2017年5月15日月曜日

悪の法則



リドリー・スコット 悪の法則 DVD

2013年作品
監督リドリー・スコット

マイケル・ファスベンダー、ペネロペ・クルス、キャメロン・ディアス、ハビエル・バルデム、ブラッド・ピット、ロージー・ペレス、ジョン・レグイザモ、ディーン・ノリス、ヴェリボール・トピッチ


あらすじ:1度だけ裏社会で金を稼ごうと思った弁護士だが……。



警告の石


カウンセラー(弁護士、マイケル・ファスベンダー)は恋人ローラ(ペネロペ・クルス)にプロポーズする為に、アムステルダムでダイヤの石を買っていた。
ローラの事は欠点は何もないとベタ惚れだった。
ローラは、おっとりしているのか、カウンセラーの離婚歴を心配しつつも教会での式が挙げられると喜び、彼の仕事の内容などはあまり気にしていないようだった。


カウンセラーは、気兼ねなくつけられるもので、大きすぎると不安になるだろうと店員に言うと、あなたが思う以上に女性は勇敢だと言われる。

最初に見せられた石は店員お勧めの高価なものだった。
ダイヤを評価する場合、常に欠点が基本になる、という。
長所を探すのではなく、欠点だけを見る。
皮肉な商売ですという店員のお勧めを正直に高いといい、2つ目に”警告の石”を見せてもらう。

すべてのダイヤは警告を発している。
いかに代価を支払おうとも石の「永遠性」を追い求めようとする。
それが宝飾品の神髄では?
愛する人を宝石で飾る事は命のはかなさを知り、それを賞賛する事です。
死神に向かって「闇の力には負けぬ」と宣言する。
不滅の石で永遠の命を願うのです。
いつか分かります。


ボリート


顧客であるライナーのパーティーにカウンセラーが行く。
ライナー(ハビエル・バルデム)は、レストランやクラブなどの経営をしており、チーターの刺青を入れるマルキナ(キャメロン・ディアス)という恋人がいた。

ライナーと2人きりになると、新しい仕事についてローラには言っていないというカウンセラー。
裏社会に足を踏み入れようとするカウンセラーに、道徳的決断を迫られる時が突然来るだろう、とライナーが言う。
カウンセラーは本職にする気はない、と1度だけである事を仄めかす。
だが、ライナーは念を入れるようにボリートという殺人装置の話をする。
それは、首にワイヤーを巻きつけて、切断するという恐ろしい装置だった。
はめられたら最後、逃れる術はない。


ローラの予言


ライナーの店のテーブルにつくカウンセラーとローラ。
そこでカウンセラーはローラにプロポーズをした。
ダイヤは一度は断った、高価だと言っていたものだった。
カウンセラーは、このダイヤの為に裏社会での一儲けを決心したのだろう。

死ぬまで君を愛するというと、ローラは私が先に死ぬ、と何気なく言った。


ダイヤの価値


スパでカウンセラーから貰ったダイヤをローラはマルキナに見せた。
値段やカラットを聞かれると知らないと言い、マルキナを呆れさせる。
マルキナがダイヤを詳しく値踏みすると、相当高価だと判断した。


ウェストリーからの忠告


カウンセラーは、ライナーに正式に参加する返事をすると、ウェストリー(ブラッド・ピット)と会った。
金の使い方、純利益などをウェストリーに質問すると、メモを取ろうとして注意された。
まるで、裏社会のルールを知らないカウンセラー。

そこでマルキナの話題になり、よく知らないとカウンセラーが言うと、心が読めない相手は気を付けろとウェストリーに言われる。

カウンセラーはライナーと店も共同出資しようとしていた。

ウェストリーは、カウンセラーに忠告を続ける。

「フアレスでは去年3000人殺された。奴らは別の種族だよ。肝臓をえぐり、犬に食わせる。
やるなら根性を鍛えろ。
ある映画でミッキー・ロークが言った。それが俺の忠告だ。やめておけ」
「放火は重罪だ」
「そうとも、これもだ」
警告ばかりが続く事に面を食らうカウンセラー。

「コーショナリー。スコットランドでは損失の際の人質を意味する。
損失を出した者より、人質のほうに価値があったら?
俺はヤバくなれば金を持って一瞬で姿を消す。
何も残さずにこの商売から完璧にズラかる」
「なぜそうしない?」
「理由は簡単。女だよ」

