2017年5月8日月曜日

ブラッド・ワーク



  クリント・イーストウッド ブラッド・ワーク 特別版 DVD

2002年作品
原作有り

クリント・イーストウッド、ジェフ・ダニエルズ、アンジェリカ・ヒューストン、ワンダ・デ・ジーザス、ティナ・リフォード

あらすじ:心臓移植をして引退していた元FBI捜査官の元に、捜査して欲しいと女性が現れて……。




コード・キラー


FBI捜査官のテリー・マッケイレブ(クリント・イーストウッド)は、コード・キラーというシリアルキラーを追っていた。
現場に暗号めいた数字(903 472 568)を残す事からついた名前だが、数字と共にテリーに名指しのメッセージまで残すようになっていた。

ある事件現場で、コード・キラーらしき人物に気づき追い詰める、だがその途中で、テリーは心臓発作を起こしてしまう。

それに気づいた犯人は、戻ってテリーの様子を見た。
近づいてきた所へ発砲するが、犯人は逃走していった。

2年後


そして今、テリーは心臓移植の手術を終えていた。
FBIは辞めて、船の上でのんびりと生活していた。
バディ(ジェフ・ダニエルズ)というご近所さんも出来ていた。

ある日テリーの船に、客が来る。
新聞で「最高の捜査官」と掲載されたテリーを知ったという。
グラシエラ・リバースといい、1枚の写真を見せて助けを求めてきた。
母と息子が映る写真だが、あなたの為でもあるから見てと言われる。
しかし、引退しているテリーは何もできないと断る。
すると、「妹の心臓があなたに」と言い出す。

移植の詳細は、通常公表されないはずだが、2人の血液型は珍しいAB型CMV抗体陰性で、妹が死んだ翌日に移植手術をしている事で、ピンと来たのだという。

それを聞き、さすがに無視できなくなったテリーは夜、電話をして恩返しだと、引き受ける。

妹のグローリア・トレースは、スーパーの強盗に撃たれて死んでいたが、犯人は捕まっていないのだった。

善きサマリア人


テリーは、最初にロス市警に事件について聞きに行くが、もともと折り合いが悪かった事もあり、それ程協力はしてもらえなかった。
それでも、事件が映っている防犯カメラの映像を見せてもらえる事に。

カンの店というスーパーのレジにグローリアが居る時に、強盗が押し入り、グローリアと店主を射殺。
だが、その直後「善きサマリア人」と名付けられた男性が入ってきて、グローリアの頭にペーパータオルで止血をし、その後匿名で通報し姿を消していた。

通報時の発音からラテン系の恐らく不法入国者ではないか。
だから名乗れない。
犯人かその車を見ているはずなのに、と市警は惜しんでいた。

テリーはビデオの時間をメモした。
するとマスクをしている犯人が、カメラに向かってウインクをしているのに気づく。

サマリア人の来店した時間もメモをする。

テリーはこのビデオを見ただけで、星には同じような前科がある、と言うと、刑事たちが目を合わせる。

他にも同様の事件があったのだ。
しかし上司の許可を得ないと他の資料は見せられないと、テリーを追い返す。


カンの店に行ったテリー。
すると、店の前に1台の車が停まっていていつの間にか消えていたのに気付く。

ATM殺人事件


保安官事務所へ、ウィンストン刑事という元同僚にも会いに行った。
カンの店の事件の2週間前に起きていた「ATM殺人事件」について聞きに行く。
被害者はジェームス・コーデル。スキーマスクの男に射殺されていた。
2つの事件は同一犯だと睨んでいた。

ついでに、ロス市警で断られた資料のコピーも頼んだ。

ATM事件のビデオを見て、武器が同じ9ミリのサブマシンガンである事を確認。
ビデオに向かって、やはり何か話している。
落ちた薬きょうも身バレを防ぐ為拾っている。

通報したのは、ロックリッジ。
駐車場に入る時セダンと衝突しかけたという。
相手の運転手は白人男性。
だが、夜だった為、それ位しか分からない。
被害者は搬送中に死亡していた。

サブマシンガンは強盗が使うには高価すぎるし、繰り返し使っているのも妙だった。

盗品の線で洗ったけど何も出なかった。
視点を変える必要があった。

テリーは、ATM事件の捜査資料コピーも要求した。


通報者のロックリッジ(コンピューター関係)に会うと、警察はバカだと言った。
被害者を見つけて通報したのに、場所を間違えて到着に20分も掛かった。
そのせいで被害者は死んだんだ、と。


