2016年12月23日金曜日

マイノリティ・リポート




スティーヴン・スピルバーグ マイノリティ・リポート DVD

2002年作品

原作 フィリップ・K・ディック 「少数報告」

トム・クルーズ、コリン・ファレル、サマンサ・モートン、マックス・フォン・シドー、ロイス・スミス、ピーター・ストーメア、ティム・ブレイク・ネルソン、スティーヴ・ハリス、キャスリン・モリス、ダニエル・ロンドン、ニール・マクドノー、パトリック・キルパトリック

あらすじ:犯罪を予知するシステムがある近未来。だが、そこに写っていたのは自分が銃を構える姿で・・・。




すでに約15年前の作品ですが、今見ても近未来感にわくわくしました。

【おはなし】

2054年、ワシントンD.C.。
犯罪予防局のチーフ、ジョン(トム・クルーズ)は、過去に息子をさらわれており、その事から犯罪予防に精を出しながらも、ドラッグに手をつけ離婚、という不安定な生活を送っていた。

この犯罪予防システムというのは、特殊な能力を持ったプリコグと呼ばれる3人の人間(アガサ、アーシ&ダニール(双子))が見る殺人の予知夢を解析する、というものだった。
そして、犯罪を未然に防ぐだけではなく、捕まえた容疑者を逮捕して収容するのだった。
町から、危険分子がどんどん取り除かれていくのだから、犯罪が減っていくのは当然だった。
だが、本当にその人物は犯罪を最後まで犯していたのだろうか?

ある日、このシステムの精度に疑問を持つ司法省のダニー(コリン・ファレル)が監査にやってくる。
世界的なシステムになってしまう前に、何か欠陥を見つけ止めようとしていた。

プリコグにも挨拶をしたい、と無理をいい聖域と呼ばれる部屋に通す。
通常は、不正を回避する為、入室禁止になっていたのだが、そこに1人残されたジョンは、突然液体に浮かんで夢を見ていたはずのアガサに抱き着かれ、「あれが見える?」と言われる。
そして見上げると、そこにはアガサが見ているイメージが流れていた。

それは、女性が溺死させられるシーンだった。

通常人間を認識していないはずのアガサが話しかけてきた事に驚きながら、聖域担当のウォーリーが説明する。
プリコグは、時折過去の悪夢を繰り返し見る事があり、それをエコーという。
きっとそれだろう、と。
エコーはデータとしては不必要なものとして、消去される事が多い。

だが、ジョンはそのシーンが気になり、収容所へ行き、過去に水死の事件を起こした人物を探る。
すると、同じイメージを見つけ、被害者はアン・ライブリーだと判明するが、犯人は目で身分証明をする時代に眼球ごと変えていたようで身元不明で、アン自身も所在不明になっていた。

確かに古い事件だったが、アガサだけのイメージを見ようとすると、それがない、と言われてしまう。
本来3人が揃って見ているはずなのに。

そのデータを持ち出し、システムを作った1人であり、恩人のように慕うラマーに相談に行く。
するとラマーは、システム上イメージの改ざんなどは出来ないはず、といいダニーを警戒しろ、と心配する。ジョンのドラッグの事など承知済みのようだった。

その頃、ダニーは案の定、ジョンの弱味であるドラッグ常用の証拠を掴んでいた。

そして、次の事件の予知が出る。

いつものように、ジョンがイメージを探りながら推測を始めると、そのシーンの中に銃を構える自分を見てしまう。

慌てて誤魔化し、仲間にばれないようにするが、はっきりと加害者は自分だと出ていた。
だが、被害者であるリオ・クロウという名前には何の憶えもなかった。

これは何かの罠で、ダニーにはめられたと思うジョン。
聖域からすべてを見ていたウィリーは誤魔化せず「世話になったから2分だけ待って、警報を鳴らす」と言われ、逃げ出す。
これまで追っていた立場が、仲間に追われる立場に。

だが、まったく心当たりがない映像に、完全に嵌められたと思い、逃げ続ける。
向かった先は、ハイネマン博士の家で、彼女がシステムの産みの親だった。

本当にシステムに問題はないのか尋ねると、ある訳がない、と言われてしまう。

もともと、作ろうとして作ったのではなく偶然から産まれたシステム。

ニューロインというドラッグが流行り、粗悪品もあった事から、生まれながらに中毒の子供が沢山いた。
それを看ていたのが博士で、プリコグはもともと彼女の患者だった。
治療の中で、悪夢を見る事がわかり、さらにそれが予知夢である事に気づき、システムに仕上げたのだった。

