2016年5月24日火曜日

ゲーム


デヴィッド・フィンチャー ゲーム DVD

1997年作品

監督デヴィッド・フィンチャー

マイケル・ダグラス、ショーン・ペン、デボラ・カーラ・アンガー、

あらすじ:投資銀行経営者として、幼い頃から裕福に育ったニコラス。
48歳の誕生日に弟からもらったプレゼントは「ゲーム」だった・・・。




いわゆるどんでん返しですが、それに至るまでの不快感が当時は「フィンチャー」だなぁ、と感心したものでした。

改めて「セブン」「ゲーム」「ファイト・クラブ」が私にとってのフィンチャー黄金期だったんだな、、と思いました。




【あらすじ】

裕福な家柄ではあるが、父親は自身が48歳の時、屋敷で飛び降り自殺を図っていた。

ニコラスは父親と同じ48歳を迎え、飛び降りを見たトラウマと自分もいつか同じになるのでは、という恐怖を持っていた。

誕生日に弟コンラッドから、CRSという会社が提供する「ゲーム」をプレゼントされる。

弟自身もロンドンで経験し、とんでもなかった、と興奮して勧めてきた。

弟は何かカルトにでもはまっているのでは、と受け取ったものの半信半疑だった。

ところが、仕事の出先で偶然CRSのオフィスを見つける。
オフィスは引っ越したばかり、という事だった。

なんとなく、訪ねてみると、体験するには試験があると言われ流れで試験を受ける。

ゲームに満足できなかったら費用はいらない、というが今まで満足しなかった客はいない、とも言われる。

試験は受けたものの、実際にやるかやらないかはまだ決めかねていた。

その後立ち寄ったジムでゲームの話題をしている2人に出会う。

見慣れないが新入りだと聞き、ゲームの話をする。

経験者だという男に、どんなゲームなのかと聞くと、

「私は見えなかったが、今は見える」

とヨハネを引用されて立ち去られる。

そして翌日、教えたはずのない携帯にCRSから直接連絡が入る。

それだけでも驚きなのに、「試験に不合格した」と言われてしまう。

半信半疑ではあったが、不合格と言われると少し気になるようでもあった。

その夜、帰宅すると屋敷の前に父の飛び降り死体と同じように横たわる不気味なピエロの人形を見つける。

口の中にはひもがついた鍵が入っていた。

ピエロを部屋に運び入れ、TVを見ていると、TVのアナウンサーがニコラスに話しかけてくる。

「これは君のゲームだ ようこそ」

基本ルールは、鍵。

いくつか受け取る事になるが、いつどこで使うかはわからない。

小さいカメラでニコラスを見ているという。

そしてTV越しに会話を成立させている。

カメラはピエロに仕掛けられていた。

CRSの24時間電話サービスの番号を教えられ、メモする。


翌日から鍵が気になってしまうニコラス。

あちこちでCRSの仕込みかどうか気になってしまう。

仕事では、父の友人だったという編集者をクビにしようとしていたが、解雇手当の書類を入れたカバンの鍵が開かず、鍵を探すとCRSの鍵を見つける。

だが、カバンは開ける事が出来ず、何も進められずに帰る事に。

弟と約束したレストランでは、先週から見かけるウエイトレス、クリスティーンのドジで赤ワインまみれになっていた。

その騒ぎで、クリスティーンは目の前で解雇される。

何も食べていないのに、ウエイターが会計だとテーブルにメモを置いていくと、それには「彼女を逃がすな」と書いてあった。

素直に追うニコラスだが、道に倒れている男を見つける。

一度は帰ったクリスティーンだったが、戻ってきて男を介抱する。

呼ばれた救急車に2人で乗り込む羽目に。

車中でクリスティーンにメモを見せる。

病院に到着すると、瞬間、周辺の明かりが消え、沢山いた人も一瞬でいなくなる。

この状況にニコラスはクリスティーンに「ゲーム」だと伝える。

病院と思われる建物を探索すると、エレベータを見つけるが、持っていたCRSの鍵で動くように。

だが、移動途中でまた停電になり止まってしまい、エレベーター内から脱出する。

するとこの建物がCRSである事がわかるが、同時に警備システムを作動させてしまう。

ニコラスは悪い事はしていないのだからこのまま待って事情を話そうと、言うが、クリスティーンは逃げ出す。
ニコラスも後を追うと、通報を聞いたパトカーが到着したのか、警察犬に追われる羽目に。

