2017年2月3日金曜日

カオス



映画 (Movie) / カオス〔DVD〕

2006年作品

ジェイソン・ステイサム、ライアン・フィリップ、ウェズリー・スナイプス

あらすじ:銀行強盗が発生。犯人から指名されたのは謹慎中の刑事で・・・。


10年以上前の作品ですが、面白かったです!

【おはなし】

パール・ストリート橋事件がきっかけで停職処分になっていたコナーズ(ジェイソン・ステイサム)。
女性を人質にした容疑者と、その人質を2人はそれぞれ撃ってしまったのだった。

裁判では同僚のカーロが検察側の証人になり、あくまでも誤射だというが、相棒のヨークは、懲戒免職になっていた。
容疑者の兄スコットは、誘拐容疑で逃走中。

ある日、そんなコナーズにある銀行強盗ローレンツ(ウェズリー・スナイプス)から指名が来る。
上司のジェンキンスはコナーズを目の敵にしているのか、復帰の条件として新人シェーン(ライアン・フィリップ)と組ませる。

最初の担当は、カーロだったがその要求のせいで追い出される形に。

さっそく指揮官となるコナーズに、新人という事でほとんど相手にされないが一生懸命ローレンツとの電話内容のメモを取るシェーン。

その時、カオス、というワードを記録していた。

「カオスの中にも秩序はある。
明日の日の出までここをうごくつもりはねえ
あせるなよ
パール橋事件の二の舞にはしたくないだろ。」

ローレンツはコナーズにこだわりがあるようだが・・・。

また日の出というワードから、時間稼ぎかとコナーズは考えた。
おそらく、復帰に時間がかかる計算だったのかも、とシェーンが言い、コナーズも同意してだとしたら計算違いで、今が突入の時だ、と判断する。

SWATはドアを爆破するというが、コナーズは人質の命優先だといい、他の方法を探る。
すると、ドアが電子錠であることから電力を切ろう、という事になる。

ところが、いざ準備が整い実行しようとすると、そのタイミングを見計らって犯人が人質を見せしめにする。
そこでコナーズは、これはワナだと一度退避命令を出すがSWATが指示を聴かずに突入してしまう。

その瞬間ドアが大爆破。
この騒ぎの隙に人質と犯人も脱走。
さらに、銀行内を調べてもすぐには何が盗まれたかもわからない。
しかも電源を切っていた間は防犯カメラも作動していないので、その間に犯人は楽々逃走できたのだった。

FBIの調べで、中東のアマー王子の貸金庫があった事がわかる。
先月も他の銀行で似た手口で狙われたので、同じ犯人グループではないか、と。
金も盗まれてはいないようだった。

一方、シェーンはローレンツの電話記録を繰り返し聴いてて、カオス理論に辿りついていた。
カフェで、コナーズに報告するとカオス理論を知らないと言う。
一見不規則に見える現象にも実は数値化できる規則性があるという学説。
エドワード・ローレンツが60年代に発表した理論だった。

最初は関連性がなくバラバラでも、徐々に一定の法則が見えてきて最終的には断片がピタっとはまる、と説明する。

するとコナーズは、突然シェーンに興味が沸いたのか、何で警察に? と質問した。
シェーンは正直に、「2時間前は無視したのに」というと、「興味が沸いた命を預ける相棒だしな」、と最もな理由を言う。

連絡を受け、カフェを出る際にコナーズが置いた札と引き換えに、シェーンが代金を置いて出た。

マスコミのカメラから犯人の1人デーモンが映っているのを見つけ、早速家に行くが当然逃げ出す。
コナーズは少し負傷し、出遅れるがシェーンがバイクで追う。
あと少しという所で、転倒してしまうとそこに車でコナーズが追い付き、シェーンにドヤ顔をする。

