2016年4月9日土曜日

記憶探偵と鍵のかかった少女


記憶探偵と鍵のかかった少女/マーク・ストロング[DVD]

2013年作品

タイッサ・ファーミガ、マーク・ストロング、ブライアン・コックス、ノア・テイラー

あらすじ:記憶に入り込んで事件を解決する「記憶探偵」として活躍していた主人公ジョン。
ある出来事から一線を退いていたが、金銭的な事情から「記憶探偵」として復帰する事に。

だったら簡単な仕事がある、とある少女の案件をもちかけられ・・・。




タイトルは、少年漫画の探偵物のサブタイトルみたいな感じですが、すっきり「謎は解けた!」とはならない感じでした。

【おはなし】

記憶探偵として活躍していた主人公ジョンは、妻子を亡くした事がトラウマとなり、記憶潜入中に自分の記憶が混ざってしまうという現象が起きた事により、休職状態だった。

妻子の思い出のある家を売ればお金になるものの、未だ引きずる想いに売り払う事が出来ずにいた為、金銭的に困ったジョンは、職場復帰を宣言する。

記憶探偵としては、頼りないが事情を汲んだ上司は「だったらちょうど簡単な仕事がある」とジョンに持ちかける。

それは、「ストライキを起こしている少女アナに食事をさせる仕事」だった。

だが引き受けてみると、少しその少女の環境が変わっているという事にすぐ気が付く。

家は豪邸だが、「自傷行為をするから」と、ほとんど監禁状態で、継父は少女を施設に入れたがっている。
母親は、なんとかそんな事にはさせないように、と言うが継父を説得する力まではないようだった。
その為、部屋には監視カメラもついていて少女専用の看護師が住み込みで監視しているというものものしさ。

少女はIQが高いということだったが、過去の診察ファイルについては、両親の意向で開示できない、と上司に言われていた。

実際に会うと、彼女の言い分としては、継父が財産目当てで自分を邪魔者扱いして追い出そうとしている、ともっともらしい事を言う。

どうしても、大人と少女という対立のバランスから、少女の味方に寄って行くジョン。

だが、意外にもアナはジョンに会い、すぐ打ち解けるとあっさりと食事を摂りジョンの仕事を済ませてしまう。

ところが、その祝いに、とジョンと看護師がその夜2人きりで食事をしていい雰囲気になると、その後アナが屋敷に戻った看護師を突き落として大けがをさせた、という連絡が入る。

屋敷に行き、事情を聞くとアナは「自分が犯人ではない」と言う。
継父と看護師はできており、夜になると2人で会う事があったから、きっとそこでケンカになったのではないか、と継父が犯人だと主張する。

確かに防犯カメラには犯人の姿は死角となっておりはっきり写ってはいない。
だが、実際に突き落とされた看護師は、アナだと言っていた。
それも「この家の財産を狙う継父と看護師がグルだから」とアナは言う。

まだ入院中の看護師に話を聞くと、継父との関係もアナのウソで、確かに言い寄られた事はあるがそれだけだ、と言って、誰が本当の事を言っているのかわからない。

そしてアナの記憶をめぐる度に、ジョンはアナが孤独な少女で、自分が助けてあげないとアナには味方がいないと思うようになり、アナを助ける事を約束する。

アナもまた、ジョンしか頼れる人はいない、と得意の絵でジョンの似顔絵を描き、メッセージを添えて送ったりと、ジョンへの気持ちを素直に見せる。

いよいよ、アナを救う為には、過去のファイルを見る必要があると伝えると、母親は「ジョンの上司が持っている」と言う。

ジョンはそこで、少し上司に対して不信感を抱く。
両親が見せたくないと言っていたが、本当は上司が見られては困る内容があるのではないか、と思えたのだった。

そして、アナとの記憶めぐりで、幼少のアナを訪ねる上司を見て決定打となった。
上司が幼少のアナにいたずらをしていた過去があるのではないか、と。

その他、アナにまつわる評判、「学校の先生と寝ていた」「女性徒を殺そうとした」等についても、当事者は、口をそろえて「アナや家族と関わるとろくなことがない」「だまされた」「アナは悪魔」と言うが、アナ自身は「芸術の一環だと思って写真のモデルになったら先生が・・・」「女性徒を殺そうとしたのは別の生徒で、濡れ衣」と言う。

