2016年8月17日水曜日
エスター
映画 (Movie) / エスター 〔DVD〕
2009年作品
ヴェラ・ファーミガ、ピーター・サースガード、ジミー・ベネット、マリアーナ・エンジニア、イザベル・ファーマン
あらすじ:孤児院からひきとった9歳の少女エスター。最初は問題があるようには思えなかったが・・・。
いわゆるどんでんモノ。
【おはなし】
ケイトとジョンは、過去に末っ子を流産するという苦い経験をしていた。
ケイトにはアルコール依存症の過去もあったりして、不安定な一面もあった。
ある日、夫婦は2人の子供には特に相談する事もなく、孤児院へ行き、エスターを引き取る事に。
エスターは9歳という年齢もあってか、落ち着いており、絵の才能があって、夫婦には好印象だった。
ダニエルはエスターと同年代で、エスターが注目される事が気に食わないようだった。
その妹のマックスは、耳が聞こえなく、口もきけなかったので会話は手話のみだったが、姉となるエスターを楽しみにしており、女子同士という事もあってすぐに打ち解けていた。
だが、すぐにエスターが普通ではない事がわかっていく。
子供という事もあってバスルームには鍵をかけないように言われても言い訳をして、鍵をかける。
Tシャツとデニムを用意しても、持ってきた服しか着ない。
それは、やや時代遅れのピアノの発表会のようなお嬢様ルックで、首と腕には、リボンを巻くのが定番だった。
そのおかしなこだわりで、学校へ行っても浮いており、いじわる女子グループに目をつけられる。
その1人と公園で会った時、あきらかにエスターは狙いをつけ、滑り台からつきおとしてしまう。
それをマックスは見ていたが、仲良くなったばかりのエスターに嫌われたくないのか、恐怖のせいか、見ていない事にする。
大人に「突き落とされたって言ってるけど」と言われても「勝手にすべったのよ」と言えば、子供同士の事なので、誰もそれ以上追及する事はなかった。
だが、確実に家の中ではエスターの行動の異常さに気づいていく。
ダニエルは、おもちゃの銃で遊んでいたら鳥が飛んできたので、出来心で狙ってしまったら見事命中、おもちゃとはいえ傷つけてしまった。
それを見ていたエスターは、苦しんでいる鳥が可哀想だから、これで止めを刺してあげなさいよ、と石を渡す。
だが、普通の精神の持ち主のダニエルには、そんな可哀想な事はできない。
拒んでいると、エスターが何食わぬ顔をして、鳥を石で叩き殺すのだった。
子供たちは、エスターの異常性を知るが、それでも大事に出来ず大人には言えなかった。
また、マックスは半ば脅されているかのように、エスターとつるむしかなかった。
そんな中、孤児院のシスターがケイトから公園の事件の事を聞き、エスターがいると事件が起きていたという事を想い出し、エスターの様子を見に来る。
エスターにとっては、シスターの存在は邪魔なようで、その訪問自体は大事にならずに済んだが、帰り道、シスターの乗った車をマックスを道に突き飛ばして、わざと事故に合わせようとする。
気付いたシスターはハンドルを切り、マックスは無事だったが、様子を見に車を降りてかけつけた祭に、エスターが後ろから殴りかかった。
そして、森に突き落としまだ生きているのを見ると止めを刺して殺す。
エスターは、サイコパスのように平気で人を殺していくが、もう一つの目的のようなものに、養父のジョンに気に入られたいようだった。
そのせいか、養母のケイトは女同士のライバルのような存在になっていくが、その異常性は決してジョンには見せないでいた。
おかげで、ケイトがエスターに不安を感じる事を告白すると、ジョンはケイトが不安定になっていると思う位だった。
ある時、ケイトが大事にしている流産した子の為に手向けていた花と知ってて、エスターはそれを花束にしてケイトに渡した。
何も知らずに見れば、無邪気な子供の愛情表現で罪はないのだが、大事にしてる事をエスターに伝えたのはケイト本人なので、明らかにいやがらせなのだった。
あまりのショックにエスターを押してしまうケイトは、エスターにとっては意のまま。
その時は、大した痛手はなかったのに、夜こっそり自ら骨折させ、痛みでジョンを呼び、ケイトに骨折させられた事にしてしまう。
目的の為には手段を選ばないエスター。
邪魔者は簡単に殺せるので、正体に気づいているダニエルをも殺そうとする。
