2016年11月3日木曜日
ミッドナイト・イン・パリ
ミッドナイト・イン・パリ/キャシー・ベイツ[DVD]
2011年作品
監督ウディ・アレン
オーウェン・ウィルソン、キャシー・ベイツ、エイドリアン・ブロディ、カーラ・ブルーニ、マリオン・コティヤール、レイチェル・マクアダムス、マイケル・シーン、レア・セドゥ
あらすじ:パリに憧れるアメリカ人の彼と、そうでもない彼女が婚前旅行でパリに行くが・・・。
過去記事)
を想い出しました。
【おはなし】
ギル(オーウェン・ウィルソン)は、ハリウッドではそこそこ仕事のある脚本家だったが、実際にやりたい事ではなく、小説家になりたいと思っている。
婚約者のイネズ(レイチェル・マクアダムス)とその裕福な両親と共に、パリに旅行に来ていたが、パリの文化に心頭するギルに反して、イネズはそうでもない。
雨が降った事にも愚痴っていた。
レストランで、イネズの友人ポールとその彼女と偶然会い、せっかくだからと一緒に観光する事になるが、ギルは、ポールのしったかにうんざりする。
そんなある日、まだまだ遊ぶという彼らから離れてギルは、パリの夜に1人になる。
最初はせいせいして散歩を楽しむが、いつしか迷子になりホテルへの道が解らなくなっていた。
そして深夜12時の鐘が鳴ると共に古いプジョーが目の前に止まり、ギルを誘って来た。
やけにノリの良い車内。
連れて行かれたのはパーティだったが、なんだか服装が古い。
そして自己紹介を始めると、フィッツジェラルドとゼルダだと言われて驚く。
ピアノを弾いている男は、古い楽譜本で見た顔、コールポーター。
どうやらギルの大好きな1920年代のパリに紛れ込んでしまったようだった。
さらに場所を移動すると、今度はヘミングウェイを紹介される。
ここぞとばかりに、自分の小説を読んで欲しいと言うが、それは叶わなかったが、代わりにガートルード・スタイン(キャッシー・ベイツ)を紹介される。
当時の文化界の仕切り屋みたいなもので、当然有名人。興奮しっぱなしだった。
翌朝、現実に戻っても興奮は冷めない。
パリの文化などにまったく興味のない彼女に、興奮して話すが、夢の話だと思われる。
そして、今度は彼女も一緒に行こうと誘うが、同じ場所で大分待っていた為、彼女はばかばかしいと先に帰ってしまう。
だが、やはり深夜12時の鐘と共にまた車がやってくるのだった。
今度は、ヘミングウェイが乗っていて、一緒にスタインの家に行く。
そこで、ピカソとその愛人のアドリアナ(マリオン・コティヤール)に会う。
アドリアナの美しさにドキドキして戸惑うギル。
レストランで、ダリ、ルイス・ブニュエル、マンレイのシュールレアリズム・トリオと同席し、雑談。
アドリアナへの感情を自覚する。
こうして、ギルは1920年代と現代を行き来するようになり、いつの間にかギルの存在は歴史にも記されるようになっていく。
そもそもギルをあまり気にっていなかったイネズの両親は、最近夜になると1人で遊び歩いていると聞き、探偵を雇う。
ギルの弱味が見つけられたら万々歳、という所だった。
ある日、アドリアナがヘミングウェイとキリマンジャロに行く事を聞く。
気になるギルは、家族でモンサンミッシェルに行く話にも乗らず、パリに1人で残る事に。
だがいつしか彼女もそんなギルを強く誘うような事はなくなっていた。
アンティーク屋で手に入れた本を訳してもらうと、アドリアナがギルの事も好きだったというような事がわかる。
そして、婚約者と結婚した、とも。
その本にならって、イネズの荷物からピアスをみつくろって、アドリアナにプレゼントしようとしていると、突然イネズがホテルに戻ってくる。
父親の具合が悪くなって、モンサンミッシェル行きを中止したのだった。
ピアスが無い事がバレてしまい、結局自分で買って1920年代へ行く。
そして、アドリアナが1人でいると聞き、会いに行き、お互いの気持ちを確かめる。
すると、今度はアドリアナと共にさらに古い時代、ベルエポックに行ってしまう。
そこでアドリアナは戻りたくない、と言い出す。
結局、現代人のギルには刺激的な1920年代は、その住民のアドリアナには退屈で、ベルエポックこそ、刺激的で憧れの時代なのだった。
そしてアドリアナはギルに別れを告げる。
20年代に戻ったギルは、自分の小説が褒められ喜ぶ。
だが、ヘミングウェイが「婚約者の浮気を見抜けないのはおかしい」という指摘をした、と言われ気が付く。
現代に戻り、妻の浮気を疑うギル。
