2015年12月18日金曜日

エグザム


2009年作品
イギリス映画

あらすじ:ある企業の最終就職試験。
それは、通常の試験ではなかった。

3つのルールと白紙の試験用紙。

採用されるのは1名のみ。誰が、合格するのか・・・?




いわゆる、「どんでん」作品ということで、見てみました。


「どんでん」ものの悲しいさがとして、「どんでん」ってわかってみると損、というのがあると思うのですが、それでも人は「どんでん」を求めてしまうので、自分で自分の楽しみを半減している・・・やまあらしのジレンマ??(違う?)

なんかあるんだ、なんかあるんだ、の目線でずーーーと見ているので、正直疲労もありました。
この作品の雰囲気も疲労を誘うんですけどね。

ただでさえ、「試験会場」ってどう考えても癒し要素ないですよね。
小さなお子様でも、ナチュラルに感じる緊張感はあるのではないかと思います。

その試験会場だけで繰り広げられるドラマに相応しく、延々と殺伐とした空気が流れ続けます。

ほんと、疲れます。

でも、一番疲れているのは、そこで試験を受けている人達なんですよね。

何せこの試験、おかしなルールがある上に、置かれた試験用紙は「白紙」。

限られた時間の中、ルールを守りつつ、試験に合格しなくてはならない。

ただ、素朴な疑問として、「企業は何をしたいのか」があいまいです。

誰かしら1名は新入社員が欲しいのか。

それとも、1名なら入れてもいいんだけど、誰も合格しなかったならそれでいいんだよね。

見ていて、この企業の姿勢があんまりわからなかったんですけど、そこって結構大事なような・・・。

でも、それを明確にしちゃうと、この試験そのものが成立しにくくなるのかな?

ドラマだから最後ちゃんと1人残るんだけど、どう考えても誰も残らなくてもおかしくない試験なんですよ。

そんな試験、最初からする必要ある??

てな事が気になってしまうのです。

まとめなおすと、「仰々しく試験を行っているんだから、企業は新入社員は欲しいはず」でもその割に「難問すぎやしませんか?」みたいな。

そして、その余計な考えは、最後まで見てもぬぐえないんですよね。

気にしないでいられるなら、それに越したことはありませんが、私は気になってしまいました。

だいたい、試験受けてる人の中には、ヘッドハントされた人とか、そもそも会社の人もいたんですもん。




ちなみに、3つのルール。

1.試験監督、警備員に話しかけない。
2.試験用紙を破損しない。
3.部屋から出ない。

これ自体は、「ルールだ!」なんていうから「特別」なような気がしますけど、実は、「試験」という事を考えればそうおかしくもないですよね。

リアルに考えると、「トイレ」にいきたくなったらどうしよう? それだけで不合格か・・・。
膀胱が80分もつかどうかの試験だったのか。
となりますけど。

そんなことよりも、「ここで起きたことは、特別な云々で殺人であっても揉み消せます」とか、すごい事を言うんです。

正直、これを聞いた時点で、「私辞退します!」ですよね?

なのに、別に仕事には困らないだろう、相当なエリート達が、何故皆こんなトンデモ試験に受かりたいのか。

この企業はなんなのか、というような事は、徐々に明かされていくんですね。

それには少し、「なるほど~」と思いました。

巨大製薬会社で、ある流行病のワクチンを作っている。
このおかげで長生きできている(らしい)。

会社としての魅力や、自分がその病にかかっていたり、身近な人がかかっていたり、とまあ目指す理由は納得できます。

とはいえ、延命させる企業の試験会場で、殺し合いって、「どっちなん!?」って感じですけど。

まあ、とにかく、「白紙の試験用紙」に翻弄され、あの手この手でライバル蹴落とし合戦が始まるのです。



この映画の見所は、(どんでんありきなら)「どんでん」と「試験内容って何?」「誰が合格するの?」あたりかな、と思いますが、正直、そのどれに対しても「すごい!」というような衝撃はありませんでした。

そもそも「試験を受けている人」に特に思い入れがないので、「誰が合格しても・・・」でした。
これは、「合格者を見つける」というよりは、「この人で良かった」「こいつじゃない!」という思い入れ自体が発生しなかった、だけです。

また「合格者探し」も、何の前情報もないからそもそも「あてずっぽう」以外、予測はつきませんし、ね。

時間とともにライバルも減っていくので、最後数名になった頃には「誰が残るかなー」はあると思いますが、それよりも「問題って何よ」のほうがずーっとつきまとうので、誰でもいい感じのまま、でした。

その肝心な問題も、若干戸惑う感じで・・・。

私は「なるほどー」という感じはなくて、「え? ナニソレ」でした。

まあ、どっちかというと「問題」が問題なのではなく、「白紙」に見える紙に実は問題が存在していて、それを見つけた時点でクリア、なんですが。

それについては延々、みんなで「水かけたり」「火であぶったり」「特殊な光あてたり」と試していたんですが、最後たまたま残っていた一人が「あ、あの方法もあった」みたいな感じで、思いついて発見するんですね。

その企業に入った後にする仕事とその発見作業はきっとリンクしているのかもしれません。

だとすると、大人数であれこれ試していた時に、「それ」が出なかった事の不自然さが気になりますし、実はその知識は違うものだった、とすると、最初から「人によって有利不利」がありことになります。

そして、その知識がほぼ回答だというのに、最後に会社の人は「冷静さを判断したかった」と、このとんでも試験の言い訳をするのです。

冷静だとしても、最初からその知識がなければ、誰も残りようがないですよね・・・。


という感じで、「合格させる気あったの?」という事が最後まで私は気になってしまったのでした。

ま、例の知識は、無事合格した後には関係する知識だという事にしておきましょう。


ただ、ともかく「冷静さ」を見たいのなら、「他の方法」があったんじゃないかな。

すごい「成功してる企業」感が、ちょっとうすっぺらく感じてしまうラストでした。


そういえば、合格者も一瞬ためらうんですよね。

「こんなことさせて合格って言われても」みたいな。

そこだけは、気が合った!

でもなぜか上記の理由を聞くと、すなおに納得して、「よろしくお願いします」って握手しちゃう。

冷静っていうより、騙されやすくないですか??

そう、この作品で試験受ける人達って、素直でみんな真面目で、詐欺にあいやすいと思うんです。

それが心配になりました。

ワクチンどころの話じゃないですよ。

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