2017年4月17日月曜日

ミスティック・リバー



クリント・イーストウッド ミスティック・リバー DVD

2003年作品
原作小説有り

ショーン・ペン、ティム・ロビンス、ケヴィン・ベーコン、ローレンス・フィッシュバーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローラ・リニー、エミー・ロッサム、ケヴィン・チャップマン、トム・グイリー

あらすじ:ある町で一人の少年拉致事件が起きる。



さらわれたのはデイヴ(ティム・ロビンス)という少年で、暴行目的だった。
無事保護はされたが、デイヴを含む仲が良かった三人組は、その事件のせいで疎遠になっているようだった。

そして25年後――。

ジミー(ショーン・ペン)は裏社会に身を置いていたが娘の存在をきかっけに足を洗っていた。だが、気性の荒さなどは健在。
ショーン(ケヴィン・ベーコン)は、刑事という職につき一番出世したように思えるが、妻に逃げられ寂しい生活をしていた。
デイヴは、今もまだ事件のトラウマに悩まされながらも家庭を持っていた。

そんな中、ある日ジミーの娘が殺されるという事件が起きた。
その担当刑事になったのは、ショーン。
そして、容疑者として浮かび上がったのはデイヴだった。

バラバラになっていた幼馴染3人をまたしても嫌な事件が結びつけた。

ジミーは警察よりも先に犯人を見つけ復讐をするのを目的とした。
ショーンは、担当な上、幼馴染の娘の事件だというのに、何処か冷めていた。
デイヴは、妻に対する言動と警察に対する言動などに一貫性がなく、挙動不審で怪しまれても仕方ない行動を取る。

そしてデイヴの妻が後押しをする。
事件の夜に血まみれで帰宅したのを不信に思い、ジミーに打ち明けたのだ。
ジミーは、デイヴを呼び出し犯人だと決めつけると、デイヴはジミーの娘は殺していないと言う。
デイヴが殺したのは、小児性愛者の男なのだった。
しかし、それを聞いても尚出まかせを言っていると思ったのか、デイヴは生贄が欲しいだけなのか、それともそんな男だから娘も殺したと思ったのか、ジミーに娘を殺したと告白を強要し、復讐を果たし遺体を川に流した。

ところが、ショーンが真犯人を見つける。
娘のボーイフレンドの弟と友人で、使用した銃から辿りついた。
しかもその2人の父親とジミーには因縁があり、ジミーは父親を殺していた。
その償いに2人には送金をしていたが、知らずに因果応報となっていた。


そして、デイヴが殺した小児性愛者の死体も見つかる。
デイヴの言っていた事は本当だった。
だから、ジミーに強要させられたウソの告白であってもどこか真実味が感じられたのかもしれない。

ショーンは、うっすらジミーの犯行に気づきながらも真相を隠した。

ジミーは、新たにデイヴの妻にも送金する事を決めた。

おしまい

かんそう:

映画としては、犯人探しよりは人間ドラマを見せたいんだろうな、と思いました。

大雑把にいえば、とても暗くてテンションの低い映画でした。サスペンスなんだから当たり前とも言えそうですが、中でも、という印象です。

なんといっても事件が解決して良かったね! 感は一切ありませんから。
最初から最後まで、口の中がざらざらするような後味の悪さが続きます。

ただ、最初からそういったダークな雰囲気が充満しているので、突然裏切られたような感じはしません。

そもそも、最初の事件の後、デイヴは戻ってきたというのに3人の関係は元に戻らなかったという、子供ならではの残酷さ。
デイヴが何か悪い事をしたわけでもなく、むしろ被害者なのに。

でも子供は、どこか過敏に、そして遠慮なくデイヴの変化を嗅ぎ取ってしまうんでしょうかね。
その結果、疎遠になってしまう。

そして25年後の再会。
しかも3人の立場は、それぞれに意味ありげです。
犯罪者に刑事に、被害者。
まるで、過去の事件を再現できるメンツ。

私はこのスタートから薄気味悪いなぁ、と思いました。
3人それぞれが、デイヴだけではなくどこか呪われているかのように、明るい世界を生きてはいない感じがします。

しかも、デイヴがまったくの無実なら、悲惨なお話しにはなりますが、物語はシンプルでした。
そうではないんですから。

結局、ジミーにその権利はなかったとしても、デイヴ自身が罰せられる理由はあったんです。

ジミーはすでに人殺しの経験もあり、今回は相手を間違えてしまったが、決して無実の相手ではなかった。しかしジミーにその権利はあったのだろうか。
これもまたこの先のジミーの人生を考えると複雑ですね。

ジミーは送金という手段で自分に償いを課して生きていきます。

デイヴは決して、幸せという生活はしていなかったでしょうが、幼馴染の誤解を受けたまま死んで行くのは、望んではいなかったでしょう。
やっと顔を合わせられた幼馴染なのに。
もしも、彼らがデイヴを事件前と変わらず受け入れていたら……。
ここまで悲惨な事にはならなかたのではないかな、と思います。

と2人は、それぞれの形で呪いを感じます。

ショーンだけ、少し特別でした。
やる気満々な訳でもなく、そんな性格のせいか嫁にも逃げられていた。
だけどこの事件をきっかけに、自分に素直になったら嫁が子供産んで帰って来た。
と一番関わってなさげで、一番呪いを振り払って終わったという。

ジミーがデイヴを殺した事を黙っていたのは、決して職業的には許される事ではないですが、友情を想えばまあ、わからなくもない。

ともあれ、死んでしまったデイヴをおきざりに、生きている二人は前向きに生きようとします。

なんだか……。

厄介払いをしたようなお話に感じられました。

それも町ぐるみで。

町の暗い部分を川に沈めてなかったことにしよう、みたいな。

でも、その為の犠牲を払ったのは、デイヴとジミーだけ。

最後のパレードのシーンが象徴的でした。




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