2015年12月25日金曜日
インサイド・マン
2006年作品
バンクロバー
監督スパイク・リー
デンゼル・ワシントン、クライヴ・オーウェン、ジョディ・フォスター、クリストファー・プラマー、ウィレム・デフォー他
あらすじ:ニューヨークの銀行に白昼堂々と銀行強盗が押し入った。
そこにいた客全員を人質に取ると、用意していた着替えをさせる。
それは犯人一味と同じ格好で、誰が人質で犯人だかわからなくなる。
その始まりのように、次第に犯人達の目的も単なる銀行強盗とは思えなくなり・・・。
スパイク・リーといえば、サマー・オブ・サムです。
題材が「サムの息子」という事で、劇場で見ました。
私って昔はやんちゃだったんだなー。
という感じなので、スパイク・リーは有名ですけど何も思い入れはありません。
本作は、デフォー祭りで見ました。
スパイク・リーというブランドが、良く知らないのに唯一の印象が「サマーオブサム」ですから、まったく期待はしてませんでした。
ただ、デフォー現象として「こいつ何か悪い事するんじゃないか?」とかなり色眼鏡で見ていたのですが、よくあるパターンとして何もデフォりませんでした。
むしろ、すごい雑魚で、その雑魚っぷりはデフォっていた、とも言えるのかもしれませんが。
デフォるは、あくまでもフィーリングで感じてください。
まあ、デフォーはわき役ですから、デフォー目当てで見た私としては、デフォーきっかけだけどいいもの見たな、というちょっと着地点は遠くなりましたけど、結果満足でした。
なんか、考察が盛り上がるタイプのクライム・サスペンス? というのかな?
でもすっきりバンクロバーが良いように感じます。
タイトルの「インサイド・マン」は原題まま、なんですね。
個人的には、このタイトルがちょっといちゃもんつけたくなりました。
というのも、タイトルだけ見てると「二重人格の話か、ちょっと近未来の話」というイメージがよぎってしまって、この映画を見終わってからも「インサイドマン・・・。どんなB級だっけ?」とすぐに、本作とフィットしないんですよね・・・。
まあ、自分がおバカなことを棚にあげていちゃもんつけてるだけ、なんですけどね。
それと、結構タイトルが「ネタバレ」そのものな事に見ていると気が付くんですけど、それはいいんでしょうかね。
素直に受け取ると、そこのビックリではないのだとしたら、何か別なメッセージがあるのかなーと、さらに勘繰ってしまうんですよね。
私は、1回見た限りでは、正直クリアに理解したとは言えないのですが、このタイトルや全体の空気感から、「なんかそんなにハッキリクッキリしなくてもいいのかな」とも思えるんですよね。
ニューヨーカーっぽい粋を楽しむ、みたいな?
というのは、冒頭から「主犯格」がまるでYOUTUBEの素人動画の雰囲気で、独白してるんですね。
その人は銀行に押し入るわけですから、悪人なんですけど、どこかクールに描かれている。
どこかダークヒーローにも近い感じ。
というか、この事件が実は「血を流さない」「目的外の犯罪を犯していない(銀行に入ったのに目先の金を奪わない」という、ちょっと筋の通ったカッコよさすら、あるんですよね。
銀行がたまたま舞台だから、誰もが「銀行強盗だ! 金が目当てだ」と思うのですが、実は目当ては別にある。
しかもそれは「強盗」という手段を取りながらも、実は悪を成敗するのが目的という、ヒーロー行為でもあるんです。
で、うだつの上がらない刑事だと思えていたデンゼル・ワシントンがどんどんその核心に迫っていくから、犯人はちょっとシンパシー感じちゃって、最後は見えない糸(ダイヤ)で結ばれちゃうくらい。
なので、「かっこいい」んですよ。
これがスパイク・リーの撮るニューヨークって事なんでしょうか。
で、真相は、とかについては、あまりにかっこいいので、勝手な妄想をしてしまうと、
もうね、「全員グルなんじゃない?」と思えるのです。
最後に、大勢の人質と犯人グループがまぜまぜになって出てきます。
この状況ですから、全員が取り調べを受ける事になります。
でも、同じ格好をしているうちに誰もが「犯人」と「最初から銀行にいた人」の区別があいまいになっていくんですね。
ある人とある人は同じ事を言うけど、別の人は違う事を言うが、それがわざとではなく、状況的に仕方ないと思える。
そう、実は「犯人」と「人質」ではなくて、「最初から銀行の中にいた人」と「外から来た人(ほんの数名)という分け方なんですよね。
ただ、昼間の銀行ですので、まるっきり全員をグルにすることはできません。
銀行員の一部は仲間だったと思いますが、何も知らない人は「純粋な人質」だと思います。
ただ、その人達には仲間である社員が「犯人一味」とは発想しにくいですよね。
実は、見てていくつか違和感があるのですが、それらは「元からグルがいた」と考えると全部スッキリします。
例えば、
「暴力振るう時は別の部屋に連れて行かれる」→スリガラスを使用したコントが始まるかと思った。
「心臓の悪い老人を早々に解放した→そこに盗聴器つけてた」→(最初から用意していたんじゃないか?) その人いなかったらその計画は成り立たない。
このあたりは、印象強いです。
と言う感じで、実際の真実はさておき、なんか「大勢でニューヨーク市警をだました」って考えたら、いわゆる「フラッシュモブ」的なモダン・クライムだなーと思ったのです。
「だけどそれは最終的には、大きな目的の経緯にすぎなくて、善行の一環」というのも、こじゃれてますし。
制作年代的にもそんな感じじゃないでしょうかね?
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