2015年12月21日月曜日

デビル・ストレンジャー


2012年作品
サミュエル・L・ジャクソン、ルーク・ウィルソン

あらすじ:仕事をクビになった夫。職はないが借金はあるので家を売りに出さなくてはならない。暗くなる家の中。子供達と日常を装うように公園に、出かけていく妻。

そこへ一人の男が訪ねてくる。車がエンストしたので手を貸して欲しいと言われ手伝うが・・・。




サミュエル好きなので、見ました。

ウィルソン兄弟の一番下の弟さんですが、私の印象だとルークの方がお兄さんぽくて勘違いしてしまいます。
オーウェンは、自殺未遂とかして不安定な印象もついちゃったので、そのせいもあるかも。

まあ、兄弟含めて良い意味でB級なイメージがあります。

サミュエルもあんまり作品を選んでいないのか、それとも選んだ結果のセンスがB級なのかわかりませんが、B級ちっくな作品多いですよね~。
ま、そんな知らずに終わるはずの映画に出会える事が面白いのですが。
そして大抵は、出会わなくても何の問題もないんですけどネ。

本作も、サミュエル好きオンリーな感じがしました。

でも、だからといって「サミュエル好きだし、見てよかった!」とは言えないのですけどね。

「これ見た。チェック済み」という作業が終わった、という感じです。

とはいえ、全部が全部ダメというわけでもなく、落ちの惜しい感はありました。

ざっくりネタバレすると、浮気が元で仕事をクビになって借金もあるダメ夫と、殺人を自販機でジュースを買う感覚でするような悪党が、偶然出会います。
最初は、「こんな悪党に目をつけられて、ダメ夫もいつか殺されるだろう」と考えるのがフツーなのですが、なぜか付きまとう割には、なかなか殺しません。

となると目的がわからないのですが、それでも周囲を殺しつつという悪魔っぷりを見せつけながら、ダメ夫に付きまとい続けます。

いよいよ家族のいる家にまで押しかけてくるのですが、そこで落ちがわかります。

「そもそも夫が巻き込みたくないと思っている家族の一人である、妻が、ダメ夫を殺す為にやとった殺し屋だった」

だけど、「殺し屋」が気まぐれで、「ダメ夫」と接しているうちに、「仕事」そっちのけになっていて、挙句ネタバレした。

だけど、「ダメ夫」は、殺し屋を排除して、何事もなかったように元の生活に戻ることを選ぶ。

というお話しでした。

ほぼ部外者状態でありつつ、夫の弱みである「家族」という姿はないけど、誰にでも説明なしで想像できるウィークポイントとしては、存在しつづけていた「妻」が実は、仕組んでいたという部分は、ちょっと「ほー」と思ったんです。

だけど、サミュエルの異常なまでの悪人っぷりが濃すぎて、「そもそも大した話なんてないんじゃないか。バイオレンスなだけの映画なんじゃないか」という、考える事を放棄していたところへ、もっともらしい「物語」が出てくるので、ちょっとつまずいちゃうんですよね。

あと、サミュエルが依頼を請け負う「殺し屋」なのに、「ぜんぜん殺さないし、ネタばらしする」という設定が、「はちゃめちゃな人だからです」という事でいいのかなー、と。

一応作中では、「あんたいい人だから」と、なかなか殺さない理由を言うのですが、そんな事で「殺し屋」って務まりませんよね。

という事は、きちんとした殺し屋ではなくて、たまたま「殺し」の話がまわってきた、単なるクレイジーな人、と考えるのがすっきりします。

でも、それだとやっぱり「話なんて二の次で、バイオレンスバイオレンス」って事になるんですよね~。

勝手な妄想ですけど、「パルプ・フィクション」のサミュエルに憧れた挙句、あんな感じのサミュエルを自分で作品にしたくて出来上がりました、みたいな。

だけど、パルプのサミュエルはバイオレンスの中にも知性が感じられるところが、静かな狂気というかキャラクターとしての魅力だったと思うんですけど、本作はただただ理由もなくクレイジーというだけで、あんまりサミュエルの演じるキャラクターそのものに魅力がないんですよね。

そのせいか、最後あっさり死んじゃうし。

そして、結局この映画は何を伝えたかったんだろう、って事もあいまいに感じるんですよね。

悪魔はサミュエルじゃなくて、夫を殺そうとした妻ですよ、だとしたら、もう少し妻を登場させておいたほうが良かったような気もするし。

すべてを知って、サミュエルを消して偽りの日常を選んだ夫は、「悪魔」というには小粒すぎるし。

あっさり殺されちゃうし、人情でなかなか殺さないなんて、サミュエルは悪魔とは思えず、ただのクレイジーな人だし。

と言う感じで、やっぱり微妙な作品にしっかり出ているサミュエルが確認できたのでした。





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