2016年2月25日木曜日

白い肌の異常な夜


映画 (Movie) / 白い肌の異常な夜 〔DVD〕

1971年作品
クリント・イーストウッド

あらすじ:南北戦争末期。敵側の少女に負傷しているところを助けられた一人の兵士。

運び込まれた先は、女の園だった。

女達の和は、1人の男の登場によって乱されていく・・・。




TVで見ました。

クリント・イーストウッドがイケメンな時代なのですが、映画はかなりトンデモ系。

まあ、邦題を見ればわかりますよね・・・。イーストウッドの名前がなかったら、スルーしてたかもしれない位、何も期待ができないタイトル。

でもある意味、タイトル通りのへんてこな映画なんですけどね。

ただ、後にいろんな映画の要素になっている・・・所もあるなぁ、と思ったんですけど、なんでしょう、タイトルといい、イーストウッドといい、ビミョーなハンパ感が残念なんですよね。

でも何かすごく不快とか、シゲキ的な訳ではないので、見て後悔、という類ではないです。

話しの種には・・・なるかな?w


まず、女の園である女学校は、戦争中とはいえ森の中に守られているような隔離された自給自足の異空間って言う感じ。

そもそも、その看板を掲げてますし、味方の軍も見回り的に訪問したりしてますが、いざとなったら押し入るには簡単だと思うので、怖いなー、と思いました。
「女学院」って出さない方がいい、って劇中でも言ってましたけど、その通りだと思います。

そんな感じで、そもそもちょっと何がしたいのかわからない感じでスタートするんですよね。

そして、たまたまキノコ狩りの途中で、少女が負傷したイーストウッドを見つけて「かっこいいから助けなきゃ」みたいな感じになるんですけど、そこも、ちょっと軽いというか、もしイーストウッドじゃなかったら、スルーしてたのか? という余計な疑問が浮かんじゃいましたw

そして敵兵だというのに、すんなり受け入れる校長先生。

元は共同経営していたという兄の部屋を用意して寝かせるんですが、早速その兄との関係をほのめかしてきます。

もう、最初っから誰もかれもが下心あるって感じなんですよ。

そして、助けられたイーストウッドも、かなりちゃらい。

今でいうならかたっぱしから「キミかわういーねー」って言ってる感じ。

それが、ここから無事助かって出たいという、これもまた下心のなせる技なのか、単純にチャラ男なのか。

それは映画を見ているとどんどん確信できるんですが、単純にチャラ男だと思います。

計算で、何等か手段としているなら、こんなヘマにはなってなかったでしょう。

本人が一番後悔してるとは思いますが、手当り次第、気の向くままに囲んでくる女性を扱っていたら、嫉妬に巻き込まれて、足を切断される羽目になるんですから。

まず、兄とできていた校長、ピュアな先生、アバズレな美少女生徒、この3人から熱い視線が送られてきます。
もちろん、森で助けた少女も、イケメンさんにかわいくまとわりついてきます。仲良しの亀の話をしたり、とか。
チャラ男、イーストウッドも、さすがに少女に対しては、良いお兄さんでいるような態度なので、この二人の絡みはちょっとしたオアシス、微笑ましいのです。(が、後に一番怖くなる)

イーストウッドが、チャラ男じゃなかったら決して問題にはなっていないと思うのですが、適当に3人に良い顔をしてしまう。

特に、先生はまあ、普通に考えて一番適当な相手ですから、イーストウッドからも口説きます。

そしてそんな所を、女生徒が見ちゃったりして、メラメラしちゃうんですね。
アバズレ女生徒は、兵士を呼んで早速復讐するので、この時点でサインは出ていたのに、イーストウッドは相手が少女だと思って、油断したのかもしれませんね。

態度を改める事なく、とうとう先生に女生徒との現場を押さえられて、怒りで階段から突き落とされてしまいます。

そして、複雑骨折しているが、敵兵だから医者も呼べないし、という事で、校長先生が本を片手にオペをするのです。

ただ、こういった「かくまってる人間をさらに不便にする」行為って、「外に出て欲しくない」という気持ちの現れと考えるのが理解できる範囲なのですが、本作の場合、その後「始末」するので、そういう訳でもなかったみたいで。