逃げ切ってニコラスのオフィスにたどり着くと、クリスティーンはシャワーを貸して欲しいという。

その際に、クリスティーンが赤いブラジャーをしているのを見る。

そして別れ際、実は言う事があると言われる。

ある人に400ドルもらってワインをこぼしたんだ、と。

そしてニコラスの事を「素敵な人」とも言っていたことを告げる。

翌日、クレジットカードを預かっているというホテルに行く。
知らぬ間に財布からなくなっていた。

ホテルに着くと、男とすれ違いざまにぶつかる。

フロントでカードを受け取り、キーはないのかと聞くと昨夜渡しましたよ、と言われる。

もちろん、記憶にないので、ポケットをあさると、先ほどすれ違いざまにキーが入れられていたのだった。

ホテルの部屋につくと、そこにはかなり羽目を外したパーティーの痕跡があった。

しかも、ニコラスのサインのあるレシートや、ニコラスの刺繍入りのシャツ、そして昨夜失くしていた開かないカバンまでもがあった。

そのかばんは開いていて、中にはかなり恥ずかしいポラロイド写真がいっぱいだった。

クリスティーンと思われる赤いブラジャーの姿もあった。

コカインの形跡まであるので、清掃が入る前に慌てて部屋を片付ける。

その際に割れた鏡で指を切ってしまう。

血を拭いてトイレに流すが、トイレから水があふれてしまう。

なんとかとりつくろって慌ててホテルを出る。

尾行されている気がして1台の車を止めるが、そこには実弾の入っている銃があった。

ゲームの一部かと思っていたが、雇われた探偵だという。

ニコラスはこの一連のいやがらせを、クビにしようとした編集者が犯人だと決めつけて、弁護士と共に乗り込む。
弟を利用してゲームと称してやっているのではないかと言うが、編集者はとっくに気持ちを変えて退職願いを出していた、という。
まったくの検見当違いだった。

弁護士にCRSを探るよう頼む。

ゲームの権利の放棄をしたい、と思い始める。

ところが権利書だと思っていた紙は消えるインクで書かれていたようで、ニコラスのサインしか残っていなかった。

ポラロイドから、疑問に想いクリスティーンの居所を探るよう秘書に頼む。

CRSからは、何かに使うハンドルが送られてきていた。

帰宅すると、停電しているのか、真っ暗だった。

帰ると家の中にペイントがあり、アリスに聞け、などとメッセージが書かれていた。

弟もCRSに追い込まれている、と告白してくる。

お金を払っても払っても終わらず、いつまでもゲームをやめない、と。

車の中から大量のCRSのキーが出てきて、コンラッドはニコラスが関係していると勘違いする。

CRSの一味なんだろ、と怒って「兄にとって目障りな弟なんだろ」と喧嘩になる。
「父親になれなんて頼んでない」と言われ「他に選択があったのか」と逆切れするニコラス。

公衆電話のベルがなっているので取ると、先ほどの兄妹喧嘩の会話が再生される。

車を捨ててタクシーに乗ると、目的地を過ぎてしまう。

運転手はCRSだった。

乱暴な運転で港まで連れて行かれ、挙句、そのまま海に落とされる。(運転手は直前で脱出)

