2017年5月10日水曜日

バックドラフト


バックドラフト 【DVD】

1991年作品

カート・ラッセル、ウィリアム・ボールドウィン、ロバート・デ・ニーロ、スコット・グレン、ドナルド・サザーランド、J・T・ウォルシュ、ジェニファー・ジェイソン・リー

あらすじ:幼い頃目の前で消防士の父を失っていた弟。兄は消防士となるが……。




17分隊


アメリカ、シカゴ。
消防士である父を火事現場で失っていた兄弟。
20年後に兄スティーブン(カート・ラッセル)は、父の後を追い17分隊で消防士になっていた。
弟のブライアン(ウィリアム・ボールドウィン)は、一度挫折しその後は職を転々として落ち着かなかったが、今改めて消防学校の卒業を迎えていた。
DNAには逆らえないようだった。

卒業祝いでバーで飲んでいると、消防車が走っていく。
友人と現場へ野次馬として行くと、第一線で働くスティーブンの姿が。
卒業式に出なかった事を責めると、また会おうと言われる。

兄と同じ分隊になるのが嫌でワイロを渡していたブライアンだが、兄はさらにコネを使ってそれを上塗りして、17分隊に配属になっている事を聞かされ、テンションが下がる。

この火災現場では、公認会計士のシーグレイブが犠牲になっていた。
丸焦げになった状態で、車のフロントガラスに突っ込む程の威力で炎と共にふっとばされていた。

初出動


翌朝、兄の家を訪ねると、そこには嫁と息子しか住んでおらず、疎遠になっている間に、夫婦仲は思わしくないようで、スティーブンは家を出ていた。

今の棲家は父親の残したボートで、訪ねると消防署の備品の薬品の缶を見つける。
盗んだのか、というと同じ分隊のアドコックスが廃棄するから、とくれたという。

挫折した過去を責める兄に、今度は本気だとブライアンは言った。

しかし、翌朝、早速ブライアンは遅刻をし出動する消防署に飛び乗った。
出火現場は、縫製工場。
燃えるものは山のようにある。
離れるなと注意されて、兄と一緒に中に入るブライアン。
経費削減の影響で、応援は来なかった。

爆発までする中、下の階に1人取り残されている連絡が入る。
人手が足りず、研修生2人しかいなく、ブライアンではなく同期の友人ティムが選ばれる。

ブライアンは、兄が持つホースのからまりを直していると、どこからか助けを呼ぶ声に気づく。
兄に声を掛けるが届かないようで返事がなく、そのまま1人で探しに行ってしまう。

まるで意志を持つ動物のような炎に翻弄されながらも、倒れている人を見つけて助け出す。
初めての現場で大活躍をした、と思いきや、それは工場のマネキンだった。


調査官に


市議会議員のスウェイザクが、火災現場調査官のシャドー(ロバート・デ・ニーロ)に先日のシーグレイブの報告書を催促していると、無事消火が済んだスティーブンが出てきて、経費削減のせいでもう少しでチーム全滅だった、と嫌味を言った。
スウェイザクの味方をする助手は、ブライアンの再会した女友達のジェニーだった。


その夜開かれたパーティーで、ブライアンはスウェイザクに仕事を頼まれた。
シャドーの助手にならないか、と。
ジェニーは大きなチャンスだと言うが、消防士を目指すブライアンは即答で断った。
だが、その後兄と喧嘩になり、自分が消防士として兄に言い返せないと分かるとジェニーに電話をして、シャドーの助手になるのだった。


シャドーの助手としての仕事で、ロナルド・バーテルの仮釈放の審査に立ち会う事になった。
ブライアンの苗字を見て、「あの時のガキか」と嬉しそうに言った。
おやじとは旧知さ、というが、ブライアンの父を亡くした火災の放火犯こそが、ロナルドだった。
頭に火傷の痕があり、自分も巻き込まれたが、それを助けたシャドーはもっと重症だった。
背中一面大火傷の痕があった。
そんな気が狂ったロナルドを簡単に釈放させない為、シャドーは焦げた人形を見せて揺さぶりをかけ、見事成功させた。


2件目の放火


再び、劇場で経営者のコスグローブが死ぬ火災が発生。
シーグレイブと同様に、丸焦げで吹き飛ばされていた。
シャドーの検証で、火元を特定。
バックドラフトが起きていたと判明。
新たな手口の放火だった。

