2016年3月19日土曜日
おいしい生活
映画 (Movie) / おいしい生活 ―デジタル・レストア・バージョン― 〔DVD〕
2000年作品
監督ウディ・アレン
ウディ・アレン、トレイシー・ウルマン、ヒュー・グラント、エレイン・メイ
あらすじ:まぬけな泥棒ウディ・アレンは銀行強盗に失敗して捕まっていたにも関わらず、また銀行強盗のアイデアが浮かんだと仲間を集めていた。
それは、銀行の数件並びにある貸店舗を借りて、地下から穴を掘って金庫室に出よう、というもの。
皆でお金を出し合って、妻トレイシー・ウルマンにダミーでクッキーショップをやらせるが、それが意外にも大繁盛してしまって・・・。
手が足りないからと、頭の足りない女友達に手伝いに来てもらうが、穴を掘る男たちを見て空気が読めず、「店を拡張するから地下に穴掘ってるのよ」と早速言いふらしてしまう。
そして、まぬけな泥棒チームが穴をつないだ先は、銀行ではなくブティックで、さらに話を聞いてピンときた常連の警官が後を追っていた。
何もしてないんだから見逃してくれよ、と言うと警官はビジネスを持ちかける。
それは、銀行強盗を続けるのではなく、クッキー店をフランチャイズにして大儲けしよう、というものだった。
その通り、まぬけな泥棒たちはクッキー会社で大儲けして生活を大きく変えるのだが・・・。
ウディ・アレンがあの容貌のまま、パッとしない泥棒の役です。
とにかく、真面目に働こうとはせずに、泥棒が好きみたいで、何か盗んで楽して暮らそうと考えてばかり。
妻のトレイシー・ウルマンは、私にとっては女優というよりも、歌手のイメージの方が強いのですが、アメリカで「トレイシー・ウルマン・ショー」を持っていたコメディアンで、そこで「シンプソンズ」が生まれたんですよね。
彼女がいなかったらシンプソンズがなかったとも言えるので、すごい人です。
愛嬌のあるお顔がキュートな印象なので、コメディにはぴったりだと思います。
それに加わるのが、ヒュー様ですから、出演者的にもおいしい作品なのですが、TVで見るまでは知りませんでした。
ウデ・アレンの作品としては、すごくシンプルでわかりやすいお話しだと思いました。
泥棒の為にダミーで営業を始めたクッキー店が大繁盛してしまう、という設定は面白いな、と思いました。
でも、それがベースで話しが進むのではなくて、クッキー店はあっさり大企業に成長し、銀行強盗は未遂に終わり、お金持ちになってからのお話しがメインです。
まあ、穴掘ってのドタバタというのは、ありがちでもあるからそっちではなかったんでしょうけど、フックとして十分でしたし、まぬけな泥棒たちの様子が良くわかったので、面白かったからあっさり終わったのはちょっと物足りない感じもありました。
お金持ちになってからメインになるのは、ウディではなく妻の方。
お金を持つことで上流階級の人とのつきあいが増えて、そこでなんとか仲間に入ろうと思い始めます。
女性ならではの感覚でもあって、夫のウディは興味なし。
そもそもお金は手に入れられても教養は簡単には手に入らない事がわかっているんです。
でも、妻は成金だと笑われているのを知ると、教養をお金で手に入れようと躍起になります。
そこで雇われたのが、ヒュー・グランド。
最初は3人で、美術館に行って説明を受けたりするのですが、すぐにウディは仮病を使ってその輪から抜けます。
妻とヒュー様は二人きりで、舞台を見たり、コンサートに行ったりしているうちに、ヒュー様はこの金持ちの人妻は自分に気が合って、金を引き出せるのではないか、挙句は離婚して自分と再婚させて財産狙えるんじゃないか、と考え始めます。
妻は、どこまでヒュー様を恋愛対象として見ているかは明確ではないのですが、勉強のお礼にと、高価なプレゼントをしたり、ヒュー様がしかけてくる旅行にも行ったり。
そして、一人自由なウディは、あたまの弱い女友達と急接近します。
クッキー会社で金持ちになってはいても、生活をあまり変えない彼女にホっとして、惹かれていきます。
そして、もう妻とは元の生活に戻れないだろう、と女友達と二人で昔のようにまた泥棒を計画します。
何も知らない妻は、ヒュー様と海外へ旅行中。
そんな所に、緊急呼び出しの電話がかかってきて、家に帰ると、計理士の横領で倒産&破産だと告げられます。
すでに家を出ていて何もしらないウディは、泥棒に入った家のパーティーで、「妻の倒産と破産」の話を聞きます。
そして、妻の元を訪ね、改めて出会った頃と同じ状態の妻と接するうちにまた二人の関係を再開させるのです。
要は、泥棒ウディにとっては、泥棒する事がスリルであって、決してお金があればよいというものではなかったんですね。
金持ちになってどうって言う話になった時に「とんでもない」とうんざりしてました。
だけど、泥棒で効果なジュエリーを狙うのですから、実はちょっと意味がよくわからなかったんですが、決してお金=ゴージャスな生活ではなく、楽してのんびり生きたい、というウディなりの身の丈はあったんですね。
そして妻も痛い目にあって、自分がいかに無知でお金を手に入れても人に奪われてしまう隙がある、という事を体験して、学んだんでしょうね。
ヒュー様とはお金の切れ目が縁の切れ目だけど、お金がなくなってその人間だけになった時に戻って来てくれる人が、大事なんだと。
と言う感じで、かなりのなまけものファンタジーでした。
ただ、同じ女性として、妻にはかなり共感できたので、いろいろ思わされる映画でした。
1度しかない人生、いわゆるゴージャスな暮らしというものに憧れないと言えばウソになります。
特に女性ですから、お金なんていくらあっても使おうと思えばあまる事はないですからね。
だけど、そういう想いも、ある程度の若さ故で、年齢とともに、やっぱり現実的になり、「この人生にはそんな暮らしはもうないんだ」と理解できるようになりますw
そして、贅沢よりも日常の平凡さ、家族と一緒に居られる事、などで充分幸せを感じるようになるんですよね。
もちろん、今でもお金が空から降ってきたらもらいますよ。
でも、稼ぐとなると、やっぱりいろんな代償があってこそ、というのがわかるようになっているので、今は、稼ぐよりは、日々暮らしていければいいや、という考えになっているんですよね。
なので、本作のエンディングが素直に受け入れられたんです。
二人が一緒に居られるのが一番じゃんっていう。
もし、見るタイミングが違っていたら、もう少し印象も違ったと思います。
私にとっては、いいタイミングでした。
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