2016年5月11日水曜日

ナイル殺人事件



ナイル殺人事件 デジタル・リマスター版/ピーター・ユスティノフ[DVD]

1978年作品

原作アガサ・クリスティ

ピーター・ユスティノフ、ロイス・チャイルズ、サイモン・マッコーキンデール、ミア・ファロー、ジェーン・バーキン、ベティ・デイヴィ、アンジェラ・ランズベリー、オリヴィア・ハッセー、デヴィッド・ニーヴン、マギー・スミス、ジョン・フィンチ、ジョージ・ケネディ、ジャック・ウォーデン

あらすじ:莫大な遺産を相続した女セレブ、リネットに、親友ジャクリーンが失業した婚約者サイモンを雇ってくれないか、ともちかけるところから始まる。

そして、無事結婚にこぎつけたのは、ジャクリーンではなく、セレブと貧乏彼氏だった・・・。





昔から気になっていた作品。
やっとTVで見れました。

【あらすじ】

親友の彼を略奪婚したセレブ妻。ハネムーン先はエジプト・ツアーだったが、行くとこ、行くとこ、ジャクリーンがつきまとう。
明らかなストーカー行為であり、嫌がらせなのだが、思いっきりまいて船の旅に出るが、どこでどう仕入れたのかその船にまで乗り込む始末。

夜には、乗客とカードを楽しむところへ現れ、酒をかっくらいながら暴言を吐きまくる。
もちろん、関わり合いになりたくないと、客達は部屋に戻り始めるが、酔っ払いに捕まった小説家の娘と、片づけをすると言う元彼が残る。

そこで、ジャクリーンはサイモンと言い合いになり、興奮してサイモンに銃を向け、発砲してしまう。

騒ぎに、小説家の娘が気になる学生がやってきて、自分のしたことのショックを受けているジャクリーンを部屋まで運ぶ手伝いをする。そして医者がかけつけ、学生と医者でサイモンを部屋まで運ぶ。

ジャクリーンには、看護師である富豪の付き人バウァーズが一晩中つきそう事に。

妻を呼ぶか、と聞かれ、一度は頼んだものの、やっぱり朝になってからでいい、と寝かしておく事に。

サイモンには医師が付き添った。

そして翌朝。

お手伝いの悲鳴が船内に響く。

リネットがベッドで寝たまま頭を銃で撃たれて死んでいたのだった。

そしてポアロの推理が始まるが、実はこのツアーに乗り合わせていた全員に、リネット殺害の動機があるのだった。

アリバイがしっかりしており、足を怪我して動けるはずのない夫サイモン。

略奪された恨みでストーカーしていたジャクリーンも、同じくアリバイがある。

この2人以外は、

リネットに名誉棄損で訴えられそうになっている女性小説家とその娘。

リネットの叔父は、財産管理人でもあるが、実は横領をしていてバレるのを恐れていた。船の中でもどさくさに紛れて、自分に都合のよい書類にサインをさせようとしていた。

第一発見者のメイド(バーキン)は、リネットに退職を伝え、退職金をせがんでいたが、リネットから認められずにいた。

富豪の老婦人は、リネットの真珠のネックレスが喉から手が出るほど欲しいと言っていた。

その付き人の看護師は、リネットの一族に父親が破産させられていた。

社会主義者の学生はブルジョアであるリネットを忌み嫌っていた。

医師は、リネットに名誉棄損されたと口論していた。

それぞれが、リネットの死を望んでもおかしくないのだった。

ツアーに居合わせた名探偵ポアロは、偶然ツアーに居合わせた旧友の大佐と協力しあって、犯人捜しをする。

そんな中、ナイル川から、ジャクリーンの使った銃と重りをくるんだスカーフ(老婦人の盗まれていた物)が見つかったり、ポアロの部屋に毒蛇が仕込まれていたり、発見時にはつけていなかった、リネットの真珠のネックレスが死体に戻されていたり、と不穏な空気が消えない。

それどころか、リネットのメイドが首を切られて死んでいるのが発見される。
その手には、フランス紙幣の切れ端が握りしめられていて。

そして、小説家がその犯人を見た! と騒ぎ出し、サイモンの部屋で話しをしようとすると、肝心な名前を言う直前に頭を撃ち抜かれてしまう。

ポアロは、のんびりしすぎた、と悔やみ、残った全員を一部屋に集めて自分の推理を展開する。

誰もが犯人になりえる動機を持っているのと、最初のジャクリーンの発砲事件の先入観にとらわれ過ぎていた、と。

ポアロは誰かがそれをこっそり見ていて、その銃を拾って婦人を殺したのではないか、と思っていたのだが、そうではないのだ、と。

実は、その発砲事件では誰も撃たれてはいなかった。

すべて計画的に仕組まれていた事で、だからこそ自分はその騒ぎに気づかないまま、睡眠薬で眠らされていたのだ、と。

リネットが死んで一番怪しまれるはずのジャクリーンにしっかりしたアリバイがあるのも仕込みだからこそ。

撃たれた振りをしたサイモン(血はマニキュアの瓶に仕込んだもの。のちにポアロが空瓶のマニキュアが並んでいるのを発見して気づいた)は、ジャクリーンのアリバイ作りの為に「彼女を一人にするな」といい、部屋に運ばせた。
その隙に、落ちた銃を拾い、靴を脱いで婦人の部屋に行き、撃った。
だが、誤算として、部屋から靴下のまま出て行く所をメイドに見られていた。

メイドは、翌朝リネットの死体を発見し、犯人はサイモンである、と気づくが、お金が欲しかった(退職金をもらえないで身動きできないでいたから)ので、ポアロ達には言わずに、サイモンにそれとなくわかるような発言をして、そしてゆするつもりだった。