そして別れ際に再び警告をする。

「頭の切断などはごく普通の事。ただの見せしめ。邪魔者を消す為の作業だ。
だが奴らが殺そうと狙うのは? 
あんただ。カウンセラー」


テキサス州立刑務所


ルーシーという女の受刑者に面会をするカウンセラー。
すると、フォート・ハンコックで息子がバイクのスピード違反で捕まったから罰金を払って出して欲しいと頼まれる。
400ドルの罰金というカウンセラーにとっては、大した金額ではないが勿体つけて恩を売った。


デザート・スター下水処理社


ドラッグを隠したバキューム・カーが到着する。
車に着けていた機器外して渡し、金を受け取る運転手。

その外した機器は、バイカーに渡して別の運転手の元へ運ぶという算段のようだった。
だが、そこを監視していた2名の男女によって、横取りされる。
バイカーがヘルメットの中に機器を隠したのを確認したので、通り道にワイヤーを張り、首ごと切断して手に入れた。
それは、ドラッグが積みこまれたバキューム・カーを手に入れた事を意味する。

男女は、マルキナの手下だった。
そしてバイカーは、カウンセラーが罰金を払い釈放していた男だった。


ライナーの予感


ライナーは突然、マルキナとの性生活をカウンセラーに愚痴り出した。
話すべきじゃない、というカウンセラーに、聞いて欲しかったと言う。
「なぜか怖かったんだよ。時々そう感じる。彼女が恐ろしい。
惚れてるが、そのせいで不安なのか。魅入られてる感じだ。
甘美なる死に」
「我々の仕事と何の関係が?」
「分からない。
あんたが正しい。話すべきじゃなかった。忘れてくれ」
「どうやって?」


問題


ウェストリーから電話で問題が起きた、と呼び出されるカウンセラー。
待ち合わせ場所に行くと、首なし死体が一面記事になった新聞を読んでいた。
バイカーがグリーン・ホーネットと呼ばれる運び屋である事も、知らないカウンセラー。
それは、裏社会を知らないのだからしょうがないとしても、新聞の一面で話題になっている事件すら知らないようで、ウェストリーは呆れた。

そして、カウンセラーはこれだけでは、まだ自分の立場にすら気づいていない。
「卸元から電話であんたと話したいと。バイカーは連中の手下でブツは不明。
バイカーはあんたの依頼人だとか」
母親の担当で、偶然釈放させただけだと主張するが、それで組織が説得出来る訳がない。
さらに麻薬が消えているのだから。
そこまで言われてやっと、頭を抱え出すカウンセラー。
「俺たち全員グルと思われてる。2000万ものブツが消えた。連中は容赦しない」
そしてスナッフ・フィルムの話をする。
「つまり弁護士さん。彼らに出来ない事があると思うだろうが、何もない。
どうする気かは知らないが、もう打つ手はないと思え。
裏社会に足を踏み入れ、自分は無関係とは甘すぎる。
あんた1人の終わりじゃない。
皆道連れだ」

涙が止まらないカウンセラー。
携帯を捨てて、借りた携帯でローラに連絡を入れ、しばらく会えない事を伝えた。


奪い合い


マルキナの手下が横取りしたトラックがパトカーに停められた。
だが、それは警察に成りすましたカルテルだとすぐに気づく。
警官の1人は撃ち殺すが、1人に反撃されトラックを奪い返されてしまった。


ライナー


クラブから2匹のチーターを乗せ車で出ると、交差点で車に囲まれ、狙われている事を知る。
追い込まれると、生きたまま捕まえろと言われていたのに、頭を撃たれて死んでしまう。

側で見ていた子供達が、遺体から装飾品を奪う。
だが、車から出てきたチーターに驚いて逃げていった。

カウンセラーがウェストリーに電話をかけると、動きが遅すぎると言われる。
ライナーにはもうつながらない。
「あんたの為に死ぬような友達はいない。
達者でな」


ローラ


どうしても会いたいと言う事で、カウンセラーとローラは遠くへ行こうと、待ち合わせをした。
その為、ローラが空港の駐車場に着くと1台のバンから男が降りてきて、明らかにつけ狙われる。
いよいよ走り出すと、追い掛けられ容赦なくバンに連れ込まれてしまった。

待っているカウンセラーの元にローラが来る事はもうない。



エルナンデス弁護士


エルナンデス弁護士に助けを求めてオフィスに行ったカウンセラー。
「電話はしました。結果がどうであろうと私を巻き込まないでください。
金はいらない、我々は同業者だ、握手でいいです」
ローラ捜索を依頼したようだ。


