2016年3月28日月曜日

ロング・グッドバイ

1973年作品
監督ロバート・アルトマン
原作有り

あらすじ:ある探偵の元に、夜中に突然悪友が訪ねてくる。
メキシコへ行くのに送って欲しいと頼まれる。

友人という事であまり詮索せずに、言われた通りにするが、翌朝警察が探偵を待っていた。
その友人は妻殺しの容疑がかけられていたのだった・・・。




70年代のアメリカのおしゃれ感が詰まっていました。
いわゆるハードボイルドってやつなんでしょうかね。

一見ちゃらんぽらんに見え、大して仕事しなさそうな探偵ですが、実は飼い猫を愛し、夜中の3時に猫の餌を買うためにスーパーに行くような優しさがあり、隣のちゃらちゃらした女にも近寄らず、でも適度に近所付き合いをする。

友人の事は大事にし、実は仕事も出来る。

ネクタイの乱れを気にするスタイルへのこだわりもあり、女性には優しい。

「ロング・グッドバイ」というタイトルにある曲が作中で良くかかっているのですが、他にもムーディーな音楽が多く使われていて、とにかくおしゃれでした。

【おはなし】

私立探偵フィリップ・マーロウは、妻殺害容疑のかかった友人をかばって、取り調べを受けていたが、しばらくすると釈放される。
その理由は、容疑者である友人が自殺を図った事で事件が解決したから。

だが、その直前に顔を合わせていた事もあり、妻殺しをしたとは思えず、独自で調べる事に。

ちょうど、友人が住む住宅地から仕事の依頼があった事を利用した。
ある小説家の妻が、夫が失踪したから探して欲しいという依頼だった。
だが、友人夫妻の事を聞いても、あまり親しくはないというような感じだったが、それは嘘だった。
妻いわく、夫は殺された女性と浮気をしていて、暴力癖がある事から殺してしまったのではないか、と探偵にささやく。

同時に、チンピラからはその友人が金を横領していたと聞かされ、金を取り返せと付きまとわれるように。なんならグルなんじゃないかと疑りをかけられるが、実際、死んだはずの友人から5000ドル札が送られてくる。

偶然、その5000ドル札をチンピラに見られてしまい、「これは俺の金だ」と騒ぎになるが、途中で「金が戻ってきた」事で、探偵への疑いは晴れ解放される。

死んだとみせかけて生きている友人の居場所をつきとめた探偵は、自分が友人に利用されたことを知り、そして妻殺しは友人のしたことである事を確信すると、友人を殺す。

そして、帰り道、夫を容疑者にみせかけた小説家の妻とすれ違う。

友人は、小説家の妻と不倫していて、新たな人生を歩もうと企てていたのだった。


【見どころ】

冒頭、猫と探偵のシーンが結構長くあるのですが、こここそ、この探偵の人となりが自然に伝わってくるシーンですし、とにかく猫の演技? がすごくて、いきなり引き込まれました。

夜中にお腹を空かせて鳴くんですけど、お気に入りの猫缶が切れてしまって、探偵はお手製のごはんをつくります。
でも、ずーっと側で鳴いていたにもかかわらず、猫は食べないんです。
お気に入りのごはんじゃないから。

で、探偵は猫相手にずっと1人でしゃべっているのですが、この猫を上辺ではなく心底愛しているという一面などから、悪い人じゃないという本質が見えてきて、自然に探偵に興味が沸きます。

そして、しかたなくスーパーに猫缶を買いに行きますが、お気に入りのブランドが品切れで、店員に尋ねるも「なんでもいっしょだろ。お前猫かよ、おれは恋人と住んでるから」とボロくそに言われます。

それでもキレることなく、適当にやり過ごす冷静さ。

何より、常に咥えタバコなのですが、スーパーの入り口で壁でマッチをつける仕草が、芝居がかっていてカッコいい。

こういう格好良さがアリな雰囲気。

さらに、猫にばれないように缶を詰替えて、あたかも今買って来たよ、とお皿に移して出しますが、猫はちゃんと食べませんw


次に、女性陣のファッション。特に、小説家の妻はセレブ妻という事で、年齢こそ若くはないですけど、ファッションは素敵でした。

カジュアルな小花柄のコットンドレスから、おおきなフリルになっている白いコットン・ドレス等が特に印象的でした。

探偵の住居は、アーティストが住むようなおしゃれアパートで、アメリカの一番おしゃれな時代だったのかなーって思える感じでした。
セレブ住宅も、素敵ですけど。

いろんなインテリア、風景、建物、そこにいる人物の何気ないファッション。
何かすべて、おしゃれに見えました。


【まとめ】

探偵が主役で、事件に巻き込まれ、事件を追うという探偵小説が原作なのかもしれませんが、あまりその事件色は濃くない気がしました。

というか、そういう物として見るよりは、探偵のキャラクターであったり、おしゃれな雰囲気を楽しんだほうが、幸せな感じがしました。

ハードボイルドという言葉と、実はかけ離れているようで、そうでもないのかな、と思ったのが「脱力系」という言葉でした。

私はハードボイルドに馴染みがないせいか、見ていて思い浮かんだのは「脱力」という言葉でした。

探偵の雰囲気とか、キャラクターとか、全体の雰囲気とか。

あくまで狙っているというよりは、時代のムードでもあったんでしょうね。

だらだらなまけている、というよりは肩に力が入ってない、ある意味自然体というニュアンスです。

なんかこういう時代を生きてみたいなーと思いました。

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