2016年5月12日木曜日

オリエント急行殺人事件



オリエント急行殺人事件 スペシャル・コレクターズ・エディション

1974年作品

原作アガサ・クリスティ

アルバート・フィニー、リチャード・ウィドマーク、アンソニー・パーキンス、ジョン・ギールグッド、ショーン・コネリー、ヴァネッサ・レッドグレイヴ、ウェンディ・ヒラー、レイチェル・ロバーツ、ローレン・バコール、イングリット・バーグマン、マイケル・ヨーク、ジャクリーン・ビセット、コリン・ブレイクリー、デニス・クイリー、ジャン=ピエール・カッセル、ジョージ・クールリス、マーティン・バルサム

あらすじ:寝台列車の中で、殺人事件が起きる。犯人は乗客か、外部の人間か、名探偵ポアロが推理する。



ナイル殺人事件

を先に見たので、ポアロがちが~う!

【あらすじ】

冒頭:5年前の事件の新聞記事。
アームストロング家の娘デイジーが自宅から誘拐され、両親は身代金を払ったにもかかわらず、その発見は遺体だった。
当時、内部に共犯者がいたのではないかという疑いもあり、メイドが疑われた挙句、自殺していたり、傷心で流産した母親、そしてそれを追って自殺した父親など、多数の犠牲者を出していた。
犯人の1人は捕まってはいたが、その首謀者まではよほど恐ろしい人物なのか言わず仕舞いのままとなっていた。

そして今――。

寝台車でロンドンへ向かおうとしていた名探偵ポアロだが、直前に予約が取れないと言われてしまう。
だが、偶然居合わせた友人ビアンキが寝台車のオーナー会社の重役でもあったので、無理やり入り込む。

旅は道連れという事で、食堂で顔を合わせた者同士、会話を交わす。
そんな中、ポアロもアメリカ人のセレブ、ラチェットに声をかけられるが、その内容は、「脅迫されているから、身を守ってほしい」というものだった。護身の為の銃まで持っていた。
だが、お金ではなく面白いか面白くないかで、事件を選ぶというポアロは「面白くないから」と断る。

そして、2日目の朝、そのラチェットが何者かに殺されて発見される。

本来なら警察の仕事であって、ポアロには無関係なのだが、ビアンキの頼みで、事件解決を引き受ける。
雪の為、列車は止まっていたので、警官が乗り込んでくるまでの間に解決して欲しいという希望で。

疑いがなさそうな医師と車掌を除く乗客を洗い出していくポアロ。

すると、それぞれの話に「5年前」というキーワードが見え隠れしてくる。

さらには、死体の側に燃やされていた紙に書かれた文字を再現させたところ、5年前の誘拐事件のデイジーの名前が見えたのだった。

ラチェットが脅迫されていたというのは、ラチェットこそが5年前のデイジー誘拐殺害事件の主犯だからだった。

恨まれ殺されても仕方ない人物だったが、犯人探しは続く。

胸に入っていた殺害時刻で止まった時計、12か所の刺し傷、乗客が見た制服を着た男の影などから、外部の人間の可能性もあったが、積雪に出入りの痕跡がなかった事や、そもそも1等車は鍵で隔離されていた事などから、内部の犯行だと思われた。

