2016年2月29日月曜日

ファンドとリス


アレハンドロ・ホドロフスキー DVD-BOX DVD
1967年作品
監督アレハンドロ・ホドロフスキー


あらすじ:足がマヒして歩けないリス。それを、台車に乗せて、どこまでも押すのがファンド。
2人は、夢の国「タールの街」を目指す・・・。



DVD-BOXを買ったものの、手元に残っているのがこれだけ。。。という。

久しぶりに見ました。


古い絵、お時話の挿絵のような、モノクロのファンタジックなビジュアルを背景にクレジットが流れるオープニング。

絵を1枚1枚良く見てると、結構グロかったりする中に、双頭のキャラクターが出てくるんですが、ファンドとリスの関係性がそんなような一心同体である事を想像させられます。

そんな設定はもちろん、瓦礫の中、おしゃれした紳士とレディがなぜか2人を囲んだり、そこにおかれたピアノは燃えてるけど、ちゃんと紳士が演奏してるとか。。。

と、もうしょっぱなからホドロフスキー的完成度高いです。

「死んだら誰も私の事なんて覚えていない」と歌を歌うリスにファンドが「俺は忘れない。墓にいくよ」と言うと、二人でしばらく墓のまわりでコミカルに死体ごっこ。

若干、YOUTUBER的な映像にも見えますw

旅の途中で、数々のおかしな出会いがある、というのは、「エル・トポ」や「ホーリー・マウンテン」に共通する、ホドロフスキーのスタイルの原点なんだなーと感じます。
こういうのをロードムービーというんですかね?
ロードムービーと言われるようなものって、あまり見なくて、他だとブニュエルにもこのスタイルあるなー、と思う位です。

モノクロだからこそ、過激なシーンも若干緩和されて、スタイリッシュにすら感じるのは、IG世代のモノトーン流行りにも馴染みやすい・・・とか適当な事書いてます。

でも、どろんこ? の中から人が出てくるところとか、その後も泥の中で恍惚としている集団とか、ほんとカラーじゃなくてよかった、という感じ。

その他、死体のように土の中で眠る人達とか、もう全般的にモノクロで正解!

しかもその登場人物の誰もが、「で? 何?」というクエスチョンマークを残して去っていくだけで、意味などまったくわかりません。

変な人達がいっぱいいるよーってだけですw


ところで、歩けないリスを抱えて移動するのですが、おぶさったほうが運びやすそうだな、って思うのですが、かたくなに「棒」状態のリスなんですよね。

おぶる、というスタイルがなかったとも思えないのですが、まあ、結果的にはそれがファンドの愛をより感じる光景になっていました。(足が一切、曲がらない訳ではないので)

でも、途中で急にキレ出して、リスの足もって引きずった挙句、放置する、なんていうヒステリックな一面も。

すると出会うのは、崖の上でポーカー? をする老女たち。
賭けているのは、何故か缶詰のプラム?

そして横には醜いデブ男が裸で寝ていて、老女が取り合っています。

そこに若いファンドが通りかかるのですが、プラムを健康グッズのようにゴロゴロ持って威嚇してきますw

さらに進むと、ウーマンリブ軍団みたいな女性のなわばりだったのか、手荒い歓迎を受け、ファンドはボロボロに。

この、フェミニズム集団というかウーマンリブ集団的演出って、1度は誰もが描いているような・・・?
でも、フェリーニの「女の都」は80年代ですから、本作はかなり古い方なのかな?

で、怖い思いをした? おかげでリスの元に戻るって元鞘になる二人。

枕草子じゃないですけど、二人でボディ・ペイントし合うシーン(こういう空想? のリスは歩ける)は、パンキッシュなバンドのPVみたいでおしゃれな感じで、ちょっとホドロフスキーとは思えない程。

でも、最後ペンキぶちまきすぎて真っ黒になると、モノクロなので、ペンキなのか血なのかわからなく、ホドロフスキーだな~って感じに収まるんですけどね。


純愛かとおもいきや、どんどんおかしくなるファンド。

リスへの当たりが強くなり、鎖に手錠まで。

そして、最後はリスを殺してしまい、自分もその横で息絶えた・・・のかな?

2人が眠る土の中のこそ、「タールの街」なのかなーと思ったりしたんですが、そうではないみたいです。

DVDのオマケの監督本人のインタビューで、「行けるはずのない夢の国」「行くことはできない」と言ってます。

ファンドの事は「アタマのおかしい少年」と言ってますw
監督が言うんだから、間違いないw

元は舞台だそうで。
これをどう舞台で見せていたのか・・・。

映画と関係のない話題も入っていて、その中では、

アンドレ・ブルトンにコンタクトをとって、「いずれ有名になるから」と言ったという話はすごいですね。
電話で会おうっていったのに、時間を理由に断られて、幻滅した、と。
その時それまで傾倒していたシュールレアリズムを嫌いになったってw
「時間かよ」みたいなw

ホドロフスキーだからこそ、説得力のある言葉ですね~。

ちなみに、ブニュエル、フェリーニは好きな監督とのこと。影響受ける事はないとはいえ、作風から感じ取れますよね。

と、翻訳されている中で、一番古い作品ですが、ホドロフスキー好きーなら、見る価値はあると思います。

というか、皆さんBOX買ってそうですよねw

ホドロフスキー流、RPGストーリーって感じで、ちょっとリスが可哀想なのが残念ですが、普通のラブストーリーになるはず・・・ないか。


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