アラクノフォビア DVD
1990年作品
ジェフ・ダニエルズ、ハーリー・ジェーン・コザック、ジュリアン・サンズ、ジョン・グッドマン
あらすじ:都会から田舎町に引っ越してきた医者一家。
父であるロスは、幼い頃のトラウマから蜘蛛恐怖症(アラクノフォビア)だったが・・・。
ジュリアン・サンズ出演という事で、久しぶりにTV(午後のロードショー)で見ました。
これがなかなか良くできていて、びっくり。
【あらすじ】
冒頭:昆虫学者のアサートン博士(サンズ)は、南米・アマゾンで新種の蜘蛛を発見する。
既存の殺虫剤で死なない生命力と、飛びかかってくる攻撃性。
ビンに入れて持ち帰るが、実は荷物の中にも忍び込んでいた。
その1匹は、カメラマンを噛み、殺してしまう。
原因不明で死んだとされるカメラマンは、棺に納められ地元に戻るが、その棺にも蜘蛛は潜んでいた。
地元の葬儀屋で、棺を開けると、カメラマンの遺体は干からびたミイラのようになっていた。
蜘蛛が血を吸っていたのだが、そんな事に気づくわけのない葬儀屋は、「現地のしきたり」か何かだと思って気にしなかった。
同じ頃、街に都会から引っ越してきた医師一家がいた。
葬儀屋から這い出した蜘蛛は、カラスに捕まるが、逆にカラスを噛み殺し、その一家の敷地に落下する。
そして、じめじめとし、暗い納谷を巣として選び、知らぬ間に地元の蜘蛛と交尾をして、増えて行くのだった。
ロスの妻が、カメラを持って納谷に入った時、すでに大規模な蜘蛛の巣が張られていたが、まさか恐ろしいひと殺し蜘蛛だとは知らない妻は、きれいだと写真に収めておく。
そして、蜘蛛恐怖症のロスを、ショック療法として納屋に連れて行くが、その時はまだ何も起きなかった。
ロスは、この街で開業医をする老人サムが引退する事でバトンタッチする予定だったが、実際サムに会うと、「やっぱり引退するの止めた」と、話を変えてしまう。
小さな田舎町なので、サムがいる間は客は来ないのだが、唯一1人だけ予約が入っていた。
そのマーガレットは、サムには高血圧だと診断されていたが、ロスは薬を飲むほどではない、と健康である、と診断した。
だが、その後、蜘蛛に噛まれて心臓麻痺の状態で死んでしまうのだが、まだ蜘蛛の事をしらない住民達は、サムが「ロスが誤診をしたせいで死んだ」というと、誰も疑りはしなかった。
そして、サムが「健康だったのに、急死するのはおかしい。解剖して死因を調べるべきだ」と主張するのも、「すぐに解剖したがる」と新参者を忌み嫌うのに都合が良かった。
次の犠牲者は、フットボール部の生徒で、ロスが見学している目の前で急に倒れてそのまま息を引き取った。
タイミングがちょうどタックルを受けた時だったので、全員が「タックル」の衝撃のせいだと思っていた。
実は、ヘルメットの中に蜘蛛が潜んでいて、被った生徒が噛まれたのだった。
ヘルメットを外した時に、そろっと蜘蛛が出ていくのを誰も気づかなかった。
いよいよ、ロスが死神のような状況になってしまったが、3人目は、サムが犠牲者となった。
ルームシューズに蜘蛛が忍び込み、履こうとした時に噛まれた。
目撃者として、妻が「死ぬ前に蜘蛛に噛まれていた」と言ったが、「蜘蛛で死んだ人間はいない」と重要視されなかったが、血液を調べてもらうと、微量の毒が発見された。
サムが死に、医師として1人残ったロスは、死因を特定する為に、3人の遺体を調べる事に。
さすがに、3人も同じような突然死をしたとなると、放っておけなくなり、それに従う事に。
また、蜘蛛というキーワードがわかったので、昆虫博士のアサートンにコンタクトを取り、協力を依頼する。
初めは、「なんでもすぐ蜘蛛を悪者にする傾向がある」と相手にしなかったが、地名を聞いて聞き覚えがある事にひっかかる。
そして、助手が来て、遺体の検証をすることに。
すると、3人ともに噛み痕がある事がわかる。
助手は、張り巡らされた蜘蛛の巣などから、この街が大変な事になっていると、博士を呼ぶ。
害虫駆除デルバートも、これまでの駆除剤でなかなか死なない蜘蛛に出会い、一行に協力参加する。
別行動していた博士は、ロスの院内に飾られている妻が撮影した納谷の蜘蛛の巣の写真を見つけ、すぐさまそこに向かう。
そこで、エモノが引っかかったと蜘蛛をおびき寄せると、なんと大きな蜘蛛に飛びかかられて、むしろやられてしまう。
だが、納谷に到着するとすでに博士は蜘蛛の巣に取りこまれていて殺されていた。
家の中に家族ともども逃げ込もうとするロスだが、あちこちから蜘蛛が侵入し、家の中も危険だった。
慌てて、外に逃げるが、逃げ遅れたロスは、家の中で蜘蛛から逃げつつ、地下室に落ちてしまう。
地下室は、ワインセラーとして使っていたが、ここもまた、暗くでじめじめしている場所である事に気づく。
そして、卵のうを見つける。
卵のうの近くには、共食いをするので蜘蛛はたくさんいない、と言われていたので、蜘蛛恐怖症だが、蜘蛛に立ち向かう。
長時間の格闘の末、なんとか蜘蛛を殺し、卵のうを燃やして、蜘蛛を絶滅させた。
だが、一家は田舎から都会に戻って行く。
おしまい。
【かんそう】
ジュリアン・サンズが昆虫学者という、なかなかはまり役で、冒頭はたっぷり出てきて期待できるんですが、あっさり田舎町になると出番がなくなるので、超脇役じゃん!
