2016年6月3日金曜日
ワイルド・パーティー
ラス・メイヤー ワイルド・パーティー<タワーレコード限定> DVD
1970年作品
ドリー・リード、シンシア・マイヤーズ、マーシア・マクブルーム、デビッド・ガリアン、フィリス・デイビス
あらすじ:女性ロックバンドとそのマネージャー。ボーカルの叔母に会うためカリフォルニアに行く事で、世界が一変し・・・。
カルト・ムービーを追いかけていくと必ず目にするラス・メイヤー監督作品という事で、見ました。
意外と? まともなドラマでした。
【おはなし】
ケリーとケイシーとペトロネラは3人でガールズバンドをやっていた。
マネージャーはケリーのボーイフレンドでもあるハリスだったが、メジャーではなく、学校のプロム会場での演奏など、活動はパっとしていなかった。
ある日、ケリーの叔母に会いに行ってみようと4人はカリフォルニアへ移動する。
しかも、久々に会ったというのに叔母スーザンは、ケリーに遺産として受けた財産を血がつながっているんだから分ける、と言い出だす程歓迎する。
さらに、バンド活動をするケリーに、ハリウッドの有力者Zマンを紹介する。
Zマンのパーティーの華やかさに、あっという間に飲み込まれる4人。
ケリーは、ジゴロに誘われあっさり関係を持つ。
ケイシーはレズに気に入られ、
ペトロネラは弁護士を目指す青年と出会う。
そしてハリスはケイシーの事が気になるのだが、ポルノ女優につきまとわれている。
Zマンに気に入られると、あっという間に人気者になっていくバンド。
それと同時に、手柄をZマンに取られたハリスの居場所はなくなって行く。
やけになって言い寄られていたポルノ女優と寝るが、その結果ポルノ女優に罵声を浴びせられるという、返り討ちに合い、止めを刺される。
だが、そんなハリスの心の闇が深くなっていく事に気づく余裕もなく、3人は華やかな世界に染まっていっていた。
そして、ハリスはバンドがTVショーの撮影をしているスタジオの梁から、演奏中の3人の前に飛び下りてしまう。
結果、一命は取り留めたものの、下半身不随になってしまうハリス。
その行動から、ケリーは心を入れ直して、ハリスにつきそうようになる。
車椅子のハリスだが、パーティー三昧の生活から離れ、次第に昔のような関係を取り戻していく。
そんなある日、Zマンは選び抜いたメンバーを招待してコスチューム・パーティーを開く。
ジゴロのランス、ケイシーとレズの恋人だった。
ちょいちょいランスにちょっかいをかけてはいたZマンだったが、本格的に迫ると男同士という事で拒まれ、ロープで腕を縛る強行に。
そして、胸を見せるとランスに「女かよ」と笑われ、それがスイッチになったのか、首を剣で切り落としてしまう。
そこからは、Zマンの暴走は止まらず、理由がなさそうな手伝いの男まで殺し、それを偶然見たケイシーは逃げ、電話をかけて仲間に助けを求める。
だが、車椅子のハリスも含め、仲間が駆けつけた時にはすでにケイシーは殺されていたが、もみ合いの結果、Zマンを殺して一件落着。
そして、その後。
ハリスは歩けるようになり、三組合同で結婚式を挙げる。(ケリーとハリス、ペトロネラと青年、スーザンと元彼)
おしまい。
【かんそう】
タイトルがシンプルなので、原題なのかな、と勝手に思い込んだので、そのイメージと監督の「巨乳好き」というこれまたシンプルな情報から、ただ単にパリピな乱痴気騒ぎだけの映画だと思っていました。
ところが、結構ちゃんとドラマになっていて、しかも、年齢制限はあるものの、それは決してエロスの方面、というのではなく、バイオレンス(首ちょんぱ)だったんですね。
いわゆる、「伝説の映画」と意識して見るともしかしたら、時代差などからがっかりしてしまう可能性が高いかもしれません。
でも、リアルタイムで見ていたらすごく刺激的だったんだろうなー、という事は良くわかりますし、時代から見たらすごい映画だったんでしょうね。
ちなみに、ケリー率いるガールズ・バンドの曲は、今も色あせない魅力がありました。
それが、チープさをかき消してもいるように思えるくらい。
音楽的な面でミュージシャンらに大きな影響を与えたというのは、すごくわかりますし、それについては、時代差は関係ないと思いました。
また当時のハリウッド事情? アメリカ文化に詳しいと、特に価値が増すようです。
登場人物のキャラや、物語の展開に、実在の人物や事件が大きく影響しているという事なので。
私は、名前は聞いたことあるな、程度の人間なので、本作に強く衝撃や影響を受ける、という事はないのですけど、そういう一作である、という事は理解できます。
◆
物語として、素直に見ると、後半の「Zマンのバイオレンス・シーン」は正直、取ってつけた感がありました。
物語が急に変化している。
大雑把にまとめると、田舎の若者が、都会に出てきて刺激を受けるが、それにより、間違いを犯すが、間違いに気づき、軌道修正する。というお話しで綺麗にまとまっているんです。
そこに、何故かZマンというキャラの暴走が最後におまけのように追加されて、突然Zマンが重要人物のような扱いになる。
最後、主要な人物説明のようなナレーションが入るのですが、暴走シーン直後という事もあってしょっぱな「Zマン」なんですけど、映画全体の比重からすると、やっぱり唐突なんですよね。
もちろん、Zマン自身はケリーたちをスターにした、というストーリー上では欠かせない人物ですが、だからって急に人を殺し出す説得力まではないんです。
で突然、ナレーションで「Zマンは誰とも交わる事はなかった」って流れるのですが、いやいや結構、交わろうとしてたじゃん、って思えてしまう。ケリーしかり、ジゴロしかり。
これが、Wikiを見て納得したのですが、本作を撮影中に「シャロン・テート事件」が起きたようで、それがZマンの暴走として反映されている、という。
Zマン以外の部分は、青春ストーリーなんですが、Zマンだけちょっとホラーにも近いものがあるのも、それでちょっと納得しました。
こんな現実の事件とのリンクも、分かる人には分かるカルトな魅力になっているんでしょうね。
いくら、「この事件を取り入れるぞ!」と思っても、内容的にどうにも無理なものは無理ですから。
事件の内容、そして本作の運命的な出会い? があってこそ、なんだと思います。
(ハリウッドが舞台である事が2つの出来事を結び付ける役目になっていた)
と同時に、おかげで、ただの青春ストーリーが、大分様子が変な仕上がりにもなり、話題性にもつながっているんですから、狙い通りって事ですよね。
本作を見て、ラス・メイヤーという監督を理解出来たとは思いませんし、理解しようと思って他の作品を追う事もないのですが、なかなか良い経験になりました。
青春映画といえば、厳しさがありつつも、どこかキラキラして誰もが憧れるような印象のまとめが多いと思いますが、ここまで厳しい試練を登場人物全員に一度は与えているようなものは、さすがカルトと呼ばれる仕上がりで、なかなかお目に掛かれないのではないか、と思いました。
友達(人間関係)は大事にしよう、というお話しでした。
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