そしてポアロの推理が展開する。

まず1つ目は、外部説。

そして2つ目は、12人の乗客と車掌全員がグルだった、というもの。

ポアロの登場は全員にとって、歓迎すべきものではなかった。
が、この列車でこそ、復讐のチャンスで、静かに気づかれないよう、行われていた。

12人とは、

ラチェットのアシスタントの青年ヘクター:殺された奥さんに可愛がられていた

ラチェットの執事ベドーズ

アーバスノット大佐:自殺した大佐の同僚
大佐と結婚の約束をしている女性メアリー:奥さんの秘書

ハッバード夫人

宣教師グレタ

ドラゴミロフ公爵夫人:デイジー
夫人のメイド、ヒルデガード:アームストロング家の料理人

外交官
その妻:奥さんの妹


車のセールスマン、フォスカレリ:アームストロング家の運転手の仲間

探偵、ハードマン:メイドに恋をしていた。

そして、
車掌ピエール:自殺したメイドは娘だった。

この推理発表が終わる頃、ちょうど除雪が進み、警察が合流し事の顛末を報告しなければならなくなっていた。

ポアロはこの2つの推理結果のどちらを警察に報告するか、ビアンキに委ねる。
ただし、
「警察というのは複雑を嫌うだろう」というアドバイスを添えて。

そしてビアンキは、「外部説」を警察に報告すると決める。

全員がほっとしてワインを開けて乾杯する。

おしまい。

【かんそう】

とにかく、ポアロが気持ち悪くて、残念でした。

ただ妙なバディな感じは健在で、そのノリが今回も殺人事件現場だというのにどこか、のんびりした印象を受けましたが、別にそれが大きくマイナスに感じたわけではありません。
妙なノリがあって面白いなーという感じです。

ポアロが1人1人尋問する際に、終る度に側で聞いていたビアンキが「犯人に決まりですね」と毎回言っていて「これだから素人は・・・やれやれ」みたいな感覚で見ていたのですが、実はそれがビンゴだったという。

ビアンキ、侮れません。

推理の為のドラマなので、さくっと殺され、さくっと尋問が始まり、さくっと推理、というテンポ感はやっぱりわかりやすくていいですね。

ただ、冒頭の事件の記事は、思い描いていた列車の旅とまったくかけ離れていたので、びっくりしました。

ヒッチコック的なババーンというSEと共にちょっとホラーチックな新聞記事の演出がいい感じではありますが、そんな始まりだとは夢にも思わなかったので、状況を飲み込むのにちょっと戸惑いはありましたが。

そして、それが間違いなく何かの伏線になるんだろうなーとは思っていましたが、まさか、その犯人の復讐劇で、そして乗客全員、言い換えると容疑者全員に加え、車掌までもが犯人だったとは、普通に驚きました。

今の時代こそ、SNSなどでひょっとしたらこういった復讐もあるのかもしれませんが、昔となると、どう他人ぶっていながらも、作戦を練っていたんだろう、とファンタジックな感じがしますが、それでも、設定としてこういうのもありなんだ、と驚きがありました。

ただ、12箇所の刺し傷と犯人が13人で(2人で一緒に刺した傷があった)、というのはひっかけでもなんでもなくて、ただ単にややこしいな、と思ってしまいました。

ふわっとしたヒント「5年」というキーワードで車掌も何かからんでいるな、というのは実はすぐわかるので、もっと後回しでも良かったような気もします。

でも、だからといって全員犯人にはつながらないんですけどね。

一番最初のアシスタントがすぐに「奥さんにかわいがってもらっていた」とアームストロング家との関わりを告白するのも、あ、このシリーズかな? と想像は出来るんですが、アシスタントと執事は最初から怪しさ満々だったので、ミスリードの役目だったんだとは思います。

でも、ラチェットがいやな奴という事を伝えたい(同情の余地なしみたいな)のかなー、とも思えたので、そんなに引きずって見ていませんでした。

それにしても、「悪人だから殺されて当たり前」「最後はワインで乾杯(復讐が終わった事と、無罪で済んだ事の両方を意味する?)」なんていうあたりは、昔はすごいな・・・と思ってしまうのですが、Wiki等を見ていたら、この「乾杯シーン」には、キャストが豪華だからこそのカーテンコール的役割で入れた、とあったので、「やっぱすげーな。そんなに考えてもいないのか」と驚きました。

あと、ポアロが護衛を断ってすぐ殺された事に対して、「断ったんだけどね、アハ」みたいな感じでスルーしてるのも、ポアロも変だし、友人も変だし、皆変な時代だったのかな・・・と思えますが、そういう今にはない雰囲気含めて、面白かったです。

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