しかも「ヘミングウェイに言われた」というのだから、イネズはギルの頭がおかしくなったのではないか、と困惑する。
そして、逆キレしてポールとの浮気を白状する。
妻を放ってばかりいたギルに対して、帰ったら大人になってと言うと、自分は帰らずパリに残ると言い出す。
浮気が原因ではなく、あくまでギルよりも良い人がいる、と言う理由で。
言い合いの中、イネズの両親も加わり、ギルは逃げるように去る。
その後、父親が探偵を雇っていた事を白状する。
毎晩12時に車に乗り込んでいたというが、それ以上詳しい事は探偵が戻らずわからない、という。
探偵もまた別の時代に紛れ込んでいた。
1人になったギルは、気ままにパリを歩く。
12時の鐘を聞きながら、もう過去に行く事はしなかった。
そこで、アンティーク屋の店員(レア・セドゥ)と会う。
ポーターの商品が入荷したから、あなたの事を考えていたと言われる。
浮かれたギルはコーヒーに誘い、2人で雨のパリを傘を差さずに歩く。
おしまい。
【かんそう】
大人の童話、ファンタジーって所ですかね。
雨を愚痴る彼女と別れ、最後は雨の中を歩く事を粋だと考える、同じ価値観のショップ店員を意識する。
この映画で取り扱われる、価値観の相違は善悪ではなく、単なる好みの問題なので、合わないものはしょうがないです。
だけど、「帰ったら大人になって」のセリフに集約されているように、パリ旅行は、非日常。
彼女は、自分の浮気も含めて、「旅先での事だから多目に見ましょう」と言っています。
アメリカに戻れば、彼女も日常に戻り、しっかり生活する姿勢になる、と言っています。
が、ギルは、それを拒否します。
それは、大げさに言うと、「いつまでも夢の中にいたい」と言っているようで、このギルこそが、大人が憧れる存在なんだろうな~、と思いました。
パリで、何する訳でもなく、ただ小説を書きたい、と言っているギル。
アメリカに戻れば、それなりに信頼もあって仕事にも困らないのに。
誰もが大人になると、「あーあーしがらみ、全部投げ捨てて、自由に生きたいな」なんて思う事、1度くらいはあるはず。
簡単に言えばそれを映画にしたような感じでした。
さらに、そこは好きな物に囲まれ、好きな者から認められる、というまさに夢の世界。
ギルは最後、過去に行く事をしていませんでしたが、パリそのものが、ギルにとっては夢の続きのような感じに思えました。
現代だとか過去とか関係なく。
そして、文化だなんだって言っていながらも結局、女性なんだなー、とw
アドリアナのいない1920年代にもう用がなくなった、って事ですよねw
そして、新たな出会いがあったから、もう1920年代にも用はない、という。
ま、ことな(子供大人)らしいな、と思いますw
勝手な自分の印象としては、オーウェン・ウィルソンってあんまり主役級のイメージがなくて、本作には驚きました。
ちょっと冴えない感じが、役的にはちょうどいいのかな?
脇の無駄に美女を揃えました、みたいな女優陣は豪華でした。
特に、美術館のガイドさんが、元スーパーモデルのカーラ・ブルーニとか。
ほとんど、いてもいなくてもな役なんですけど、彼女が出てくるから絡みがあるのかと期待してしまいましたw
見ていて思い出したのは「フォレスト・ガンプ」です。
実はこの作品には、彼が影響していた的な、あちらは別にタイムスリップはしていませんが。
ギルがブニュエルに「皆殺しの天使」のネタを提供していたり。
ギルは、彼女やその両親には受けが悪いけど、1920年代に行くと、そもそも好きな時代だからすぐ皆に気に入られるんですね。
そういうギルの特別感とか選ばれた感じは、見ていて気持ち良さはありました。
まさに、ファンタジーw
ギル同様、パリのこの辺の文化が好きな人は、登場人物に楽しめると思います。
私は、それ程詳しくないのですが、エイドリアン・ブロディのダリはすぐわかりましたねw
それとシュルレアリズム・トリオは、好きなのでなんかほんとにこんな感じだったのかな、と楽しめましたw
それにしても芸術家のオンパレードの中で、あえてブニュエルにアドバイスは映画監督として、何か仕込みたかったんでしょうかねw
って考えると、つくづくギルというのは監督の分身なのかもしれませんね。
ハリウッドではそこそこもてはやされているけど、出来れば抜け出したい・・・ってw
こんな事映画のキャラじゃないとなかなか実現出来る事ではないですもんね。
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