2017年1月3日火曜日
ベイマックス
ドン・ホール ベイマックス MovieNEX [Blu-ray Disc+DVD] Blu-ray Disc
2014年作品
ディズニー(マーベル・コミック原作)
あらすじ:ある日最愛の兄を亡くしてしまった少年。悲しみから逃れる日は来ないと思っていたが、兄の残したケア・ロボットが動き出し・・・。
ディズニー、ハリウッド、やっぱり世界のレベルは敵わない、と改めて思いました。(別に戦ってないけどw
【おはなし】
架空都市、サンフランソウキョウ。
14歳でありながら天才的な頭脳を持つヒロは、ロボット・ファイトで食べて行こうと、今日も大人に混ざって子供だと油断させておきながら、自慢のロボットで大金を巻き上げていた。
そんな弟を認めながらも心配していた兄、タダシは自身の研究で「ベイマックス」というケア・ロボットを生み出していた。
白いビニールで膨らんだ風船のような身体を持ち、そのデータにはヒロの情報とありとあらゆるケア・データが打ち込まれていた。
ベイマックスを大学で見せられ、また兄の研究仲間、さらにはヒロも参考にしたロボット工学の第一人者キャラハン教授を紹介され、ヒロは大学に入学する事を意識しだす。
その為のプレゼンに、ヒロはマイクロボットを完成させた。
1つは小さなパーツだが、それらが集まる事で、どんな形状にもなり、また頭部に装着した神経トランスミッターで直感的にコマンドを出す事が出来た。
ヒロは、マイクロボットを自在に操り、派手なプレゼンを成功させ、キャラハン教授はもちろん、実業家のクレイにも注目される。
だが、キャラハンは営利目的なクレイをあからさまに批判し、大学に歓迎する事を伝える。
ところが、成功に浮かれていたその夜、大学で火災が発生してしまう。
ヒロの研究したマイクロボットはもちろん、キャラハン教授も取り残されていると聞きタダシは炎が見える大学内に飛び込んで行ってしまう。
ヒロが止めるのも聞かずに。
そして、教授もタダシも戻らぬ人となってしまい、マイクロボットも燃えてしまった。
それから、すべてを失ったような悲しみにくれ続けるヒロ。
大学の入学資格を持ちながらも手続きせずに引きこもっていた。
そんなある日、ヒロの独り言に反応してベイマックスが起動する。
ケアロボットであるベイマックスはヒロの心をスキャンして、痛みを癒やす事を探り出す。
そして、1つだけジャンパーのポケットに残っていたマイクロボットが反応する事から、それを調べる事に。
すると、倉庫に辿り着きそこに、大量のマイクロボットを発見する。しかもそれを操る仮面の男ヨウカイに見つかり襲われてしまう。
なんとか逃げ切るが、マイクロボットの存在を知り、ヒロはもしかしたら火災そのものがマイクロボットを狙った犯行だったのでは、と考える。
そして、その為に兄タダシは命を落とした。
兄の死に関わるかもしれない出来事に、ヒロは仮面の男と対決する決意をする。
その為、ベイマックスをケア・ロボットから戦闘バージョンにバージョン・アップもした。
だが、まだ仮面の男の前では力足らずで、タダシの研究仲間に助けられ逃げた。
友人の1人、フレッドの家に逃げ込むが、そこは大豪邸で仲間達も驚いていた。
そして通された部屋は、フレッドの趣味のヒーローグッズが集められていた。
そこで、マイクロボットを欲しがっていた実業家クレイが怪しいのではないか、という話になり、彼に立ち向かう為に全員がヒーローになる決意をする。
それぞれの得意分野を生かし、ヒーロースーツを開発。
ベイマックスもさらに戦闘力をパワーアップした。
こうして、飛べるようになったベイマックスと飛行テストをしているとヒロの心の落ち着きを察知したベイマックスは、ケアの終了を問いかける。
だが、ヒロはそもそもそんなつもりでベイマックスと居たのではないので、仮面の男を捕まえる事を主張する。
すると、機能的に何でもスキャンしていたベイマックスは、仮面の男もスキャンしていたと判明。
そのデータを頼りにある孤島の研究施設に行く。
そこに残されていた録画データから、確かにクレイの実験場だったことがわかるが、もう一つ、過去に瞬間移動の実験に失敗していて1人の女性が行方不明になっていた事を知る。
そして仮面の男の襲撃。
全員で力を合わせて戦うが、まだ戦い慣れていないので苦戦する。
ただ、なんとか仮面を奪う事には成功。
ところが、仮面の下に居たのは、クレイではなく火災で死んだはずのキャラハン教授だった。
火災の際に、マイクロボットに助けられていたというのだった。
尊敬していた教授が、兄を見殺しにし、マイクロボットを盗んだという事実に、怒りしかないヒロ。
