2017年3月16日木曜日

ファミリープロット



アルフレッド・ヒッチコック ファミリー・プロット DVD

1976年作品 アメリカ
監督ヒッチコック
原作あり

あらすじ:
インチキ? 女霊媒師が恋人と一緒に、謝礼をもらうため遺産相続人探しをする。
だが、その相手には何か事情があるようで・・・。



出だしは、女霊媒師ブランチが富豪の老婦人から遺産相続人探しを頼まれるシーンから。
ブランチは恋人のジョージと謝礼金を狙った霊媒詐欺をしていた。

その後、登場人物が切り替わり、謎のカップルが登場。
フランとアーサーというこれまたカップルの泥棒だった。

そして、アーサーこそがフランチ達が探す、富豪の甥で後継ぎなのだった。

だが、アーサーの生い立ちは複雑で、それは偽名で、しかも自分を死んだ事にしていた。
まして泥棒稼業な訳だから、誰かに身辺を嗅ぎまわられるのは歓迎しない。

ブランチの霊媒はインチキだったが、それを支えていたのはジョージの情報収集力だった。
お陰で、そんな複雑なアーサーに次第に近づいていく。
それと同時に、アーサー達はブランチ達を警戒し、泥棒がばれたと思い殺害を計画。

追っている方は、莫大な遺産を受け取れるのだから良かれと思って追っているが、追われている方は、まさかそうとは知らず賞金首にでもなったかと焦る泥棒だった。

最終的に、アーサー達の家を突き止め、ブランチは堂々とベルを鳴らしてドアを叩く。
するとそこで誤解が解けるのだが、ちょうど誘拐したての男を見て悪人だと気づく。

そしてブランチも監禁されるが、戻らないブランチをジョージが探しに来て侵入。
アーサーが隠し部屋に入るのをこっそり確認し、監禁されたブランチと再会。

そうとは知らない泥棒2人が隠し部屋に来た所を利用し、ブランチは逃げ泥棒2人を隠し部屋に閉じ込め一件落着。

ところが、ホッとした途端、ブランチは突然何かに憑りつかれたように家の中を歩き出す。
そして無意識に指を指した先には大きなシャンデリアがあり、そこには彼らが隠していた大きなダイアモンドが混ぜられていたのだった。

おしまい。

かんそう:

本作が、監督の最後の作品とのこと。

私にとっては完全にコメディ枠。
面白かったです!

シナリオが私のイメージするヒッチコックそのものだったので、原作があるという事が意外でもありました。

でもヒッチコックが選んだ原作という事で、あながち(イメージは)間違ってはいないのかな、と思いました。

タイトルに「ファミリー」とあったから、一見関係のないような登場人物であっても、何かつながるんだろうな、と勝手に思い込みました。
どこでどうつながるのか、にわくわくしながら見始めましたが、意外とそのつながりは早く、謎のカップルのこそ男性が、女霊媒師が探す人物だと、「見ている側」はすぐに気づきます。

後は、もう観客だけが判っている擦れ違いのドラマを楽しむだけ!!

ほんっとに、こういうシナリオが素晴らしいお話しっていうのは、色褪せないんですよね。
70年代の作品ですが、いつ見ても面白い。

CGだとか3Dだとか、目新しさに拘った映像は、時と共に時代感が如実に出てしまいます。

でも目に見えないもの(ドラマ)って本当に、普遍なんですね~

まあ、70年代ですから絵的にも別に今見てものすごく違和感があるわけではないですが。
ばっちりはめ込みな景色とか、がんばってる特撮には、むしろ味があって大好きですね。
こういう作品はリメイクとか必要なしって感じ。

また、すれ違いを盛り上げているのが、2組のカップルの温度差。

片やインチキ霊媒で詐欺めいた事をしているブランチ達は、ドタバタほのぼのカップル。
一方、誘拐&泥棒とガチの悪人アーサー達は、シリアスなハードボイルド路線。

ピュアに「遺産相続ってきいたらこの人喜ぶわよ」って思って、泥棒の家に行ってしまうブランチの無垢な表情がすっごく印象的でした。

お気楽な霊媒師とガチ泥棒の対比が、実際顔を合わせただけでも面白いんです。

そして、最後はすべてを知っていたはずの観客にもちゃんとサプライズが用意されていました。

ブランチがインチキ霊媒師だと思っていたら、ちゃんと隠した宝石のありかを見つけるような不思議な力を持っていたという事。

洒落てますよね~。
軽めなハッピーエンドで終わっているのも、単なるサスペンスではなく、コメディタッチと感じられるし、個人的にはそこがすごくヒッチコックっぽいな、って感じたのでした。

すべてのヒッチコック作品を見たわけではないですが、「ハリーの災難」に続いてお気に入りになりました。


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