決定的なのは記憶めぐりでも、確かにアナの言うような「アナだけが悪い」という状況ではない、とわかり、自分が味方をしてあげないと、とさらに深みにはまっていく。

と同時に、自宅に監禁されているはずのアナの声が聞こえたり、外で姿を見るようになる。

またある時の記憶めぐりでは、またトラウマが発生してしまいアナの記憶の中で混乱していると、先にアナだけが現実に戻っている、という事が起きた。
本来、訓練をしないと勝手に戻ることなどは出来ないというのだが、アナは気づいたら戻ってた、と平然としていた。

明らかにアナと関わる事で、不可解な事が起きているが、ジョンが疑問に思う隙もなく、今度はアナから直接「助けて」、と電話が入る。

急いで屋敷に侵入すると、家の中は明らかに様子がおかしい。
アナを探しながら、監視室へ行くとモニターに映るのは、横たわったアナの両親とそれを見つけてうろたえるアナの姿だった。
そして、気が付くと、ジョンは監視室に閉じ込められており、外への通信手段も封じられていた。

ドアを破ってアナを探すと、屋敷の外に逃げる姿を見つける。
やっと通じた携帯で警察を呼び、血の後を頼りにアナを森の中に追うと、アナがジョンに声をかけた。
無事である事にほっとするジョンは、アナが手を取るとそのまま従い「警察を呼んだからもう大丈夫だ」と言うジョンに「ごめんなさい」と言い、また姿を消す。

到着した警官はジョンに銃を向ける。

手を上げろと言われて上げた手にはアナにつけられた血がべっとりついていた。

ジョンは、アナに犯人に仕立て上げられたのだった。

証拠がありすぎるジョンは、取り調べを受けているが、両親は死んではおらず、アナを殺したという事になっていた。
さらに、その前にアナからもらっていたパソコンのデータはなぜかアナを含む女学生のヌード画像で、それが「ジョンが犯人である」と思わせる追い打ちとなった。

そして、収監されるジョンは、「記憶めぐり」を受けていた。

これまで見ていた映像は、ジョンの記憶で、そしてジョンが無実である、と少なくとも記憶探偵にはわかるものだった。

だが、まだ「記憶探偵」のデータは、100%認められるものではないが、やるだけやってみる、とジョンに希望を持たす。

以前、ジョンが強烈に批判した上司も面会に来て、そしてジョンは謝る。

やっとわかったのだった。

アナはIQが高い故、すぐに「記憶探偵」の真似事が出来ていた、という事を。

だから自分の都合の良いように、変えた記憶をジョンに見せていたのだった。

実は、そういう事は、無くはない事で、無意識に自分に都合良い記憶になる、という事はある、という話をジョンはアナにしていた。

それは、アナの記憶の中で女生徒と仲良くなった時、廊下の時計が止まっていたのだった。

改ざんした記憶の中には必ずどこか、不自然な所がある、とジョンはアナに説明した。

ジョンとしては、アナに真面目に記憶めぐりをやって欲しいという意図だったが、アナにとっては敵の攻略を教えられていたのだった。

そしてすでに、アナの策略にはまっていたジョンは、

「あの廊下の時計はずっと止まっていたわよ」

とその時もごまかした言葉をジョンは信じていたのかもしれない。


今では、何もかもアナが意図的に起こした事件で、今もどこかで生きていて、やっと自由の身になっていると考えるジョンの元に、アナから感謝のバラが1本送られてきた。
新聞と一緒に映るアナのポラロイド写真が添えられて。

