2016年1月13日水曜日

エレジー(ペネロペ・クルス)


2008年作品
原作有り
ペネロペ・クルス、ベン・キングズレー、デニス・ホッパー、パトリシア・クラークソン、ピーター・サースガード、デボラ・ハリー

あらすじ:年老いたが、自由きままに生きる大学教授とその美しい教え子が愛人関係になってしまう。
ぱっと見のアンバランスさ同様、二人の関係はバランスが取れず、別れる事になるが・・・。




個人的に、なかなか印象深い映画でした。

まず、正直に先に書いてしまうと、好きか嫌いかで判断するならば、映画としては好きではありません。
なんせタイトルが「エレジー」ですよ?

素直に受け取るなら、そんなしみったれたドラマをわざわざ時間裂いて見たくなんてありません。

でも、ペネロペ作品ということで、ものは試し、と見たのです。

案の定、泣きました。

すごく覚えているんですけど、1人の部屋で遠慮なく、おえつしたくらい泣きました。

でも、だから「よかったわー」では決してなくて、涙というのは生理現象でもあるんですね。

わんわん出てくるんですけど、別にまったく感動はしていません。

よく「涙もろくなったわー」と言いますけど、多分そういう事なんでしょうね。

勝手に出てくるんです。

でも、それでずいぶん「はーすっきりした」という、思ってもいなかった効果もありました。

なので、よほどの鬼じゃない限り、女性ならば涙を流したい時には良いかもしれませんが、それまでが長いので、やっぱりおすすめ、とは言えませんねw

ちなみに、私はすぐ涙を出すタイプですので、「鬼の目にも涙」というわけではありません!
(多分、精神的ストレスがたまってるからその発散の為に身体が勝手にやってくれているんだろうな、と思いますw)

これだけなら、多々あるぺネロペB級作品の一つに埋もれたままになるんですが、この映画は他の出演者に驚いた事も、すごく記憶に残っています。

多くの人と同様だと思いますが、デニス・ホッパーとデボラ・ハリーです。

しかも、この二人あまり揃っての出番はありませんが、夫婦という設定でもあって。

ペネロペや教授のくだりは、ヨーロピアンなのですが、ホッパーとデビーで急にニューヨークになるんです。(ホッパーはカリフォルニアでしょうけど、私の中のイメージはアートな感じでニューヨークなんです)

ニューヨーク好き?w としてはそこでドーンとテンションが上がるんですw

それだけなんですけど、なんか貴重な姿というか、ホッパーにいたっては、この約2年後に実際に亡くなられていますからね・・・。

また役柄も、ホッパーらしい? 素敵な大人の男(主人公の大親友、悪友ともいう?)で、主人公よりも見える部分が少ないので、ある意味、恰好良いだけの役でした。むしろ、こちらを主人公にして欲しい。

デボラ・ハリーはさらに本当に脇役なので、逆に何故ここにデビーをもってくるか? という事が気になりました。

それで少し調べてみたら、この監督の前作にも出ていたんですね。



イザベル・コイシェという女性!? の監督で、「死ぬまでにしたい10のこと」にもデボラ・ハリーは出ているようです。

この作品タイトルは、もちろん話題になっていましたので知ってますが、申し訳ないけど、誰が出ていようともまったく見る気になれないですねぇ・・・。
沢山選択肢があるので、こういう判断もあるということで、すみません。

という事で知らなかったのですが、監督の好みなんでしょうね。

その好みはいいのに!!

そんなお話しは、男性小説家が原作のラブストーリーですが、男性作家と言う感じで、まあどこまで原作に忠実なのかはわかりませんが、納得感はありました。

男性のファンタジーが詰まっている感じですね。

年老いても、地位、社会的名誉、ゆとりがあり、バツイチの生活を謳歌している。
教養は大学教授ですからもちろん、センスのよいインテリア、アート。
そして美しい若い愛人。
決して、無理やり迫ってセクハラで訴えられるようなダサイ事にはならない、スマートなエロじじい。

だからこそか、若く美しい教え子のペネロペとあっさり愛人関係になれてしまう。

でも、他にも長年の割り切った関係の愛人もいる。(しかも同じく過去の生徒)

そして、バツイチ独身とはいえ、医者である一人息子に大親友デニス・ホッパーまでいる。


この構造って、意外と男性も女性とかわらないんだなー、って思えますね。

やっぱり、恋、友情、家族愛(だけど結婚はイヤ)は大事なんですね。

女性と違うのは、「結婚」に対しての墓場感かもしれませんね。

ただ、そんなメンズ・ファンタジーの中で、好感が持てたのは、

年下のペネロペが家族に紹介したい、と言うパーティーをドタキャンした所。

普通のラブストーリーとしてみれば、「チョー最悪! ペネロペかわいそー」てなるところですけど、そこに顔出すのは初老のおじいさまですからね・・・。

いくら社会的に認めらえていようと、家族はどう反応したらよいかわからなかったでしょうね。

なので、「逃げてる」とも言えるし、「自分の手で終わらせた」とも言える、カッコ悪いけどカッコいい、所なんですよね。

本当にファンタジーに仕上げるなら、その場にも堂々と参加して、家族も「こんな素敵な人なら歳の差なんて関係ないわー」って、二人を認める・・・みたいな展開でいいんですが、ここは「初老相手じゃおかしい」という事は、きちんと認めているんですよね。

この潔さは、ファンタジーであってもファンタジーじゃない、と目が覚める感じでした。

でも、女性からはバッシングでしょうし、男性からも「てへへ」みたいなバツの悪い感じで、はまっていればはまっている人ほど、いやなシーンじゃないのかな、と思います。

結局、このドタキャンが理由で、ペネロペは別れを告げます。

結果、初老は、失ったものの大きさに気づいて後悔するんですけどね。

でも・・・。

繰り返しちっくになりますが、あの場に行っても結果は同じになっていた気もするんですよ。

むしろ、大勢の人を巻き込んで。

二人だけの別れになって、良かったと思います。

なので、「行かない」という選択が唯一私が見ていて「共感」得られた所でもありました。
よくやった! と。
(涙は出しつつも、心と身体は別々です)

ただ、その後がドラマですね。

悪友ホッパーも失う事になり、初老を追い込みます。

そこに、まさかのペネロペの再登場。

今度はペネロペが病気で、元気なうちに姿を見せておきたい、と。

ペネロペは、別れている間も他の人に行けなかったんですね。

ここまできて、私は「パーティードタキャンよくやった!」と思っていた自分を、申し訳なく思いました。

「ペネロペ。そこまで・・・。なんか、ごめん」と。

ペネロペは復縁の為に戻ったわけではないのですが、これから身体に傷を入れるという大きな出来事の前に、初老に会っておきたかった。

もしかしたら、拒絶されたかもしれないのに、です。

それだけで、ペネロペの本気度がわかりますよね。

もう、ここは素直に号泣ですよ。

でも、メンズ・ファンタジー度も同時に大増量です。

一度は別れを告げた相手が、運悪く病気になった事で、また自分の元を訪ねてくるなんて・・・。

都合よすぎるし、病気ネタ、勘弁!!

って、冷めた目になりつつも、目からは大粒の汗が・・・。

最後は、お互い大事なものを失った同士、やっと? 対等だと思えたのか、また向き合う事を選んでハッピーエンド・・・。

大泣きしつつ、つっこみました。

「こんなん見たくないわー(でもホッパーとデビーはよかった)」

と。

完全に否定もできないところが、こっちもエレジーでした。

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