ジャクリーンと最初からグルのサイモンは、メイドの件をジャクリーンにいい、お金で油断させておいて、ジャクリーンが医者のメスを使って殺した。

だが、紙幣を抜き取る際に、切れ端が残ってしまったのには気づかなかったようで、それを見つけたポアロが、「ゆすり」の可能性に気づいた。

メイドの部屋から出るジャクリーンを見ていた小説家は、殺された騒ぎを受けて、あの時か、とピンときて「私は犯人を見た」と言いにくるが、その時サイモンが大声で反応したことで、隣の部屋のジャクリーンに危機を伝え、そして部屋の外から小説家を殺した。

メイドと小説家は、計画外ではあるが、計画の為の被害者。

狙いは、リネットで、やはり最初から財産目当ての計画だったようで、略奪でもなんでもなかった。

最初は証拠はないだろう、としらをきっていた二人だったが、ポアロは足に埋まっている銃弾を取り出せば、わかる方法がある。
そのテストをすれば答えが出るといい、大佐にそれを頼むと大佐は即答で承諾する。

すると、いよいよ逃げられないと観念したのか、2人は罪を認め出し、そして持っていた銃でジャクリーンがサイモンを撃った後、自殺して事件は解決となった。

その後、ポアロは大佐によくテストの準備があったな、というと「用意はしてなかったよ」と言う。

見事なブラフで、大佐とポアロのチームプレイが事件を解決した。

おしまい。

【かんそう】


純然たるミステリーというイメージがあったのですが、まさに見たかった期待のままでした。

探偵がいて、殺人が起きて、容疑者がいて、真犯人がいて。

シンプルなだけに、面白いか面白くないかはっきりしそうですし、ネタの限界も早そうですよね。

だからこそ、この手の推理だけに特化したミステリーって増える事がないんでしょうね。

ずっと見たい、と思っていた理由としては「エジプト」という舞台にもあります。

実際見てみると、昔の映画のなせる技なのか、名所が迫力ある距離で使われていて、しかもピラミッドの頂上に上ったりとか、遺跡の像の上に登ったりとか、こんな使い方してもヘーキなの!? とびっくりしてしまう迫力があります。

今ならCGやセットでどうにでもできそうですけど、時代的には本物でやっていそうで、だからこその迫力が感じられました。

特に、遺跡めぐり中に頭上から石が落ちるシーンとか。

ジャクリーンが突然ピラミッドの頂上に現れたり、まいたと思ったのに遺跡の像の奥から登場したり、というのも、そのストーカー的怖さと同様に、舞台であるエジプトの迫力が効果的で良かったです。

今でもそう思うので、公開当時ならもの凄く感動的だったんじゃないかなー、と思います。

ただ、それは序盤であって、その他はほとんど船上シーンなんですね。

これは事件の為の舞台で、仕方ないのかもしれませんが、もっとエジプトの広大な遺物の中で、死体が発見される。。。とか、危険が迫る、みたいなのを想像していました。
やっぱりロケ的に、さすがに出来ない事もいろいろあったんでしょうねw

ストーリー的には、しょっぱなに、セレブが登場して女友達が結婚するのー、って感じで始まるので、なんか想像と違うなーと思っていたら、次のカットでは「セレブの結婚」を伝える新聞記事になっていて、えぐさ爆発で、事件のにおいがプンプンなのが、シンプルでいいな、と思いました。

推理の為のドラマなので、余計な描写がほとんどないのがいいですね。

言い方を変えるとすべてのシーンが重要に思えてしまうので、ちょっと見るのに集中力をフル活用せねばならないのが、疲れましたw

でも、それは望んだ楽しい疲れなのですけどねw

そして、あっさりセレブ夫人が殺されるのも、いい意味でびっくりしました。
もっと殺され未遂みたいなのが連発するのかと思ったので。

その分、真犯人のやり口は凝ってはいましたね。

ただ、なんとなく「サイモンとジャクリーンはグルじゃないか」というのは想像できてしまうので、裏切られ感はそれ程大きくはないんですけど。

お金と嫉妬は怖いなー、と思いました。

でも、ジャクリーンとリネットは、どっちもどっちな似た者同士で、類友ではあるんですよね。

片や、親友の婚約者を奪える女で、片や親友の財産を狙って殺せる女。

もともと偽りの親友なんでしょうけど。


古い映画という事で、当然今と比べると刺激や完成度には見劣りはあると思います。
ストーリー的には、むしろ今よりも過激な発言と思えるような自由さは感じました。
(犯人が死んでめでたし、みたいな空気とか)

ただその分、感覚的に共感できない事からちゃちいと感じる人もいるかもしれません。

私はそんな時代性もひっくるめて、良いなーと思いました。

今では作り出せない雰囲気がありました。


特に気に入ったのはポアロと大佐のキャラと関係です。

ポアロは、見た目も立ち振る舞いも、割とかわいい感じで、名探偵というよりは、ゆるキャラっぽいw

そして名アシストをする大佐はエレガントで、スマートで、ポアロよりも名探偵っぽい感じも。
機転の良さで、ポアロを毒蛇から助けたり、最後のブラフなど、実は彼がいなかったら事件解決どころかポアロも死んでたんですねw

殺人が起きているのに、全体的にのんびりしたムードがあるのも、船上ツアーのなせる技か、このポアロと大佐のキャラなんじゃないかな、と思います。

静かでおっとりしたバディな感じが、新鮮でした。

こんな感じのミステリーを、いろいろ見てみたいと思いました。

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