そして、無実が証明され出所となったジョンは、過去の象徴でしかない家を手放し、気持ちを新たに看護師の元を訪ねる。

やっと「記憶」から解放されたのかもしれない。

【かんそう】

タイトルがしょぼい? のであまり期待しなかったせいか、結構楽しめました。

アナはどこかで見たことあるなーと思いながら見ていたら、「アメリカンホラーストーリー」でした。

納得のちょっとクセのあるルックスです。

今回の役柄にぴったりでした。

「記憶探偵」っていう言葉がなんかダサくて、勿体ないって感じがしました。

あと少なくともアナの仕事においては、「記憶を見てるだけ」で「探偵・・・?」っていう違和感もありました。

細かい事ですけどね。

こういったミステリーのつきものとして、見終わって一応ストーリーに納得はしてますが、細かい所での謎、疑問というのは残っています。

だいたい二分されるのですが、具体的なシーンについて、とそもそもの設定について。

シーンとしては、この手の作品にしては実はそんなに謎はないんですけど、「監禁されているはずのアナの姿を外で見る」と言うのは、すでにアナが「記憶探偵」になっている、という事なのだと思いますが、自分達が見ているジョンの過去は、すべてが「ジョンの記憶」なのか、どこかは一応リアルなのか、というのははっきりわからないんですよね。

ジョンの記憶であるというシンボルには、「ジョンの記憶をめぐっている探偵がいるかどうか」が見分けのポイントになり、観客にとっては時折「この人影はなんだろう?」と思わされるのですが、後から「あーあれは探偵だったんだ」とわかります。

で、探偵がいる=記憶めぐりをしているジョンの記憶、になると思いますが、その記憶の中には、「ジョンがアナの記憶めぐりをしている」時も含まれるので、記憶探偵が2人以上いる事になるんですけど、そんなシーンがあったかどうかは、覚えていません。

また、アナはすぐにジョンとの記憶めぐりから、「記憶探偵の真似事を覚え、かつ、自分の都合のよい記憶にする」というテクニックを使いだすので、下手すると、1つの記憶に記憶探偵が3人いる事にもなるのですがw

まあ、ただだからといってつまらない、とかではなくて、分かっててみると余計にややこしくなりそう・・・と思いました。

同じような感じで、ジョンは、アナの両親が自分に監視をつけている、と話すシーンがあるのですが、この監視は「記憶探偵」だと思います。

ジョンは、記憶めぐりをして、記憶に戻っているのに記憶探偵の存在を「監視している人だ」と思うのっておかしくないのかな・・・? とか。

これ、わかってて最初から見たらもっといろいろ気になりそうです。
初見の何も知らずに見るので、ちょうど良かった気がしますw

そして、設定の謎ですが、そんな高度な知識を持つアナが、なぜ両親にあっさり監禁されているのか・・・。

わざわざこんな大事件を起こして死んだ事にまでしないと、家を出られない、というのがむしろ気になりましたw

だってすでに、大事件を起こす為に、部屋は自力で抜け出せていますからね。

一応、死んだ事にでもしないと両親が探すから、という事でしたが・・・。

しかも、財産分与はアナが死んだら継父が自由に出来てしまう、だから継父は私を殺そうとする、と自分で言っていたので、それも謎ですね。

あと、とにかく過去に、教師をはめて犯罪者にするのはまだしも、同級生を3人まとめて殺そうとして、しかも未遂で終っている、というのはどういう事なんだろう?
殺すつもりはもともとなく、同級生をただ傷ものにしたかっただけなのかな?

親の力でもみ消した、とのことですが、頭が良いアナならそういう自分の恵まれた環境を理解してそうですよね。

人の命を奪う事も簡単に出来るようなサイコパス的犯罪欲求があるアナは、何を求めて屋敷を出たんでしょうね。

そのあたりが良くわからなかったです。

これから自由になって自分に関わる人を傷つけて楽しむんですかね?
結局犯罪するならば、死んだ事にした、のもジャックを助けた時にウソだったことがバレてますから、いっそ、家族全員殺して逃走する方が手間はかかってないような・・・。

逆にただ平凡に暮らしたいなら、ジョンをだましたように、家族に気に入られるよう演技する事も簡単に出来たと思いますが。

ただ、アナが「記憶探偵」というスキルを手に入れた、というのは大きな収穫ではあったんでしょうね。


という感じで、よくわからない所もありますが、アナというちょっと変わったキャラと記憶を扱うお話しとして、最後までフックに引っ張られて見る事が出来ました。

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