何か関連はないかと、2体の遺体を比べて調べる事に。
すると、トリクティクロレイトという液体が共通して発見された。
毒性廃棄物事故の処理剤で製造中止になっているが、熱で気化して服に着いていたのだった。

シャドーは2件を同一犯による殺人だと見立てた。


3件目の放火


また火災が発生。犠牲者はホルコム。
アドコックスが応援を待とうと止めるのを振り払って、スティーブンはティムを連れて先に進んだ。
すると、ティムがドアを破った際に連続事件と同様にバックドラフトが発生。火だるまで吹き飛ばされてしまう。
命こそ助かったが、大事故になってしまい上司であるスティーブンの責任を問われる。

病院に駆けつけたブライアンも友人の大怪我に兄を責めると、兄弟で殴り合いを始めて
仲間達もドン引きする。


スウェイザク


シャドーは再びスウェイザクに呼び出されると、報告書を急かされた。
スウェイザクは3人の共通点を何か見落としてるとシャドーに言った。
シーグレイブ、コスグローブ、ホルコムは繋がってるはずだ、と。
だが、ホルコムの名は公表していないのに何故わかるのかとシャドーが逆に問い詰めると、スウェイザクは何も答えなかった。


ブライアンはシャドーにティムの仇を取りたいと、犯人捜しの決意を伝えた。
また、シャドーはスウェイザクに怪しさを感じていた。

シャドーはバックドラフトを意識的に発生させる方法を突き止め、それにはパテを使用すると見立てると、実際に現場でパテが使われているのを見つけた。

そして3人の共通点でもあり、さらにスウェイザクをも結びつける、「レイクサイド」という会社を突き止めたブライアンは、ジェニーを呼び出し何故隠していたのかと責めた。
しかし、ジェニーは初耳だと言う。
資料を見たいと頼むが、ジェニーはレジのバイトから議員に拾われたという恩があるので、信頼を裏切れないと断った。


ジェニーがオフィスに戻ると、スウェイザクは火災調査報告書を読んで、途方に暮れていた。
3人の被害者の事を聞くが、何も隠していないとウソをつかれてジェニーは考え直したようで、こっそりとシカゴ市の予算勧告書をブライアンに渡した。


狙い


それにより、4人が絡む狙いが判った。
議員に人員削減を勧告した調査法人は、他に仕事をしていない、従業員もいなくて私書箱だけの法人だった。
死んだ3人の会計士がデータを作った。
目的は消防署を潰して市民センターを建てる事。
その建築はレイクサイド社が請け負う。
この方式を繰り返して、荒稼ぎをしていたのだろう。

シャドーとブライアンは、スウェイザクの家に話を聞きに行くと、返事はなく、部屋にはガスの匂いがした。
ブライアンは暖炉からガスが漏れているのを見つけ近寄ると、背後から男に襲われる。
揉み合っていると、犯人は火花が出ているコンセントに背中をぶつけて逃げて行った。

シャドーが、ブライアンと犯人に襲われて意識を失っていたスウェイザクを助け出し、ギリギリでバックドラフトに命を奪われるのを防いだ。
だが、入院する羽目になってしまったシャドーは、真相解明まであと一歩という所で寝たきりになってしまった事を悔やむ。


真犯人


そんなシャドーの分も調べを続けるブライアンは、火の専門家としてロナルドに意見を聞きに行く。

ロナルドは、犯人は火を見て楽しむタイプでもない、保険金目当てでもない、と分析する。

手段の情報はないのか、と聞かれ「トリクティクロレイト」と言うと、ニヤッとした。
もうロナルドには察しがついたようだった。

火を楽しむ訳でもなく、火を操ろうとしていて、その薬品を持っているといえば……。

ブライアンははっとして、兄のボートへ行く。
前に見た備品を確かめると、「トリクティクロレイト」の表示があった。

兄がやって来たが、悟られないように誤魔化して去ったが、様子が変な事に勘付かれる。


ブライアンは消防署へ行き、兄のロッカーを探った。
しかし、特に怪しいものは見つからなかった。

その時、シャワールームにアドコックスがいるのに気付く。
すると背中にコンセントの焼き痕が。

犯人はアズコックスだったのだ。


そこにブライアンを追ったスティーブンも到着。
その表情から、「アドコックスか?」と言い出すスティーブンに驚いた。
何故分かったかといえば、あの缶はアドコックスにもらったものだったからだ。