家宅捜査で、5万ドルもの大金を見つける。
だが、あの時に盗んだ金ではない事がわかる。

まず、札の帯が違う銀行(WNファイナンシャル社)のものだった。
4か月前に50万ドル強奪された会社だ。

この時の犯人は逮捕され40万ドルは回収できたが、裁判中なので返金されていないはずの金でもある。

もう一つ。
紙幣は触ると指紋が検出しにくくなる事から、謝って触らないように押収時に香りをつけるのだが、その匂いがしていた。

コナーズは謹慎のせいか、この事を知らなかった。

これらから、この金は銀行の金ではなく、署の証拠保管庫から持ち出された物だと言えた。

そして、WN社の強盗の担当はカーロだった。

保管庫に行く2人。
窓口のハリーにカーロのサインを見せてもらう。

カーロが本当に盗んだのか、仲間で話し合っていると、ジェンキンスは信じられないといい、他の仲間は裁判や離婚のストレスがあった、と言った。
そして、シェーンが「仲間なら交渉役に指名されていた」と言うとコナーズははっとするが、そこで電話が鳴った。

カーロが家で死んでた。
そして、家から銀行の設計図や王子の記事が見つかった。
カーロが一味出会った事が決定づけられてしまった。

FBIから電話で、先月の事件で王子は貸金庫の中身を全部回収していた、とわかる。

この報告から、捜査が振出しに戻ってしまう。

シェーンは、何も盗まないのに銀行強盗なんて納得できない! と興奮するが、すぐに自分を落ち着かせると、

今こそ大地に帰れ。
最初の場所に戻れば必ず道は開ける。

と、呪文のように独り言を言い出す。

そして、最初の銀行に戻る事になる。

もう一度銀行の防犯カメラの映像を見返す。
すると、1台のカメラの角度が変えられているのに気付く。
同じタイミングで別のカメラが金庫の爆発を映しているので、気を取られ気づかせないでいたのだった。
気付いたのはシェーンだった。
きっと、見せたくない何かがあると見切れてる机の指紋を取り、マシンの中身も調査させる。

指紋からクリス・リーというプログラマーが浮上する。
前に、ヨークとコナーズで担当してたハッカーだった。
パール橋の影響で証拠不十分で釈放になっていた。

2人はリーの家に行くが、その直前にリーの背後に潜んでいたローレンツがリーを撃ち殺した。
銃声に慌てて家に入ると、コナーズはリーの死体を確認する。

防犯カメラのモニターで、シェーンがローレンツに狙われているのが見え、慌てて助けに行くコナーズ。

ローレンツには逃げられてしまう。


デーモンの病室に聞き込みに行き、シェーンはコナーズを習って正義の為なら法を曲げても作戦で、デーモンを脅し供述させる事に成功する。
それにより、ローレンツはスコット・カーティスと判明。
パール橋でコナーズが射殺したジョンの兄だった。
他の共犯者は、ラマー・ゴールド、ザンダー・ハリントン。

今夜10時集まる事になってるが、おそらくカーティスはこれまで同様、仲間を消していくと思われた。

チームで建物を囲むが、カーティスがなかなか現れないのでしびれを切らしだす。
待ってる犯人グループの2人も仲間割れし始めたので、このまま逃がすかもとチームが焦り出すが、あくまでも待てとコナーズは命令する。

そんな中、張り込み中だというのに、仲間の携帯が鳴ってしまう。
その音にすぐさま、犯人達と銃撃戦になる。

建物の中には、コナーズの(パール橋事件関連の)新聞記事などが一面に貼られている壁があった。
やはりコナーズへの恨みが発端か、と思わせる。

コナーズが1人と格闘していると、他の部屋で爆弾が発見される。
慌てて逃げろと声を掛けるが、コナーズが出てこないまま爆発が起きてしまう。

そして、その様子を遠くからカーティスが双眼鏡で見ていた。

すべては、コナーズへの復讐の為に仕掛けられていた罠だったのか?