マルキナ


電話で話すマルキナ。

「私が雇った2人は、2日前テキサスで消息不明。
だから保安官に電話し、ハイウェイに死体を見つけた。
私はブツを諦めはしない。肝に銘じておいて。
トラックの行き先は当然知ってる。
私を甘く見ない事ね」

マルキナは、カウンセラーとライナーとの会話も盗聴していたが、一体誰と話しているのか。


シカゴ


トラックが予定通りシカゴに到着した。

ドラム缶の中にはブツだけではなく遺体も入っていた。
到着を待っていた売人になぜ遺体がと聞かれ、答える。
「奴らにはジョークなんだ。面白いと思ってる。
この商売、ユーモアが大事だ。
意味なんてない。永遠にトラックに乗せられ、クソを吸い続ける遺体ごと転売ばされるかも」


現実


卸元に電話をするカウンセラー。
だが、裏社会の事はもちろん、現実の事も考えが足りないカウンセラーとはまったく会話がかみ合わなかった。

「提案に従う」
「提案などない」
「どこかで会おう」
「電話で十分だ」
「状況を分かって欲しい」
「分かってるよ」
この場に及んで、まだ逃げ道があると甘い事を考えるカウンセラーに、丁寧に説明する。

「行為が結果になり、それによって違う世界が広がる。
砂漠に埋められた死体も1つの世界。置きっぱなしの死体も別の世界。
初めて知るそれらの世界も実は前から存在してた。

犯した過ちを取り消そうする世界は、過ちを犯した世界とはもはや違う。
今あなたは岐路にいて、道を選びたいと思う。
だが選択は出来ない。
選択はずっと前に行われたのだ。

思慮深い人間ほど時として、現実世界から遠くにいる。
誰であれ、やがて訪れる悲劇を受け入れるよう努力しなければならない。
だがそれが出来る者は少ない。

マチャードを知ってるか?

”旅人よ 道はない 歩く事で道はできる”

優れた詩人だ。

マチャードは、学校教師で若く美しい娘と結婚した。
妻を深く愛したが、彼女は死に彼は偉大な詩人になった。

例え詩人になっても、あなたは救われない。

マチャードはすべての物語や詩を引き換えにしても、1時間でも長く妻といたかった。
悲しみに交換のルールは適用できない。
悲しみに価値はつけられないから。

人は国を売り払っても悲しみと交換しようとするが、悲しみでは何も買えない。
何故なら悲しみには価値がないから」

カウンセラーはそれでもまだ交換が可能なのか、ととぼけた事を言って現実を拒み続けた。

長々話してもピンと来ないカウンセラーに、他にも電話をかけないといけないし、出来れば昼寝もしたいといって卸元は電話を切った。


ロンドン


ウェストリーは、宣言していた通りさっさと1人でロンドンに逃亡していた。
インターナショナルホテルにチェックインすると、いかにもハニートラップなグラマラスなブロンド女性が隣に。
なのにまんまと声を掛けてしまうウェストリー。

そしてブロンド女性はマルキナと会っていた。
彼女もマルキナの手先で、ウェストリーの社会保障番号、運転免許証の番号などを盗ませていたのだった。

もう用はなくなったのだろう、ウェストリーが街を歩いていると、ライナーがカウンセラーに話していたボリートで首を切られて処刑された。
その時落としたバッグは回収され、マルキナの元へ。

マルキナはバッグからPCを取り出し、入手済みのIDとパスワードを利用してログインする。
ウェストリーの資産を手に入れた。


DVD-ROM


カウンセラーが汚い部屋に隠れているとノックが。
出て行くと封筒が置かれていて、あたかも使いの子供が去って行った。
中を開けると、1枚のDVD-ROMが出てきた。

観なくてもわかる。
カウンセラーの脳裏に浮かぶのは、ウェストリーから聞いたスナッフ・フィルムの話だろう。

ローラの死を悟り、泣き崩れた。


ハンター


投資アドバイザーと会うマルキナ。

この後は香港に行くつもりらしい。
資産は、キャッシュではなくダイヤで持っていく。
そして、アドバイザーにはもう手を引くように指示をした。

2匹のチーターの事を聞かれると、シルヴィアは死んで、ラウールはアリゾナで生きていると言って2匹の姿を懐かしんだ。

「時速110キロで砂漠を走り野ウサギを狩る姿。見飽きない。
優雅に獲物を殺す姿を見てると心が震える。性的にも。

ハンターには、優雅と美しさがある。
限りなく澄み切った心もね。

美しい姿とその習性は表裏一体なのよ。
習性とは殺すこと。

私達人間とはまるで違うわね。
心の弱さが破滅の果てへと導く。

同意しないかもしれないけど、臆病者こそ残酷よ。

これから始まる殺し合いは、凄惨を極めるわ」


おしまい






かんそう:


1回目は、正直物語についていくのが大変でした。
何が始まっているのか、いないのかもわからない位。

でも、見終わる頃にはこの作品がメッセージまみれであると理解し、凄い! と思いました。

2回目は、注意してみると本当にあちこちに伏線未満のサインがちりばめられている事に気づきました。


大雑把にいうと、物語のほとんどが伏線で、最後の最後ですべての種明かしをしてくれるといった感じ。
ストーリーも単純で、裏社会を知らない嫌な男が、ちょっと欲を出したばかりに足を踏み入れ、そしてビギナーズラックどころか一瞬で餌食になりました、というだけのお話。
しかも決して騙された等ではなく、周囲からの警告を受けまくっていたのに。
自分は大丈夫という、過信と甘さの塊でした。

まあ、欲はほどほどにしておかないと痛い目にあうよ、裏社会を遊び半分で覗いてはいけないよ、というこの映画自体が「警告」なんですよね。

この裏社会というのが、珍しい設定ではないですが、本作ではかなりリアルでえげつないです。
豪華なキャストでわーって飛びつくと、ちょっと痛い目に合うかもしれないくらいに。

作中で、裏社会に足を踏み入れる「警告」として説明される出来事は、一般的には非現実的な物事ばかりですが、それは確かにこの世に存在する「現実」なんですよね。

ドラッグと死体が積みこまれたバキュームカー。
ボリート。
スナッフ・フィルム。

等々、映画の為の想像物ではない。

本当に恐ろしいです。
でもだからこそ、カウンセラーが軽い気持ちで選んだ選択の重みが利いてくるわけです。

また豪華なキャストは、そんな恐ろしい現実を少しでもエンタテインメントとして成立させる為には必要不可欠なんだな、と思えます。

メインはもちろん、ドラム缶の死体を語る一作業員とディーラーのそれだけのシーンですが、ジョン・レグイザモとディーン・ノリスという知れた顔だから、今見てるものが創られたものだと確認できて、ほっと出来ました。


本作のタイトルにもなっているカウンセラーですが、真の主役はダークヒロインのマルキナだと思います。
チーターを愛し、まさにチーターのようにハントをするのが生き様となっているマルキナ。
彼女については、恋人であるライナーが、「魅入られるように愛すると同時に、恐ろしさを感じる。甘美なる死に」と言っています。
そう、3人のメンズの中ではもっとも考えなしのアホだと言われていたライナーでさえも、さすがに裏社会を知るだけあって、マルキナの危険さには気づいていたんですよね。
それでも、「最期には(あたしはその時にはもういないから)ひとりよ」と言われても、「君を失いたくない」と惚れ込んでいた。

この盲目さが、カウンセラーのローラに対するものと同じなようで、ちょっと印象が違うのは、マルキナとローラの違いでしょうね。


カウンセラーは、自信過剰でこれまでは挫折などもしらないお坊ちゃまだったのかな、と思える人物。
離婚歴が、弁護士としても、顧客に恨まれるような適当さがあったよう。実際、刑務所のルーシーとの面会で人を見下した嫌な奴の一面がわかります。恐らく相手によって態度を変えたり、足元を見る嫌な奴なんでしょう。
ローラとの出会いから、さらなる欲を出してしまったのが運の尽き。

ローラは、美しく、教会で懺悔をし、もらったダイヤの価値にも無関心を装う慎み深い女性。
でも、その無関心さが良い事ばかりではなく、カウンセラーがなぜこんな高価なダイヤを贈れるのか、カウンセラーが良い所しか見せていない等の疑問を持つ事なく自分で自分がした死の予言を現実にしてしまう。
(プロポーズ時の「私が先に死ぬ」)

ウェストリーは、裏社会にはまっているだけあって注意深くしているつもりだったが、自分でもわかっている「女」という弱点で、自分に止めを刺してしまった。
あんな見えみえのハニートラップに引っかかるとは。
ロンドンまで来たんだから大丈夫だろう、という油断ありすぎ。

ライナーは、考えなしの派手好きで、欲まみれ。
頭が使えればマルキナの永遠のつがいになれたのかもしれないけど、あえて自分から命を捧げる獲物でしかなかった。
ただ、マルキナは序盤のパーティーで、ライナーを自分のお金でカリブのバルバドスへ行かせようとしているんです。

