2016年9月5日月曜日

ロックンローラ


ロックンローラ DVD

2008年作品

ジェラルド・バトラー、トム・ウィルキンソン、タンディ・ニュートン、マーク・ストロング、イドリス・エルバ、トム・ハーディ、トビー・ケベル

監督&脚本 ガイ・リッチー

あらすじ:ガイ・リッチーお得意の群像劇風視点で、1枚の絵画を通じてロンドンのクライム業界? を描く。




さすがのガイ・リッチー作品。面白かったですが、何でロックンローラなんだか。
そして、見れば面白い事間違いなしなのですが、文章にしようとすると悩むのが群像劇。

【おはなし】

ロンドンの裏ボスとその片腕のアーチ、チンピラグループ、ロシアのマフィア、汚れ会計士、死んだ事になってるミュージシャンのジャンキー、どいつも表舞台で活躍する存在ではない裏社会に生きる人間たちだが、かといってつながりがある程、ロンドンは狭いのだろうか、と思いきや、綺麗につながっている。

裏ボス、レニーはロンドンは自分の物だと思っており、年老いているが、その極悪非情さに衰えはない。誰もが自分のカモだと思っている。

チンピラ・グループ、ワイルドバンチは町を仕切るレニーには頭が上がらない。
それどころかうまい話を持ちかけられてワンツーとミッキーはいいカモにされ、借金まで背負わされる。

ロシアのマフィアは建築法に厳しいロンドンの建築許可が欲しく、レニーと取引きをせざるを得ない。信頼の証として、幸運の絵画をレニーに貸す。
レニーに支払う裏金の処理を、フリー会計士のステラに頼む。

ステラはゲイの夫と偽装婚をしたが、思いのほかそれが退屈で、一見接点のなさそうなワイルドバンチと絡んで、危険を味わうのが息抜きになっていた。
ロシアマフィアから頼まれた裏金の引き渡し情報をワンツーに知らせ、強奪するよう持ちかける。

ワイルドバンチは、借金があった事から少々の危険を冒しても、金が必要だという事で、断る事が出来なかった。


この偶然?  のつながりが、レニーとロシアのたった1回だけの取り引きを無駄に長引かせる事になる。

レニーは絵画を何者かに盗まれるが、調べていくと死んだはずの義理の息子、ジョニーが盗んだとわかる。
ジョニーはミュージシャンになっていたが、ジャンキーで死んだ事にした方が音源が売れると思って身を隠していた。
そして、過去レニーに虐待されていた事から、レニーの部屋にあった絵を盗んで金にしようと思っていたが、絵に魅了され、手元に残していた。

レニーは慌ててロシアに気づかれぬよう、絵探し&ジョニー探しを始める。

ロシアはレニーに渡すはずだった大金を盗まれ、仕方なくもう一度運ぶ算段をするが、それもまたステラはワイルドバンチを使って強奪を計画する。

そのことから幸運の絵を手元に置きたいと、レニーに約束より早いが返却を言い出す。

レニーは、すぐに返せない事から、ロシアとの関係はぎくしゃくしていく。

ワイルドバンチ達がステラに呼び出されたパーティーで、ゲイのボブは1人の男に見初められる。
その男は、この町のネズミ(チクリ屋)を知っているという。

ボブは、その宣誓証書と引き換えに1晩付き合うと、約束をする。

2度目の金の輸送は、厳重に傭兵のようなガードをつけられていた為、成功はしたがワンツーはボロボロになっていた。

絵を義父レニーが探している事には気づいたが、返すつもりのないジョニーは、隠れ家に居たが、出来の悪い相棒が寂しいと、チンピラ2人を連れて帰って来る。
余計な事だと怒って追い返すが、その隙に絵を盗まれる。
そのチンピラは盗品を流し、「絵は女にやるといい」とワンツーの手元に流れ着く。

盗みに成功したワンツーの家にそれまでつれなかったステラが訪ね、関係が深まった後、ワンツーは言われた通り、ステラに絵を贈る。

レニーサイドも絵の行方がワンツーの元へ行ったと知る。

レニーはなかなか絵を返さないし、渡すはずの金が2度も盗まれた事からロシアに「お前が仕組んでいるんだろう」と睨まれ、足を折られていた。

アーチがワンツーの家に行くと、そこにはすでに、ワンツーに恨みを抱いていた傭兵2人が復讐に来ていた。

SMチックにベッドに縛り付けられているワンツーを判笑いで見つけるアーチ。


ロシアは会計士のステラに惚れていて、側近があの女は怪しいといっても利く耳を持たず。
それどころか指輪を持って家を訪ね、プロポーズをする。

が、ステラの家の中で、自分の幸運の絵を見つけ、外にいた側近を呼ぶ。(始末したのかどうかは謎)