だが、病院で命は救われ、エスターは止めをさす機会を狙っている。
ケイトはすぐにエスターのせいだと責めて、複数のスタッフが見る前でエスターをぶってしまい、ケイトが問題のある人間にうつってしまい、エスターの思い通りとなる。
そして、あまりの出来事に酔ったジョンとエスターが2人きりになると、エスターは明らかにジョンを誘惑しようとする。
さすがに、エスターの様子がおかしい事に気づき、酔いながらもエスターを拒む。
すると、エスターは拒まれたショックで、部屋に帰り、泣きながら本当の姿をさらす。
化粧を取り、首のリボンを外す。
すると、そこには、子供とは思えない疲れた顔とリボンで隠されていた傷痕があった。
エスターは、実は精神病院に居た過去があった。
実年齢は30台だが、病気で見た目が成長しないのだった。
だから、脱走後は子供として生き、養女となりあちこちを転々としていたが、その先々で養父を誘惑するが受け入れられないと殺す、というような暴力を繰り返していた。
精神病院でも暴力を抑える為にベッドに拘束していたので、その名残が首と手首の傷跡だった。
そして今、エスターはケイトを殺そうとするが、取っ組み合いの末、逆にケイトに氷の張る湖に突き落とされ、死んでしまう。
おしまい。
【かんそう】
まさに「恐るべき子供」? といった内容でしたが、落ちは「子供じゃなくて結構な大人の女性」でした、ちゃんちゃん、と言った感じ。
凶暴でサイコパスな殺人犯エスターというだけでも、成立するのに、そこに「病気で見た目が成長しないので、子供のふりをして家庭に入り込む」という不気味さをトッピング。
味濃いんですけど、無理やり感が気になってしまいました。
まず、
流産のトラウマを「養子に癒してもらう」という考え方。
しかも、それなら「育てる」体験が出来るような年齢を選びそうなのに「9歳」って。
そして、家族になるというのに、子供2人とは事前に合わせる事もなければ、意見も利かないのっ
て、ある意味虐待ぽくない? その通り、ダニエルは初日からエスターの存在を嫌がってるし・・・。
そしてエスターの謎。
拘束されていた危険な患者なのに、どうやって脱走できたのか。
また、それを知っていて病院はエスターを探していた感じがなかったのも謎。(若干他人事風味)
子供1人で、どうやって孤児院を転々とする事が出来たのか。
そんな曰くある状態で、シスターは何故エスターをもっと警戒しなかったのか。
エスターは自ら子供のふりをしているのに、養父を誘惑できると何故思ったのか。(無理すぎるでしょ)
エスターは、年齢を詐称しているから歯医者に行くのを避けていたが、何故孤児院でそれが通用したのか。
エスターは、身体の傷を隠す為に古風な装いをしていたが、それこそ子供が裸を隠しきれるのは無理じゃね?(家ならまだしも、孤児院は無理っしょ)
などなど、ちょっと無理が多い。
エスターの目的は、子供となって生活の保障を手に入れる事なのかと思いきや、そうではなく、単なる殺戮目的なんでしょうね。
その為のギミックとして子供になり、入り込む。
隙を与えて、殺すのを楽しんでいる。
養父を誘惑するのは、その儀式的な経過にすぎなくてあくまでも、いつか応えてもらえるなんていう可愛いものではないんでしょうね。
そういうシリアルキラーなのでした。
見ている側はエスターの異常性はバレバレですが、隠さなくちゃいけないはずの家族等にも結構バレバレにすぐなるので、最初は「子供ならではの大味な感じ」とエスターのやり方も良く解釈できたのですが、結果「中身は大人」だとわかると、「子供のふりして自分の欲求を満たす知能犯」という感じにはならないんですね。
それが、ざっくり「無理やり感」につながるんですけど。
そして、悲しい事に子供を演じきれず、ケイトに女として向き合ってしまうエスターは、急に人間味を感じます。
でも、決して同情は出来ませんけど。
最後のエンディングのムービーは急に別の映画みたいに気合入ってて凝ってました。
(アメリカン・ホラー・ストーリー、サーカス編のOPみたいなストップ・モーション・アニメ風?)
いろいろ私には謎な作品でした。
一応最後がハッピーエンドなので、「見たら後悔」とまでは言いませんが、癖はあると思いました。
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