ニコラスは持っていたハンドルでドアを開け、脱出して助かるが、本格的に警察に調査を依頼する。


初めてメイドに父の事を聞く。

自殺の傾向はなかったという事と、父の面影はない、という事を聞いた。

クリスティーンの家が判明する。

訪ねると、そこはあたかも人が住む家のようにしていたが、インテリアに値札がついたままになっているのに気づいた。

作られた部屋だった。

その事をクリスティーンに伝えると、「ここは見られている」と言われ、外に出ようと言われるが、キレてカメラを壊すニコラス。

すると、外に待機していたCRSが発砲してくる。

再びクリスティンと逃げる羽目になる。

内情を知るというクリスティーンは、弟がCRSの一味だという。

弟はCRSから金を巻き上げられ、丸裸で次の標的として金持ちニコラスを売ったのだ、と。

口座の金は今頃なくなっているんじゃないか、と言われ慌てて口座を確認するニコラス。

その際に、クリスティーンの横でパスワードを言う。

すると、すでに口座は空だと言われる。

慌てて弁護士に相談の電話をする。

その後、弁護士から連絡が来るが、口座は無事だと言われる。

それにクリスティーンは、彼も仲間だ、と言う。

逃げ込んだ先でクリスティーンがいれた飲み物を飲んでいたニコラスは、薬を盛られて倒れる。

ぼんやりした意識の中で、クリスティーンがパスワードを盗んだと知る。

目覚めるとメキシコの墓場だった。

パスポートもIDも金もなかったが父の形見の時計があった。
それを金にして帰路につく。

それでも金は足りず、ヒッチハイクなどして家につくと、競売物件のビラが貼ってあった。

門をよじ登って家に入り、現金を探す。


弟を宿泊先ホテルに訪ねると、病院にいったと言われる。(リハビリ施設的な?)

足がないので、元妻に車を借りに行く。

その際に、妻に昔の事を詫びる。以前の自分は悪かった、と。

ダイナーのTVで、CRSの担当者が俳優である事を知る。

担当者が中華のテイクアウトをしていた事から、その店をつきとめ尋ねる。

店の者は何も言わないが、店内でサイン入りのフォトを見つける。

そして、良い役があるとウソをつき家に連絡して、出先をつきとめ押しかける。

子供と行っていた動物園だった。

銃をちらつかせて、CRSのビルに連れて行け、という。

社食に行くと、クリスティーン、ジムで会った2人組、など関係者が勢ぞろいしていた。

クリスティーンを人質に取るニコラス。

屋上に逃げるが、そこでクリスティーンはニコラスの銃を見て驚く。

そして、無線で「本物の銃を持っている」と交信する。

すべてはゲーム、だという。

銃撃戦もすべて、空砲で、ニコラスにも空砲を持たせるはずだった、と。

海に落ちたのも、潜水士が待機していた。

すべてはあなたの為でシャンパンを持って、待機しているという。

今日が誕生日パーティーで、コンラッドもいる、と。

そして、「銃を持ってるから逃げろ」と交信するが、ドアを開けると、タキシードを着てグラスを持っていたコンラッドを撃ってしまう。

目の前で弟が死ぬのを見、さらに「何度も止めたのに」という会話を聞くと、ニコラスはそのままビルから飛び降りてしまう。

ところが、その下にはしっかりクッションが用意されていた。

皆が見守る中、ニコラスは飛び降りてきた。

そして、コンラッドに出迎えられる。

メキシコの墓場に捨てられた記念Tシャツを持って。

「誕生日おめでとう」

抱き合う二人の兄弟。

改めて兄を紹介する弟。

大きな拍手。

クリスティーンを気にすると、次の仕事に行くという。

だが、その前に空港で2人でお茶をする事にして。

おしまい。

【かんそう】

これまた、作品の性質上、箇条書きみたいなあらすじになってしまいました><
そうでもないと、逆に「ゲームに巻き込まれた結果、生まれ変わるお話し」位で済んでしまう・・・とも言える。

セブンの次の作品という流れで見ると、「さんざん不快な目にあって、最後、ハッピーエンド」という、また違った驚きのある作品で、決して期待を裏切らない記憶がありました。

今見ると、初見の驚きはさすがにありませんが、不快感は永遠ですね~。

誰が本当の事を言っていて、誰が信用できるのか。

生死にかかわりそうな事も起きるので、ゲームどころか、陰謀なんじゃないか、とさえ。

でも、実際は、すっごく大げさな、人格改造サプライズで、兄想いの弟が兄に変わって欲しい、父親の呪縛から逃れて欲しい、というようなメッセージでありプレゼントなのですが、正直、無関係な世間にとってはいい迷惑でしかないんですよね。

空砲だとはいえ、銃撃戦やら車の暴走やら。

ま、兄ついでに弟も兄との関係のゆがみをついでに矯正していましたから、お金持ちとしたらお安いものなのかな?

