マーティン・キャンベル 007/カジノ・ロワイヤル DVD
2006年作品
007シリーズ:ダニエル・グレイグ版第一作目
ダニエル・クレイグ、エヴァ・グリーン、マッツ・ミケルセン、ジュディ・デンチ、ジャンカルロ・ジャンニーニ
あらすじ:イギリスのスパイ、ジェームス・ボンド・シリーズ小説の長編第一弾が原作。
工作員であるル・シッフル(マッツ・ミケルセン)は組織の金を使い込んでいた。
それを取り戻す為、カジノで一攫千金を狙うが、それを阻止するのがボンドの任務となる。
ボンドは、相手の癖を見抜き、これで勝てると思い全額を賭けるが・・・。
「007」シリーズにはほとんど馴染みがないのですが、イメージとしては男性のファンタジーでした。
ボンドガールとかスパイという職業とか、派手なアクションやスパイグッズ等。
男性仕様という事で、少し引いた目で見てしまうのですが、楽しさは理解できます。
でも、スパイというテーマは好きですが、どこか古臭いイメージもあって、自分が率先して見る事はありませんでした。
本作は、ボンド役がアップデートされたと同時に、そんなこれまでのシリーズ作が持っていた、若干古臭い感じ・・・というのが、軽減され、まさに時代に合うボンドになっているのかな、と思わせる雰囲気はありました。
でも、実際見てみると、映像的には確かに洗練されている気がしますが、まだチェンジ第一弾というせいか、結構こてこての007(=かるかる)って感じでした。
【おはなし】
組織の金を使い込んで組織からも圧力をかけられている、そんなダサイ悪人ル・シッフルがマッツ・ミケルセン。
金策としてカジノのセレブな高額レートで一攫千金を狙います。
それを阻止するよう命じられたのがジェームス・ボンド。
仕事なので、ギャンブルでのお金はイギリス政府から出ますが、その金庫番的な存在として、ボンド・ガールとなるのが、ヴェスパー。(エヴァ・グリーン)
ヴェスパーはあくまでも経理的な人なので、乱闘やボンドが人を殺すところを見るとショックを受けます。
ボンドをサポートする同僚的な存在マティスに、ジャンカルロ・ジャンニーニ。
「ハンニバル」でさくっとやられてしまう刑事でお馴染みの、うさん臭さがたっぷりなルックスです。
ボンド、マティス、ヴェスパーという3人がこのル・シッフルに資金を握らせない任務の担当チームという感じなのですが、ボンドがル・シッフルの癖を見抜いたという話をすると、それは筒抜けだったようで、その情報を逆手にボンドから全資金を巻き上げます。
そして、ボンドの命すら奪おうとしますが、007お得意のスパイグッズ等を駆使して、ボンドは一命を取り留めます。
死んだと思ったボンドが再び、カジノのテーブルに座ると、今度こそ、ル・シッフルの資金を奪う事に成功。
無事、任務終了かと思われると、今度はボンドとヴェスパーがル・シッフルに拉致されます。
カジノで得た金を送金する為のパスワードを聞き出そうと、素っ裸にしたボンドのおしりをムチでたたくという拷問をするル・シッフル。
もちろん、そんな事で吐くようなボンドではありませんが、隣の部屋からは、ヴェスパーの悲鳴が聞こえてきます。
ヴェスパーだけは助けたいと思うボンドですが、そうこうしていると、組織の人間が現れて、ル・シッフルは殺され、何故か、ヴェスパーとボンドは助かります。
この意味を考えろ、と目覚めた病院でマティスに言われますが、ル・シッフルは「マティスが裏切り者だ」と言っていたので、ボンドはマティスを連行させます。
そして、自分のやっている事に嫌気がさし、ヴェスパーに恋したことから、スパイを辞め、堅気になるとヴェスパーに宣言します。
思い立ったが吉日、さっそくMに辞表をメールするボンド。
そして、カジノからお金の送金手続きに使いがくると、ヴェスパーに送金先を指定させ、パスワードも教えて、処理させます。
これで任務も終わったし、スパイも辞めるし、一件落着、と気をゆるませていると、辞表の事もスルーでMから「早く送金しなさい」と連絡が来ます。
そう、ヴェスパーこそが裏切り者で、ル・シッフルどころかその組織とつながって動いていたのです。
