2017年3月18日土曜日

ミスト



【おトク値!】 ミスト DVD(DVD)

2007年作品

スティーヴン・キング原作

トーマス・ジェーン、マーシャ・ゲイ・ハーデン、ローリー・ホールデン、アンドレ・ブラウアー、トビー・ジョーンズ、ウィリアム・サドラー、ジェフリー・デマン、フランシス・スターンハーゲン、ネイサン・ギャンブル、ロバート・トレヴァイラー、デヴィッド・ジェンセン、アレクサ・ダヴァロス、サム・ウィットワー、クリス・オーウェン、ブライアン・リビー、アミン・ジョセフ、ケリー・コリンズ・リンツ、メリッサ・マクブライド、スーザン・ワトキンス

あらすじ:
ある日、街にサイレンが鳴ると同時に、濃い霧が立ち込める。
たまたま居たスーパーで待機していると、霧の中に何かがいて襲われた、と1人の老人が駆け込んで来て……。




そこから店内はパニックになる。
何の情報もなく、店の外は霧に覆われ良く見えない。

しかも、血のついた老人の説得力はあり、誰もがびびって外へ出ようとはしない。
幸いスーパーだから物資はある。数日は心配ないだろう。

だが1人の主婦が家に居るのは子供だけで心配だから、ここには居られないと言い出す。
でも1人では怖いから誰か家まで付き添ってくれないか、と。

多くの人は外に出るなんて自殺行為だ、と家に帰る行為そのものを止めた。
もちろん、付き添うなんてもってのほか、とやがて目をそらしだす。
それでも母親として、勇気を出して1人店の外で出て行った。

しばらくすると、ブレーカーが落ちたのか電源が切れてしまう。
様子を見に男数人で裏に行くと、まだ状況を軽くみていた者が数名いて、1人が外で出ようとして大きな触手に連れ去られ、皆の目の前で消えてしまった。

事の大きさを思い知り、他の人達にも伝えねば、と数名は緊急事態に団結していく。

そんな現実的ではない話を信じない者もいたり、狂信的な女性は神の怒りだと騒ぎ出したが、ほとんどが怯えていた。

しかし、霧の中からこの世のものとは思えない生物が遅いかかって来て、死者が出始めると、狂信的な女性を中心にカルト教のようなグループが出来始めて行き、自分達と考えの違う人間と対立しようとする。

そして兵士2名が首つり自殺体で発見された事から、新事実が発覚。
実は軍のある計画がこの異変を巻き起こしており、それを兵士達は知っていたのだった。
なんでも異次元の存在を確認し、それを観察していたがうっかり扉を作ったことになってしまい、あちらの生物が乗り込んできたのだと。

この事実を狂信者のリーダーもまた偶然聞いており、生き残っていた1人の兵士を責任を取れと、吊し上げの生贄にしようと騒ぎだす。

外も恐ろしいが、店内も決して安全ではなくなったと感じた数名は脱出を計画する。

だが、引き留めようとする狂信者のリーダー。
そして脱出の為、撃ち殺したのは世話好きで大人しかったスーパーの店員。

自分のした事に驚きながらも仲間に、仕方ない、ああするしかない、となぐさめられつつ脱出する。

だが、数名は異次元の生物に襲われ車に辿りつけずに死んだ。

そしてなんとか車まで辿りついたのは、1組の父子と女性とおじいさんとおばあさんだった。

濃い霧の中、恐る恐る車を走らせる。
窓にぶち当たってくる大きな昆虫のような生物。
そして、地鳴りと共にゆっくりと霧の中から現れたのは巨大な触手を持つ高層ビルほどもありそうな4つ足の怪物だった。

逃げなきゃとは思いつつも、行く当てもなく不安が募る。
そんな中、あっさりと車がエンストしてしまう。

まだスーパーの外に出た、というだけでこれからだったのに。

しかしおじいさんは「やる事はやったよ」といい、皆意外にも落ち着いていた。
そして最後の弾丸が4つある事を確かめる。

車内にいる人間は5人。
すっかり眠っている少年の父親は、全員が納得する中自分以外を得体のしれぬ生物に襲われて苦しむくらいなら、とひと思いに射殺する。

だが、自分の弾は残っていない。
やけくそになり、車の外へ出て叫ぶ。
「殺せ」と。

そこへ何かの音が近づいてくるのに気付く。

嫌な気がする――。


濃かった霧がその音と共に薄れて行く。
その中から現れたのは武装した兵隊や軍の車だった。
火炎放射機で生物を焼き払う兵士の姿も見える。

大勢の人間を乗せた救助トラックも続いて追い抜いて行く。
その中には、最初にスーパーを出た主婦の姿もあった。
無事だったのだ。

知らぬ間に、異次元の生物の駆除は行われていたのだった。

何も知らずに愛する息子や、同行してきた仲間達を自分の手で殺してしまった。

そして自分だけが生き残ってしまった。


おしまい


かんそう:

大分前に見ていた気がするのですが、世にオチが……と言われる中そのオチを覚えていなくて、というかスーパーに立てこもったなってことくらいしか覚えていなくて、もしかしたら最後まで見なかったのかもしれません。

で、最近皆大好き午後のロードショーで放送していたので、見てみました。

まあ、確かに不快なオチと言われるのはわかりました。

が、当時はさておき、今見るとウォーキングデッドの洗礼を浴びている耐性が効いているようで、むしろ「あれ? これウォーキングデッド?」って思ってしまいました。

しかも、役者さんも被っている事に、ラストシーンで気づいて思わず笑ってしまいました。
正直、そのラストシーンまでは気づかなかったのですが、なんともウォーキングデッドにありがちなシチュエイションにぽんっとキャロル(メリッサ・マクブライド)が登場して、「あれ!?」となったのでした。

冒頭で、子供を探しに1人スーパーを出る名も無き主婦。
まさにキャロルっぽいんですよね~。
そして最後しっかり生存しているって所も。

他にも

アンドレア(ローリー・ホールデン)車に乗る女性

デール(ジェフリー・デマン)車に乗る老人

2名が最後に車に乗るという、印象的な役をしていました。

でも、こちらは見ていても気づきませんでした。

そもそも監督がウォーキングデッドの脚本、制作総指揮などをしていた人ですから、共通点があるのも当たり前っちゃ当たり前なんですね。



という訳で、ウォーキングデッドで鍛えられている方には、驚くようなお話しではないと思う本作ですが、まず「ミスト」というタイトルから霧そのものが悪さをするのかな、と単純にイメージしていると、しっかり異形の生物がバンバン出てくるので、ちょっと拍子抜けします。

姿形の無いものに恐れる、といったテーマなのかと思いきや、普通に見るからに怖い物が登場してきましたから。

そこで「なんで霧なんだろう?」と疑問が沸きました。
途中、はっきりとその原因さえも判明します。

よくよく考えるとサイレンと共に霧が現れていますから、誰かが知っていたというのは納得。
軍のトンデモ実験につっこむのはこの際スルーです。

ちゃんとした原因があるなら、最初からそれを言っちゃってもいいんじゃ、なんて思ったりもしました。

でも、ラストシーンで霧でなければいけなかったって事がしっかりわかりました。

霧で、どういう状況なのかよくわからないからこそ、エンストに絶望し仲間を殺し、そしてその時は楽に自殺が出来ない事が、残された不幸のように感じていた。
どう苦しんで殺されるのか。

だけど、霧が晴れてみるとむしろ1人だけ助かっていた。
でも、決して喜べない。
むしろこれからずっと生き地獄が続くんですからね。

だったらいっそ化け物に殺されていたら……と願うくらいの。

スティーブン・キング原作物って決して書籍を読んだ事はなくて、映画とかドラマでの知識ですけど、大抵がファンタジーがっつりの何でもありで、その奇想天外な設定を楽しむのが作法かな、と思っていました。

でも本作は、ウォーキングデッド同様に、何らかの外敵によるパニック時にも一番怖いのは人間、っていう基本的な業のようなものを見せられているように感じました。

誰もがその時良かれと思っての行動しかしていないのですが、それが全員揃っているわけではないので対立が起き、本来必要のない所での諍いが発生してしまう。

そしてどんな時でも命は大事。
どういう状況であっても自殺なんて考えてはいけない。
その一歩先の明るい未来を自ら封じてしまう行為なのだから、とショッキングな結末というよりは、シンプルなメッセージのように感じました。

だから、私には(耐性もありつつ)目をそむけたくなるような結末、という訳ではありませんでした。
もちろん、決して楽しくもなんともなく、やるせなさはありますが、その中から感じた当たり前のメッセージが健全でしたから。


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