その内容に間違いはない、と言う。

ただ、ごくまれに1人だけ違う夢を見る事がある、という。
それはマイノリティ・リポートと呼ばれ、存在してしまうとシステムを危険にさらすから、すぐに削除され、この世には存在しない事になっていた。

そのマイノリティ・リポートのオリジナルは、残っているはずだからそれを入手すれば助かるかもしれない、と言われ、アガサの脳から直接データをダウンロードする事に。

そんな話をラマーからは聞いた事がないと言うと、自分が母ならラマーはシステムの父だから、子供の欠陥はあえて見えないふりをしてもおかしくはないだろう、と。
誰も信じるな、とアドバイスを受ける。

追手を避ける為、ジョンは目を入れ替え、オリジナルの目を持って聖域に侵入する。
オマケにもらった整形アイテムで、老人になるが、聖域で会ったウィリーにはすぐに気づかれる。

一方、ダニーはジョンが登場するイメージを探っていたが、そこにさらにもう1人写っている人物を見つける。それはアガサだった。

この事から、ジョンがアガサを狙ってくると気づき、聖域に向かう。

ギリギリでアガサを連れて逃げるジョン。

アガサの脳から直接データをダウンロードする事に成功するが、マイノリティ・リポートというものの存在はなかった。
アン・ライブリーのイメージも同じシーンだけにしか思えず、追加の情報がないまま逃げると、ジョンの殺人予告のイメージに近づいてくる。

そしていよいよクロウの宿泊するホテルの部屋を突き止めるが、部屋に入るとジョンにはそれが運命のように思えた。

ベッドの上は、子供の写真であふれていてその中には、ジョンの息子の写真もあった。
そう、それはさらった犯人の部屋だったのだ。

犯人を目の前にして、息子の生存を確かめるとすでに殺したと言われ愕然とする。
確かに、復讐してもおかしくない状況にジョンは、苦悩するが、思いとどまる。

すると、犯人は「殺してくれないと困る」と口を滑らせる。

実は、自分殺されると家族に金が入る契約になっているのだ、と。

結局クロウは、「息子を殺した事にしておけ」と言われただけで、金欲しさに雇われていたのだった。

となると、ジョンを落とし入れようとする黒幕は誰なのか?

ジョンは、自分の意志で殺人を回避したが、殺されたい犯人がジョンの引き金を引いて死んでしまう。

追いついたダニーは、その現場を見てミスに気づく。

こんなにジョンの息子をさらった真犯人が証拠を山盛りにしているのは不自然だと。
証拠過剰で、これはそもそもジョンをはめる為の罠なのではないか、と。

ジョンの事件は、到着が遅れた人為的ミスによる殺人事件と扱われる。
システムには間違いはなかった、と。

そしてダニーはラマーに、アン・ライブリーのイメージを見せる。
最初にジョンが持ち出したものと、アガサの脳からダウンロードしたもの。
それらを比べると、同じように見えて実は違うと言う事に気づいていた。
その事から、ダニーは「殺人を逃れている人物がいる」と言う。

要は、エコーと思わせる事が出来れば、その映像は不必要なものとして削除される。

その事を知り、予知イメージを見て、それを真似られる高官クラスの人物が真犯人ではないか、と推理を披露する。

すると、ラマーは「今はプリコグが揃っていないから予知はされていない」と言い、ダニーを撃ち殺す。

そこに、ジョンの元妻ララから連絡が入る。
逃げてきたジョンとアガサを匿うという報告だった。
まさかラマーが黒幕だとは思わずに。

ララの家で、つかの間の休息。
ララに「何故あなたが狙われるの?」と聞かれ、ジョンはやっと気が付く。
アン・ライブリーの一件を知った事が原因ではないか、と。

そしてアガサに真犯人を見たかと聞いた瞬間、仲間が到着し、ジョンは収容されてしまう。

ララはラマーを訪ねる。
引退せずに、新局長となり、ジョンの代わりにシステム全国化を続けると言う。

ララがアン・ライブリーの事を訪ねると、誰だかわからないといいつつ、「溺死させられた」と口を滑らせてしまう。
ララが気づいた事を知り、脅しをかけつつも記者会見へ行く。
ジョンの荷物の中にあった目玉と銃を取り、ララは収容所へ行きジョンを連れ出す。