戦闘モードとはいえ、ケアデータによって抑えられていたベイマックスの力を、ケアデータを抜き捨てる事で開放させてしまう。
暴走するベイマックス。
なんとか仲間達がケアデータを入れてその場を収めるが、教授には逃げられてしまう。
帰宅したヒロは、収まらぬ怒りに再びベイマックスを戦闘モードにしようとするが、本来ケアロボットで人を傷つけないベイマックスには簡単には受け入れられない。
ヒロの気持ちを切り替えようと、タダシがベイマックス制作中に残していた録画を見せる。
タダシがベイマックスに託した思い。
ヒロを助ける為、大勢の人を助ける為、その想いがベイマックスに残っている。
ヒロは、兄の姿に心を入れ替え、自分の力を正しく使ってキャラハン教授を捕まえようと考え直す。
だが何故キャラハン教授はマイクロボットを操って仮面の男になっていたのか。
実は、行方不明になっていた女性は、キャラハン教授の娘で、クレイの研究にはキャラハン教授も絡んでいたのだった。
娘を奪われた憎しみで、キャラハン教授は復讐の鬼となっていたのだった。
ちょうどクレイ社の新社屋の完成パーティー。
駆けつけると案の上、キャラハン教授が転送装置で社屋まるごと吸い込もうとしていた。
戦いも2回目でヒーローらしくなっていた仲間達。
マイクロボットそのものを転送させてしまう事で、事態を収束させる事に成功。
だが、ベイマックスが転送先で生命反応を感知する。
おそらく、キャラハン教授の娘、アビゲイルではないかとヒロは火災に飛び込んでいった兄と同じように、ベイマックスと共に転送ホールに飛び込んでいってしまう。
無事、アビゲイルのポッドを見つけ、脱出を試みるが途中でベイマックスは、ヒロをかばい破れてしまう。
そして一緒には戻れない事を悟り、大事な兄に続きベイマックスを失う事に拒否をし続けるヒロとポッドをロケットパンチで転送ホールの出口に押しやり、異空間に消えていった。
その後。
兄を失った時よりもベイマックスや仲間のおかげで成長していたヒロは、悲しみを乗り越えて大学生になっていた。
ある日なんとなく唯一の形見であるベイマックスの腕(ロケットパンチの型のまま)を見ていると、何かを握っている事に気が付く。
それは、タダシが打ち込んでいたケアデータだった。
それを見てヒロは、突き動かされ、新たなベイマックスを完成させる。
そして、仲間と共にサンフランソウキョウを守るヒーロー隊を再結成するのだった。
BIG HERO 6。
おまけ。
資産家フレッドは、常に両親が居ない事を寂しがっていた。
ヒーローになった自分も見せたかった、と何気に屋敷に飾られた家族の肖像に触れると、そこに隠し部屋を発見してしまう。
そして中には、ヒーローらしきパンツが何枚も。
そこへ父が帰ってくる。
今なら2人にしかわからない積もった話が出来るな、と。
おしまい。
【かんそう】
新年1発目に相応しい、良作品。
ディズニーですし、アニメですし、子供向けには間違いないのですが、
モンスターズ・インクやファインディング・ニモとは大きくかけ離れた魅力を感じました。
鑑賞後に、wikiを見てマーベルコミックの原作があってしかも原題は「BIGHERO6」と全然ベイマックスじゃなかったという事に驚きましたが、よくよく読み進むと、原作はあるけど、大分映画用に手直しされているようで、それが不思議な魅力の要因ではないようでした。
さらに、原作が日本を意識した内容で、本作もそれは踏襲しているとの事ですが、正直、見ていてまったくそんな事には気づきませんでしたw
まあ、名前がヒロで髪が黒いから、アジア系の子が主人公なんだな、くらいでスルーしてましたw
言われてみれば、仮面が歌舞伎っぽかったり、そういえば看板とかにも日本語があったなーと。
ただ、ディズニーの規模になると、モンスターズインクのようにローカライズされている場合もあるので、それが最初からの設定だとはまったく考えませんでした。
と、話がちょっと逸れてしまいましたが、とにかく良かったんです。
正直、少し涙まで。
アメリカ作品ではありがちなんですが、最初は「何これ、どこがかわいいの?」と謎のキャラデザが、見ると愛着沸くという・・・。
あの典型パターンでした。
ベイマックスって散々宣伝してましたけど、何これ、かわいくない。ミシュランとマシュマロマン混ぜた感じで新しくもないし。
なんて、心の中で思うだけは自由・・・って感じで言いたい放題でした。
ところが、もうヒロの部屋で起動して狭い部屋を大きな身体で動きだすシーンで、やられましたね。
ああ、もうこういう事させたらディズニー、ハリウッドには敵わないなー、と。
それと、清々しいまでのファンタジー設定。
