2016年1月27日水曜日

ラヴレース


2013年作品
アマンダ・セイフライド、シャロン・ストーン、ジェームズ・フランコ、クリス・ノース、ハンク・アザリア、クロエ・セヴィニー他

あらすじ:実話ベース。伝説のポルノ女優、リンダ・ラヴレースの半生。
決して、自ら望んでポルノスターになったのではない、そもそもポルノに売られたのは、たったの1度、日数にして17日だった。
だが、その数日が彼女の人生のすべてようになってしまい・・・。


アマンダちゃんが伝説のポルノ女優役で、しかもR指定つき、ということでよこしまな期待を持たれがちかもしれませんが、そんな目で見ると後悔をすると思います。

まるで、ペドロ・アルモドバスが好んで描くような、ドラマチックだけど決してうらやましくはない、どちらかというと悲惨な女性のドラマ。
でも、最後、ただ屈するのではなく、強い姿勢を見せるという。

実話なので、ペドロ的なドラマとしてはストレートすぎて面白味はないのかもしれませんけど、その分とてもベヴィです。

彼女のドラマチックな人生は遠く感じるかもしれませんが、よく考えると一歩間違えれば誰にでも、近い状況は起き得るんですよ。
両親との確執、DV、貧困、等々・・・。

特に、両親との関係は、大なり小なり、誰でも小さくは反抗期などで、経験があると思うので、なんかキュッっとなりましたね。

まあ、両親が特に厳格という、特殊な家庭だったのかもしれませんが、でも、時代的にはそんなもののような。
そして、母親役のシャロン・ストーンがまた潔く、「母親役」をやっていて、凄みが、すごかった!!
(日本語へん)

もし、時代が時代ならシャロン・ストーンがラヴ・レース役をやりたいところでしょうね。
でも、今はしわしわの母親役を熱演してました。
あの、しわ加減も、女優によっては嫌がるような気がするんですよね。
リアルもパリッパリだったりするじゃないですか。

それを、しっかりやっている。
しかも、厳しい母親を。
もともと、好きでしたが、やっぱりそもそものブレイクがすでに若くなかったので、潔いですね。
全盛期のセクシーなイメージよりも、大分男っぽい、ある意味、男優のような女優さんなんだなーと、本作で改めて感じました。

実は、見始めた頃は、そんなシャロン・ストーンの存在感がかなり強くて、見ていて役柄的にも、「おばか」なアマンダちゃんは、むしろ影が薄かったんです。

またしても、かわいいけどおばかで、おまたも緩い? という役どころで、そもそもラヴ・レースという人の知識がない私には、アマンダが出る事となった理由がどこにあるのか、それをずっと待っていました。

実は、ポルノに出る前(無理やり出される前)も、悲惨といえば悲惨でした。

ただ、ここまでのドラマは、割と映画やドラマの世界にはある範囲といえばある範囲でしたから、それじゃふつうじゃん、という印象でした。

親が厳しくて、でも外へ出れば若い女子ですから誘惑は多く、ついつい乗ってしまう。
そして、出会った男はダメンズだけど、気づかず親の言うことをきかずに、結婚。

これが、実話ベースだからこそ、なんでしょうけど。

ここまでは、まあちょい自業自得な感じが否めない。
むしろ、両親、というかシャロン様寄りになってしまう。
(父親は、母親任せの放任ぽい感じで、それもちょっと可哀想)

ただ、彼女の最大の過ちであり、最大の成功、ともいえる、ポルノ出演に近づくにつれて、単なる自業自得ではない、不運さを感じていたたまれなくなります。

この辺が、また編集の妙で、あえて時系列になっていないんですね。

最初は、まるで「なし崩し的ではあるけど、ポルノに出たらスターになっちゃった」
と、本人も喜んでいるような描き方。

だけど、その後で、過去のシーンが差し込まれてくる。
それは、借金の返済に、彼女に売春をさせたり、DVをしている彼から、逃げたいと母親にすがりついたのに、いっさい取りつく島もなかった事。
それどころか「夫の言うことを聞くのが妻の務めでしょ」と、涙ながらに助けを求める彼女に、何も聞こうとしない母親は、この先「言う事をきいてポルノに出なさい」と言っていることに気づくはずもない。