そして、パーティの席。
ジョンはラマーに電話をかけ真実を知った事を伝える。
その時、アガサはまたアン・ライブリーの夢を見るが、それにタイムコードがない事にウィリーが気づく。

そしてその映像をパーティー会場に流す。

ラマーは、ドラッグ中毒から立ち直ったアン・ライブリーに娘アガサを返すよう言われるが、システムには欠かせない人物だったので、母親を殺したかった。
だが、システムがすでにあったので、それをすり抜ける作戦を立てた。

すべてが明らかになると、ラマーはジョンへの殺意を隠さなかった。

それは、そのままアガサ達の予知夢となった。
加害者はラマー、被害者はジョン。

だが、最後ラマーは自殺する。

自ら未来は変えられるという事を証明し、システムは廃止された。

ジョンとララは、関係を修復。

プリコグ達は秘密の場所で静かに人間らしく暮らしていた。

おしまい。

【かんそう】

当時劇場で見たのですが、もう14、5年前の作品になるというのに、今見ても近未来のワクワク感が味わえました。まだまだ未来は遠いんですねw

当時は、手でデータを操るシーンに特にわくっと来ていましたが、あれから今、スマホの時代を経て考えると、なんだか疲れそうだな、と思ってしまったりw

時代でいろいろ感想が変わるのは面白いですね。

犯罪予知システムも最近でこそ、「パーソン・オブ・インタレスト」




でお馴染みですが、「これからはこういうの必要だよな」って思っている今なのに、すでに作品の中で「必要ない」って答えを出していたのが、面白く感じました。

まあ、間違いがある、っていう前提なのと「人間の良心を信じよう」みたいなテーマでもあるのかな、とは思いますが。

原作はSF小説という事で、確かに近未来の設定ではありますが、お話しそのものは、ハラハラドキドキのサスペンスで普遍的なのも、本作の良い所だと思いました。

だからどんなに時代が追い付いて、もしこの世界が若干古いと感じるようになっても、忘れた頃に見たらいつでも楽しめるドラマだと思います。

そういう意味では、かなり王道で、「怪しい人が良い人で、この人は大丈夫って人が黒幕」というパターンなんですけどね。

もはや、サスペンスやミステリーを見過ぎていると、深読みしすぎてぐるぐる回ったりする事が多々あるんですけど、本作はその辺は綺麗にまとまっていました。

コリン演ずる司法省のダニーは、いかにもジョンを落とし入れそうなやな奴に見せて、本当は正義感の強い公平な人だった。

ジョンの味方で、いかにも害がなさそうな老人ラマーが、むしろジョンはもちろん、システムまで利用して私欲を満たしていた・・・という。

まるでロボット? 人造人間のようなアガサの見た目の感じとか、ハイテク周辺が近未来というだけで、そのシステムは実は「予知夢」なんていうファジーな所も、SFという事に構える必要はない感じがします。

が、見て見ないとわからない事ですよね~。

SF苦手な方にはとっつき悪そうですが、エンタテインメント作品としてはとってもわかりやすく、さすがのトム・クル&スピルバーグって感じなので、乗り越えて欲しいな、と思います。

システムの隙をついた手法については、かなり丁寧に2回(コリンとトムそれぞれ)が説明するので、意識的にわかりやすくしているのかな、と思える位。
お陰で、私にも理解できましたから!

そもそもSF苦手なので、実はそれ程劇場で見たいと思ってもいませんでしたが、付き合いで行ったら超面白かった! という良い裏切りでした。

それは今、またTVで見返しても変わりませんでした。

というかSFに苦手意識があるだけで、実は見れば大抵面白いんじゃないか・・・とそろそろ思ってきたり・・・w

それにしても、原作があるんだから当たり前なのかもしれませんが、本当に無駄のない良くまとまっているお話しでした。

ストーリーが楽しめれば、時代背景とか設定なんてそもそも気にする事ではないのか・・・な?

とまで、考えてしまいました。


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