大抵主人公は非力だったり、まだ自分の力に目覚めていなかったりして、それが大冒険するから応援したり、成長を感じたりするんですが、ヒロは天才なんです。
何も不自由はしていません。
でも、最愛の兄を失ってしまうという不幸は起きます。
って、これを書いて、前出の「ニモ」や「モンスターズ・インク」との違い、気づきました。
この主人公の違いですね。
そして、主人公が天才ヒロだからこそのストーリー。
もし、とても良い子だけど、普通の14歳だったら、まず兄の大学に行くこともないし、ましてベイマックスをバージョンアップして、戦う事なんてあり得ない。
大学の仲間はヒーローになったかもしれないけど、ヒロは蚊帳の外でしたね。
そこが、新鮮で、個人的な好みにマッチしたんだと思います。
天才が主人公だからこそ余計な悩みが少なく、シンプルに心の成長だけにフォーカス出来た。
自分の才能をどう使うか。
最後に、ベイマックスと別れる時、涙ポイントですけど、あのまま終わってたら最低の作品って思っていたかもしれません。
悲しすぎますもん。
でも、ヒロの力があれば、再生出来ちゃって、そもそもベイマックスロボットだし、って事で、これかなり見方を変えると残酷なんですよね。
なんか、(データがあれば)代わりはいくらでも居ますから、みたいな。
この先の未来、いつか人間が自分達が生み出したAIに支配される・・・なんつって、信じるか信じないかはあなた次第な話も良く聞くようになりましたが、ベイマックスを見てるとそんな事にならないようドライな感性が大事、と言われているようなw
ちょっと、解釈が飛びすぎたかもしれませんが。
でも、戦闘モードになった時に暴走した姿って、その警告でもあるようにも感じるんですよね。
人間の利害で好き勝手に生み出すけど、ブーメランになった時に困るようなものは創っちゃダメだよ、みたいな。
ベイマックスは、ロボットなので本来感情とか心はないんですが、ケアデータと戦闘データがある事で、まるでベイマックスが何かを考えて戦いを拒否するという判断をしているように思えるんですけど、あれもキャラに感情移入させる良いシーンでしたし、でも本当はそんな事なくて、データさえ切り替えたら人も殺すんだよ、そもそも彼に心や感情はないんだよ、という衝撃のシーンでした。
この辺って、ロボット物が好きな方なら、何を今更って感じなんだろうと思いますが、そもそもSF、ロボットが苦手ジャンルな私には、ベイマックスの見た目(マシュマロ感)とこの家族向けアニメである事で触れられた貴重な体験なんですよ。
だから、いきなり戦闘バージョンのベイマックスだったら拒否感が強かったと思います。
でも、見終わった今、ベイマックスが愛くるしすぎて、考えもしなかった誤算が生まれていますw
そして、Wikiを見て納得した事が1つ。
フレッドのエピソードがただの脇役にしては、結構推してくるなーって感じていました。
特に、途中の金持ちだけなら気にならないのですが、エンドロールでの「父親もヒーローでした」は、あれ? っと。
でも実はこの作品がそもそも「ベイマックス」ではなくて「BIGHERO6」というタイトルだったという事で、納得。
ただ、今度は、その割には作品はベイマックス推しが強いんですけどねw
でも結果的には「ベイマックス」で大正解だと思いました。
ただのヒーロー物とは差別化されたと思いますし、そもそも本作品の主軸は、「ヒロ」の心の成長ストーリーですしね。
ヒロは、天才という不自由ない環境にいるといいつつ、両親がおらず叔母さんと兄で暮らしていました。
その上、その兄を亡くしてしまいます。
だから実は、結構可哀想な面も持っているんですよね。
でも、その不幸を決して売り物にしていない描き方もいいなーと思いましたし、やっぱりヒロが天才で、自分の力であれこれ解決していく、というのがスッキリ爽快でした。
正直、見る前は「ニモ」と「モンスターズインク」みたいな感じで、面白いのは当然、でも何か残るって程ではないんだろうな、とナメていました。
その上、ベイマックスが可愛くないし・・・、と。
ところが、むしろ今ではベイマックスが一番可愛いし、面白さは当たり前で、しっかり感動させられました。
そして、エンタテインメントならではのドキドキハラハラ、海外ドラマのような展開(え、本当の黒幕はこっち?)に素直にわくっとしました。
何より、ヒロが最後まで応援し続けたいと思える、最高の主人公でした。
ある意味変化球なのかもしれませんが、それが私にはビシっと直球で受け止められました。
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