを押さえ付けるが、その時流れ弾が足をかすめていた。
ヘンリーはそのまま舞台に戻り出番を終わらせ、マックスはエディを拘束し穴に放置した。

現金を積んだ車で逃げる3人。
だが、途中でヘンリーが車を停めろと言うと、もうマックスはそれを止めはしなかった。
ヘンリーが頑固な事を知っているからだろう。
そして笑顔で「またな」と別れる。
ただし、戻ってくる事を考えて車をゆっくりと走らせながら。


ヘンリーは傷を負った足で、駆け戻る。
そして客席から、当然シナリオにはないアドリブで舞台に上がる。
半ば、芝居と現実を入り混ぜて、ジュリーに愛の告白をする。
「モスクワで会おう」と。
最初は、関係者も客席も驚いていたが、ヘンリーの真に迫った演技に次第に魅せられていく。
そしてジュリーも愛の告白を突っぱねる事は出来なかった。
舞台の上の2人がキスをするとライトが2人だけを照らしていた。

おしまい

かんそう:


本作は、ラブコメというラベルをつけてしまいましたが、大雑把にはそんなつもりで見てもらった方が楽しめると思いました。

私は、TVで何も知らずに見たのですが、確かに「フェイク・クライム」というタイトルから期待していた内容とは、「あれ? なんか違う」と見ながら気づきました。
ただ、「フェイク」ですからね。
そういう意味なのかな、と好意的に捉えましたが、日本版の予告を見てびっくり!!

フェイククライム 国内予告編

ぜんぜん違う!!
もろ、「クライム」「サスペンス」寄りの編集になっていて、これは……アウトでしょう!!
この予告から受けた印象を期待すると、かなりがっかりしてしまうのではないかと思いました。

この予告を知らずに見て良かった。
先入観なく、素直に作品を楽しめましたので。

本作は、クライム要素はありつつも、どちらかというとヒューマンドラマでした。
しかもかなり突っ込みどころがあるので、もはやラブコメと言ってしまってもいいかも、とw


キアヌの、いわゆるプライベートは知る訳ないですけど、あくまでもプライベートを想像した場合にかなり近いキャラに感じられたのがヘンリーでした。
悪く言うと、ぼーっとしてておバカ。
決して悪い人ではないけど、どこか大丈夫かな? と心配になる無欲さ。

なのでちょっと驚いたのは本作が出演だけではなく、製作にも関わっている事で、自分に似てる役を選んでいたら面白いな~、と。


そんなヘンリーが夢を叶えるのに、重要な相方となったマックスは、TVドラマ「ラスベガス」が懐かしいジェームズ・カーンでした。




口が上手く、頭の回転は良いけど言うほど悪い事はしていないという感じの役柄にとってもはまっていました。
マックスだからこそヘンリーとバディになれたんだと思えました。

ちょい役ですが、嫌な奴エディは、ブラックリストの弁護士役でお馴染みのフィッシャー・スティーヴンスでした。
首が長いのが特徴で、すぐに気づくんですが役によって顔つきが全然違うので、さすがでした。



それにしてもヘンリーは、ジュリーと出会う事で、初めて? 「こうするんだ!」みたいな強い意志を見せるようになっていった気がします。

お芝居にも拒否反応示しつつ、ジュリーと一緒だったから、がんばれたんでしょうね。

にしても、たまたま芝居が上手くて代役になるってのは……。

コメディですよね。

まったりクライム・ラブコメディでした。



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