兄は、多分、ビジネスに徹していた嫌な奴。

だから離婚もしていて、仕事ばかりで孤独な生活だったんでしょうね。

そして父のトラウマを抱えていた事もそんな生活になる理由としてあったんでしょう。

そのすべてを変える為には、逃走劇、新たな出会い、本音でのぶつかり合い、異国での苦労など、という実体験が必要だった・・・。

まあ、すべてはお金持ちの道楽だと思います。

最後の「飛び降りに憑りつかれているから実際に飛び降りさせて解放する」というのが目玉なんでしょうけど、実際にはどうなんでしょうね~。

自分がサインしてしまったゲームだとはいえ、すぐに笑えないと思うのですが、主人公にはOKだったみたいです。

CRS自体が途中、架空の存在のような扱いになっていますが、最後を見る限りは、実在する会社のようでした。

でも、警察まで巻き込んでいるんでしょうかね。

銃撃戦は空砲だとはいえ、通報する人もいるはずなんですけど、近所を買収していたんでしょうかね。

ちょっと非現実的ではありますが、大がかりなゲームだと考えると、それ自体は面白いな、とは思いました。

ある意味、「バニラスカイ」と通じるものがある、と今見直して思います。



バニラスカイは近未来のお話しで、望みの夢を見せます、というような会社が出てきますが、同じように最後ビルから飛び降りて目が覚める・・・みたいな落ちでした。

こちらは、近未来というわけではないので、むしろある意味リアルなんですけど、逆にだからこそ「ありえない」と冷静に考えてしまったりもします。

どちらも、ビルから飛び降りる前と後で、人生が変わる・・・のですけど、それって普通にそうだろうな、って感じですよねw

いろんなネタを知っててみると、ちょっと説教臭いな、とも思ってしまうのですが、普遍的かなーと思い気や、意外な? ところで時代を感じてしまって、笑ってしまいました。

ええ、マイケル・ダグラスが着用する、トレンチコートの肩パッドのすごいこと!

多少の電気製品は目をつぶったとしても、あの肩パッドを見過ごすことはできません。

もはや笑わせる為に着てるんじゃないか、と思えるくらい。

ところが、同様にもう1か所、笑ってしまう所があったんですが、
薬を盛られて視界が怪しくなるダグラスの視点になる時、薬の入ったコップが映るのですが、それがいかにもヒッチコック的なじゃじゃーんというSEがつきそうな、フィーチャーっぷりで。

うそでしょ!

と思わず突っ込みたくなるくらい。

初見では、まったく気にならなかったというか、気にする余裕がなかったのか、一切覚えていなかったですが、ちょっと面白いですw

フィンチャーは、セブン、本作、パニック・ルームまで、劇場で見ていたんですが、私にとってはパニックが最後でした。

今見直しても、やっぱりこの初期3作は特別な勢いやエネルギー、パワーがあるな、と思います。

好きか嫌いでいえば、本作は決して好きではないんですけど、この嫌な感じは、特別だし、ずーっとハラハラドキドキさせられるのは、すごいなと思いました。

ちなみに、どこまでがゲームでどこまでがリアルなのか、というのも厳密にはわかりませんが、それ自体どうでも良いという作品になっていると思います。

重要なのは、主人公の人格改造の旅なのですが、よくよく考えると48歳でやっと、というのは遅くね? とも思って、それ自体が嫌味っぽい・・・のかもしれません。

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