ただし、それは本意ではなくかつての恋人を脅迫の種に動かされていたという事で、最後の仕事は今回の資金をすべて組織に渡す事。
ところが、断れない事情があるにせよ、ボンドへの罪の意識もあったので、わざと携帯電話をホテルの部屋においていき、ボンドが後を追う事ができるようにしておきました。
ヴェスパーが組織と接触するのをボンドはなんとか追いつきますが、ヴェスパーは罪悪感から、ボンドの目の前で自ら助かる事を拒否し、結果自殺してしまいます。
遺品の携帯から連絡を取っていた組織の人間をつきとめ、復讐には成功します。
そして結局スパイを辞める事はなかったボンドなのでした。
【マッツ・ミケルセン】
007シリーズという以前に、私はマッツが出てるから、見たいな、と思ってみました。
ただ見るまでの腰は重く、マッツが出てるけど「007シリーズじゃね」というのもありました。
結果として、なんでこんなへなちょこ悪党がマッツなの? という役不足感はありましたね。
マッツのルックスのイメージと、悪党の小粒感があまり釣り合っていない・・・というか、あくまでもマッツファンとしては、ださすぎでしょ、という不満がいっぱいです。
マッツが涙腺に問題を抱えていて、ストレスか何かを感じると血の涙を流す、というのは似合ってはいましたけど。
でも、側にいる女の趣味(へんなラバーファッションとか)も悪いし、組織の金使い込みとか、ださださでしょ。
ただ、マッツ、裸のボンドを拷問するの巻、については喜ぶ人はいるんでしょうね。
私は、コントにしか見えなくてあのシーンも安っぽいというか、007シリーズの様式美に近い感じなのかなーと思えました。
とにかく、軽い。
そして、これまでの出番はなんだったのか、というくらいあっさり組織に殺されます。
うん、もっと早くに死んでてもいい感じでした。
【かるかる様式美】
ダニエル・グレイグがボンドという事で、これまでのこってりしたイメージから少しは現代ちっくな感じにはなっているのですが、内容は期待が強すぎたみたいで、なんだ、カルカルじゃん、でした。
例えば、
ヴェスパーこそがスパイと言う設定ですけど、疑問に思ってはいけないのかもしれませんが、そもそも「そんなMI6とかCIAってちょろいの?」って気になっちゃうんですよね。
だから、言われてびっくりというよりは「ウソでしょ。都合よすぎ」と反発してしまうんです。
さらに追い打ちは、最後Mが「ごめんねー。忙しくて手が回ってなかったわ(ちゃんと調べたらわかってたと思うんだけど)」みたいな言い訳をするんです。
え、そんな軽くていいの?
みたいな。
むしろうそでも、「調査はしたけどうまくごまかされていた」みたいな相手組織が上手だったくらいの、説得力が欲しいところです。
まあ、あくまで原作があるので、その辺は仕方ないのかもしれませんが、これが私にはなんか「かるいなー」って感じる部分です。
ボンドがたまたま出会ったちょっと素人っぽい女性に惹かれて「足洗うわ」となるのも、コメディとしか思えませんでした。
おまけにそれ、スパイですし。
で、ボンドまで騙されてるし。
裏切り者の濡れ衣(実際はわからないので、調査続行中)のマティスですら「2人で助かるの変じゃね?」と違和感に気づいていたのに、当人のボンドは浮かれきってそこに引っかかることがなく、お金が盗まれて初めて気が付く、という。
だいたい、Mからの電話の前に急にヴェスパーは「銀行いってくるね」と1人行動をとるのですが、そこで1人にさせるのもよくわかりませんでした。この言動は素人が見てても、何かあるじゃん! とわかりますし、ラブラブなら一緒に行くというはずだし・・・。
すべては軽いご都合主義なんですよね。
【まとめ】
今回、改めて007シリーズを見てわかったのですけど、こういった軽いところも含めて楽しむ娯楽作なんですよね。
派手なアクションや爆破はお金をかけているだけあって、見ごたえありますし、ボンドガールのドレス姿は、さすがに非日常的で素敵でしたし、スパイというある種のファンタジーは永遠なんですね。
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