現場であるATMにテリーが行くと、背後に不気味な男が立っていて驚く。
サングラスに十字のイヤリングを片耳にしてた。
慌ててその場を立ち去った。


翌日テリーはバディに運転手を頼んで、調査をした。
病院にも寄ったが、術後60日なのに無茶をしているとわかると怒られる。
しかし、当然無視をしてその日の目的地へ向かう。

トリバー金属工業にいる、ボロトフに会いに。
テリーのプロファイリングで浮かび上がった男だった。

グローリア殺害現場の近所に住み、銃が盗まれた場所のすぐ近くが職場。
当時も調査はしたが、タイムカードがアリバイとなっていた。

だが、タイムカードを他の人が押す事も可能だろうと、テリーは呼び出してもらう。
ボロトフはテリーが刑事じゃないとわかると暴力を振るおうとしてきたが、その時バディと職員が入ってきて止めようとした。
すると、ボロトフは部屋の窓を突き破って階下へ飛び降り、そのまま逃走した。


ボロトフの逃走を知ると、ウィンストンに怒られるテリー。
上司からも首を挟むなと言われてると言いながらも、ビデオにあった犯人の口の動きが「ハッピーバレンタイン」である事を教えてくれた。


夜、グラシエラとグローリアが残した息子が船に来た。
グローリアのプロファイリングの為、テリーが呼んでいたのだった。
ジェームス・コーデルと何か関係があったはずだが、グラシエラは聞いた事はなかった。

だが、1つ気がかりがあると言い出す。
お守り代わりにしていた、イヤリングが遺留品になかったという。
それが十字架のぶらさがったイヤリングだと聞き、ATMで会った男を想い出した。

繋がり



翌日もバディに運転を頼んで砂漠へ向かった。
車中で、バディは殺人鬼を追ってた気分をテリーに聞くとただの仕事だ、と言った。
更にメッセージを残した犯人はいたか、と聞くと1人だけだ、と。
テリーの様子に、余計な事を聞いたと謝ろうとすると、テリーは全てがつながってた、と話し出す。
「全盛期にはあらゆるものに繋がりを感じた。
現場、事件、犯人。
何もかも、自分の一部のようだった。
その感覚が戻ってきた」
そんなテリーにバディは
「すげえ! 運転手のほうがいい。俺ならちびってる」
とおどけた。
そして、「俺は負け犬だ」と言い、そんな事はないと言うテリーに「友達なら正直でいろ」と言った。


砂漠での目的はコーデル夫人に会う事だった。
グローリアの写真を見せるが知らなかった。
同じように遺留品に欠けているものないか、と聞くが特に気づいてはいなかった。

家の前に停まる車に目をつけると、事件以来見ていないと言った。
中を調べると、いつもミラーにかけていたサングラスがない、と言い出す。
ブランド独特のタイプのものだという。

テリーは、またしてもATMで会った男を想い出す。
そして、車の足元に献血のステッカーが落ちているのも見た。


再びウィンストン刑事を訪ねると、向こうも待っていたと言われる。
ボロトフが遺体で見つかっていたのだった。
その発見場所は、ロス市警との管轄の境界にあった事から担当は未定。
現場には、ロス市警の刑事も来ていた。

9ミリの銃での自殺と見立てられていたが、テリーは行動パターンが違うと言う。
テリーが突き止めていた戦利品の話を言うと、市警がサングラスとイヤリングをすでに見つけていた。

その時、遺体の口から38口径の銃弾が発見される。

9ミリではない。
犯人は、あえて境界に遺体を置いた?
そのおかげで市警との口論で終った。


船に帰ったテリーは、バディにお礼の支払いで小切手を用意する約束をする。
宛名を確認すると、バディではなくジャスパー・ヌーンだという。
ヌーンの綴りはNOONEだと確認する。


その後、グラシエラがグローリアの行動パターンを書きだしたと、やってきた。
それを見ながら話していると、2か月に1回献血をしていた事がわかる。

そして、コーデルの車の中で見た献血シールを想い出す。
やっと見つけた共通点だった。

夫人に連絡するが留守電になってしまったので、グラシエラと共に病院へ行く事にする。
息子は、バディに子守りを頼んだ。



病院へ行き、テリーの主治医にコーデルの血液型を調べて欲しいと頼む。
捜査に反対していたが、テリーが血液検査を受ける事を条件に承諾する。

すると、コーデルもグローリアと同じ、AB型CMV抗体陰性で、ドナー登録もしていた。

グローリアが持つ特別なものを見落としていたのだった。
一部の人間にはとても魅力的である血液型。
そう、テリーにとっても。

グローリアが殺されたのは頭を撃たれたせい。
脳死状態は、臓器移植には最適な状況。
だが、コーデルの時は警察がミスをしていた。

もしや、テリーの為に……?!