署へ戻り、コナーズへの追悼をかみしめていると、シェーンの前にパソコンの中身から目的をつきとめた、と興奮して報告があった。


これは、史上最大規模の銀行強盗。

ウイルスで、複数の口座から犯人の口座に金を振り込ませるようにした。
引き出すのは1つ1回。どれも100ドル以下。
大口の取り引きじゃないから保安システムには引っかからない。
1000万口の口座から送金しても気づかれない。
それが、複数の架空口座に振り込まれ、引き落とされまた移動というのを繰り返している。
どの銀行も次の営業時間まで取り引きは成立しないから、明日の9時までは流動してることになる。

シェーンはこれを聞いてすぐに気づく。
「東部の時間なら6時だ、日の出だ。」

10億ドルもの金が消えた。
それは、皮肉にも電力を切った事で、ウイルスを仕込む事が出来たから。
王子の貸金庫が狙いというのは、捜査をかく乱する為の目くらましだった。

だが、シェーンはもう管轄外だ、と諦める。

署を出たシェーンに、これまでコナーズにかかっていたカーティスからのボイスチェンジャーを使った電話が掛かってくる。

「警官殺しは許さないぞ!」

「無駄な殺しなどない。
カーロは価値のない男。
コナーズ殺されて当然。」

電話を切った後、シェーンはある言葉が気になって再び事件を調べ始める。

それは「カーロは価値のない男」という言葉だった。
カーロは一味だったはずなのに、何故価値がないなどと言われるのか。
ジェンキンスに相談するが、興味無さげでむしろジェンキンスが関係しているのではないかと思える態度だった。

シェーンは思い立って、ハリーを呼び出し、カーロの署名が違う事を突きつける。
しかもハリーはカーロと揉めて懲戒処分になっていた。
ハリーは、カーロは仲間をうった最低の警官だ、と隠す事はしなかった。

だが、ハリーと犯人の接点がわからない。
シェーンは、つい弱音を吐いてしまう。

「何をやってもコナーズと俺は先回りされてしまう!」

すると、

「そりゃ、コナーズを知り尽くしてるからな」

とハリーが言い、何で知ってるんだと言うと、おっとうっかりという顔をすハリーはした。

そこからシェーンは、推理を巡らせる。

ローレンツは、カーティスじゃないのか?
だとしたら誰なのか?

ハリーがかばう人・・・。
パール橋で酷い仕打ちを受けた人?

回想シーン。

コナーズと相棒ヨークが立っているが、その顔はカーティスだった。
間違えて人質を撃っていた。

ヨークは、カーティスの名で攪乱したんだ。
そして、知り尽くしていた元相棒の出方を利用し、カーロを殺し罪を着せていた。

携帯のデータからダイナーにいるヨークを発見し、シェーンが追い詰める。
港で、ヨークは
「お前が死ぬとコナーズが嘆くな」とまるでコナーズが生きているかのような事を言う。
そして最後はシェーンに撃ち殺された。

ダイナーに戻り、一件落着とシェーンは仲間とコナーズの思い出話をしている。
意外にも、家では本を読む勉強家だったらしい。

シェーンが、ダイナーで支払をしようとお札を出すと、断られたのでチップとしておこうとすると、お札の匂いに気づく。
すぐに、コナーズの家に行き、何か証拠がないかと探すが特に見つからない。
だが、本棚にカオス理論の本を見つける。
知らないといっていたのに、中にはラインまで引いていた。

すぐにコナーズこそ黒幕だと航空会社に問い合わせをする。
コナーズの名前ではない、と言われたのでカオス理論の著者の名前を調べると、ビンゴだった。

そして、コナーズから電話が掛かってくる。

「どうしてわかった?」
「10ドル札だ」
「そうか。
ヨークの事はハリーだな」
「それに電話だよ。
カーロは価値がないでピンときた」
「俺のミスだな。
あれは俺なんだ。」

「監視カメラの映像や、紙幣の香りは想定外だった。
それにお前。ははっ。
カオス理論を言い当てたのには感心したよ。」

「爆発のスイッチは自分で押した。床下に隠れて。
適当な死体にバッジを載せて、レスキューの服を着て外に出た。
死体は本当のスコット・カーティス。
死んでいい奴しか殺してない」

