2016年1月15日金曜日

セクシリア


1982年作品
監督ペドロ・アルモドバル
セシリア・ロス、イマノル・アリアス、アントニオ・バンデラス

あらすじ:股のゆるい80年代バンドギャル、近親相姦の攻防、セレブなゲイ、そんなセレブを追う殺し屋などなど、ドタバタなべドロ流恋愛群像劇。




ペドロ作品の原点ともいえる翻訳されている一番最初の作品です。

なので、映画としての完成度は予算などを含めて荒削りで、若々しく、B級そのものだと思いますが、その分ペドロのエッセンスがちりばめられていて、まさに詰め合わせセット。
当初からブレがない、という事がわかります。

ある意味、ひとつひとつはシリアスなテーマでもあるのだろう、性癖、セクシャル・マイノリティ、セクハラ等々ですが、それらをコメディ、ファンタジーとして捉えられるようにからっと描いています。

私は圧倒的に、この血気盛んなエネルギーあふれるような、まさに80年代のキッチュなテイストが感じられるペドロの作品が好きです。

ある意味、ペドロの年齢とともに作品も成長しているのが、わかりますね。

とはいえ、成長しきらない、いつまでたっても子供っぽいやんちゃな所が感じられるのが、大アーティストなんだろうな、とも思います。

私が見たのは大分昔になりますが、正直ストーリーはさほど記憶にありません。
ただ、強烈に覚えているのは、主人公がステージで歌ってるバンドのシーン。
その80年代ファッションとサウンドが、すごくいい感じなんです。

昔、ポジパンという音楽ジャンルにはまった時がありまして。
日本に居て入る音楽情報というのは、ネットのない時代ですから、せいぜい、アメリカ、イギリスだったと思います。
特にポジパンは、当時のアメリカのような明るい土地柄では支持されにくかったんでしょうね、ほとんどがイギリス産だったと思います。
(身近な日本産はさておき)

その程度の知識の中で、それから数年後、人生で唯一のローマに行った時に、壁に「ポジパンナイト」みたいなポスターが貼ってあるのを見て、すごくカルチャーショックを受けたんです。
こんなところで!? いまさら!!?? と。
まあ、いわば「懐かしのポジパンナイト」ってところだったんでしょうね。

最近では、ゴスとかエモと言われる存在になっているのかな、と思いますが、まだローマに行った当時は、ゴスという言葉も一般的ではなかったと思いますし、あったとしても、意外とゴスもエモも「アメリカ」なイメージでしたし。

ヨーロッパの音楽事情ってほとんど知らなかったので、言語の違いはあれど、サウンドそのものは同じ時代、同じようなものが好まれていたんだなーと感じられるのが、面白く興味深かったんです。

この映画のバンドのシーンはそういう意味で、私にとってはすごく貴重なシーンなのでした。

そうそう、バンデラスのデビュー作品でもあるということで、バンデラスはまさにペドロとともに育ったようなものなんですね。

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