テリーは、ウィンストンにも声を掛けカンの店に行く。
もう一度ビデオを見るが、911の通報のテープの時間を再確認する。
すると、実は通報の方が早かったと言う事に気づく。

通報者が犯人。
撃つ前に救急車を呼んでいたのは、臓器の為。
ドナーリストを手に入れるには、不正アクセスをする必要がある。
コーデル通報者のロックリッジならそれも可能だ。

すべての繋がりに気づき、車に乗ろうとするとテリーは、また1台の車に気づく。
銃を持ちだし向けると慌てて走り去っていく。
以前見たのと同じ車だ。
発砲するが、命中はしなかった。

ウィンストンと共に、ロックリッジに会いに行くが、職場は無断欠勤。
家に行くと妻が殺されていた。
ロックリッジを指名手配する。


船に戻ると、グラシエラとグローリアの息子が船に居た。
息子が机の上にあったコードキラーの切り抜きを見て、「1(ワン)がない」と言い出す。
ノー・ワン、だ。


夜、デッキに不信な気配を感じ海に突き落とすと、ロス市警の刑事2人だった。
新たな事件に呼びに来たのだった。

現場に行くと、そこは以前テリーが心臓発作を起こした場所で、ロックリッジの遺体があった。

そしてコード・キラーの「ハッピーバレンタイン」メッセージが。

マスコミを振り払い、突然新聞の束に向かって銃を撃つテリー。

2年前コード・キラーに発砲したのが、同じ38口径だった。
それが、ボロトフの口に入れられていた。

テリーが復帰して、コード・キラーも戻ったのだ。


船に戻り、バディに書いた小切手を手に取るテリー。
宛名のNOONEは、ノー・ワンと読める。

バディは船内でハーモニカを吹いていた。
グラシエラと子供は帰って行ったという。

部屋の中のトレイにいくつかのアクセサリーがあるのが目に入る。

「いつから隣に?」
「あんたの1週間後に」

もうテリーは確信していた。

銃をつきつけシャツを上げさせると、背中に銃弾の痕があった。

「何時気付いた?」
「小切手だ」
「あんたを殺せた。ATMでもカンの店でも」

グラシエラと息子はすでに人質に取られていると知り、バディを撃つ事が出来ないテリー。
だが、バディが逃走しようと背中を見せた隙に腕を撃ち、止血して2人の所へ連れて行け、と形勢を逆転させた。


2人は座礁した船に監禁されていた。
息子はテリーと同じ珍しい血液型だから傷つけはしない、と言うバディ。
そこまでテリーに固執していたのだった。


部屋の鍵を投げてその隙に海に飛び込んで逃げたバディ。
2人を救出するが、バディも武器を取る。

テリーは2人を乗ってきた船に逃がすと、バディもその船に乗り込んだ。
姉がスピードを出して船を追突し、バディは衝撃で海に落ちる。

テリーがバディに銃を突きつけ、「お前なんか必要ないと友達なら正直に」と言い、止めを刺した。
だが、まだバディは息があり、「命の恩人なのに」と水面から顔を出して言うと、グラシエラが海に沈めた。


そして無事解決後――。
3人で家族のように海に出ていた。

おしまい


かんそう


何度か見ていますが、忘れても、覚えていても見応えある作品だと思います。
さすがの原作物という事で、ストーリーはとにかく良く出来ています。

自分が追っていたシリアル・キラーが、自分の心臓移植の為の心臓を用意してくれていた、なんてゾっとしますが、作風的にはあまりどぎつい描写はなく、ドライな感じなのであまりそういうドロドロした感じはなく、単純に「犯人捜し」に集中できると思います。

ただ、それ故にかなり良くできているにもかかわらず、ちょっと地味な印象になっているような気も。


最後にバディが「友達なら正直でいてくれ」と言った言葉をテリーが受け取った形になりますが、そこは「友達じゃねーし」じゃないんだ、とちょっと思ったりw

特殊な血液型に誰も気づかないのか、とかバディの船に1度も行ってないんだ、とかツッコミ所がない訳ではありませんが、細かい事には目をつぶってバディに振り回されたほうが、楽しいと思いました。

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