仲間を売ったカーロは死んで当然だし、プログラムの天才リーを引き入れたのも、停職処分もすべて計画だったのだ。
警察にすべてを捧げていたのに、見捨てられた事実についていけない、とすべてを捨てる決心をしたようだ。

「目的は殺しじゃない。
お前を好きになった。
いい教訓に感謝してくれ。」

「負けることもあるってな。」


そしてコナーズは、まるで別人のリッチな投資家のようになって、飛び立つ。

おしまい。

【かんそう】

あらすじというか、ストーリー上ほとんど書き起こしのような状態になってしまいました。
あちこちに、伏線があって切れる所があんまりなかった~。

とにかく、2度目に見るといちいち「この時はこうだからこういう表情だったのか」と改めていろんな発見があり、2度見ても面白かったです。

こんなに面白いのに、しかも役者もそこそこ知名度のある人達なのに、今まで知らなかった、というのにもちょっとビックリですが、それは私がただ無知なだけ・・・ともw

これはジェイソン・ステイサムの代表作になっても良さそうなのに、そういう扱いにはなっていませんよね・・・。
ややアクション要素が少ないからかな?

あえて難点を言うと、実は2回目の方が面白かったっていうのはありました。
というのも、観客を引っ掛ける為に、冒頭のパール橋事件の説明が曖昧なんですよね。
特に、ヨークの顔が解らないと言うのが、その後のストーリーの為に必要なんですけど、それが自分が何か見落としているのか、それとも理解が出来ていないのか、とちょっと不安なままに進んで行くんで、楽しむにはちょっと悪影響でした。

でも、いろんなミスリードがあったり、伏線がしっかり回収されているのに気付く頃には、やばい、面白い! ってイメージががらりと変わりました。

正直、最初は解らな過ぎてコナーズが爆死した時、最初は「ウソでしょ。ジェイソン、主役だよね? 主役あっさり死ぬの?」と結構戸惑いました。
最初は、パターン的に「死んだと思わせて生きてるオチでしょ」とすぐに思いましたが、ただこの時点でコナーズが犯人側である可能性がほとんどなかったので、「でも、犯人でもないのにコナーズが死んだと思って生きてたという展開って、ほとんど意味ないよな~」と。
さらにストーリー的にも、本当にコナーズがいないまま進んでいくので、「マジか。やっぱりあれで死んだの?」と結構信じ始めていました。

ところが、不自然なカフェでのお札のシーンが、コナーズも盗まれた札を持っていた事を示すと、なるほどおおお、と。

他にも、1度目だとほとんど気づかないようなちょっとした会話だったり、コナーズのリアクション等、2度目にはすべてがサインに見える!!

そして、コナーズがかなりやり手なのは見たままなのですが、シェーンも。
最初は、シェーン役ライアンの浮きっぷりに、ミスキャスト? って思うほど違和感がありましたw

でも、それこそがブラフという感じで、コナーズも舐めていたけど、かなりシェーンの切れ味が効いていました。

そして、そこに気づいた時にはコナーズがシェーンを気に入って、だから途中命を助けるのも自然だったのかなー、と。

それこそが、観客にとっては目くらましなんですけどね。

リーの屋敷で、ヨークに狙われるシェーンを助けた時のコナーズは、役目としての動きには見えず、本心からに見えました。(だから、コナーズが犯人側ってのはない、と思ってしまった)

シェーンが、そうさせてしまえる相手だったという事は、コナーズにとって誤算でありながらも、味方する要素にもなっていた・・・、なんて深読みしました。

犯人捜しは、いろんなパターンを思い描きながら見ますし、コナーズが一味というのも当然選択肢にありますが、自然と除外していたので、結構今回はオチにびっくりできて、それがすごく楽しかったです。

こんな古い良作があったなんて!

さすが、ジェイソン・ステイサム!!








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