これはマルキナの助け船で、気付けばライナーは手を引くチャンスだったのでしょうか?
でも、マルキナに追い出されるような気がして乗り気ではなかったのかな。

アホ・キャラだからしょうがなかったのかな。

とにかく、最後に生き残ったのはマルキナとカウンセラーですが、カウンセラーは時間の問題でしょう。
逃げる術も裏社会で生きる術も、何も知らないカウンセラー。
居場所は簡単にバレ、いつでもカルテルの思うままです。
そもそも、もはや生きてる事ですら地獄になっている程、生かされている状態。

マルキナは、どこから仕組んでいたのか、恋人ライナーを利用して麻薬を横取りして儲けようとした。
そこに、カウンセラーが関わったのは幸か不幸か。
自分のしたことを、カウンセラーの仕業に押し付ける事が出来ています。
マルキナが盗聴していたシーンがあるので、カウンセラーの参加が作戦の要になった可能性はありますね。

マルキナは一見、派手でリッチなセレブであって裏社会は感じさせませんが、一番裏社会そのものでした。
ボリートも、ワイヤーでの首切断も、カルテルではなくマルキナの手下のした事ですから。

また「世界」がある事を日頃から理解していました。
(真面目なローラを下ネタでからかって「不思議な世界」「この世が?」「あなたの世界よ」)


そして、今回は大成功にはならなかったけど、諦めない、と。
マルキナは何を目指しているんでしょうね。


マルキナとライナーは2匹のチーターを飼っていたのですが、この2匹はまさにマルキナとライナーを現しているように感じました。
1匹は死に、1匹はまたアリゾナでハントして生きる。

出会った時は、どうやらマルキナの1頭(メス)だけだったようです。

マルキナとライナーのファンにはたまらない2人の出会い、特別映像で確認できました。

GAS STATION


名前から察するに、死んだシルヴィアはメスなんでしょうけど、それは意外でした。
生き残るならメスだろうと思った。
でも、ライナーとマルキナの関係は、男女が逆転しているようにも思えますね。
マルキナの方が生命力があって、男っぽい。

だからこそ、どこか孤独なマルキナに、感情移入するあまり同情すら感じてしまう。
マルキナからすれば獲物でしかないカウンセラーとローラでしたが、2人が盲目的に愛し合う姿はどこか嫉妬を感じる事はなかったのかな。
さらに死が2人の絆を永遠の物にしましたからね。
マルキナはライナーを失っても、悲しみとして感じられたのかどうか。


本作の見応えとしてはファッションもかなり重要な要素になっていました。
エンドロールで確認できますが、

カウンセラー エンポリオ・アルマーニ
ローラ ジョルジオ・アルマーニ
ライナー ジャンニ・ヴェルサーチ
マルキナ トーマス・ワイルド

という豪華さ。

まず、目につくのはライナーの派手なヴェルサーチですが、これはクレジットがなくてもわかりますね。
でも、ジャンニとあるように、ヴィンテージ物が使われているようです。
ライナーの派手キャラは、死んでしまうには惜しい唯一無二でした。

面白いのはアルマーニ・カップルで、これを最初に知ってみたらまた印象が変わると思いました。
ローラはファーストであるジョルジオで、カウンセラーがディフュージョンのエンポリオなんです!

ブランドの中でも、ざっくり言えば価格帯が違う扱いで、ファーストに比べるとエンポリオは、お求めやすい設定になります。(といっても、十分高価ではありますが)

これだけで、ローラは高級品、カウンセラーは若干背伸びの印象が感じられます。
ローラの為に、エンポリオしか着れない男が高級なダイヤを買う為に、裏社会のビジネスにからもうとした。

そんな背景が読み取れました。

マルキナのトーマス・ワイルドは全編素敵でした。
こんな人がこの世に居るのかと思えるくらい。
というか、キャメロン・ディアスはこの役で印象変わりました。
大成功だと思いますが、配役を考えた人は凄いと思います。
この成功はなかなか想像できない、日頃のキャメロンのスマイルハッピーなイメージとはかけ離れていますから。

とにかく、マルキナへの好感度がこの作品そのものの好感度と言っても間違いではない位、作品と一体化してました。

裏社会では生き残る事が正義だとすれば、マルキナが一番正義なんですよね。


続編がありそうな終わり方をしているので、期待しているのですが……。


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