と思うのですが、途中でまた登場するので、「やっぱりそうだよね」と安心していると、あっさり蜘蛛にやられて笑いますw
しかも、この作品の良いところとして、パニック・ホラーなんですけど、あくまでも蜘蛛が、ちゃんと蜘蛛してるんです。
変な改造モンスターちっくなものではなくて、現実にいる蜘蛛然しているので、むしろ怖いんですよ。
それが、このサンズがやられる時だけは、大きな蜘蛛のおもちゃがびょーーんと飛んでくるって感じのちゃちさでw
笑うしかありませんでした。
そしてあっさり蜘蛛の巣に撒かれて死んでる博士。
結局、わき役かい!
でも、博士としての活躍はしていましたけどね。
もっとマッドな感じでも良さそうですけど、最後はしっかり蜘蛛を退治しないと! って感じでした。
過去の記憶がほとんどなくなっていたので、先入観がなかったのですが、ざっくりと「どうせB級」みたいなイメージは持って見たのですが、それが功を奏したみたいで、良くできているのに驚きました。
まず、繰り返しになりますが、蜘蛛がモンスター化していないので、怖さがリアルにあります。
そして、その人間への近づき方。
そこそこ大きく写っているんですけど、ヘルメットにこっそり入ったり、ルームシューズに入っていたり、シャワー中にシャワーカーテンの上を歩いていたり、トイレの中で便器の死角にいたり・・・。
等々どれも、身近にあり得るシチュエイションなのが、怖さに直結しました。
1回、声出ちゃいましたもん・・・。
作中でも博士が力説しますが、蜘蛛は虫を食べてくれるので、蜘蛛がいなくなったら虫だらけになる、と。
私もぼんやりそれを小さい頃から信じていて、決して好きではないですが蜘蛛だけは家の中で見つけても殺したらいけない、としていました。
そのまま放っておくか、出せるものなら外に出すか。
だけどこの映画を見るとそんな蜘蛛にも少し警戒したくなります。
それくらい、怖さにリアリティがあって、良くできているなーと思いました。
ただ、本作の蜘蛛は、一応、南米の極悪蜘蛛とアメリカの田舎町の蜘蛛が交尾して、本来生まれるはずもなく生まれてしまった突然変異という事なので、多分・・・都会にはそうそう起きえない事なのかな、と思いますが・・・。
でも、怖いですね><
蜘蛛本体より、さらにいやなのが蜘蛛の巣です。
蜘蛛もたくさん出てきますけど、蜘蛛の巣も大きいのがちょこちょこ登場するので、苦手な人は・・・見ないですよねw
蜘蛛の巣は、引っかかる夢が定番な程、苦手です。
最初の納谷で、奥さんが蜘蛛の巣がきれいって写真に取って、そのまま放置しておく気持ちは、まったく理解できませんでした。
でも、その写真がしっかり伏線となっていて、のちに博士を納谷にエスコートする役目になるのも、「良くできてるなー」と思いました。
B級プラスアルファ感があるのは、ゴーストバスターズならぬ害虫バスターズのデルバートのおとぼけキャラクターにもあります。
緊張の中の緩和役で、博士と初対面で「同業者っちゃ同業者だな」って握手求めたり、ここぞ、という所でドヤ顔でいつも登場したり。
ただ、脅かすだけじゃないのも、エンタテインメント性が高くて、ファミリー映画になり得る雰囲気を持ってるなーと思いました。
考えると、蜘蛛は怖いですけど、スプラッターのような狙った衝撃シーンみたいなのはないんですよね。
でも、お子様が見たら、すごいトラウマになりそうだけど。
虫全般嫌いですけど、サンズの博士役見たさだけで見るにも、価値はありました。
良質のパニック・ホラーだと思いました。
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