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2012年作品
監督ウディ・アレン、
ウディ・アレン、ロベルト・ベニーニ、アレック・ボールドウィン、ペネロペ・クルスジュディ・デイヴィス他
あらすじ:ローマを舞台にした群像劇。
たまたま観光で来た際に、現地で恋に落ちて結婚する事になり、挨拶に来たアメリカ家族。
ローマに引っ越してきたばかりの新婚妻は早速、ローマで携帯を失くし迷子になる。
連絡がつかず、待ちぼうけをくらう新婚夫は、勘違いから娼婦がホテルの部屋に来てしまい、家族に娼婦を妻だと紹介してしまう。
ある日突然、セレブ扱いをされ始めるふつーのお父さん。どこ行くにもパパラッチに追いかけられ、最初は戸惑うが・・・。
以前住んでいたアパートを見に来たアメリカ人の有名建築家。現在住んでいるのは偶然にも建築家を目指す若者で。
何気にウディ・アレンの映画って、嫌いじゃないんです。
かといって、ウディ・アレン好きなんですって言うほど、見てもないし、知らないので、そうは言わないのですが。
一番最初に監督作品に興味を持ったのは、ファッションだったりします。
ウディさんは、失礼を承知で、シャツイン、しかもハイウエストで寸足らずみたいな、シンプソンズのミルハウスみたいなイメージで、おされとは程遠いイメージなのですが、その作品の中の女性達ときたら、モードの歴史の中に残るほどのおしゃれっぷりで有名ですよね。
使用しているブランドも一目でわかるようなハイファッションだったりするので、貧乏な庶民には夢があって、まさに「エンタテイメントな映画」を堪能できるのでした。
それであまり期待せずに見ているうちに、意外とふつーに面白いじゃん!! という事を知りました。
本作も、好みなラブコメでした。
ローマを舞台にした群像劇なので、ざっくり4つのエピソードがあるのですが、
①ウディ出演、とんでもオペラの巻
②ペネロペ出演、とんでも新婚カップルの巻
③アレック・ボールドウィン出演、とんでも恋愛アドバイザーの巻
④アイキャッチ的なパンピーおじさんセレブになるの巻
こうして改めて書き並べてみると、どれも面白かった。
それぞれに、笑いのツボがあって、どこかバカバカしいんだけど、ローマの素敵な風景とゴージャスな出演者で、贅沢なコントになっていて、やっぱりアメリカって本気でバカやってるんだなーって、うらやましく思います。
チープさがない。
まあ、ほとんどネタバレしますが、
①は、ウディが娘の結婚相手のお父さんのシャワー中の鼻歌を聞いて、「絶対オペラ歌手になるべきだ。自分が手配するから」と超ほれ込むんです。
それは、娘の結婚の為にローマに来た、という目的がすり替わってしまうんですよね。
んなことより、オペラどうっすか? みたいな感じで一人盛り上がっている。
そうしているうちにお父さんもそんなに言うなら、ってオーディションを受けるのですが、やはり素人。バスルームとは違うので緊張してしまい、失敗に。
だけどあきらめないウディさん。
だったらシャワー浴びながら歌えばいいじゃない、とステージにシャワーブースを設置!!
前代未聞の「シャワー浴びながら歌うオペラ歌手」の誕生なのでした。
もう、このステージ上でシャワー浴びるセットだけでもずるいでしょう。
まあ、本質はそんなこんなで両者の(異国同士の)家族が交流できたよ、みたいな事なのかもしれません。
②は一番好きなエピソードなのですが、何よりペネロペの娼婦役がかわいいです。
このエピソードもほんと、コントのお約束満載って感じで、いわゆる擦れ違いなんですけど、妻は迷子になった先でなぜか大好きな俳優のロケに出会い、そのまま俳優に気に入られてしまう。
おそらく、「ロケに遭遇したら、気に入られてランチまで行った」という事自体がファンタジー、なんですよね? でも、海外ドラマなんかでよくセレブに「パーティー来ない?って誘われた」みたいなネタあるから、意外と美人さんやイケメンさんだと、あり得る話なのかしらん?