レニーの元にやっと、ジョニー、ワイルドバンチなどの面々が捕まえられて揃う。

レニーは全員を始末するつもりだったが、ボブがアーチを呼び、手に入れた宣誓証書を見せる。

すると、ネズミがレニーだった事が判明し、ワイルドバンチはもちろん、アーチ自身も入所させられていた過去とつながる。

そして下克上となり、アーチはレニーに復讐を果たし、ジョニー、ワイルドバンチの面々は助かる。

おしまい。


【かんそう】

本筋とは関係ないのですが、ワイルドバンチのどこかとぼけた雰囲気が特に面白かったです。

ボブは、実は入所が決まっていていよいよとなった夜に、ワンツーに騒ごうぜと気を使われますが、だったらお前が欲しい、と告白します。

それまでワンツーはボブがゲイだなんてみじんも思っていないので、思わずきもっ! って感じで拒絶しますが、5年ムショに居たらいやでも襲われるだろうからだったら親友に・・・みたいな感じで、すぐに謝り、受け入れるんです。

でも、実はそれは、ただチークダンスを踊ったってだけなんですけど、バリバリ男なワンツーにとってはそれだけでも恥というか、誰にも言えない過去になっていて、ひた隠しに隠すんです。

ところが、そもそもボブがゲイで、しかもワンツーに惚れていた事は、ワンツーだけが思ってなかっただけで、周知の沙汰でしたw

このエピソードからわかるように、ワンツーがとぼけている、って感じなんですかね。

レニーには、目をつぶっていても騙せるって感じで、簡単にカモられますし、傭兵SMペアにも襲われかけますしね。

それと、ワンツーの見せ場としては、ステラとのパルプ・フィクションばりのダンスシーン。



とぼけた感じで、踊りながらさらにそこで秘密の会話、2回目の強奪計画がされるのですが、その会話はコミックのような吹き出しで表示されます。

ガイ・リッチーらしい? スタイリッシュというか、ちょっとシャレた演出なのですが、何も知らないで見ると、若干安っぽくもありw

特に、ダンスシーンという事でどうしてもパルプ・フィクションを想い出してしまい、オマージュにしてももうお腹いっぱいじゃないかな・・・と気になりつつ。

ただ、ワンツーのとぼけキャラは全開って感じで、面白いシーンでした。

でも同じパーティー中なら、ボブのナンパ? してきた弁護士を手玉にとってあしらうやりとりの方が、頼もしくてワイルドバンチの悪も垣間見えて、印象的でした。

ボブは、完全に脇役ですが、外部の人間はもちろん、ワンツーという仲間であり親友でもある男も手玉に取ってる感じが、むしろチームの要って感じで、目立っていました。
キャラとしても、やり手のゲイ(しかもその筋ではもてるっぽい)の悪っていうのも珍しい感じがしました。

あ、もう一つワンツーの面白いシーン。
因縁のある傭兵ペアに自宅で襲われるシーン。
てっきり、殺されるのかと思ったら、傭兵ペア黒いボクサーショーツに警察の帽子みたいなの被って、音楽かけてノリノリでムチとか持ってる感じでw
ワンツーはその手のメンズに好かれるタイプのようです。

そこに乗り込んでくるアーチ達の面白いもん見た、な反応も良かったですw



おはなしをまとめるにあたって、難しかったのでちょこちょこ補足となりますが、映画自体は、アーチの視点で語られています。

でも、主役が誰かと言えば、誰とも言えず、それぞれが欠かせない存在になっていて、居なくなったら完成しないパズルのピース状態です。

だけどタイトルは「ロックンローラ」でそれは、単純に考えればミュージシャンでありジャンキーであるジョニーを差している・・・、と思います。

最後に、ジョニーとアーチが再会して、(元々幼い頃から知っている叔父みたいなもので仲が悪いわけではない)「これからもロックンローラだぜ!」みたいな締めくくり、となるので間違いではない・・・と思うんですが、その割にジョニーが弱かったんですよね。

特に絡みとしては、絵を盗んだだけで、実はジョニーじゃなくても成立しそうな感じ。

ジョニーは連れ子で、レニーに愛されないまま母親を亡くし、ジャンキーとなってしまいましたが、ロックンローラというタイトルで想像すると、びっくりする程音楽活動はありません。
BGMはそれなりですが。

ただジャンキーで、何故か死んだ事にして隠居生活というか、ラリった生活を続けているだけ。

本人は特に逃げているつもりはないが、妙に探すのに手間取っているシーンもちょっと怠い感じですし、父親を殺してやるという程の狂気もなく。
しかも、さくっと絵は盗まれますし。

なんで、主役ちっくなドヤ顔で終るの? って謎なんですよね。

アーチはわかりますけど。

もうちょいジョニーも格好良い所があったら・・・。

と、最後にシャレ半分でしょうけど続編のお知らせが入ります。

もしかしたら、すでにそこでジョニーの出番が考えられているのかもしれませんが・・・。

現時点では、特に具体的な予定は立っていないようですw




それにしても意外と古い作品でしたが、全然存在を知りませんでした。

そういう意味では、ダンスシーンなんかは時代的に大目に見ないといけないかもしれませんね。

でも、クライム作品としては、時代なんて関係なく、面白かったです。

さすが、ガイ・リッチー。








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