2016年4月18日月曜日

チェンジリング


チェンジリング 【DVD】

2008年作品
実話ベース
監督クリント・イーストウッド
アンジェリーナ・ジョリー、ジョン・マルコヴィッチ、ジェフリー・ドノヴァン

あらすじ:シングルマザーのクリスティン(ジョリー)はある日帰宅すると、息子がいなくなっていた。

それから、数か月後、警察が息子ウォルターを発見し、再会するが、そこに現れたのは、ウォルターではない子供だった・・・。




アンジェリーナ・ジョリーといえば、若い頃は好きでよく映画も見ていたんですけど、どうしてもブラピ略奪の一件で、レイチェル派としてはイメージ悪くなってしまって、すっかりチェックしなくなっています。

それに本作は「母親が子供を探す実話」というざっくりしたイメージで、敬遠していたんですが、ミステリー、サスペンスになっていたので、ちょっと興味を持ちました。

実話、というのも。

【おはなし】

シングルマザーのクリスティンがある日家に帰ると、留守番しているはずの息子、ウォルターがいなくなっていた。

1920年代のアメリカ、当時のロス市警は悪評が高く、それを糾弾する牧師(マルコヴィッチ)もいた。

だが、数か月後、担当のジョーンズ警部(ドノヴァン)からウォルターを見つけたと連絡が入る。

喜んで再会すると、そこに現れたのはいくら数か月経っているからとはいえ、自分の息子とは思えない男の子だった。

そう訴えるが、警部は「気が動転しているせいだ」と認めようとせず、無理やり押し付ける形に。

家に連れて帰ると、次々と自分の息子ではない証拠が見つかるが、何をいっても警部は受け入れず、しまいには「気ままな独り暮らしを壊されて、息子が邪魔だからそういう事を言うんだ」とクリスティンを批判する。

困っているクリスティンに手を差し伸べる牧師に学校の先生、歯医者にも「ウォルターではない」と証明してもらえる事になるが、警部は揉み消す為に、いよいよクリスティンを精神病院へ入れてしまう。
もちろん、気など狂っているはずがないが、当時の警察は警察に不利な状況があるとすぐに精神病院に放り込んでもみ消していたのだった。

約束のラジオ放送に来ないクリスティンを心配して探す牧師。

病院では、同じように「正気なのに、警察に都合が悪いから放り込まれた」仲間と出会う。

医者は、「子供が自分の子供だと認めるなら、すぐ退院できる」となかば脅しをかけてくるが、クリスティンは強く拒否を続ける。

一方、レスター刑事がある牧場にいるという未成年の保護を引き受ける。

牧場に向かう途中1人の男とすれ違い、道を尋ねるが、たどり着いた牧場は人気がなく閑散としていた。

そこで確かに男の子を見つけたので、保護するとその処理の途中で、レスター刑事に話したい事がある、と言い出す。

それは、実は自分はあの牧場で、従兄弟の命令で子供の殺人を手伝っていた、というのだった。
その男こそ、すれ違った男だった。

あまりのおびえる様子にウソではなさそうだと思い、試しに失踪中の子供の写真を見せると、数名が「さらって殺した」と。
そして、例のウォルターの写真についても「間違いない、この子もいた」と告白したのだった。

だとすると、今のウォルターはクリスティンの主張の通り偽物だという事になるので、すぐにジョーンズ警部に話をするが、「子供のうそだ」とまた取り合わない。
それどころか、もみ消すつもりなのか「その子供を連れてこい」と命令する。

レスター刑事は、一度は引き渡すつもりになったが、直前でもう一度子供と手伝いを連れて牧場に戻る。

そこで、子供に「本当なら死体を掘り起こせ」といい、実際に白骨化した遺体を見て、応援を呼ぶ。

この事件をきっかけに、クリスティンは無事、精神病院から退院する。

だが、その理由は「失踪したと思われていたウォルターがシリアルキラーに殺されていた」からとなるので、ショックを受ける。

偽の子供は、実は単に「ハリウッドに来たらスターに会えると思った」と事件を利用してなりきっていた子供だと判明し、実際の母親に引き渡された。
だが、そこで最後に「警察に言わされたんだ!」と捨て台詞を吐いていた。

警察は、子供を利用した上、クリスティンを精神病院に入れた事などから、責任を問われた。

クリスティンは、ウォルターの遺体は確認できていない事から、どこかで生きていると信じ続けた。

シリアルキラーは見つかり、裁判が始まるが、そこですでに有名人となっていたクリスティンに対して犯人が声をかける。

「ウォルターは殺してないよ」と。

さらに期待をするクリスティン。

だが、なんの手がかりもないまま、死刑が近づくと犯人から「話したいことがある」とコンタクトが来る。

面談すると、「来るとは思わなかった。会いたくないし、話ももう懺悔したからこれ以上言う事はない」と今度は何も言わない。

新しい情報でももらえるのかと思っていたクリスティンは、怒りをあらわにするが、何もないまま犯人は死刑を迎える。

その後、事件を通じて交流が芽生えた1組の夫婦から連絡が入る。

「息子が戻ってきた」と。

何かあるかもしれないと、その場にクリスティンも駆けつける。


すると、少年の口からウォルターの名前が出てきた。

当時、フェンスの隙間から逃亡を企てた、と。

その時、サイズ的に逃げられる3人だけ逃げたのだが、自分は最後で引っかかってしまい、犯人に気づかれてしまった。
だが、そこでウォルターが戻ってきて助けてくれて、なんとか逃げ切れたのだ、という。