ま、ここは映画のノリとしてファンタジーと思っておきます。
人妻はそこから「夫の元に帰りたい」から「憧れの俳優とせっかく出会ったから思い出つくっちゃおうかしら?」に目的がやっぱりすり替わります。
一方、妻と連絡が取れなくなった夫は、ひょんな事から娼婦ペネロペを部屋に入れてしまいます。
というか、ペネロペが勘違いして押しかけた。
そこへ、家族がやってきて、派手派手なペネロペを「妻です」と言ってしまった。
映画っていいなーって思うのが、一見無関係なペネロペが「妻のふり」をし続けるところです。
まさにドタバタコメディ。
特に好きなのは、参加したパーティにはペネロペの客だらけで、あちこちで秘密の会話をしていたところ。
「今は妻と一緒だから(知らんぷりしてくれ)。明日空いてる?」
みたいなことを言う男どもがたくさん。
そして、プロフェッショナルなペネロペも「OK。私も今人妻だから」みたいな感じでテキパキあしらう。
こういうの大好きです。
最初は、まさかお互い浮気なんてしないだろうっていうようなタイプの男女が結局、しっかり浮気するというのも、コメディタッチだからこそ、笑えます。
アレック・ボールドウィンも大好きな俳優さんなので、③もそういう意味では面白かった。
でも、これはエピソード的には、割と平凡で最初から語られるまま、ストーリーが想像できて、またそれを特に裏切らない。
ただ、賛否両論あると思いますが、この作品に登場するアレック・ボールドウィンの存在そのものが、面白かった。
というのも、ほぼほぼ若い建築家志望の男子の「心の声」なんですよね。
決して幽霊でもないんですけど、アレック・ボールドウィンは神出鬼没でどこにでも登場して、彼にアドバイスをするんです。
正直、最初にその場面が来た時には、あれ、何か見落としたかな、と思いましたよ。
だって、急に「いるはずのないのにそこに居る」んですもの。
ただ、それを繰り返すうちに、「あーこういう感じなんだ」と受け入れて、それを面白いと思うようになりました。
人によってはここが、「なんじゃこれ?」とマイナスに気になってしまう場合もあると思います。
かといって、地縛霊なのか? とかそんな勘繰りも必要ない、はずです。
最後、ちゃんと歩いて帰っていきますから。
まあ、悪ふざけ、なんですよね。ラブコメですから。
④のエピソードは、そんな悪ふざけの象徴で、合間合間にアイキャッチ―的に差し込まれるのですが、見る側と、出演者の気持ちがぴったりフィットしそうなくらい、謎ですw
ある日起きたら、急にパパラッチに追いかけまわされる。
何をしたわけでもなく、むしろダサイくらいのお父さんなのに。
朝食を食べたというだけで、ニュースになる。
もちろん、家族も含め戸惑うんだけど、セレブ対応に日に日にいい気分を味わい始める。
しかし、これはマスコミの気まぐれみたいなもので、ある日突然ターゲットを変える。
それまで追いかけられていたお父さんをパパラッチが素通りして、新たなセレブ誕生を追いかける。
その時、そんなちやほやにすっかり慣らされて、セレブなはずもないのに、セレブだと勘違いしていたという事だけが、浮彫りになって残ってしまう。
まあ、これは「何でもないような事が幸せだったと思う」って感じのエピソードでもあり、人間って「自分は大丈夫」って思っててもいざとなると、もろいもんだよーって事を教えてくれるエピソードなんでしょうね。
という感じで、ただ下品なお笑いとか、ただ笑えばよいというのではなく、あくまでもちょっとメッセージが感じられたり、ひょっとすると知的なアピールもあったのかもしれませんが、それこそが、ウディ・アレンのコメディなのでしょうかね。
そうそう、何が好きって、音楽でした!
なんか昔のドラマみたいなぽやぽやした曲が、頭からしばらく離れませんでした。
登場人物、内容ともに、大変好みが詰まった私には良作でした。
ローマの景色のよさは、言わずもがな。
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