こういうちょっとした設定? が、ビミョー感につながるんですけどね。

さあ、知らぬ間に足を切られてしまったイーストウッドは、目が覚めて知る真実へのショックについ「俺が違う女のベッドに行ったからその腹いせだろ!」なんて校長先生に向かって、叫んでしまいます。

そんなこんなで、今まで気が付いていなかった女子にも「え? もしかしてこの学校やばい事になってんの?」って伝わっちゃうんですけどね。

何より、今まで何も知らなかった少女。

彼女もさすがにすべてを理解すると、「私の事が好きだったんじゃないの?」と涙するのです。

ここまでは、可愛い少女の初恋ターン、だと思ってました。

女のドロドロドラマに、オアシス的切ない初恋ドラマで、少しのさわやかさを提供してくれているんだと。お口直し、ですね。

でもでも。

最後にイーストウッドに止めを刺すのが、少女なんですよ!

冒頭のキノコ狩りが伏線だったとわかるのですが、「(おにーさんに食べてもらう為に)キノコとってくるー」といって、とってくるのがあえての毒キノコ、という。

途中、足を切られて開き直ったイーストウッドが、「ここをのっとってやる!」って言い出して暴れるんですけど、それも「そんなことが出来るなら、足がある時にやればいい」ってちょっと気になっちゃうし、女性達は女性達で、数も多いんだからなんとかなるだろうに、しかも、出したアイデアが
「なんか面倒な事になったからもう始末しよう」「親睦会っていって毒キノコ食べさせよう」
なもんですから、え、え、え?? みたいな。

そして、親睦会に誘われてのこのこうれしそうにテーブルに座るイーストウッドは、単純にただの支離滅裂、情緒不安定な人。さっきまでの暴れっぷりはなんだったのか。


もうこの辺は、これ笑うところなのかな、と思うくらい。


で、キノコうまいと言って食べつつ、

「実は、明日には先生と一緒にここを出ていくつもりだ」と言うのですが、このシーンはちょっと意味そのものがわかりにくいです。

先生は、これだけ全員の敵になったイーストウッドをそれでも愛していて、許していたんですね。
それで二人だけで話しをして、外に出て結婚しよう、という事になっていた。

それをこのテーブルで告白するのですが、流れから行くと「先生も敵」が自然かなー、と。

まず、皆が迷惑こうむった男をまだ信頼している、さらにこの学校を捨てて出ようとしている、となると女社会の中では、かなり嫌われる女子じゃないのかなー、と。

なのに、イーストウッドが「キノコうまいから皆に回そう」って先生に渡して、先生も食べようとすると、耐え切れなくなって少女が食べちゃダメ、と言うんです。

先生だけ、助けるんですね。

ここは、逆だよなー、と思うんですよね。

何も知らない時は、「先生には食べさせないようにしなきゃ」だけど、全部知ったらむしろ「先生にもキノコ食べてもらいますか」。

この方が女子的には自然なんですけど・・・。私だけだったりしてw

そして、思いっきりキノコで死んだっつーのに、「まさかキノコ?」「なわけないじゃん。私が間違えるとでも?」みたいな、誰に対してかわからない言い訳で終る。

ていう感じで、なんだかずーっとへんちくりん、なんですよね~。

決して、面白くもなく、とはいえ、退屈・・・とまでいかないのは、イーストウッドが出てるおかげ、だと思います。
なんか一応最後まで見てみよう、と思えますからね。

だけど、見終わっても「何故イーストウッドだったのか?」って、素朴に謎です。

話しとしては、「女子に年齢は関係ない。生まれた時から女は女」って事なのかなーと思いますが。

まあ、イーストウッドには同情できないので、そういう意味ではスカっとする・・・かもしれないですけど、誰が喜ぶんだろう、と思うと、やっぱりもやもやが残る映画でした。

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