2016年4月22日金曜日

ディープ・エンド

2001年作品

ティルダ・スウィントン、ゴラン・ヴィシュニック、ジョナサン・タッカー、ピーター・ドゥナット、ジョシュ・ルーカス

あらすじ:父親が長期不在で母(スウィントン)一人で、子供3人と義父の面倒を見て生活をしていた。

そんな中、父親に知られたら理解してもらえないだろう、まだ10代の長男がゲイであることを知ってしまい・・・。




これも大分昔にTVで録画したのをすっかり忘れていました。

その時は、ティルダがティルダである事も知らず、「辛気臭い始まりだなー」と母が子供に依存する話かと勘違いして、最後まで見れなかったのですが、勘違いどころか、結構な思い込みでした><

そして、ゲイの長男が稲垣吾郎さんの若い頃って感じで似てたな~。

【おはなし】

長男ボウが起こした自動車事故から、一緒にいた相手が年上のゲイだと気付いてしまったマーガレット(スウィントン)。

父は海軍で家を留守にしていたので、父親に知られずになんとか処理をしようとしたのか、子供のつきあいに口を出してしまう。
「息子と会わないで欲しい」とゲイバー「ディープエンド」まで行って直談判してしまうのだが、むしろそんな母親の様子は、相手にとってよい脅しのカモに見えたようだった。

もちろん、息子は相手に恋をしていたのだが、その夜、こっそり家まで押しかけ「母親が来たから、これからゆするつもりだ」と打ち明けられると、単なるチンピラである事を理解し、言い争いになる。

そして顔にあざをつくって家に帰ると、母親に出迎えられ、家を抜け出していた事がバレていた事を知る。

翌朝、まだ早い時間に母親が湖まで行くと、チンピラの死体を見つける。

昨夜、息子とチンピラが会っていたのは確実で、息子はアザまで作っていた事から、息子が犯人かと考えたのか、そのままその死体を隠そうとする。

湖の底に沈め、乗って来た車を移動する為に、再び湖に潜り、キーを取る、等。

主婦としての生活だけでも忙しいのに、その合間をぬって息子をかばおうとしていた。

そんな中、さらに追い打ちをかけるように、警察が動いて明るみに出た事で、第2のゆすりが発生する。

それは、チンピラの友人アレックで、もともと「ゆすり」計画を立てていた仲間のようだったが、本人が死んだ事でゆすりの内容が少し変わった。

アレックは、ボウとチンピラのHビデオを持っていて、「これを警察に見せれば、死んだチンピラの件でボウが取り調べにあい、つきあいが露見するぞ」と。

そもそもボウが殺した、とまでは思っていないようで、むしろ「オタクの息子さんがゲイだってバレていいのかよ」という脅しのようだった。

もちろん、父親不在中に息子が警察に疑われるのもいやだろうし、もちろんゲイである事が大っぴらになるのもいやだったろう。

だが、その代償は「5万ドル用意しろ」という、家庭の事で忙しい主婦には到底無理な話だった。

だけど、父親もおらず、家には金もないが、息子は守りたい一心で、そこから母親は1人でなんとか脅しとつきあっていく事になる。

家では話せないといいつつも、アレックはアレックで単なるつかいっぱしりで、実はボスの存在があるようで金を急かされてもいた。

ある日、約束に来ないマーガレットを家まで見に来ると、義父が倒れていたのだった。

応急処置をしようとするが、ままならないマーガレットに見かねたアレックが、応急処置の知識を伝える。

こんな生活でお金なんて簡単に渡せるわけがない、とぶちまけるマーガレットに次第に、同情を覚えるアレック。

こんなことがなければ普通に忙しくとも幸せなマーガレットと片や、チンピラの若者に接点はなかったはずだが、次第に2人は「5万ドルを集める側」と「請求する側」という立場が違うはずなのに、どんどんその境界があいまいになっていく。

もちろん、脅されているので仕方ないのだが、アレックの呼び出しに応じるマーガレットは、いつしか家族の面倒を後回しにし、息子には「今日、おしゃれしてるね」と言われるように。

そして、いよいよアレックは、5万ドルのうち、半分が自分の取り分だったので、それを放棄するからさっさと2万5千ドル集めて、この話を終わらせろ、と言い出すまでに。

だが、そこまで2人の会話はあくまでも金の話だけで、何も具体的なものはなかった。

タイムリミットぎりぎりで、今度は「チンピラ殺しの犯人が捕まった」という情報が入る。
犯人さえ見つかれば、ボウが疑われる事はなくなるので、ビデオの脅しも用はなくなるだろう、と言うアレックに、「その人は犯人じゃない」と言うマーガレット。