「私のことを分かってない」という娘に、母親はむしろ逆切れをしました。
「あなたに言われたくない」と。
母もまた過去には、娘同様、10代で妊娠してしまい、子供を里親に出していたんですね。

だからなおさら、つらいんですよね。

母親と、「なぜこんな子に」って思うよな、違いがあったなら、まだ、突き放すのもわかるのですが、むしろ分かり合えるはずなのに、どうして、唯一の味方が一瞬でも敵になってしまったんだろう、と。

そして何も知らない母親は、TVで見る娘の話題に、「やっぱりあの子は・・・」という感じで、まさか自分がその背中を押していたなど、みじんも思わずに、目をそらすんですね。

ただ、そんな悲惨な彼女の人生の中で、もっとも悲惨な出来事でもあったポルノ出演は、その後の助けになるきっかけにも、なったんですね。

そこで知り合った関係者の人の助けがあって、DVの夫から離れる事ができるんです。

そして、映画的には、数年後、数年後のぶつ切りなんですけど、最後には結婚して普通に暮らしているとわかります。

だけど、そこでまたあえて、「自叙伝の出版」という、自ら表に出ていくんです。
世間は忘れていったとしても、自分にある「伝説のポルノスター」という肩書きの重さは、自然に軽くなることはなかったんでしょうね。
自らの手で、「それは違うんです」と真実を伝えたかった。

それが、また今度は同じDVなどで苦しむ女性にとっては、勇気を与える行動となり、話題になりました。

そして、その真実の姿はまた昔のように両親もTVで見ています。

でも、今度こそ、母親は目をそむけることが出来ません。

真実を知り、一番後悔したのは、誰よりも母親だったでしょうからね。


そして、新しい家庭とともに、実家に帰ります。

その時、シャロン・ストーンが、ちょっとシャロン入りすぎなんじゃないの?w と思ったんですけど、
「もう 面倒なのはいやよ」というような事をいって、娘を抱きしめるんです。

いや、面倒起こしてるの、自分もじゃんw と思わずつっこみたくなるような、サバサバした物言いだったので、ちょっと突然母親のキャラ変わってない? とびっくりしたんですが、実はその前にも、「サミーデイビスJR」のマネをするシーンがありまして・・・。

あれも、ちょっと母親のキャラ、謎でした。

実は、母親も厳格ぶっていないと羽目を外すようなタイプ・・・、まさに母娘の血のつながりを表すシーンだったのかもしれませんがw

急に笑わしてくるのも要注意ですw


という感じで、最後はハッピーエンドなので、ほっとはするのですが、虐待的なシーンは、実話だと思うと本当にぞっとします。

自分の嫁を、金と引き換えに、まるで物のように売る旦那。
さらに、暴力、とくにポルノ出演よりも、強制売春は、ほぼレイプですから。

こんな男が実在していたというのも、本当に恐ろしく腹立たしいですね。
しかも、彼女と別れた後は、また別のポルノスターと再婚していた、とテロップが出ました。
なんで、こういう男に女性が絶えないんでしょうね・・・。

内容的に、決して愉快なお話しではないので、二度見たいかと言われたら、もうお腹いっぱいですし、特にすすめる人を選ぶと思います。

アマンダちゃんのファンだとしても、これはちょっと(内容が)厳しいですね。

ただ、出演者もゴージャスなので、軽くおすすめできないのが残念ではありますね。

特に、このジェームズ・フランコはいいジェームズ・フランコでした。
ちょろっと出てくるだけなんですけど、イケイケなプレイボーイ誌のヒュー・ヘフナー役で。

他にも、クロエ・セヴィニーは、スターになったラヴにインタビューする人で、本当に一瞬だけ。

フレンズでお馴染み?w のハンク・アザリアには気づきませんでした!

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