2016年11月21日月曜日

ビッグアイズ



(おまけ付)ビッグ・アイズ / (DVD)

2014年作品

実話ベース

監督ティム・バートン

エイミー・アダムス、クリストフ・ヴァルツ、ダニー・ヒューストン、テレンス・スタンプ

あらすじ:大きな目が印象的な絵を描いていた主人公。1人の画家との出会いが大きく人生を変える。




娘を連れ、離婚したマーガレットは、絵で生計を立てたいと考えていた。
だが、まだ離婚も珍しく、女性が社会で活躍するには難しい時代だった為、厳しい日々だった。

ある日、ストリートで絵を売っていると、マーガレットの描く、大きな瞳の絵を安売りするな、と声をかけてくる画家がいた。

それがきっかけで、デートするようになりやがて結婚する。

マーガレットには、同じ画家で絵に理解のある夫という、夢のような出会いだった。

だが、夫、ウォルターは実は画家で生計を建てていた訳ではなく、不動産業をしていた。
同じく、画家で生計を建てようと売り込みはしていたが、なかなか上手く行かなかった。

ウォルターの得意とするのは主に、パリの風景画だったが、かなり雰囲気が代わり、マーガレットは個性的な大きな目をした子供の絵が中心だった。

ある時、ウォルターはバーの壁が空いている事に気づき、絵を飾らせて欲しいと頼む。
了承を得るが、トイレの通路という、立地な上、立ち止まって目を止めるのはマーガレットの絵ばかりという面白くなさから、有名オーナーと殴り合いになる。

結果、ゴシップとなり、ウォルターも注目され、絵を一目見ようと、客が押し寄せるようになった。

そして、マーガレットの絵に注目される際に、ついすべて自分の作品だと言ってしまう。

ウォルター曰く、目の前に作者がいるからこそ、買おうとするのだ、と。

マーガレットの抗議もむなしく、ウォルターは、絵を売る役目と描く役目で、分担作業にしようと言い出す。

確かに、ウォルターは、絵を描く事よりも売る事の方が才能を伸ばしていた。

なりふり構わず売る事に徹する事が出来るせいか、たちまち「ビックアイズ」は有名になって行き、2人は大金持ちに。

いつのまにか共犯者のようになっていたマーガレットは決して、満足していなかったが、言い出すにも言い出せない状態になっており、成長した娘に、「あれ、ママの絵じゃない?」と言われ、「いいえパパのよ」とウソをつく事が苦痛になっていた。

さらに、ウォルターのビックマウス的な面が気になってくる。

突然、少女がやってきて、ウォルターの娘だという。離婚して、子供が居た事など聞いた事はなかったのだった。
それを「言ったよね?」と軽くあしらわれ、不信が募る。

また、秘密を抱えているせいで、子供はもちろん旧友にもどこかぎこちない態度にならざるを得ない。

マーガレットは豪邸の作業部屋に、誰も近寄らせないよう、カーテンも閉め切って1人籠って作業をする日々。
ウォルターは、ビックアイズの作者として、TVに出たり、画集を出版すれば、サインを強請られ、光を浴び続けている。

そんなある日、荷物の中にウォルターの絵を見つける。が、良く見るとサインは別人のものだった。
ウォルターは、画家という事すら、ウソをついていたのだった。

完全に、呆れたマーガレットが、追求しても、「名前を変えただけだよ」と悪びれもせずまたウソにウソを重ねる。

いよいよ、我慢の限界で、離婚をつきつけるが、承諾する条件として「絵を売る人と、描く人」の役割は継続するよう強制させられる。

呆れつつも、子供の幸せも考え、その条件を飲み、マーガレットは娘とハワイへ引っ越す。
そこでも、隠れて絵を描き、ウォルターへ送り続けていた。

が、ある日、宗教の勧誘から「ウソはよくない」とシンプルな教えを耳にし、急に考えを改める。

ハワイのラジオに、「有名画家のウォルターの妻」としてゲスト出演した際に、「どれも違う」といい、
「まず離婚して妻ではないし、あの人は絵を描いていない」と真実を告げる。

たちまち世間の話題となるが、それでもウォルターは、マーガレットがおかしくなったと主張し、法廷で争う事に。

夫婦喧嘩の延長のような裁判に呆れた裁判官が、絵をかけば一目瞭然だろう、とその場で絵を描かせる事に。

当然、筆を持つ事が出来ないウォルターに、陪審員が見守る中、ビックアイズを描き上げたマーガレット。

やっと、ビックアイズがマーガレットのものであると、証明できたのだった。

そして法廷の外で、初めて画集にサインをする。

おしまい。

【かんそう】

一時期、好きな監督にティム・バートンって言っていた時期がありました。
けど、ある時気が付いたらいつの間にか、そんなに「見たい」と思わなくなっていました。

ちょっと、ウェットなんですよね。

でも、本来それがこの監督の味なんでしょうね。

私が好きだったのはビートルジュースのキッチュさとシザーハンズのカラフルな街並みと、ナイトメアー・ビフォア・クリスマスのダークファンタジーな感じ。

マーズ・アタック! もバカバカしさはいい。

けど、本質が違うのか、なんかパっとしないっちゃ、パッとしないですよね。

本作は、実話ベースという事ですが、監督がこの「ビックアイズ」シリーズのコレクターでもある、という事。

なるほど、愛を感じる作品です。

というのも、愛ゆえ実話を脚色していないせいか、お話しそのものは地味でした。

エンタテインメントとして、人が死んだり、殺されたりはしませんし、大きな事件も起きません。
でも、作者を偽ったというのが、そもそも大きな事件なのですけど、なんせ、それで被害がどれくらいあるのか、とかよくわからないので、あんまり大きな事件感がわからないんですよね。

もちろん、当事者、マーガレットにとっては大変だというのはわかります。

でも、客は、ビッグアイズを認めているのであって、誰が描いているとか、気にしている・・・のかな?

例えば、某ゴーストソングライターの件がありましたけど、あんな感じで、当事者には大問題かもしれませんが、意外と第3者にはピンとこなくないですか?

例えば、ダリが描いていない絵をダリの絵ですよ、と言ったら大問題だと思うんですけど、絵そのものは不正ではないので。

と、温度差があるのですけど、もちろん気持ちはわかります。

それも時代があって、今よりも生きにくかったんでしょうね。
今同じ事が起きるよりも、そのダメージは大きいものだったでしょう。

・・・とはいえ、エンタテインメントな映画としてはもう出落ちみたいなもんで、ただずっと嘘ついてました、告白できました、スッキリした!

だけだと、正直物足りないんですよね。

要は、どれだけ作者に感情移入できるか、にもよるんですけど、ビッグアイズは素敵だと思いますが、ビッグファンでもない私には、「そうだったんだー」位しかなかったり・・・。

でもきっと、監督と気持ちを共有できるようなファンには、すごく感動作だったのかなーと。

女性の自立という面では、勇気をもらえる作品かもしれませんが、この作品ではあくまでも、自立できなくて利用されてしまった部分がメインなので、むしろ知りたいのは自立してからの明るい部分なんですよね。

その辺のズレが、男性の監督であったり、ウェット好きであったり・・・という、視点の違いなのかなーーーと勝手な個人的想像から、思いました。


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