シャドーに話すというブライアンに、スティーブンは俺に任せろと言った。
そんな兄を、グルでは? とまだブライアンは疑った。

そして出動のサイレンが鳴り、スティーブンはアドコックスと共に出動する。
ブライアンも後から別の車で追って17分隊を探す。
すると現場で、言い争いをする2人を見つける。

アドコックス曰く、いとこがスウェイザクの事務所で働いており、あの書類を見つけたという。
スティーブは、備品を使って自分に罪を着せようとしたと責めていた。
「あいつらを許せなかったんだ!
君にいうべきだった。
仲間は人手不足で死んでいるというのに、奴らは大儲けをしている。
皆の為にした」
「ティムは?!」
「事故だ!
何故、応援を待たなかった!」
「だから(知ってて)止めたのか」

3人で言い争っていると、床が崩れ落ちそうになりバラバラに逃げた。

ブライアンはビルから落下するも、放水で水が溜まっていたエレベーターのシャフト落ちる。
しかし、上から次々に燃える落下物が襲ってくる。

大声を出して思わず兄を呼んでいた。
すると、スティーブンはブライアンと助け、次にアドコックスも探して助けようとすると、アドコックスは無事で2人を襲ってきた。
ブライアンは倒れてしまい、スティーブンとのタイマンになるが、下からの爆発で足場が崩れてアドコックスは炎の海に落ちそうになる。
すかさず手を掴んで助けるスティーブン。
手を離せと言われても一緒だ、と離さなかった。

だが、力尽きて2人とも落下。
しかしスティーブンは、なんとか別の足場に落ちて助かるが、大怪我をしていた。
炎の中ホースを操る弟の姿を倒れながら見て「さすが俺の弟だ」と、初めて本音を言った。
兄が弟にきつくあたっていた理由は、ただ現場で無茶をして欲しくなかっただけだった。
だから追い出すようなマネをしていた。

やがて、助けが来てスティーブンの救出は出来たが、2人の間の誤解は解き、そしてアドコックスの事は分隊の名誉の為に言うな、と言って救急車の中で死亡した。


2人の英雄の死を嘆くパレードが進む。

無事退院したシャドーは、スウェイザクの会見中に召喚状を突きつけると、人員削減の偽造の証拠をマスコミの前に差し出した。


ブライアンは消防士に戻って、新人の面倒を見るようになっていた。

おしまい。

かんそう:

90年の初めという事で、まだほんの少し80年代の香りも漂っているような。
途中に、消防士のプロモーションビデオみたいなシーンが入ったりして、緩い感じもありつつ、ストーリーが単なる消防士の活躍を映画にしました、だけではないのが面白くて、以前見た時の好印象が残っていました。

改めて今見ても、面白かったです。

今放送している消防署が舞台のドラマ、シカゴ・ファイアと同じシカゴが舞台だったんですね。



消防署といえば、シカゴという何かお約束でもあるんでしょうか。

それにしても、火災現場の演出は、今見ても迫力があり、映画的な派手さはもちろん、怖さも十分感じられました。
そんな中で人助けに働く消防士をクローズアップするドラマは、本当に普遍的だなーと思います。

本作ではそれに加え、被害者から浮かび上がる放火犯の目的と犯人捜しが加わるので、なかなか見応えもあるんですよね。
しかも、当時で言えばかなり豪華キャストだったのではないでしょうか。
デニーロのちょっとクセのある調査員もそうですが、ドナルド・サザーランドの放火魔役も凄くはまっていました。


個人的に気になったのは、スティーブンの私生活で、ドラマ性を出す為なのか消防署では活躍してるけど、プライベートはダメ男って設定でした。
奥さんがまたひどくて、すでに恋人がいるらしいのに、あまりの落ち込みでスティーブンが家に立ち寄ると、一晩泊めてあげます。
でも翌朝、子供と楽しく過ごしていると、「子供が混乱するから」とさっさと追い出すんです……。

まあ、その一晩は同情しただけで、調子に乗るなよ! って事なのかもしれませんが、酷い!
なのに、追悼パレードではしっかり悲劇の妻として存在してるという……。

まあ、悩めるブライアンに対して、スティーブンだって悩みはあるんだよって事なんでしょうけど。
最後、あっさり死んで終わるというのも、ドラマとしては結構シビアで、忘れて見ているとなかなかの驚きでした。
途中死ねる所いっぱいあって、それでも生き延びてきたのに、最後の最後に死ぬんだ、という驚き!


厳しさと緩さが共存していて、いろんな意味で面白いドラマだと思いました。


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