そこでばらばらで逃げた為、以降、ウォルターの姿は見ていないという。

その少年はその後、出会った女性に助けられてしばらく暮らしていたが、何故すぐ名乗りでなかったかというと、犯人が自分や家族に何かするのでは、と怖かったからだという。

だが、ニュースを見てもう大丈夫かと思い、出てきたのだという。

どこかで逃げて暮らしていたとしても、すぐに戻れない事情がある、という事がわかり、クリスティンは、さらに息子はどこかで生きている、という希望を得た。

そして最後まで息子を探し続けた。

【かんそう】

まさに事実は小説より~、そのものだと思いました。

これが実話だなんて。

ただ、シンプルに整理すると、

・シリアルキラーの被害にあった息子。

な、だけなのですが、警察の対応、うそつきの子供という、クリスティンに不利な条件が偶然にも重なってしまった為、ドラマ以上のドラマになってしまった。

もちろん、シリアルキラーにさらわれただけでもすごい事なんですけどね。

これが作り話なら、「こんなことあるかい」って突っ込んでおしまいって感じでしょうけど、結構な事実なようなので、本当に驚きますね。

ちょっと気になるのは、子供にウソをつかせていたのはヨシとしても、その本当の親はニュースなどを見て「うちの子だ!」ってならなかったんでしょうかね。
それも警察がまた揉み消すのかな・・・? まだ情報が発達していないから、捜索願を出したまま気づいていない、という感じなんでしょうかね。
それにしてもむかつく子供でしたけど。

そして実話なので、結末も結局、ウォルターはどうなっていたのか、というのはよくわかりません。

逃げ切れたのか、逃げ切れなかったのか。

逃げ切れたけど、何らかの事故にあってしまったのか。

生きているならいつか戻ってくるかもしれないけど、戻れない事情があったかもしれない。
深く考えると、母子家庭でしたから、歳をとればとるほどウォルターは戻らない方がいい、と考えるかもしれない。(今更戻っても迷惑かける、とか)

とにかく、クリスティンという女性の不幸さ加減がハンパなくて、通常ならまず見たくない映画ナンバー1といってもおかしくないですね。
不幸物語。

子供の父親は子供の存在を知ると、びびって簡単に逃げるような男。(作中の会話でそんな感じで説明している)
もちろん、失踪事件は大ニュースになるけど、父親の存在は1ミリも出てこず。

そして、担当警部が悪徳なばかりに、精神病院にまで入れられる始末。

もちろん、すぐに探していたらもしかしたら救えたかもしれない。

せめて遺体があったなら、あきらめもつくけど、それもない上、戻っても来ない。

だけど、それすらも「希望」だと前向きにとらえるクリスティン。

この辺は映画ならではの演出はあるんでしょうけど、厳しいですね~。

映画というエンタテインメントとしては、ちょっと可哀想すぎて、私にはヘヴィでした。

反面、クリスティンの何にも負けない強さは、頼もしかった。

特に、自分が退院できた後、すぐに他の同じような被害者を助ける為に動いたのはすかっとしましたし、マルコヴィッチ牧師のフォローも心強かった。
むしろ最初に見た時は、一番怪しいくらいだったんですがw

後半、裁判が始まるとなると、市を相手に何度か勝ってるという敏腕弁護士が予算の関係で雇えないので・・・「無償でやります」というシーンも良かった。

どんな時代にも、希望ってあるんだなーっていうのは素直にホッとできました。

シリアルキラーの手口は、幼い男の子が好きな犯人なのですが、親戚の子供に手伝わせる事で、さらいやすくしていたんですね。

車に誘い込むのに、すでに男の子が一人乗っているから大丈夫だろう、と思わせていたと。

ウォルターは家にいたのに、どうして連れ去られたのか、永遠の謎ですけど、怖いですね・・・。


個人的には、ジョーンズ警部が、「バーンノーティス」のマイケルなのがウケました。
しかも、マイケルはすごくいい人なのに対して、この役は悪党なので、作り笑いというか、カメラの前では笑顔だけど、反発するクリスティンにはどんどん素を出していき、最後裁判では、開き直ってる姿が、いつもと違い過ぎて、「役者さんだなー」と当たり前の事を思いましたw






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