実は、自分こそが犯人で、あの夜、息子と会っているのに気付き、息子が帰宅後、さらに会いに行って、そこでまた口論となった際に、チンピラが湖に落ち、イカリに刺さったのだという。
だから自主をする、と言い出すと、アレックがそれを止めるのだった。


そんな腑抜けていくアレックにしびれをきらした、ボスが「もうお前はいい、直接俺が行く」とマーガレットの家に押しかける。

そして湖の小屋に行き、暴力を振るわれるとアレックが助けに入り、そのままボスを殺してしまう。

この件も正当防衛になるから、自主をしてすべて終わらせて欲しいというマーガレットに、アレックはやはり「ダメだ。あなたには守る家族がいるだろ」と言う。

そして、ボスの死体を片づけるから自分は、アレックの乗ってきた車を移動させておけ、と言われる。

その赤いスポーツカーは、よく2人で乗っていた車だったが、運転がままならずなかなかエンジンがかけられなかった。
そこに息子が通りかかり、初めて泣きながら息子に助けを求める。

「何も聞かずにこの車を運転して欲しい」

母親が若者とよく合っているのは当然知っていたし、おしゃれしているのにも気づいていたのだから、何か感じるところはあるのだろう。

そのまま運転すると、途中、アレックが死体を載せた車が事故にあっていた。

思わずかけよるマーガレット、「絶対助けるから」というが、アレックは「ミスったけど、このまま事故で死体もごまかせる」とすでに死ぬ気でいた。

車内にあるすべての始まりのビデオテープを取らせる時、あおむけに倒れているアレックのくちびるとマーガレットのくちびるが触れ合いそうになる。

それが最初で最後の一番の接近になった。

そして泣きじゃくるマーガレットをなぐさめるのは息子だった。

おしまい。

【かんそう】

妙に母親が、息子をかばうなーと思ったら、自分が殺していたのなら、納得。
かばうといえば聞こえがいいですけど、何も息子に問いたださないので、「息子が殺したんだ」と決めつけていて、ずいぶんだなー、とも思ったので。

そこは、むしろスッキリしました。

ミステリーというよりは、ラブストーリー寄りな感じもありました。

事件をきっかけに、接点のない2人が出会い、だからこそつかず離れずの距離を保ってはいたけど、最初から悲恋、という。

ちょっと昼ドラっぽくもあるかも。

ティルダがこういう役となると、はまりすぎて、ちょっと見ていてきつかったです。

姿なき父親にもちょっと問題があるようにも、思えました。

お金の引き落としにサインが必要だから、最初の頃は一生懸命連絡を取るんですけど、まったく音沙汰ないんですよね。

だから、困ると同時に、やりとりの回数が増えてしまいますから、アレックとの親密度が増してしまったんですけど。

そもそも息子がゲイである事を最初は、母親が否定しているように見えるのですが、実はそうでもなくて、父親には理解できないから、なんとかしないと、という感じなんですよね。

母親としては息子を認めてあげたいけど、家族としてどうしようか、と時期を見ているような感じ。

また、ゲイそのものに問題があるというよりは、相手が悪かった、というのもあるでしょうね。

実際、脅す計画を立てていたくらいですし、息子もそれを知り「母さんの言うとおり」というのは、ふてくされながらも言っていました。

すべてを見終わると、いろいろ母親の心境が理解できて、わかるのですが、作品として、ミスリードを誘ってきますので、混乱させられてしまうと、不快な事が多いんですよね。
それで、1回目はリタイヤしてしまった。

そこが勿体ないのかも?

そして何気に最初は問題児なのかな、と思わせていた息子がすっごくいい子で。

母親の行動を気にしながらも、あれこれ聞くわけでもなく、静かに見守っている感じで。

ある意味、失恋という経験をしてどんどん大人になっていくというか、むしろ息子は息子で勝手に急速に成長するというのを見せられた感じがします。

最後は、何も聞かずに母を慰める、のですから。

いろいろ家族(自分)を守る為に、苦労した姿を見せられたので、まあ事件は事故みたいなもんだし、いっか、と多分、アレックの視点を観客にも持ってもらいたかったのかな?


殺人を感動でうやむやにしようとするのは、ある意味怖いですね。

そこが共感できないのでした。

最後ちゃんと母親も自主とかしてたら超ハッピーエンドと言えたかも。

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